赤龍帝ストラトス(仮)   作:超人類DX

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これも多いので移す。

その後の事は取り敢えず考えない


とある日の再会

 この日、実の弟が『誰か』の作為を匂わせる理由で起動してしまったISを学ばせる為、政府主導の元IS学園へと入学する。

 

 女性しか起動出来ないのがISなので、アイツは今頃教室で肩身の狭い思いをしているのでは無いかと思いながら、そして私が担任である事についても驚くのでは無いかとリアクションを予想しつつ、一年一組の教室の扉を開けて入ってみると、案の定弟の一夏は私を見て驚いていた。

 

 

「ち、千冬姉!?」

 

「織斑先生だ馬鹿者。

それと貴様等も一々私を見て騒ぐな」

 

 

 うん、実に予想通りの反応だな一夏よ。

 しかし驚いたとはいえ、此処は家では無いのだからその呼び方はやめて貰わないとな。

 等と思いつつ、一々私を見て騒ぎ、一夏が弟である事でまた騒ぐ一夏以外は全て女子で構成されている生徒達を黙らせながら、私は一応の自己紹介をこのクラスの担任としてする。

 

 

「その騒ぎ方だと私を知ってる様だが、私が織斑千冬だ。

諸君をこの一年で使い物にするのが担任である私と副担任である山田先生の仕事だ。

節度を守りさえすれば馴れ馴れしくするのは構わん、だが今の様に節度も守れず騒ぐ様なら、比喩ではなく切り捨てる。

此処は只の高等学校では無いからな……わかったな?」

 

『……』

 

 

 私の言葉にそれまで浮わついていた生徒達の空気が若干ながら張り詰める。

 ここでまだ騒ぐようなら、それはそれで見込みがあると思ったが……。

 

 

「………」

 

 

 ま、及第点だな。それと一夏よ、私だってこんな台詞なんて言いたくないんだよ、だからそんな顔しないでくれ、お姉ちゃんは悲しい……。

 

 

「で、流れからして自己紹介をしていたみたいだが、誰がやっていた? 織斑か?」

 

「あ、はい。でも俺は自己紹介をしましたよ?」

 

 

 なので少しだけ意地悪してやろうと思い、本当は誰の自己紹介で止まってたのを教室の外から少し伺ってたりしていたのを踏まえて、察したのか敬語になる一夏に問う。

 

 

「どんな自己紹介だ?」

 

「えっと、名前と挨拶だけ……」

 

「ほう? それだけか?」

 

「え、あ……は、はぁ……」

 

 

 大方テンパりでもしてたのだろう。何とも面白味の欠片も無い自己紹介をしていた我が弟に私はわざとらしくため息を吐きながら口を開く。

 

 

「16にもなろう奴が、幼稚園児でも出来る自己紹介でやりきったつもりか? 全く、嘆かわしい」

 

「………」

 

 

 煽るつもりでのこの発言に一夏の目がジトっとしたものになる。

 ふっ、さっきお姉ちゃんを引いた目で見たお返しだ。

 

 

「……。織斑一夏。

趣味は素手で鋼鉄ぶちやぶれる為に鍛える事。特技は『とある事情』で生活態度が頗る悪くなった姉のお世話。

ここ数年で一番許せない事はその『とある事情』になった人が勝手に俺達を置いて雲隠れしやがった事。皆さんどうぞ……よろしくぅ!!!」

 

『………』

 

「ほう、意趣返しか? まぁ、及第点を与えておこう……私もあの人については許せんしな」

 

「……。ドーモ」

 

「うむ、そら次は誰だ?」

 

「あ、は、はい……!」

 

 

 ヤケクソ気味に座る一夏に、周囲の生徒達は何の事だか分からんって表情で困惑している中、私は特に咎めることもなく次の生徒に自己紹介をさせていく。

 

 そう……ふふ、もう五年近くなるなぁ……『あの人』が勝手に私たち姉弟の前から『もう俺なんて要らねーだろ?』なんて置き手紙と共に消えたのは。

 まだ生活が出来なかった私と幼い一夏を拾って育ててくれた……あの人を。

 

 

「以上です」

 

「ふむ、これで全員だな。さて、早速だが全員予め配布した教材を出せ。

今から基礎的な授業を行う――では山田先生、お願いします」

 

「はい、織斑先生!」

 

 

 何処で何をしてるのか……ふふ、今まで散々手を尽くして探して捕まえてやろうとしてるのに、足取りなんてものすら掴めないまま。

 くくく、ホント……捕まえたら容赦してやらないよ。

 

 

 

 その日、男はIS学園の職員室に居た。

 

 

「では以上で入学手続きを終了しますが、ご質問はございますか?」

 

 

 入学当日だというのに行われる手続き。

 事務員の女性が政府発行の名令書に判を押しながら、人の良さそうな笑みを浮かべて質問の有無を問うと、その男はニコニコしながら言った。

 

 

「そうっすね、お姉さんのメルアドを教えて欲しいとか?」

 

 

 女性の立場が強く、今の発言だけでもセクハラで完全敗訴する世の中だというのに発せられた久しく聞かないナンパ台詞に、事務員の女性は一瞬目を丸くすると……。

 

 

「残念ながらそういう質問は受け付けられませんね」

 

「でっすよねー……」

 

 

 営業スマイル全開で『聞かなかった事にしてやる』と遠回しに断り、質問が無いなら今から連れていく場所にて待機してろと、IS学年にはありえない青年を不法侵入者を取り調べする為に用意した部屋へと連れていく。

 

 

「ではここで……暫くすれば担任の先生がお見えになりますので」

 

「はーい」

 

 

 勿論この青年はIS学園に不法侵入したからでは無い。

 連れてきた理由は、世界で最初のIS男性操縦者である織斑一夏の次に発覚した世間にまだ報道されてない二番目起動者からであり、学園入学もまた急な理由であったが為だった。

 

 

「あーぁ……」

 

 

 事務員の女性のナンパをまた失敗したという意味でなのか、女性が扉を閉めて去って行った後、青年は用意されたパイプ椅子に深く座りながら、ため息を漏らす。

 

 

「完全にマズったな、まさかやっとこさ就職できた会社の健康診断にあんなトラップが……」

 

 

 どうやらナンパの失敗からでは無く、独り言の様にやっちまったなぁ……と今自分が置かれてる状況にげんなりした表情で二度目のため息を吐く。

 

 

「あーやべーよ……動かしてるって事は必然的に会うんだろ? うわ、どうするかな……」

 

 

 そう、この学園に居る何者かと顔を合わせたくない……という意味で。

 

 

「世間に溶け込むってのも中々難しいよな……ホント」

 

 

 深めの色合いの茶髪の青年は、担任の先生が来るまでの間三度目のため息を吐くのだった。

 

 

 

 

 それは突然の事だった。

 

 

「何ですって?」

 

 

 授業の最中、教室にやってきた同僚の先生に廊下へ呼び出された私は、思わず真顔で聞き返してしまった。

 

 

「二番目の起動者? そんな話は聞いておりませんが……」

 

「私達学園側も今朝政府から知らされた事です。

どうやら一番目の起動者を報道した時に生じた騒ぎを考慮し、二番目起動者には報道規制を敷いて騒ぎを起こさせないようにした様ですね」

 

「…………」

 

 

 一夏だけかと思っていた男によるIS起動者が、今適当に取り調べ室に待たせてある事、そしてその者を私が受け持つ一組に入れるという……どうやらあの学園長の判断であるらしい話に私は面倒になりそうな予感を感じたのと、どうせなら一夏の時も報道規制をしとけとゴシップ好き共に恨み言を漏らす。

 

 

「今来てるんですか?」

 

「はい、問合せにより合致した政府発行の名令書と、起動テストを終え、今は一階の取り調べ室に待たせてあります。

後は担任になられる織斑先生が引き取りにくればオーケーです」

 

「そうですか……しかし、どんな奴なんですか?」

 

「えっと、困った事に織斑先生より歳上の方……ですね。というか社会人の方です」

 

「は?」

 

 

 同僚の先生の言葉に私はある意味最悪に扱いに困る相手なのだと頭が痛くなってきた。

 社会人って……しかも歳上って。

 

 

「本人は『生徒だし同じ扱いで良い』って言ってはいますが……」

 

「一応私もそのつもりでやりますが……しかし、その彼もやりづらいでしょうね」

 

 

 私はほんの少しその二番目の起動者に同情してしまう。

 学生なんてとっくに終わらせた筈なのに、また学生をやらさるなんて思いも寄らなかっただろうし、ほぼ女子だらけの空間に捩じ込まれるなんて……まあ、だからといって贔屓なんてしないが……。

 

 

「これが彼のプロフィールです。対面する前に目を通しておいた方が良いかと」

 

「ありがとうございます」

 

 

 まあ何にせよ決まってしまったものは仕方ない。

 取り敢えず同僚の先生から手渡された二番目の起動者のプロフィールファイルを受け取り、頭を下げて見送った私は、早速取り調べ室へと向かいながらその男の名前や容姿……気になる年齢などを確認し――

 

 

「………………え?」

 

 

 思わず持っていた書類を床にばら蒔いてしまった。

 

 

「え……え……!?」

 

 

 歳上の起動者と言われた通り、年齢は私の上の28の三十路手前だ。

 いやそれはどうでも良いし、私はその名前と若干ダルそうな表情の顔写真を見てそれが『偽装された年齢』である事を直ぐに見抜いてしまった。

 

 何故かって? それは私がこのプロフィールの人物を……。

 

 

「……………………。ふっ、なるほど……思わぬ所で捕まってくれたなぁ……!!」

 

 

 よく……よぉく知っているからに他ならない。

 散らばった書類を刹那で回収した私は、内から沸き上がる様々な感情に促されるがまま、今頃ボーッとしてるだろう二番目の起動者待つ取り調べ室目掛けて全力で走った。

 

 

「くく、くふふふ……あははは!」

 

 

 本物だったらまずビンタしてやる。そして思い付く限りの文句を言って、一夏の前にも引きずり出してやる。

 それくらいしたって、私達は『悪くない。』んだから。

 

 

「ふぅ……ここか」

 

 

 教師なのに思いきり校則違反をしてしまってるが、生憎どこのクラスも学年も授業中だし誰も注意してこない。

 だからどんどん速度を上げ、取り調べ室の前まで辿り着いた私は……。

 

 

「む……髪は変じゃないよな?」

 

 

 自分の容姿のチェックを簡易的に、窓にうっすら映る自分の姿を確認しながら済ませる。

 コンパクトだの化粧だのといった道具には今まで縁も習慣も無いのが悔やまれる。

 

 

「む、む……」

 

 

 そしてイザ扉を開けようとした瞬間、私は急に激しい動機に襲われた。

 そう、まるで思春期の小娘の様に……。

 

 

「え、えぇぃ! 馬鹿馬鹿しい!

私たちを捨てた凶悪男に遠慮なんて要らん!」

 

 

 その感情は昔あの人抱いたもので、懐かしさを覚えるものだったが、今更そんな感情なんて……勝手に私達を置いて行った薄情な男に抱いた感情なんて捨てたんだ。

 だから私はバクバクと喧しい心臓の鼓動を圧し、そのまま扉を開け放った。

 

 

「貴様が極秘に入学する事になった二番目の搭乗者だな?」

 

「うぉ!? ………………って、え?」

 

 

 開けた扉の先に居たのは、携帯を片手にビックリし、また私の姿を見て二重に驚いた表情で固まる男。

 

 

「は、え?」

 

「…………」

 

 

 どうやら私がこの学園で教師をしているとは知らなかった様で、さっきから『え?』だの『あ?』だのと困惑した声を止めない男の容姿は………昔とちっとも変わらない若々しかった。

 そう、それこそ一夏と同年代と言っても通せる程に。

 

 

「…………」

 

「う、うそん……いきなしっすか?」

 

 

 暫く無言の私を一目で誰かと分かったのか、男は困惑しつつとやがて『気まずそうな』表情でそう呟くと……。

 

 

「イチ坊の前に、まさかのちーちゃんっすか……あは、あははは……お久し振りでございますです……」

 

 

 あの時と同じ呼び方で私を呼んでくれた。

 

 

「おごっ!?」

 

 

 その瞬間、私は自分の感情が抑えられず、目を泳がせる彼に近寄り、その頬を思いきり叩いてしまった。

 

 

「……。今まで、何処に……!」

 

 

 間違いなく本人。私を呼ぶその声も、困惑するその表情も……何もかもが同じ。

 だから私は挨拶なんて前置きを飛ばし、思わず言ってしまった。

 

 

「何で私と一夏を置いて行ったんだ!!!」

 

 

 私達を守ってくれた、スケベなヒーローに……。

 

 

「答えろ兵藤一誠!!」

 

 

 生きる術と力を与えてくれた……私の初恋の人に。

 

 

 

 

 

 本日より、嫌々ながらIS学園へと入学してしまった一誠は、只今椅子に座って脚を組みながら此方を見下ろす世界最強の女性を前に、床に正座させられていた。

 

 

「で、今までどこに?」

 

「い、いや……過去の清算?」

 

「どんな過去の?」

 

「えっと、昔チラっと言ったと思うけど、俺が本来居た世界での」

 

 

 どんどん小さくなりながら、何やらよく解らない話をする茶髪の青年、一誠の言葉に千冬はふんと鼻を鳴らす。

 

 

「あぁ、言ってましたねそんな事。なるほど、今まで散々行方を探しても見つからなかった訳だ」

 

「あ、いやですね……実は2年くらい前には戻って――アウチ!?」

 

「ほう、二年前? 二年も前に戻ってきたのに何で私達に会わなかったんだ? ん?」

 

 

 千冬には通じてるらしく、そして実は二年前には普通に生活してましたという言葉にまた千冬は伝家の右ビンタを炸裂させる。

 

 

「ち、ちーちゃんったら激しい性格になったね? あはは、オジサンの身には中々キツイっすよ」

 

「グーじゃないだけありがたいと思って欲しいですね」

 

「あ、はい……すんません……」

 

 

 頬に真っ赤な紅葉を作りながらもおどけて見せようとする一誠に千冬はギロッとした目で睨みながら嫌味を返す。

 

 

「しかし間抜けでしたね一誠さん。

プロフィールによると、勤めていた会社の健康診断にて政府が極秘に進行していたIS適性検査に引っ掛かってしまうとは……まあ、私にとっては幸運でしたけど」

 

「あ、そうそれ! 聞いてくれよマジ汚いんだぜちーちゃん! バリウム飲んで検査かと思ったら、変な機械の一部触れさせられたんだぜ!? で、起動したら急に拳銃持った黒服に囲まれちゃってさぁ!」

 

「へえ、なら後日その人物たちに菓子折りでも送りましょうか。『甲斐性なしで年齢詐欺で女泣かせのバカを捕まえてくれて』とね」

 

「う……わ、悪かったよ。

もう俺が居なくても一坊もちーちゃんも生きていけると思ったから」

 

 

 ジト目で睨まれて、いよいよ謝った一誠。

 するとその言葉を受けてやっと千冬が溜め息を吐きながら雰囲気を和らげた。

 

 

「今授業を受けてるアイツも怒ってますよ。

私はともかくとして、アイツは今も昔もまだ子供なんですから」

 

「俺より遥かにしっかりしてたじゃん、あの時点で」

 

「そういう問題じゃない!」

 

「は、はい!」

 

 

 この男は……! と内心千冬はフラフラしまくりな男に毒づく。

 姿を消した理由が過去の清算の為に戻ってただと? ふざけやがって、何でそれを言わないんだ……と千冬は居なくなった事以上に連れていってくれなかった事に憤慨していた。

 

 しかし連れてくれなかった理由もまた自分なりに理解してるつもりだったので、千冬はその事について何も言わないつもりでもあった。

 

 

「で、清算が終わってこっちに戻ってきたという事は、二度と戻らないという意味と捕らえて良いんですね?」

 

「あ、おう……こっちの方が居心地良いし、向こうじゃ俺は恨まれまくってるしな」

 

「なら良いです。寧ろもう二度と戻るな」

 

「は、はい……。

くっ、折角自立したと思って後はゆっくり嫁探ししようと思ったのに――」

 

「なにか?」

 

「い、いえ!」

 

 

 結局は戻ってきたのだ……今度は逃がさなければ良いだけの話。

 

 

「……。もう正座は良いですし、詳しい話は一夏を交えてしますので、取り敢えず立ってください。

教室に行きますよ」

 

「うっす………ってて、足が痺れちゃったよ」

 

 

 それなにりポジティブに考えた千冬は、やっとこさ正座を解除させて立たせる。

 ガキっぽいのは昔からだし、よく自分の幼馴染みでIS開発者の女性に敵意向けられてもヘラヘラと逆におちょくる大人気なさもあった。

 

 

「あれ、もしかしてちーちゃんが担任なの? という事はちーちゃんなんて呼んだらマズイな。

織斑先生? ……おぅふ、何だこのむず痒い気分――」

 

 

 けどそれでも……。

 

 

「おっと……?」

 

「…………」

 

 

 やっぱり憎めない。

 本人を前にしてそう確信してしまった千冬は、そのまま足が痺れて上手く動けない一誠にもたれかかり、抱き付いた。

 

 

「寂しかったんだぞ……ばか」

 

「あ、おう……。

そこまで慕われてるとは思わなかったかも。いやホントごめん」

 

 

 今度は逃がさない、いや逃げても地の果てまで、別世界に行っても意地で突破して捕まえてやる。

 教師の織斑千冬としてではなく、淡い想いを抱く織斑千冬として、彼女は変わらない彼の身とぬくもりを感じるのだった。

 

 

 

 そして――

 

 

 

「突然だが、このクラスに遅れながらの新入生を紹介する」

 

「えーっと、兵藤一誠っす。年齢は今年28で、この度健康診断で騙されてISを起動してしまったのでこの学園で皆さんとお勉強をする事になりました。

どうぞよろしくお願いします……あ、それとタメ口ウェルカム!」

 

『………』

 

 

 三十路手前の男は、一回り以下の子供達との楽しい学園生活をスタートさせる。

 

 

「い、一誠のおっちゃん!? な、なんで!?」

 

「よぉイチ坊。随分と男前になったなぁ? 小遣いいるか?」

 

「いや要らないし! それよりも説明しろよ!? 千冬姉がどんだけおっちゃんの事を――あだ!?」

 

「余計な事を言うな馬鹿者。

こほん、という訳で、一番目の搭乗者である織斑の事を踏まえ、政府の意向で隠されていた二番目の搭乗者だ。

歳は諸君より一回り以上上の立派なオッサンだが、見ての通り見た目だけなら詐欺レベルに若い。

従って遠慮せずこの初心者男にタメ口で接するように……わかったな?」

 

『…………』

 

 

 混乱する数多の生徒に迎えられ……。

 

 

「兵藤、一誠……!」

 

 

 そして、自分から一夏を奪ったと思い込んで、敵意を向ける黒髪の少女に睨まれて……。

 

 

終わり。

 

 

 

 

 

 

オッサン年齢の男は、千冬のアシストがあってもやはりクラスに馴染めない――

 

 

「いやぁ、皆可愛いねぇ! オジサン眩しくてしょうがないや! あっはっはっ!」

 

 

 なんて事は無く、もう早速溶け込んでいた。

 

 

「あの、織斑先生と織斑君との関係は?」

 

「あー……うーんと、一言で言うなら保護者かな。だよなイチ坊?」

 

「おう、両親に蒸発されて親戚も居なかった俺達をおっちゃんの両親が引き取ってくれたんだぜ(嘘)」

 

 

 適当に出任せで関係を誤魔化す。

 

 

「ん、あれ、キミ篠ノ之さん所の妹さん―――」

 

「話し掛けないでください」

 

「あ、おう……うわ、めっちゃ嫌われてるな俺」

 

「おい箒! おっちゃんにそんな言い方……」

 

「う、うるさい! 私はこの男が嫌いなんだ! お前だって人の気も知らないで……!!」

 

 

 篠ノ之箒に嫌悪される一誠。

 勿論意味も無く嫌悪されている訳じゃなく、理由は――

 

 

「インターバルは2秒まで抑えましたよ……」

 

「俺は最近岩をぶち壊せる様になったぜ」

 

「ほー? イチ坊はともかく、成人迎えたちーちゃんがスキルを維持したまんまなのか……」

 

「当たり前です。私自身、アナタの領域に寿命や老いの概念を超越するという意味でも入りたい。

だから私の中には永遠にコレは消えない」

 

「ミートゥ」

 

「おいおい、俺みたいな事になったら碌でも無い人生になるぜ? 教えちまっといてこんな事言うのもアレだけど」

 

 

「………アイツ……また……!」

 

 

 

 理解出来ない領域に二人を……一夏を連れ去った。

 そして自分にはその才能が無い事に箒は元凶の男を恨んだ。

 

 

「何で私には……!」

 

 

 一夏と同じ領域に進めない……。

 

 

 

 そして……。

 

 

「や、やめろちーちゃん! お、俺が必死こいてかき集めたエロ画像を消すなぁ!!」

 

「削除! 削除削除削除削除削除削除削除ォォォッ!! こんなもの見るなぁ!!」

 

「オーノォォォッ!?!? く、くそ……マジで消しやがった」

 

「……。うん、おっちゃんが悪いと思う」

 

「何でだよ!? 俺独り身なんだぞ!? 夜のお供くらい……ええぃ、もう良い! 山田先生にデート申し込んで――」

 

「あ? 何だと? 乳か? 昔と同じくやはり乳なのかお前は? あんなホルスタインに何だって?」

 

「う……お、お前て――い、いや……何でもありません」

 

 

 割りと精神が大人になってる一夏は、久々に見る姉の子供っぽい姿に呆れつつも嬉しく思うのだった。

 

 

ここまでそれっぽい予告。




補足

本人曰く、痩せこけた良心を満足させる為に、当時この世界に逃げ延びた彼は幼い二人に飯を食わせたらしい。

で、結果懐かれ、その内色々の悪いことして法的に保護者になって、護身術つもりで戦い方教えたら覚醒して……とそんな感じ。

ちなみに実年齢は28よりさらに上の立派なおっさん。しかし見た目は20手前。理由? 超越しまくったから。


一夏はそんな姉を見て『早く決着つけろよ』と思ってるせいか、精神は大人っぽいけど原作よろしくに自分に向けられ好意に疎い。

ちーちゃんは素直に若干なれず、マイペースにナンパしかける姿に嫉妬しまくり。

 で、一誠は過去の清算も終えて只今嫁さん探し中。
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