インフィニット・ストラトス ~全てを調和せし夏の軌跡~ 作:緋蓮
これを糧にこれからも頑張ります!!
緋蓮サイド in
「と言うわけで、1年1組代表は緋蓮・E・飛鳥君に決まりました。」
朝のSHR、そこで山田先生から俺が代表になったことがクラスに伝えられた。クラスの女子はそれを聞いてざわめいていた。
「ではこれでSHRを「あの!」何でしょうかオルコットさん。」
山田先生がSHRを終わらせようとすると、オルコットが遮るように声を上げた。
「少しだけお時間をいただいてもよろしいでしょうか?」
「織斑先生…」
「ふむ、まあいいだろう」
元姉がオルコットに許可を出すとオルコットは前に出ていきなり頭を下げた。
「先日は申し訳ありませんでした!こちらには日本人の方もたくさんいらっしゃるというのに侮辱するという代表候補生にあるまじき行動。許していただけるとは思いませんが本当に申し訳ありませんでした!」
一週間前のことについ謝るオルコットに対して静かになるクラスメイト。しかし
「別にいいって。私たちもう気にしてないし。」
「そうそう。謝ってくれたし大丈夫だよ。」
「~~~ッ!?ありがとうございます!!」
一人がそう言うと他の生徒も同じようなことを口々に言った。それを聞いたオルコットは嬉しさからかしばらく何も言えず、その後再び勢いよく頭を下げてお礼の言葉を言った。
──────────
今日の授業はISを使ったものだった。
「ではこれより、ISの基本的な飛行操縦を実践して貰う。織……飛鳥、オルコット。試しに飛んでみせろ。」
元姉が指示を出そうとして、その中で俺のことをまた織斑と言おうとしたから、元姉に向けて少量の殺気を出す。それに気づいた元姉は渋々といった感じで言い直した。俺とオルコットは元姉の指示に従ってそれぞれのISを展開した。
「ふん。まあいいだろう。では飛べ。」
元姉の合図と同時にオルコットはISの機能だけで上昇し、俺は膝を曲げ跳躍の運動エネルギーとGNドライブから得られる出力を用いて一気に目標高度まで上昇した。
「すごいですね。」
「何がだ?」
「いえ、この前の試合の時にも思いましたがISに乗ってまだ間もないはずの緋蓮さんがわたくしたち代表候補生以上の技量を持っていることがです。どうしてそれほどの技量を持っているのですか?」
「そのことか。まあいろいろあってな。」
オルコットが俺の操縦技術について聞いてきたが、俺の操縦技術のほとんどはあの世界で培ったものなので理由を聞かれても曖昧にしか答えられなかった。それを聞くとオルコットは少し不満そうにしていた。
「まあ詳しくは言えないが模擬戦くらいならたまに付き合ってやるから許してくれオルコット。」
「そうですか。まあいいですわ。それとわたくしのことはセシリアとお呼びください緋蓮さん。」
「分かったよ。セシリア、これでいいか?」
「はい!」
「一夏っ!いつまでそんなところにいる!早く降りてこい!」
「……はぁ」
俺とセシリアが話していると通信回線から響く怒鳴り声が聞こえた。下を見ると、糞モップにインカムを奪われた山田先生がおたおたしていた。すぐに元姉が糞モップの頭を出席簿で叩きインカムを取り返していたがその光景をみて思わずため息をはいてしまった。
「…飛鳥、オルコット、急下降と完全停止をやって見せろ。目標は地上から10センチだ」
「了解です。では緋蓮さんお先に」
元姉の次の指示に従ってセシリアが急下降を開始。その後、セシリアが完全停止をクリアしたことを確認し、俺も急下降を開始する。地上数メートルのところで各部のスラスターなどを使って一気に制動をかけて目標と同じ高さで止まった。
「ちょうど10cmだな。次は武装展開の実演だ。まずはオルコット、やってみろ」
「はいっ!」
元姉からの指示を受け、セシリアが左手を肩の高さまで挙げ、真横に手を突き出した。直後、一瞬の爆発的な光の奔流が目を焼く。光が消えると、その手にはスターライトmk−IIIが握られていた。
「流石だな、代表候補生。ただし、そのポーズはやめろ。横に向かって銃身を展開して味方でも撃つ気か」
「え?…ッ!?も、申し訳ございません!」
セシリアの展開したライフルはちょうど横にいる俺に突き付けるようにされていて反射的に俺もライフルモードにしたGNソードVを突き付けていた。それを見て慌てて俺の頭から砲口を逸らすセシリア。
「次からは、正面に展開できるようにしろ」
「で、ですがこれはわたくしのイメージを纏めるために必要な」
「直せ。いいな」
「……はい」
セシリアは反論しようとするが、元姉に一睨みされて沈黙せざるをえなくなった。
「次は近接武器だ。展開しろ」
「えっ、あ、はいっ」
セシリアが指示通りに武装を展開していったが、近接武器の展開で時間が掛かっていた。セシリア自身が機体と同じく射撃に特化していたため近接武器に慣れて居なかったのだろう。
「…まだか? 何時までかかっている」
「うっ…ああもう! インターセプター!」
その後、セシリアは初心者がするように武器の名前を口に出す手段を使って展開した。
「遅い。お前は実戦でも敵に待ってもらうつもりか」
「じ、実戦では敵を近づけさせませんわ」
「ほう、では昨日素人の飛鳥に懐に接近されかけその後撃墜されたのはどこのどいつだ?」
「うぐぅ」
「くだらん言い訳を言う暇があるのなら大人しく努力しろ」
「は、はい…」
「分かればいい。」
オルコットはこのことにも反論しようとするも元姉に事実を言われて押し黙り、こちらを睨み付けてきた。
「次に飛鳥、射撃武器はすでに展開しているから次は近接武器を展開しろ。」
「了解。」
俺も元姉の指示通りにセシリアのときに展開していたライフルモードのGNソードVをソードモードに切り替えた。
「……え?」
「……何?」
それに対して元姉やセシリアが予想外の出来事だったのか少し呆けた顔をしていた。
「GNソードはモード切り替えで剣にも銃にもなります。俺の専用機にはこのような複合兵器がいくつもあります。」
「ハァ!? なんですって!? 複合武器がいくつも!?」
「落ち着けオルコット。…まぁいいだろう。さて、もう時間だな。今日の授業はここまでだ。」
元姉のその言葉と同時にチャイムがなり、授業は終了した。
──────────
放課後、俺は整備室にきていた。理由はこの前の試合のときのブルーティアーズの性能とアルモニアの性能の差がまだ少し大きく感じたから制限を加えようと思ったからだ。
「う~んどうするかなぁ?これ以上出力下げると装備の運用に支障が出るし、このままだとワンサイドゲームになるしなぁ。」
暫く考えていると少し離れたところに水色の髪をした一人の生徒が作りかけのISに向かって作業しているのに気づいた。何となく気になったので俺はその子の後ろから覗き込んだ。
「…マルチロックオンシステムか?」
「ッ!?誰!?」
その子の作っているシステムに心当たりがあったためつい口に出てしまった。その声に反応して少女もこちらを見てきた。
「ああ、驚かせてすまない。つい気になってな。俺は緋蓮・E・飛鳥だ。君は?」
「…更識簪。」
俺が名乗ると少女…更識も名乗ってきた。
「改めてすまなかっな、更識。集中していたとこを邪魔をしてしまって。」
「名字は好きじゃないから名前でいい。それとこのシステムのことわかるの?」
「ああ。昔同じようなシステムを扱ったことがあるからな。今はパイロットのほうがメインだけど元々は技術者だったから。それよりこの機体は簪のか?」
俺が目の前の機体について聞くと表情を暗くしながら答えてくれた。
「うん、そうだよ。」
「そうか。専用機があるってことは代表候補生か?」
「うん。でもこの機体はまだ完成して無いんだ。」
「なんでだ?代表候補生の専用機なら企業とかが作ってるんだろ?」
「実は男性操縦者の専用機を作るから私の専用機の開発を凍結させるってスタッフの人に言われた。」
「はぁ!?」
俺は簪の専用機が未完成なのが自分の影響だと知り驚いてしまった。元姉の自分勝手な行動のせいで人に迷惑がかかっている事実に頭が痛くなりつつも、俺は簪に頭を下げた。
「すまない。俺のせいで迷惑をかけてしまって。」
「大丈夫。それにこれは織斑先生の独断のせいだって知ってるから。あなたは悪くない。」
「そう言ってくれると助かる。だがそれでも気が済まない。よかったらその機体の製造を手伝わしてくれないか?」
俺がそう言うと簪は驚いたような顔をして聞き返してきた。
「いいの?」
「ああ。原因の一つであることにはかわりないからな。これでも元技術者としてできることはあるし。」
「……ありがとう。」
それから俺は夕食までの間、簪と専用機の開発を進めた。
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「「「「「「飛鳥君クラス代表決定おめでとう!」」」」」」
「「「「「「おめでとう!」」」」」」
夕食後の自由時間に、寮の食堂の一角で『飛鳥君クラス代表就任パーティー』が行われた。クラスメイトが集合し、めいめい飲み物を手に盛り上がっている。何故か他の組の生徒もいるが、まあ別にいいか。
「ね~ね~あすあす~。」
「ん?」
パーティーが始まり少しすると袖をだぼつかせた服をきたどこかのほほんとした雰囲気の女子が話しかけてきた。
「確か布仏さんだったよね。あすあすって俺のこと?」
「そうだよ~。飛鳥だからあすあす~。それと~私のことは~好きに呼んでいいよ~。」
「じゃあのほほんさんで。それで何かようか?」
俺がそう聞くとのほほんさんは嬉しそうな表情で答えてくれた。
「うん。かんちゃんを手伝ってくれるって聞いてお礼をいいたかったんだ~。」
「かんちゃんって簪のことか?」
「うん。かんちゃんは友達なのだ~。」
「そのことなら原因の半分は俺みたいなものだし当たり前だよ。」
「それでもだよ~。ありがと~あすあす~。」
それからも俺とのほほんさんは少し話し続けた。
「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生、緋蓮・E・飛鳥君に特別インタビューをしに来ました~!」
暫くすると先輩と思われる人が話しかけてきた。
「私は二年の黛薫子。よろしくね。新聞部副部長やってまーす。はいこれ名刺」
差し出さので俺は名刺を受け取った。
「ではズバリ飛鳥君!クラス代表になった感想をどうぞ!」
ボイスレコーダーを俺に向け、先輩は無邪気な子供のように瞳を輝かていた。
「まあなったからには責任を持ってやりますよ。もし敵として立ち塞がるなら斬り捨て撃ち落とす。」
その後、先輩はセシリアに質問したり、俺とセシリアの写真を撮ろうとしたら集合写真になったりしたが帰って行き、夜遅くまでパーティーは続いた。
緋蓮サイド out
「やっと着いた。」
IS学園の入口に一人の女子がいた。その子は髪をツインテールにしてどこか猫のような感じがしていた。だが、その子の目はどこか暗い感情がこもっていた。
「まっててね一夏。仇は討つから。」
そう言って女子は学園に足を踏み入れた。