赤龍帝ストラトス(仮)   作:超人類DX

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別に卑猥な意味ではない!


おじさんの蒔いた種

 ISを起動したせいで、するつもりが無かったらしい再会を果たすことになったおっちゃん。

 

 最初聞いた時は殴ってしまったが、全然変わってないおっちゃんの姿に俺も千冬姉も心底安堵したもんだ。

 

 どうであれ俺と千冬姉はおっちゃんをもう逃がさない。

 何処かに行こうが探し出して捕まえる。

 

 その為だけにおっちゃんが居なくなってからのこの5年をおっちゃん領域に入り込む為に鍛えてきたのだから。

 

 故に――

 

 

 

「あ、そう。キミと相部屋なんだ。そっかそっか……ま、よろしく」

 

「な、何だその言い方は!?」

 

 

 それ以外なんて要らない。

 

 

 

 

 クラス代表の座自体に一夏は関心を示さない。

 だというのに、やる気になってセシリア・オルコットとクラス代表を賭けて争う気になったのは、勿論自分よりセシリアの方が代表に相応しくねー? と散々馬鹿にしてきた相手であるセシリアの肩を一誠がもったからという―――まあ、平たく言えば単なる嫉妬だった。

 

 

「そんな言い方って言われてもなぁ? キミだって嫌そうなんだからお互い様じゃないのか?」

 

「っ!? そ、それは……」

 

 

 一誠という自分と姉にとっての絶対的存在の前にはその他は無価値―――というのは流石に極端だが、それに近い価値観を一夏は持っている。

 だからセシリアは完膚なきまでに叩き潰すし、何故か女子と相部屋という非常識が罷り通り、その相部屋相手が一誠を昔から毛嫌いしている少女だろうと、一夏は実に冷めていた。

 

 

「しかし非常識というか、よくもまぁ男子と相部屋なんかにするもんだよな?

おっちゃんは急な入学だから仕方ないにしても、普通女子と相部屋なんかにすると思うかね? キミもそうは思わねぇ篠ノ之さん?」

 

「なっ!? 何故苗字で私を呼ぶ!?」

 

「何故って……五年だか六年だか振りに偶然同じクラスになったって()()()女子相手にどう馴れ馴れしく出来るんだ?」

 

 

 常にキレてる様にしか見えない篠ノ之箒に冷たく言い放ち、部屋の隅に荷物を置いてそのまま床に座り込む一夏。

 

 

「俺はここしか使わないから後は自由にしてよ。この広さの学園ならシャワー室も別にあるだろうし、シャワーも自由に使えば良い。

そうだなぁ……俺の事は適当に安い土産物屋の置物かなんかだと思ってくれ」

 

「そ、そんなの……」

 

「ま、消灯時間以外は基本的におっちゃんの所に行ってるだろうし、ここまですればまぁ何とかなるでしょ。

篠ノ之さんとしてもその方が絶対気が楽だ」

 

「ま、またあの男………」

 

 

 一夏なりに気を使い、自分が座ってるこの場所以外は自由に使えとまで言われた箒はショックやら何やらで逆ギレすら出来ない。

 そして代わりに抱くは、消えたと思って喜んだのにまたしても邪魔をするかの如く現れた化け物の様な男なた対する嫉妬じみた怨念。

 

 

「んじゃ早速おっちゃんの所にでも行こうっと」

 

「…………」

 

 

 憎い……一夏を自分の手の届かない領域に連れ去った兵藤一誠が。

 箒の怨念の根はやはり深い。

 

 

 

 

 ある程度覚悟をしていたが、それでも一誠は苦笑いが思わず溢れてしまう。

 

 

「何となーく予想はしてたけどさ、そこは少しくらい外しても良いんじゃないの? と、俺は思うんだけど、ちーちゃん的にどーよ?」

 

「私が学園長にアナタとの関係性を話し、掛け合う事で実現した相部屋ですか? それなら寧ろ妥当だと思いますけど?」

 

 

 寮生活というのは聞かされてたので知っていた。

 その理由でひっそりやってた工場の社員も辞めてしまったりもしたけど、国家からの命令には逆らえないと受け止めたし、ジェネレーションギャップしか感じないだろう年齢差の女の子達に混じって今更お勉強をすることも仕方ないと思っていた。

 

 思ってはいたが、まさか此処まで千冬に囲われるとは思いもしなかったというか、昔はイッセーさんイッセーさんと懐いてくれた可愛らしい少女は何処へ行ってしまったのだろうか……。

 

 

「ひとつ言わせて貰うなら、ちゃんと掃除はしとくべきだぜちーちゃん?」

 

「……い、忙しかったんですよ」

 

 

 まさか片付けられない女になっちゃうとは……。

 脱ぎ散らかした服やら、読み捨てられた雑誌、更にはテーブルの上に転がる空き缶を分別して捨てつつ、借りてきた掃除機で床を掃除しながら、目を逸らす千冬に一誠は時の流れを今更ながらに思い知っていた。

 

 

「イチ坊でも怒るぜこんなの。

まあ、内緒にしといてあげるけど」

 

「こ、これは一誠さんが勝手に私達の前から消えたという悲しみの心を表現した結果で……」

 

「そんな芸術があって堪るか。ほれ、こんなもんだろ」

 

 

 こりゃ相当イチ坊は苦労したんだろうなぁ……ごめん。と五年どころか見つからなければ永久に姿を見せるつもりが無かった一誠は、内心一夏の苦労について謝罪しつつ、大方のゴミを片付け、今度は乱雑に脱ぎ捨てられた千冬の服の片付けに取り掛かる。

 

 

「ほら下着はちーちゃんが片付けなよ」

 

 

 ワイシャツ、スーツ、ジャージといったものは一誠がテキパキ片付けるが、流石に年頃の娘さんの下着に触れられるのは千冬としても嫌だろうと、年相応の下着を千冬に渡す。

 

 

「……。被らないんですか?」

 

「被るかっ! 俺は確かに変態だが、そのベクトルの変態じゃないっつーの!」

 

 

 その際、黒レースのパンツを受け取った千冬が真顔で大ボケを噛ましてくるので、千冬の中に抱かれてる己のイメージを払拭させる意味合いで全力否定する。

 

 

「あのさー? ちーちゃんもそろそろ嫁さんになるお年なんだしさぁ? もう少しこう……あるだろ? 寧ろ今のは『勝手に触れるな!』ってな感じで怒る所だろうよ?」

 

「そりゃあ他の男に触れられたらジャーマンスープレックスですけど、一誠さんですからね。

寧ろ被るなり臭い嗅いだりしようが……」

 

「あっれー? ちーちゃん的に俺はそこまでのド変態男って思われてたのかなー?」

 

「そりゃあ、一緒に住んでた時は仕事に行ってた一誠さんの部屋を物色してよくスケベな本を発掘して、性癖の研究をしてましたからね。

胸とか胸とか、デカいホルスタインばっかりでつい真っ二つにしましたけど」

 

「………。ちーちゃんって時折訳わかんねーわ」

 

 

 だからあの時エロ本の数が減ったりしてたのか……。てっきりイチ坊が目覚めて勝手に持ち出してたのとばかり……と、当時の一夏の同じ年齢の頃に既に『おっぱい! おっぱい!』と変態覚醒していた一誠だけに、全く千冬の仕業とは思って無く、数年越しに知った事実にとてつもなく微妙な気分だった。

 

 

「だから山田先生に色目を使いだした時は、どうにかなりそうでしたよ」

 

「だって可愛いじゃんあの子。俺の好み全部盛りという奇跡の――」

 

「…………………………」

 

「あ、いや……何かごめん?」

 

「別に……ガキみたいな性癖が変わってない辺り、寧ろ安心しましたよ」

 

 

 山田先生が好みなんだもん……と言おうとした瞬間、目がヤバくなる千冬に何故だか解らないけど即座に謝ってしまう。

 キリッとしてる様に見えて実はそうじゃない辺りはまるで変わってないなこりゃ……と昔の千冬を思い出しつつこの話は止めとこうと話を変える。

 

 

「そーいやちーちゃんは彼氏は」

 

「は? 居るわけが無いでしょう? ふざけてるんですか?」

 

「えぇ? ちーちゃん美人に成長したんだからてっきり居ると思ったんだけどなぁ? マジでいねーの?」

 

「作った事も、作る気もありません。ホント何なんですか一誠さんは? 終いには殴りますよ?」

 

「そ、そこまで怒らなくても……」

 

 

 何にせよ、あくまでも失格だらけの育ての親という認識でしか無い一誠は一筋縄ではいかなそうである。

 

 

 

 

 

 掃除も終わったので、取り敢えず再会を祝して乾杯でもしようじゃねーの……と、酒じゃなくてジュースを補充する為に寮内の自販機を探し回る事になったオッサン。

 

 案の定一夏じゃない男の急な転入という事実により女の子達からの視線がかなり半端無かったけど、そこはオッサンだったので寧ろ『あぁ、俺は今割りとパラダイスに居るのかも』と余裕の態度であった。

 

 

「どうせイチ坊も来るんだろうし、健康的にスポーツドリンクかな」

 

 

 ガッチャンガッチャンと自販機の飲み物を買いまくる一誠は、既に一夏が来ることも想定してその分も買う。

 そういえば一夏は誰と相部屋なんだろ? とふと頭を過るものの、それも本人が来たら聞けば良いかと軽く考えながら、備えていたエコバッグに買った飲み物を詰めると、そのまま元来た道を歩く。

 

 

「あ、おっちゃーん!!」

 

「あれイチ坊?」

 

 

 その最中、てっきり千冬の部屋にでも来てるのだろうと思っていた一夏が向こうから手を振りながら走ってきた。

 

 

「聞いたぜおっちゃん、千冬姉と相部屋なんだろ?」

 

 

 その声がまたデカい事デカい事。

 再会のせいでまだテンションが高いせいか、寮の廊下でお喋りしている女の子達にもろ聞こえであのブリュンヒルデと同室とバラしちゃうせいで、案の定一誠に向けられる視線が多くなる。

 

 

「おいイチ坊、そういうのはあんまり大きな声で言ったら駄目だと思うぞ?」

 

「? 何でだよ、寧ろ元鞘に収まったんだから気にすることじゃないだろ?」

 

「元鞘ってお前な、別れた恋人同士と勘違いされるだろうが」

 

 

 実はわざとデカい声で聞こえるように話してる……とは知らずに、元鞘という言葉で完璧に変な勘違いをされそうになるのを訂正する一誠は、ふと何気なく一夏の後ろに着いてきていた女の子の姿に気付く。

 

 

「あ、篠ノ之ちゃんの妹さんじゃないか」

 

「…………」

 

 

 一夏同様ちんまい子供だったのが、見事に成長した篠ノ之箒が一夏の後ろをトボトボと付いてきてる事に気付き、普通に話しかけてみたあが見事に無視されてしまった。

 

 

「ありゃ……」

 

「彼女は放ってあげろよおっちゃん。勝手に付いて来ただけだし」

 

「っ……!」

 

 

 まあ、昔からだし当然の反応だわなと苦笑いを浮かべる一誠に一夏が物凄く冷たく言い放つ。

 その瞬間箒の表情が動揺の色を見せるのを一誠は見逃さない。

 

 

「勝手にってなお前、そんな言い方したら駄目だろ。

つーか何でそんな他人行儀な態度なんだよ?」

 

「!?」

 

 

 毛嫌いする男からのフォローに思わず箒の目は見開かれる。

 しかし一夏は気付かず、寧ろ箒をやっかむ様な顔で口を開いた。

 

 

「はぁ? だって実際そうじゃん。五年だか六年振りに偶々同じ学校で同じクラスになっただけの――」

 

「こんの戯けがっ!!」

 

「いで!?」

 

 

 箒本人の前で言ってしまいそうになる一夏の頭をゴチンと拳骨で黙らせた一誠が、目をカッと見開く。

 

 

「どうせそんな態度をする理由は察してるからアレだけど、少しはこの子の気持ちも考えてやれってんだ。

オッサンより可愛い幼馴染みだろうが! 違うか!? 俺なんか幼馴染みを目の前で奪われた挙げ句、目の前でディープキス噛まされたんたぞ!? あの絶望知らねーだろ!?」

 

 

 然り気無く自分の嫌な思い出を語ってまで自分の二の足は絶対に踏むんじゃないと、力説する一誠に、事情を全然知らない周囲の女の子は引き、一夏と箒は思わず黙って聞いてしまっていた。

 

 

「だから友達は大切にすべきなんだよ。じゃねーと何時まで経っても嫁すら貰えず、低賃金で働いてその日を怠惰に生きる俺みてーになるぞ? 嫌だろそんなの?」

 

「い、いや……おっちゃんには俺と千冬――」

 

「はい篠ノ之さんにごめんなさい!」

 

「………ごめん、篠ノ之さん」

 

「ぅ、い、いや……」

 

 

 勢いに圧されてつい謝る一夏に、箒もどうしたら良いのかわからないで一瞬戸惑ってしまう。

 だがしかしそれでも箒は簡単に一夏と千冬に言うことを聞かせられる程に慕われる邪魔者が嫌いだった。

 

 

「そ、そうやってご機嫌取りしたって、私と姉はアナタが嫌いです……! 気持ちわるい……!」

 

「ぐばぁ!? 篠ノ之姉妹には昔から罵倒されたけど、やっぱり一番ハートに刺さるぜ……ぐふっ」

 

「お、おっちゃん!? て、テメェ篠ノ之ォ!! よくも俺の前でおっちゃんを――」

 

「シャラップイチ坊!! 良いんだよ……嫌われる真似をしたのは俺だ……」

 

 

 思わず言ってしまった箒に一誠は精神ダメージを貰って片膝を付き、それを見た一夏が本気で激怒しようとする一誠が止める。

 まるで三角関係……でも無いが、コントじみたやり取りは周囲の女の子にしてみれば訳がわからない。

 

 

「何時もアナタはそうだ、簡単に一夏と千冬さんを……!」

 

「当たり前だろ、おっちゃんとは家族以上の繋がりが――」

 

 

 誰か止めないとやばくない? と一夏と箒の言い争いにハラハラする女子達。

 中には先生を呼ぼうかとという声も上がったが、その前にあのカオス化している三人に向かって突撃を噛ます人影が現れる。

 

 

「はいはいはい、寮の廊下で言い争うなんて駄目よー?」

 

「あぁん!?」

 

「……!」

 

 

 戸惑う女子の中から出てきた一人が、言い争う三人……というか二人に向かって飄々とした様子で声を掛ける。

 それによって一夏と箒は言い争いを止めるが、代わりに視線は止めに入ったその女子に向けられることになる。

 

 

「殺気立たない殺気だたな~い。今年の一年生は血の気が多くて結構だけど、この場所で剥き出しにしちゃ駄目よ?」

 

「……あ、はい」

 

「………す、すいません」

 

 

 扇子をパタパタさせながら、喰った態度で止めてくる上級生らしき女子生徒に一夏も流石にハッとなって落ち着く。

 ちなみに一誠は久々に篠ノ之姉妹の片割れに真正面から嫌いと言われてグロッキー状態で項垂れてる。

 姉妹にすれば嫌いだが、一誠は寧ろ篠ノ之姉妹は一夏と千冬の友人云々抜きでも嫌いでは無いのだ。

 

 

「落ち着いた? なら喧嘩は止めてお部屋に帰りなさい。今日のところは見逃すから」

 

「「……」」

 

 

 水色の髪と赤い目をした女子生徒にそう言われ、一夏と箒は渋々頷くと女子生徒はふふっと微笑み、まだ片膝をついて死んでる一誠に話し掛ける。

 

 

「ほら、そこで年下の女の子に罵倒されてグロッキーになってる人も」

 

「んぉぅ……す、済まぬ、やはり真正面から言われるとキツイものが――」

 

 

 ポンポンと肩を叩かれ、崩れたメンタルのまま顔を上げる一誠が女子生徒の顔を此処で初めて見る。

 

 

「……………………あれ?」

 

「ふふっ」

 

 

 そして微笑む女子生徒とは対照的に、一誠は何故かポカンとした。

 

 

「おっちゃん……?」

 

「……?」

 

 

 何そのリアクション? と一夏と箒は怪しみ、女子生徒とを交互に見る。

 確かに珍しい容姿ではあるが、ポカンとする理由にはならないだろおっちゃんの経験的には……と一夏は本来の一誠を知る故に逆に疑問を感じてしまうのだが……。

 

 

「もしかしなくても、たっちゃん?」

 

「だいせーかーい!」

 

 

 それはある意味疑問を吹き飛ばす衝撃だった。

 

 

「えーっと、何でここに居るの?」

 

「この学園の生徒会長をやってますから?」

 

「え、マジ!? そいつぁすげぇなオイ!」

 

 

 どうやら一誠と知り合い。その時点で既に一夏からすれば嫉妬ものなのだが、それ以上にこの女が何者なのかがわからず、箒共々疑問の視線を向ける。

 いや、というか千冬に知られたらヤバイどころじゃない。

 

 

「あ、千冬姉? おっちゃんがロリコンになったから……うん、部屋に連行するよ……」

 

「お、オイ一夏……?」

 

 

 でも正直に話すのが弟の役目とばかりに、トーク噛ましてる一誠に気づかれないように携帯で千冬にチクる。

 隣の箒が引いてるけど、そんなものは知ったことではない。

 

 

「そっかそっかぁ、にしてもたっちゃんも可愛くなっちゃって……おっさんはビックリだぞい」

 

「二年くらい前だからそんなに変わって無いと思いますけど?」

 

「女の子は二年もしたら劇的に変化するんだよ。見た限り『鍛え続けてる』みたいだな?」

 

「そりゃ勿論、イッセーさんの領域に入りたいですから?」

 

「偶々の逸材だったからなぁ……ちーちゃんとイチ坊以来の」

 

「どちらも越えるのが当面の目標です。ふふ、そうしたらイッセーさんと肩を私だけが並べられますし?」

 

「おっと、おっさん心を擽るのも上手くなったねぇ? 今のたっちゃんの言葉にゃグラグラ来ちゃったよ、ぬはははは!」

 

 

 

 

 

 

「ごめん千冬姉………『敵』だ」

 

 

終わり




補足

皆大好きたっちゃん!
このシリーズの最新ではチアガールのコスプレしておっちゃんを応援するくらいハジケ度が凄まじいんだぜ。

でも普通に良い子なんだぜ


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