赤龍帝ストラトス(仮)   作:超人類DX

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なんだろね、アホかわいいって良いよね。


お師匠様

 鬼へと変貌した一夏のせいで、半数以上の生徒が謎の気絶で医務室送りになってしまったのだが、一応それでも意識を保てた者達や精神ショックが軽くて直ぐに復帰できたというのもあり、二時限目以降は他クラスと合同でISの実践授業という事になった。

 

 

「お前がまさか俺の技術(スタイル)の一つをも真似てるとは思わなくてかなり驚いたが、あれだけは余程の事が無い限り使うな……わかったな?」

 

「………うん」

 

 

 その授業が始まる前、急遽作った男子更衣室内にて着替えをする最中、先程一夏が怒りの余り解放してしまった技術について、これまでに無い真剣な顔つきで注意をする一誠。

 

 スキルや戦い方について鍛えては居たが、まさか自分が作り上げた技術(スタイル)を――それも技術の中でも取り返しが付かない程の危険度を誇るそれを、あんな感じで使われたらそれこそヤバイと一誠は今までになく真面目に一夏を説得し、一夏も黙って……それこそ父親に叱られた子供の様に小さく頷いていた。

 

 

「ん、わかったなら良し。よしこの話は終わり!」

 

 

 そんな一夏の様子を見て、少し表情を緩めた一誠は俯く一夏の頭をわしゃわしゃと撫でると、一変してへらへらと笑顔を見せ、話は終わりだと説教を切り上げる。

 

 基本的に一誠も一誠で割りと二人に甘いのだ。

 

 

「っと、ごめんよデュノア君、何か放置気味になって」

 

「え、ぼ、僕は全然……。それにしてもイッセー君ってまるで一夏のお父さんみたいだね……?」

 

「お。年下の男の子に君付けされるなんて、まるでどこぞのアイドル事務所みたいな気分だな。ま、アイドルじゃねーけど俺は」

 

 

 然り気無くISスーツに着替えてたシャルルに君づけされて若干テンションが上がる一誠。

 ぶっちゃけると、男とは思ってなかったりする訳だが、わざわざ男装してる時点で何かあるんだろうと察し、知らないフリしていた。

 

 

「シャルル・デュノアだっけ? お前本当に男なのか?」

 

「へ?」

 

 

 が、まあ、一夏はそんな空気を読まずにシャルルに対してぶっちゃけで聞いちゃったりする訳なのだが。

 

 

「そ、そうだけど何でそんな事聞くのかな?」

 

「いや別に。ただ気になっただけで深い意味は無い。興味もないし」

 

「お前な……やっと三人目――それもお前と同年代の男子が来たんだぞ? もうちょい仲良くしろよな」

 

「クラスメートとしてなら最低限の受け答えはするように努めるさ、おっちゃんにそう言われたらな」

 

「………。ゴメンよデュノア君。どうも俺が途中でやらかしたせいで偏屈になっちゃったみたいで……」

 

「い、いや僕は気にしないから……あはは」

 

 

 相変わらず身内以外をそこら辺に落ちてる消ゴムの欠片を見るかの様な態度に、一誠は代わりに一回り年下の子供にペコペコと低姿勢になって謝るのだった。

 

 

 

 

「遅いぞ三人とも」

 

「すいません、デュノア君のビジュアルが圧倒的過ぎて早くも追っ掛けが出来ちゃいましてー……………あと、俺の技術を使う事について割りと真面目に注意と警告を……」

 

「そうか、それなら仕方ない。早く並べ」

 

「はーい」

 

(……。あの人だと織斑先生が凄い優しくなる……)

 

 

 ギリギリで訓練所に到着した一誠、一夏、シャルルに千冬が注意しようと例の出席簿を手にしながら鋭く見据えたのだが、一誠がちょっと真剣に一夏について色々とやってたと言うとアッサリ許して整列を命じてシバかれる事は無かった。

 

 数が異常に少なくなってる生き残りのクラスメート達にしてみれば慣れたものだが、他クラスの女子にしてみれば厳しさしか無い千冬の例外的過ぎる態度にただただ驚いてしまう。

 

 

「大丈夫でしたかおじ様、ご主人様?」

 

「そりゃ全然。な、イチ坊?」

 

「おっちゃんも千冬姉も本気じゃなかったからな」

 

 

 一組副担任の山田真耶が授業の説明をする最中、隣に居たセシリアに話し掛けられる二人。

 

 

「……。アナタがアレを一夏に教えたんですか?」

 

「え、いや……アレは正直言うと俺も予想外というか、ちょっと見せただけでああも再現されるとは思わなかったといいますか……」

 

 

 後ろに居た箒も一誠を睨むようにして話し掛けてきたので、思わず低姿勢になってしまう。

 

 

「一々キミは煩いな。

教えて貰ったから何だってんだ? 赤の他人が黙ってろよ」

 

「………」

 

「だからお前は何でそんな言い方なんだよ……! もっと普通に言えよ……!」

 

「普通に言ったら付け上がるタイプだろこの手は? それに一々おっちゃんに嘗めた態度取る奴のどこに友情を感じろと? ありえねぇわ」

 

 

 ふん! と箒に対して辛辣極まりない態度を崩さない一夏。

 これで一応同じ寮部屋同士であるのだから、部屋内の空気はさぞ重苦しいのだろうと、一誠は呆れる他無い。

 

 

「それにしてもおじ様とご主人様も何故あのボーデヴィッヒさんなる方に敵意を抱かれてるのでしょうか? 織斑先生が関係している様ですが……」

 

「私は何と無くわかるがな、彼女の気持ちが」

 

「……。俺も何と無く理由を理解したからただただ申し訳無いと言いますか」

 

「おっちゃんが気にする必要なんて一切合切無い。

てかあのクソチビ、カスの分際で何ガンたれてんだ? やっぱ歯ぐらいへし折ってやれば――」

 

「お前ふざけんなよ……!? あんな可愛らしい娘さんの顔殴るとか、それは死刑もんだろ!」

 

 

 一誠も元の世界では大概だったが、完全に無力な女の子を無闇に傷つける真似だけは避けていたのだが、一夏の場合敵と認定するハードルが一々低いわ、敵と認定したら容赦なく殴るわで、将来DVにならないかかなり心配になってしまう。

 今も憎しみマックスで睨んでくるラウラに向かって指をバキバキ鳴らしながら先程の続きでもやったるで的なオーラ出してるし、そこだけはまともにしないとと一誠は改めて決意を固める。

 

 

「お前見ろよ。眼帯っ娘だぞ? 俺の知ってる眼帯つけてる奴なんて単なるジジイだったんだぜ? 恵まれてること位自覚してよ頼むから」

 

「眼帯のジジイって……戦場帰りの将校か何かか?」

 

「いや、北欧神話のうんたらかんたらとか言ってた様な……まあ、殴ったら塵になったんで多分自称するイタイだけの奴だったんだろうけど」

 

 

 上半身が丸々隠れるタイプのあさISスーツ姿の一誠が然り気無く神をぶっ殺しましたと漏らしてるのだが、この世界の人間にしてみれば何のこっちゃわからないので頭に何個も?を作るだけだった。

 

 

「とにかく、少しは視野を広げてだな……ナンパしてやる気ぐらいくらい持とうぜ? お前ここ女の子だらけの天国なんだぞ?」

 

「誰をナンパしろってんだよ……嫌だよ」

 

 

 女嫌いじゃない筈なのだが、異常に他人を鬱陶しがる性格のせいで、自分に似ておっぱい好きなのが嘘に聞こえてしまう。

 というか割りと見ててもモテてるというのに、何故喜ばないのかが不思議でしょうがない。

 

 箒然り、セシリア然り――――

 

 

「なぁ、凰ちゃん、イチ坊って中学の頃こんな感じだったん?」

 

「ぇ……」

 

 

 然り気無く一夏の近くで混ざりたそうにしていたツインテールの女の子・凰鈴音然り。

 とにかく女っ気の欠片も無い青春時代を過ごしてきた一誠にしてみれば、同じ道を一夏に歩んで欲しくないという一種の親心が働いてしまうのだ。

 

 

「あら、いつの間に居ましたの?」

 

 

 わざとらしく話を振ってきた一誠に驚いて声が上手く出せない鈴音に、セシリアが今気づいた様に話しかけると、変態女と認識して恐怖心は抱いてないのか、鈴音はちょっと強気な顔をする。

 

 

「い、居ちゃ悪いの? 合同授業なんだから」

 

 

 一夏をご主人様と呼ぶセシリアが謎に思いつつも、距離だけは割りと近いのが羨ましいという意味も込めて強気に出る鈴音だが、セシリアもセシリアで一夏の価値観が自分の価値観となっている為か、以前ならムッとなって喧嘩腰になっていた態度が嘘の様に冷静だった。

 

 

「いえ別に。ご主人様が興味を持たれない以上、私も波風立てるつもりはありませんわ」

 

「………」

 

 

 ある意味強いメンタルなのが見え隠れする余裕な態度が癪に触る鈴音だが、ここで喧嘩になってもますます一夏から認識されなくなるかもしれないとぐっと堪える。

 その一夏は相変わらず鈴音を興味なさげな目で見てたりする。

 

 

「そういえばこの前、五反田とか言った奴が凰がどうのこうのとほざいてたんだが、キミの知り合いか何かか?」

 

「え? それってまさか弾の事? それともその妹の蘭……」

 

「どっちもだ。

俺が妹の方を知らんって言ったら兄貴が出て来てごちゃごちゃとやかましかったんだけど、キミ知り合いなら今度会ったら言っといてね、『一々絡むな』って」

 

「…………あ、うん」

 

 

 この前と比べたらマシな態度に鈴音は思わず内心喜びながらコクコクと頷く。

 その頷く意味に五反田兄妹の妹の方が一切相手にもされてないと知って優位を感じたという意味もあるのは鈴音だけの秘密だ。

 

 

「うんうん」

 

 

 そんな一夏達のやり取りを外側から目線で見る一誠は、一人満足そうに頷く。

 やはり自分の五千倍はモテそうな一夏が自分と同じ轍を踏むべきでは無い……という意味で。

 

 

 

 と、こんな感じで授業は始まったのだが……。

 

 

「では専用機持ち一人に専用機を持たない者は付いて教えて貰え。

兵藤、お前は私が直接教える」

 

「えー!? 何でですか! だ、だったらせめて山田先生に……」

 

「ひぃ!? わ、私なんかが兵藤くん……いえ、兵藤さんに教えるなんて無理ですぅ!!」

 

 

 やっぱりというか、一組生徒にしてみれば予想通りというべきか、一誠だけは千冬直々という措置であり、一誠は不満は無いがたまには他の誰かとやってみたいと真耶の名前を出すが、本人から物凄い勢いで拒否られてしまった。

 

 

「そ、そこまで言わんでも……俺ISド素人っすよ?」

 

「ひっ!? ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

 

 

 トラウマにでもなってしまったのか、すっかり一誠を怖がってしまってる真耶から教えて貰うのは不可能だと誰が見ても分かるほどだった。

 

 

「何で兵藤さんにあんな怯えてるのかしら……?」

 

「もしかして変な事したんじゃ……」

 

 

 お陰で二組の生徒からあらぬ疑いを持たれる始末。

 好みの女の子の条件全部盛りであるというのもあって、そんな相手に嫌われた一誠は割りと本気で凹み、諦めて大人しく千冬のマンツーマンを受ける事になろうとしたのだが、そこに来て待ったを掛けたのは眼帯っ娘ことラウラだった。

 

 

「ま、待ってください教官! こんな男に教官が教えるなんて勿体ないにも程があります!」

 

「………」

 

 

 寧ろ今までは逆の立場だったとは知らずに、ラウラに嫌悪の視線を向けられて更に凹む一誠を無視して無言の千冬に直談判する。

 

 

「ご主人様! どうか落ち着いてください……!」

 

「ふ、沸点が低すぎだ!」

 

「そ、そうだよ! またあんな事になったら、この人数だし大惨事だよ!」

 

「や、やっぱり異常に一組の数が少ないと思ったら一夏が何かしたのね……」

 

 

 先程の様な角は無いものの、白目と黒目が反転しながら蹴り飛ばす五秒前状態の一夏の腰だの何だのに全力でしがみつきながら止めようとするセシリア、箒、シャルル、鈴音達がざわめく中、ラウラは更に千冬に抗議を続けた。

 

 

「そ、そもそも不平等です! 一人だけに教官の教えを与えるなんて!」

 

「………」

 

「そーだそーだ、もっとちーちゃんに言ってやれ眼帯っ娘ちゃ――」

 

「うるさい! お前は黙ってろ!!」

 

「…………う、うっす」

 

 

 親の仇の如く一回りも年下の小柄な少女に睨まれ、応援してたのも止めてガックリと肩を落とす一誠。

 だが確かにラウラの言わんとしてる事は割りと正論であり、ましてや一誠の事に関してはもろに私情を挟みまくる前科が何度もあるので間違いでも無いのだ。

 

 それこそラウラ自身のこの抗議も私情があるのかもしれないが、先程の屈辱もあってか止まらない。

 

 

「じゃ、じゃあさ……ボーデヴィッヒさんは専用機持ってるんだろ? だったら俺がこの子のグループに入れば良いんじゃね?」

 

「何だと!? 何故私が貴様ごときに教えなければならん! 基礎の基礎も出来てなさそうな素人が!」

 

「いやでもほら、それを学ぶために俺は三十手前になって学生やってる訳だからさ……。お願いしますよボーデヴィッヒさん……! いえ、ボーデヴィッヒ師匠! ド素人の私に教えをください!」

 

 

 だが流石に生きた年数の差はある程度あったせいか、怒るラウラを受け止めつつも然り気無く受け流し始めた一誠は、千冬と一夏が『エグい』目をする中、胡麻すりヨロシクにラウラを持ち上げつつ教えてくれと懇願する。

 

 普通ならこう言われたら寧ろバカにされたと更に怒るか何かするか…………なのだろうが、へへへとショボい小悪党みたいな下手態度を見たラウラはと言うと……。

 

 

「む……し、師匠だと?」

 

 

 それまでの怒りに燃やしてた炎に水を掛けられたかの様な戸惑った顔をしていた。

 

 

「真面目な話、俺ってIS乗るの下手だから、キミみたいに厳しさを持つ子に教えて貰わないとダメだと思うんだ。

ほら、ボーデヴィッヒ師匠は専用機も持ってるし、ちーちゃん――いや織斑先生に昔教えてもらって強そうだし? なら是非ともご教授願いたいじゃない?」

 

「む……むむ……私がお前をか?」

「そうそう、お願いしますよ師匠。ド素人ですけど途中で根はあげませんから……お願いします!」

 

「む、むむ……そ、そこまで言うなら……」

 

「マジっすか! おぉ、師匠意外と優しくて俺感動っす! よっ、ボーデヴィッヒししょー!!」

 

「べ、別にお前に持ち上げられても私は嬉しくなんてないぞ! ほら、だったらとっとと来い! みっちり指導してやる!」

 

「おっす!!!」

 

 

 そう、ラウラという少女はかなり純粋だった。

 いや、というか若干アホの子も入っていた。

 

 そして本来は中々気の良い子なので、あれだけ罵倒したのに自分に教えて欲しいと頭まで下げてきたので、よくわからない感情を抱きながら、一誠を引き連れて千冬から離れてしまう。

 

 

「手加減はしないぞ」

 

「よろしくお願いいたします」

 

 

 

 

 

「…………………………」

 

「あ、あの織斑先生……?」

 

「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。一誠さんと逆師弟ごっこしたかったのに……横から取られた…………と、取られたぁ……ぐすん」

 

 

 右に傾けば左がおざなりになる法則で、今度は千冬が大変な事になっちゃったけど、取り敢えずこの場は何とか収まっただけマシなのかもしれない。

 

 

「違う、そうじゃない! 武装は展開と同時に即座に攻撃だ! 3秒もラグがあったら死んでるぞ!」

 

「すいません師匠!」

 

「よし! 罰として腕立て伏せ100回!」

 

「はい師匠!」

 

 

 終わり

 




補足

若干アホの子故、結構乗せられやすかったラウラたん。

しかし一誠が必死こいてフォロー入れて少しだけリカバリーしたと思いきや今度は千冬さんが逆師弟ごっこしたかったのを無駄にされてヤバイ事に。

いやー…人間関係って難しいよね
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