やる気のない女提督と睦月型   作:十六夜月乃

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わ~い、遅くなりました~

ごめんなさいm(__)m


第15章 「弥生着任!」

~執務室~

 

『駆逐艦弥生が着任しました』

 

「んん?」

「…?」

 

おかしいな、私はちゃんと皐月の許可を得て、装備を作ったはずなのだけれど。そのつもりで、妖精さんに資材を渡したはずなのだけれど。

それなのになぜ、目の前に艦娘がいるのかしら。

 

「…司令官?」

「待って、これは私のせいじゃない!」

 

また勝手に内緒で建造したのかという目で私を睨み付ける皐月に、慌てて否定を示す。

困惑している私の様子に、皐月は一応納得したのか、改めてまじまじと建造された少女を見つめる。

少女はそんな私と皐月の様子に戸惑ったのか、困ったようにキョロキョロと辺りを見回している。と言っても、少女の顔は人形のように動かない。

 

「えっと…」

「うーんと、ちょっとまってね?皐月、あの妖精さん探してきて」

「分かった」

 

あの妖精、というのはもちろん私が資材を渡した妖精さんのことだ。皐月は少女の脇をすり抜けて執務室を出ていく。

 

「…」

「…」

 

沈黙。

それなりに気まずい時間だった。

 

「ただいまっ!」

 

多分1分も経ってない。皐月が息を切らして戻ってきた。肩には妖精さんが乗っている。間違いない、私が資材を渡した妖精さんだ。

 

「吐く…」

 

すごく気分が悪そうだったけど。どうやら皐月は肩に妖精さんを乗せたまま全速力で走ってきた訳だ。凄まじい振動だっただろうことは想像にかたくない。

 

「で、話聞いた?」

「聞いた聞いた。やっぱり手違いだったみたい。もう、魚雷作る予定だったのに…」

「その割には嬉しそうね?」

「姉が来て嬉しくない妹なんているもんか」

「ふふ」

 

くすりと笑いあう私と皐月。少女はおずおずと口を開く。

 

「あの、私は…」

「ああ、ごめんごめん。ようこそ我らが鎮守府へ。これからよろしくね、弥生」

「…!はいっ」

 

こうして、私の鎮守府にまた一人、家族が増えました。

 

 

 

弥生が着任して、3日。

 

「やーよーいー」

「も、もう、卯月ってば…重い。すごく、重い」

「ぴょん!?うーちゃんは重くないぴょん!」

「ううん、すっごく、重い」

 

ぴょーん、うーちゃんのはーとはずたずたぴょーん!なんて声が聞こえる。

その後から、かわいそう…っていう声が聞こえて、さらにその後、やよいのせいだぴょん!っていう声が聞こえた。

 

「やかましいなぁ…」

 

皐月が万年筆の動きを止めて、顔をしかめる。だが気持ちは分からんでもない。3日間ずっとああなのだ。仕事の邪魔である。

 

「やかましいってなにぴょん!」

「そのまんま。なんでここで騒いでるの?今ボクら仕事中なんだけど」

「?邪魔するために決まってるぴょん」

「オッケー分かった表出なよ卯月、文字通りずたずたにしてあげる」

「ぷっぷくぷ~♪やれるものならやってみろっぴょ~ん♪」

「ふふ…ボクを怒らせたね?」

 

ガタリと椅子から立ち上がり、万年筆を机に叩きつける皐月。目ガガチデス皐月サン…

 

卯月は逃げ出した!執務室の扉から…ではなく、私の後ろの窓から飛び降りた。

それを皐月は躊躇なく追いかける。

 

「ここ、3階なんですが…」

「2人とも、楽しそう」

「卯月行っちゃったよ?追いかけないの?」

「ううん、弥生は、見物してる方がおもしろ…好きだから」

「恐ろしい子…」

 

すると弥生は何を思ったのか、私の膝の上に腰かけた。

 

「…なんだい?弥生さん」

「如月が、こうすると司令官にぎゅってしてもらえるって」

「別に膝の上に乗らなくてもしてあげるよ?」

「長月にもしてあげたんでしょ?本人から聞いたよ?なら、弥生にも、同じことしてよ」

 

表情をちっとも変えないまま、弥生が言う。くそう、如月め。覚えてろよぉ…?気が緩んでるところに後ろから抱きついて頬擦りの刑に処してやる。公開処刑だ覚悟しておけ。

ていうか、長月も言っちゃったのか。

 

「言っちゃったっていうか、言わせた…かな?」

「…」

 

被害者だった。長月、ドンマイ…

 

「ぎゅって、してくれないの?」

「…」

「弥生、覚悟は出来てるよ?」

「何の覚悟っ!?」

 

一応明記しておきますけど、私、女です。

エロ担当は如月だと思ってたんだけどな…まさかの弥生かぁ…

 

「エロ、なんて…ひどい」

「違うの?」

「違うよ?」

「じゃあなあに?」

 

まだ日も浅くて、私ともあまり話せてないというのに…ここまで積極的なのはなぜだろうか。

 

「司令官なら…いい、よ…」

「その台詞がエロなんだよ!誰!?弥生にこんな言葉教えたの!」

「大丈夫、独学」

「何も大丈夫じゃない!」

「安心して、司令官。皐月と卯月は今追いかけっこに夢中。睦月たち4人は遠征中。弥生たちは二人きり…この意味、分かる…?」

「はっ!?まさか、君たちがここで騒いで皐月を怒らせたのは…!」

「そう、弥生が提案したの」

「仕組まれたーーーーー!!!」

「さあ、司令官?」

 

こてんと首を傾け、腕を広げる弥生。

あわわ、私、何されちゃうの!?皐月ー!早く戻ってきてぇ!

 

「弥生を、ぎゅーしなさい」

 

…………………………………。

…………………………………?

………そうでした。

そもそも私の膝の上に乗ってきたのは如月や長月同様、ぎゅーされるためでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………私の方が変態じゃないですかヤダー!

 

 

 

卯月を標的艦にして訓練すること10分。

卯月がごめんなさいと泣き喚くほどには反省したので訓練は打ち切り。当ててないよ?弾をスレッスレで掠め続けただけだよ?

 

「ふぅ。ただいま司令官。…?どしたの司令官?なんかグッタリしてるけど。弥生は?」

「満足されたのか自分のお部屋に戻られました…」

「…?」

 

なんだか司令官の様子が変。なんだかちょっと顔が赤いような…

あっ、そうだ。着任当初、弥生が言ってたことを伝えるの忘れてた。

 

「司令官、弥生には気をつけた方がいいよ?」

「?なんで?」

「一目惚れ、だってさ」

「…」

 

弥生は奥手なように見えてかなり積極的な性格だからね。

そう言ったら司令官は、机に突っ伏して呻いた。

 

「勘弁してくれ…私は受けより攻めなんだよ…」

「なにそれ」

 

今日の司令官はなんだか変だった。

 

 




おまけ

長月が弥生を「姉さん」と呼ばない理由

弥生「お姉ちゃんって言って」
長月「誰が…」
弥生「言って」
長月「あのな…」
弥生「言って」
長月「…」
弥生「言って」
長月「………姉さん」
弥生「違う。お姉ちゃん」
長月「…」
弥生「早く」
長月「司令官っ!!なんでもするから助けてくれっ!」
提督「ごめん無理」

理由…「姉さん」じゃなくて「お姉ちゃん」って呼べってうるさいから

結果…長月が泣いた


――――――

ここからあとがきです。
読んでいただいてありがとうございました!
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