赤龍帝ストラトス(仮)   作:超人類DX

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平和……あれ、こっちは割りとシリアスなのか……?

Mさんがもはや誰やねん状態やで。


黒コンビ

 悪魔。それは空想でしか無いのがこの世界での常識。

 しかしたった一人だけその存在がこの世界に居るとするなら、それは世界の常識を根底から覆す事になるのかもしれない。

 

 それこそ……IS以上に。

 

 

 

 

「篠ノ之束を引き入れる?」

 

「ええ、そう。それが亡国企業(ファントムタスク)から下された任務」

 

「…………」

 

 

 死にそびれ、異世界にて後悔に苛まれた人生を送る匙元士郎は、『金払いが良い』という理由もさることながら、コンビを組んでる少女が属しているついでという形で世間的には立派なテロ組織と呼ばれる団体に属していた。

 

 勿論元士郎自身にテロ行為をする意思は無いし、ましてやこの世界はISという存在により女性の方が立場が上。

 それは組織内に於いてもそうであり、元士郎の組織内での地位は正直低い方だ……コンビの少女よりも。

 

 

「テメー、聞いてるのか?」

 

 

 Sというコードネームを持つ金髪の女性に呼び出される形で、拠点として使ってるホテルの彼女が居る部屋にやって来た元士郎と千冬そっくりの少女は、彼女の話を黙って聞いていたら、そのSに常に引っ付いてる長髪の女性・コードネームOが、Mというコードネームである千冬そっくりの少女――――では無く、Gというコードネームを与えられた元士郎に嫌悪丸出しな顔で突っ掛かる。

 

 

「……………。普通に聞いてるが……」

 

「下がりなさいオータム」

 

「チッ! 何でこんな奴と組まなきゃならないんだ」

 

「………………」

 

 

 初対面の時から嫌悪丸出しな態度をされてきたので、O……今Sにオータムと呼ばれた粗暴な口調の女性に対して元士郎は内心鬱陶しく思いつつも顔には出さない様に努める。

 

 元士郎にしてみれば組織含めてどうだって良いが、このオータムなる女はどうにも男嫌いな面が強いらしく、謎の推薦により現れたM……はまだしも、特に元士郎には狂犬の如く噛み付いてくるのだ。

 

 今もSに咎められる事で露骨な舌打ちと共に何も返そうともしない元士郎を睨んでる訳だが、そんな彼女を今度はMが若干殺意の籠った視線を向ける訳だから、仕事とした組んだだけの関係でしか無いが、チームワークは皆無だった。

 

 

「話は戻るけど、近々篠ノ之束と接触して勧誘をしようと思うの。

けれどあの篠ノ之束が我々の要求に素直に応じるとは思えないので、アナタ達にも協力をして貰いたいのよ」

 

「協力? 動けないように縛り付けるつもりか?」

 

 

 大戦後だか前だかには存在していた組織で金払いは良いが、やることが要人暗殺から脅迫等々碌でもない仕事ばかりで、大義もクソも無い金の為で雇われてる身としては面倒なこと請け合いな仕事だ。

 

 

「そう簡単にいけばわざわざアナタ達を呼びはしないわ。

知ってるでしょ? この前組織の拠点が無人のISにより破壊されたのを」

 

「……?」

 

 

 Sの口から出た話に元士郎は初耳だと云わんばかりの顔をする。

 基本的に元士郎は外部の状況に興味がないのだ。

 

 

「赤いISと思われる無人機により某支部は全滅。

その後の行方はIS学園付近で確認されたっきり音沙汰無しよ」

 

「その赤いISを篠ノ之束が……?」

 

「普通に考えたらそうなるわね。

あの水準の無人機を作れるのは篠ノ之束ぐらいなものでしょうし」

 

「…………赤か」

 

 

 赤という色に元士郎は小さく、かつて友達になりそびれた同い年の男が宿していた龍の色を思い出して少し凹む。

 

 

「それで捕まえる訳か」

 

「そうよ、彼女を迎えれば我が組織の技術力も飛躍的に増大するしね」

 

「つー訳だ、とっととあの女の行方を探れ」

 

「………」

 

 

 元士郎の凹んだ様子を知らず、Sの話にオータムが威圧的に命令する。

 Mじゃないが、そろそろこのバイトも潮時なのかもしれない……。元士郎はそう思うのだった。

 

 

 

 

 

「篠ノ之束ってどんなんだっけ?」

 

「姉さんの昔馴染みというのは知ってるが、深くは知らないぞ私も」

 

「それを捕まえろって、ボーナスでもくれなきゃやってらんねーんだけど」

 

 

 オータムに唾を吐き付けられる程の態度を終始されたまま会議が終わり、自室に戻って早速束の側索準備にMと一緒取り掛かる元士郎。

 

 

「織斑千冬の知り合いか……となると、今IS学園で教師をしている彼女をマークしていればその内姿を現すさもしれないな」

 

「いや、もっと確実なのは篠ノ之束の妹である篠ノ之箒自身をマークすれば良い。

幸い彼女もIS学園に所属しているし」

 

「妹ね……」

 

 

 そんな事しなくても地球を適当に飛び回れば探し当てられたりも可能だったりする元士郎。

 だが別に組織に忠誠を誓ってる訳じゃないのでわざわざそこまで熱心にしてやる気も起きない。

 

 従って元士郎はMの言った通りの方法で弛くダラダラと仕事をやってるフリをして誤魔化すつもりだった。

 

 

「それより元士郎。組織が掴んだ噂情報なんだけど、どうやらアイツの他に男でISを起動した奴が居るらしい」

 

「ふーん?」

 

「その噂の真偽を確かめるというのも組織の命令であるらしい」

 

「じゃあアレか? 学校に侵入しろってのか?」

 

「いや、どうやら近々学園で課外学習があるらしいから、その時探れば良いと思う。

もしかしたら篠ノ之束も同時に現れるかもしれないしな」

 

「……」

 

 

 自分より一回り以上も年下の女の子の方が同じく忠誠心は皆無だけど、自分よりも遥かに仕事をこなすというのに若干の情けなさを覚える元士郎。

 

 

「お前、本当にデキる奴だな。将来外資系OLにでもなったらどうだよ?」

 

「外資系OL? なるほど、それになれば元士郎を安定して養えそうだな。是非候補に入れておこう」

 

 

 加えていつの間に目覚めたのか、アレコレと精神的に今尚弱ってる元士郎をこれから先養うとまで言い出す始末。

 元の世界の連中を仲間と思わなくなった今、まともなコンビ相手といえるのがこの少女のみとはいえ、微妙に複雑な気分になってしまうのは多分間違いでは無いのだろう。

 

 

「あの、冗談なんだけど……」

 

「私は本気だぞ? 大丈夫だ、元士郎の事は死ぬまで私が守ってあげるんだ。だから心配しないでいい」

 

「いや、それ以前に俺の寿命は軽く一万越えなんだが……」

 

「それがネックだと私も常日毎頭を悩ませてはいるんだが……うーん、どうしたら元士郎と同じ寿命を獲得出来るのだろうか……」

 

「………」

 

 

 挙げ句この世界の技術力じゃまず不可能な転生悪魔レベルの寿命まで獲得したいとまで言い出すMに、元士郎は何と無く嬉しく思う反面、これだけはどうしようも無いだろうと少し悲しい気分になるのであった。

 

 

「アイツなら……人間だけどめちゃくちゃ強かったアイツなら何か知ってたかもしれないけど……」

 

「友達になりそびれた人の事か? そういえば元士郎の持ってる『神器』を彼も持っていたんだったな?」

 

「あぁ、だけどアイツの場合神器だけじゃない何かを感じたんだよなぁ……それは分からなかったけど」

 

「人間である彼自身が持つ何かということになると言えるんじゃないか? だとしたらその秘密さえ理解して私が会得すればもしかすれば……」

 

「アイツが居ないと聞きようも無いだろ……。アイツともう会えないし………」

 

「あ……いや、私はそんなつもりで言った訳じゃ……だ、大丈夫か?」

 

「あぁ……」

 

 

 

 

 元士郎が弱いと思った事は一度も無い。

 けれどそれは力という意味であって、心は友達の男に対しての後悔でとても繊細だ。

 

 そうで無くても別世界から流れ着いたというお伽話みたいな経験。自分の知る世界との誤差。そして何より人間では無いという孤独が、元士郎の心を寂しくしてしまっている。

 

 それこそ最初はごみ溜めみたいな空間から、気紛れから連れ出してくれたというだけの関係だったのかもしれないけど、今は違う。

 

 本当は傷付いていて、繊細で、臆病になってるアイツの心を少しでも和らげる事が出来るのであるなら、私は元士郎に何でもしてやれる。

 

 だってアイツ……見てると放っておけないから。

 

 

「やっぱり強いな元士郎は……全力を出したのに傷一つつけられないなんて」

 

『………』

 

 

 全てを喰らう禍々しい力を放つ漆黒の龍狼。

 初めて見た時は全身装甲タイプのISと勘違いしたが、とんでもない……元士郎の持つ力はIS等では決して到達出来ない神の器を独自に進化させた力。

 

 本当なら生身ですら敵わないのに、その力を解放したら自分が乗るのも含めた全てのISがそれこそ玩具へと成り下がる程の絶大な力だ。

 

 まあ、当然だがこの力を持つ事を組織に知らせては無いので元士郎の組織での地位は何故か私よりも下になってしまってはいるけど。

 

 

「うーん、組織の技術部を脅して元士郎の鎧をモデルに作らせた闇呀では所詮見てくれだけしか真似てないか……」

 

「いや、技術部は知らんけど、『相手のISコアのエネルギーを喰らってその機体の力を自分の糧に出来る』って機能を入れた訳じゃないのに出来てるんだろ? それってお前自身が関係してるんじゃないのか?」

 

「そうだと良いんだけど……そうしたらお揃いで敵無しだし」

 

 

 多分元士郎はISを起動出来る気がする。

 確かめてないから確証は無いが、元士郎は普通の人間とは根本的に違う訳だし、女しか動かせないという枷を越えて起動出来る気がするんだ。

 まあ、IS乗ったら逆に枷にしかならないのでわざわざ乗る必要なんて無いし、もし動かせると発覚したら組織から抜ける際が少し面倒になるので絶対に言わないけど。

 

 

「シャワー先に浴びるか?」

 

「良いよ、お前先浴びろよ」

 

 

 剣すら抜かせる事も叶わず、片手で軽く捻られるという結果に終わった秘密のトレーニングも終わり、スコールとオータムという小煩い見張りからも離れて別のホテルでのんびり仕事をやってるフリを暫くする事にしている私は、元士郎に促される形で先にシャワーを浴びる。

 

 それなりのホテルではあるが、これも組織の経費で落ちるので遠慮せず使わせても貰うのは最早お決まりだ。

 

 

「上がったよ元士郎」

 

「ん」

 

 

 汗を洗い流し、タオル一枚を身体に巻いて出て声を掛けると、元士郎は短い返事をしてからのそのそとした足取りで浴室へと入っていく。

 

 

「うーん、本に載ってた情報通りだったら元士郎が喜んでくれる筈だが、何時もの通りの無反応だ」

 

 

 男は女の裸体が好き……という事で少し前からこうしてるが、やはり未成熟なせいか全然相手にされない。

 それはそれで仕方ないとは思うが、ちょっと残念に思えて仕方ない。

 

 私としてはこのまま元士郎の事を甘やかしてあげたいと思ってるので余計にだ。

 

 

「ご飯はどうする?」

 

「要らね。もう寝る」

 

 

 そうこうしてる内にハーフパンツとTシャツに着替えて上がってきた元士郎は何も食べないと言うとそのままのそのそと部屋のベッドに入って横になり始めるので、私も急いで着替えて自分のベッド―――じゃなくて元士郎の寝るベッドに入る。

 

 

「何? ベッドもう一個あるだろうが。そっち行けよ」

 

「そうはしたいが、元士郎の事をよしよししてないと眠れなくなってしまったんだ」

 

「何じゃそら……」

 

 

 微妙な顔をする元士郎だけど、私を蹴り出そうとはしない。

 これが困った事に、元士郎の抱えてる全部を知ってからというものの、ますます放っておけないばかりか、私に出来る事なら何でもしてあげたいという感情が第一になってしまった。

 特に元士郎の事を甘やかして頭を撫でながら抱き締めて添い寝してあげるのが私のお気に入りであり、最近はこれをしないと私自身が熟睡出来ないという事にまでなってしまったのだ。

 

 

「よしよし……」

 

「……………。俺、一応年齢的におっさんなんだけど」

 

「年なんて関係ないだろ。ましてやお前ともなるとな。よしよし……怖い夢を見ても私が居るから大丈夫だぞ……?」

 

「………」

 

 

 あぁ、何だろう、この胸の中でぽかぽかする感覚は。

 満足感もさることながら、それ以上に元士郎がちゃんと居てくれてこうして触れ合えるという安心感というべきか……。

 

「私が傍にいるから大丈夫だよ元士郎……フフ」

 

「…………」

 

 

 好きという感情が私にあるとするなら、私はきっと元士郎の事が好きなのだろう。

 自分の胸の中で寝息を立ててる姿を見てると、こう、胸の中が堪らなくなる……。

 

 

「……。その男の代わりに私はなれないのかな……元士郎……」

 

 

 そして、元士郎の抱えるトラウマである友達になりそびれた男の代わりにはなれないというもどかしさで切なる。

 

 

「ん……」

 

 

 だから私は寝ているその額に、いつの日かやることが様になった口づけをすると、自分の身より大きいけど小さくも感じる元士郎を抱き締めながら静かに目を閉じた。

 

 これからもずっとこうでありたいという願いを込めて……。




補足

これぞ遅すぎた匙きゅんの『母性本能くすぐりテク』。
まあ、本人に自覚は全然ありませんけど。


これある意味似た者姉妹……か? 兄妹か? 若干、一番下の彼女が絶大な包容力だったりするのは気のせいなのか。

その2

ちなまに彼女のISは匙きゅんモデルで特性もある程度再現されてたり。

喰らうとか、喰らうとか、喰らって成長するところとか。

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