私は急いで血塗れで倒れたフランに駆け寄る。
「フラン大丈夫!!」
「…………」
「良かった息をしてるし、気絶してるだけみたいね。」
(あれ?おかしいわね、傷口の再生が始まらない…)
突然背筋が凍るほどに冷たい殺気を当てられ、その場を飛び退く。慌てて後ろを振り返るとフランを守る様に私を威嚇している『魔狼の漆黒』が居た。よく見ると先程より少し大きくなっている気がする。
(フランが気絶したなら眷獣である『魔狼の漆黒』は消えるはず。なのに消えて無いって事は…まさか暴走してフランの魔力を吸っている!?)
吸血鬼は魔力が無ければ再生出来ない、つまり『魔狼の漆黒』の暴走を止めなければフランの再生はいつまで経っても始まらない。それに暴走した眷獣は何をするかわからない。
「押さえつけなさい『黄金の天秤』!!」
『黄金の天秤』では余り時間を稼げないので、早く他の眷獣を出さなければ…この状況で使える眷獣は
「目覚めなさい、『紅蚊の血霧』!!」
『紅蚊の血霧』は吸血鬼の能力である吸血を司っている、そのため近づいただけで生命力と魔力を吸い取り自分の物とする能力を持った眷獣だ。
私の背後から赤い霧が出てくる。よく見るとそれは小さな赤い蚊の集合体。一匹一匹が生命力と魔力を吸い取る事が出来る、質より量これが『紅蚊の血霧』の強みだ。
「『黄金の天秤』戻ってきなさい。『紅蚊の血霧』、『魔狼の漆黒』に纏わり付きなさい。」
『黄金の天秤』が魔力に戻る。
『魔狼の漆黒』が前足を振り、赤い霧を払うが直ぐにまた赤い霧に包まれてしまう。きりがないと思ったのか、私を飲み込もうと大きな口を開け噛み付こうとする。
「眠りなさい『魔狼の漆黒』。」
あと一歩で私に届きそうな距離で『魔狼の漆黒』の魔力がつき、夜に溶けるように消えていった。
「ありがとう『紅蚊の血霧』。」
眷獣か暴走してからフランは紅魔館の地下室からあまり出てこないようになった。きっとまた眷獣が暴走してしまう事を怖がっているのだろう。眷獣が使えなくなってしまわないか心配だ。