龍帝が行き着いた先は、転生者により両親を喪わなかったらの世界。
記憶の両親より生きていたという時間があるせいか若干老けている両親を前に、取り敢えず隠れて泣きまくった一誠だが、違いは色々とある。
まず転生者が居ないという事で自分を殺そうとしていた多くの他種族女達は普通に其々生きているし、義務教育すら受けられなかった自分が一般家庭に生きて高校生になっている。
しかも――
「はろはろ~ お隣の束さんだよ~」
「………………………」
強引に付いてきた消えた世界の存在……篠ノ之束がお隣さんの同い年の娘さんとして存在しているという点が大きすぎる違いだった。
生きていた両親に怪しまれない程度に聞いてみると、なんでもお隣さんとは昔からの友人らしく、その流れで娘の束と親しくなってるとの事だが……。
「IS自体は作ろうと思えば作れるけど、アナタの言ってた例の種族達に目を付けられるのもかったるいし、私自身の自己防衛目的にこの赤帝一機にしておくよ」
「それが良いと思う。カス野郎が居なくて比較的マシだろうけど、関わる必要の無い連中だしね」
正直違和感しか無い。
あれだけ憎む憎まれるの関係だったのに、この世界では昔馴染みで、普通に仲が良いらしいだなどと聞かされても抵抗感が半端無い。
「こっそりアルバムとか持ってきたけど………うわぉ、小さい束ちゃまと写ってる写真ばっかだな……」
「うっわ! この写真なんか手ぇ繋いでるし! き、気持ち悪っ!」
「…………。そんなダイレクトに言われると傷つくんだけど」
幼い頃のアルバムの中には、幼い一誠と束の写真だらけで、余程親しかったのが伺えるのだけど、この世界の前を生きていた束にとって全身がゾワゾワする事請け合いで、若干若返った己の身体を庇う様に一誠から離れる。
「言っておくけど、このアルバム通りにはしないからね! アンタと仲良しだなんて気持ち悪すぎて嫌!」
「あ、はい」
「そもそもアンタは変態野郎で、私を組伏せ、ゲスに笑って服を無理矢理剥ぐ鬼畜でしょう? ほら今だって私をめちゃくちゃにしたいって目だし!」
「……………。いやそんな事微塵も考えてないんですけどね俺」
「それが嘘だっての! ほら! ほら!! 今私の胸見た!」
「いや……学生服が壊滅的に似合ってねーなとか思っただけ――」
「し、しまった! アンタのベッドの上でうっかり自分の両手に手錠をかけてしまった! こ、このままじゃ変態の赴くままに束さんの初めてが鬼畜に奪われる~!」
『…………。やはり頭おかしいぞこの女。つれてくるべきじゃ無かったろ』
「俺もよくわからない。この子が……」
どう見てもわざとらしく何処から持ってきたのかもわからない手錠で自分の両手を拘束し、チラッチラッこっちを見ながら犯されるだのと騒ぐ束の考えがさっぱりすぎて、ドライグにまで頭がおかしいと言われる束。
とにかく違いはあれど、もしも的な世界で両親と共に欲しかった普通の生活をできる様になれた一誠。
転生者が居ないというだけでこんなにも穏やかなのか……と思いつつ、学校にも通うことになったのだが……。
「きゃー! リアス・グレモリー様と姫島朱乃様よー!」
「木場くんも居るわ!!」
通う事になった高校が物凄く地雷だった。
「高校の選択を間違え過ぎだろ……最悪だ」
「へー? あれが悪魔? ふーん、アンタの好みに入ってそうじゃない?」
「それはあり得ない。普通に考えてみ? 普通の人間が余程の変態性癖が無い限りチンパンジーに欲情できると思う?」
「アンタにとって連中はそんな認識ってわけ?」
「まーね、それにあのツラはクズ野郎に抱かれたいが為に俺を殺そうとした連中と同じ姿だし、クズ野郎が居なくてもしもとなってても出来れば一生関わりたくないね」
かつて転生者越しに敵対していた悪魔達とは関わりたくないと言う一誠。
「イッセーって凄ぇよ、よく篠ノ之と普通に会話できるよな?」
「顔とスタイルは良いけど無愛想なせいで敬遠されてるし、言葉もキツいしで色々と残念だよな……女子からも嫌われてるし」
そして束は束で我が道を突き進むスタンス故に、周囲から浮きまくり、自然とそんな束と会話が成立できてるイッセーに畏敬の念が向けられていくのだが……。
「お、あの子中々可愛いな、何組なんだろ」
「………」
「ぬお!? あの子のおっぱいはDはあるだと!?」
「………………」
「うっひょー!! あの子に至っては山田先生みたいな―――いでででで!?!?!?」
もしもの幸せを満喫している一誠が他の女子にヘラヘラしてるのを見てると異様にイラッとしてしまい、ついついふくらはぎを蹴りまくる束。
「な、なんだよ急に!?」
「昨日私をベッドの上に縛り付けた挙げ句、お腹がタプンタプンになるまで無理矢理やった癖にまだ猿みたいに盛ってるだなんて流石としか言いようがないぜ!」
『……え!?』
「待て待て待て待て、そんなこと一切してないし! こんな教室のど真ん中で言って良い言葉じゃなくね!?」
憎いけど、知らん女にヘラヘラしてるともっとイラつく束ちゃまから発せられた根も葉もない言葉のせいですっかり変態男と呼ばれてしまう一誠は、束にある意味飼われていた。
「アナタ達の噂は聞いてるし、よく見るから知ってるわ。
でも何故アナタ達が昨日の夜はぐれ悪魔を始末したのか……どうやって出来たのかを聞かせて貰えるかしら?」
「……チッ、嫌な予感は大当たり――」
「えーっとね、昨日このいーちゃんと帰ってたら、急にいーちゃんが『ムラムラする』って言ったんで、じゃあしょうがねーやと思って人が入ってきそうに無い廃屋で仕方なーくこの束さんが処理してやろうとしたら、キモいのが現れて咄嗟に反撃したら勝手にくたばりましたとさ……ちゃんちゃん♪ ………て感じ」
「………。アナタ達ってそんな事……」
「してないしてないしてないしてないしてないしてない! 全部嘘だし! ちょっと束ちゃま! キミは何でもかんでも下ネタに持っていくなよ!?」
「あら嫌だ、私のおっぱいちゅーちゅーしたくせにもうとぼけてやんの」
思ってたのと違う飼われ方を。
クレイジーサイコラビットD×D――始まらない。
補足
ひとつの結末のその後的な感じだけど、単なる悪ふざけです。
その2
基本的に何かにつけて絡みたがるので、変な誘い受けっぽくなってる束ちゃま。
他の女の子にヘラヘラしてたらめっちゃキレるで。