赤龍帝ストラトス(仮)   作:超人類DX

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シリアスが苦手なんだ私は


運命

 かつて殺したクソ野郎がさもテメーの力とほざいて使っていた神器。

 名前なんざ知りたくもないし、知ろうとも思わなかったが、ドライグは前にその力を神滅具の上と言っていた。

 まあ、紛いなりにも神(笑)に貰った力なので、チョーシこくだろうだけの力は確かにあったし、現に俺だって二度は殺されかけた。

 ドライグを含めて神滅具と呼ばれる力はどれもこれも危険で強大なものである。

 俺も昔は色々な神滅具を宿した連中と相対した訳だけど、正直あのクソ野郎の性処理道具に成り下がらなければヤバかった使い手も多く居たとは思ってる。

 

 ドライグの対となる白い龍とかな。

 

 つまりだ……今回発見してしまった見たこともない神滅具の使い手クラスの存在――――敵かどうかは別にしてイチ坊やちーちゃん達を連れていく訳には絶対にいかない。

 

 もしも今から俺が接触する相手がかつての様な奴であるなら――俺は確実に殺してしまうからだ。

 

 

「久々の実戦か。

身体自体に衰えは無いけど、殺しの勘は鈍ってるかもしれねぇな」

 

 

 確かに俺は両親を殺し、男という理由だけでアイツを陥れたクソ野郎を仇と表して殺した。

 だがそれとは別に俺は薄々自覚していた。

 

 結局俺は復讐という建前で奴を殺してやったが、何より気に食わないからぶっ殺してやったというのもある。

 人のテリトリーに土足で入り込み、挙げ句グチャグチャに掻き回したゴミを始末したかったから。

 

 

『油断するなよ一誠』

 

「わかってるぜドライグ」

 

 

 あぁそうさ。俺も所詮――忌み嫌うクソ共と同じ穴の狢って奴なんだよ。

 

 

「――――禁手化」

 

 

 だから、俺みたいな人間は一人で十分だ。

 

 

 

 

 赤き龍帝がその力を完全に解放する少し前。

 友になりそびれた男に酷似した力を保持する存在が学生の誰かであることを完全に予測した元士郎は、パートナーと共に仕事をした。

 

 

「マドカ、悪いけど無傷での回収はやめにして良いか?」

 

「ん、それはどうしてだ?」

 

 

 海上の上……つまり空をISにより飛翔するパートナの横を涼しい顔で()()青年の言葉に訝しげになる。

 確かに所属組織はこれから対面する暴走機のコアだけを回収すれば良いとだけは言われている。

 だが無傷での確保だってこの愛しき青年であれば可能だ。

 似もかかわず青年……元士郎は半壊させるつもりらしい。マドカの疑問ももっともだった。

 

 

「仕事は所詮建前でな。その後――つまり待っていれば来るだろう力の持ち主ともしかしたら殺り合う可能性がある。

だからまぁ……身体を完全に慣らしておきたい」

 

 

 わざと初期設定状態にしている愛機を纏うマドカはその言葉に納得する。

 力の持ち主……つまりこの青年がずっと後悔する男とほぼ同じ力の波長を持つ誰かが元士郎にとってトラウマとなる存在と同じであれば始末しなければならない。

 その事を既に聞かされているからこそ、マドカに反対する理由はなかった。

 

 

「わかった。まあ一千万円でも十二分だしな……元士郎の決めた事に反対する理由は無いさ」

 

「すまねぇ……」

 

「大丈夫……でも気を付けてな? もしお前が居なくなったら私は――」

 

「わかってる、俺だって死ぬつもりはねぇ。どんな卑怯な手を使おうが生き残る」

 

 

 心配するマドカに元士郎は強く頷き、首に掛けていたネックレスのチェーンを外す。

 

 

「そろそろか――フッ」

 

 

 外したネックレスの装飾部分に息を吹き掛け、一度その場に立ち止まると空へと掲げ、一回転させる。

 するとその回転に沿って元士郎の頭上に赤黒く輝く円陣が発生し……。

 

 

『行くぞ』

 

 

 元士郎の身に暗黒の鎧が纏われる。

 背に広がるマントはまるで王。

 胸部にある髑髏は死への使い。

 遅すぎた進化を果たした青年は更に速く、空を駆けた……。

 

 

 

 銀の福音自体、マドカも脅威にすら思わない。

 自分もそうだが、何より傍らに居てくれる最強と信じる男がいるから。

 

 

『完全に自我を奪われてるせいか、動きが単調気味だな……チッ』

 

 

 金蔓となる暴走機に不満を漏らしながらも片手間に叩き伏せる。

 その行為をこの世の人間が果たしてどれくらい真似できるのか……。

 人為らざる存在が蔓延る世紀末みたいな世界を生きた者だからこそ行き着けた境地。

 その姿を目に焼き付けるマドカの目指す場所はまさにそこだ。

 

 追い付き、並び、そして生き続ける。

 

 自分を暗闇から連れ出してくれたから――いや、好きだから。

 生物に例えるなら既に虫の息となった銀の福音から無理矢理搭乗者の金髪の女を引きずり出す姿を惚れ惚れと眺めながら、マドカは拳を握った。

 

 

『こんなものか―――チッ、誰かが()()るな……』

 

「うん、上からだな。どうする? 撃ち落とすか? 一応お前も私も面は割れてないが……」

 

 

 顔を覆い隠すタイプのISに乗るマドカの提案に元士郎は『いや……』と首を横に振る。

 

 

『勝手にさせておけ、もしかしたら奴かもしれないしな……。

俺は暫く待つが、お前はこの女を適当で安全な場所にでも置いてきてくれ』

 

 

 引き付けるために敢えて姿を晒す。

 そう宣言した元士郎に意識の無い銀の福音のパイロットを投げ寄越されたマドカは上手くキャッチしながら頷く。

 かなり乱暴な扱い方だが、軽く女性恐怖症から来る潔癖さの影響な事をマドカは知ってるし、優しくしたらしたで色々と複雑なのでそのまま女を抱えてその場を後にする。

 

 

「上手くやれよ……元士郎」

 

 

 もしも戦っても勝つことを祈って……。

 

 

『…………』

 

 

 さて、上から視られてる気配があるが、敢えてその元を断たずに空に立つ元士郎は、自分の晒した気配に対して向こうが反応したのかを思いながらひたすらに待った。

 嵐の予兆なのか、海が激しく波打ち、風も強くなってきた。

 だがそれでも元士郎は静かに――ただひたすら静かに待った。

 

 

(兵藤……)

 

 

 トモダチになりそびれてしまった……助けにすらなれなかった男を想いながら。

 

 

『………!』

 

 

 そして運命は遂にやって来た。

 此方へ向かってISとは到底思えないスピードと、何より龍の気配が近づいてくる。

 元士郎は何に対してだか己でも分からなくなりながらもひたすら願いながら赤く輝くものを見た。

 

 

『…………』

 

『…………』

 

 

 赤い龍帝の鎧を纏った――誰かを。

 

 

『………』

 

『…………』

 

 

 突風と共に目の前で停止した赤い鎧を纏う誰か。

 その場に立ち尽くし、まるで何かを待つようにしていた黒い鎧を纏う誰か。

 お互いがお互いの正体(ナカミ)が誰なのかを疑いながら、一言も言葉を発せずに睨み合う。

 

 

『色々とあるが……まぁ先ず聞くけど、お前は誰だ? その力はISじゃないだろ?』

 

『………』

 

 

 だが先に沈黙を破ったのは龍帝を纏う男。

 不幸な事に、その声は機械を通した様なエコーが掛かってしまってるせいで相手に特定を遅らせてしまった。

 これはかつての戦いでの教訓――いや、徹底的なまでの用心深さが災いしたともいえる。

 

 

『それはお前にも言えるだろう?』

 

 

 元士郎もまた同じであり、エコーがかった声が通常の声よりも高く聞こえてしまうせいで相手側が察知出来ていない。

 どこまでも運が弱い――いや肝心な時に何時も選択を誤ってしまう二人の性質が面白いくらいに噛み合ってしまってるのだ。

 

 

『なるほどね、俺を知ってるらしい……で、わざわざ待ってたと。

くくく……く……はぁ……全く嫌になるね』

 

『あ?どういう――っ!?』

 

『嫌な予感ってのはとことん的中しちまうって事だよ、クソがぁっ!!!!』

 

 

 その瞬間、怒号と共に目に止まらぬ速度で肉薄した一誠が豪風を撒き散らしながら元士郎だと知らぬまま拳を叩き込む。

 

 

『!?』

 

『っ……随分な挨拶だな、ええ、おい?』

 

 

 まともに喰らえば一撃必殺。

 だが元士郎はその一撃を鎧を纏うと共に変化した剣で受け止め、同じく敵意を剥き出しにする。

 

 

『嘗めんなよダホがぁっ!!』

 

『っお!?』

 

 

 正体がまだ完全に掴めない。だが殺意をもって襲い掛かって来た時点で敵であるのだけは間違いないと踏んだ元士郎が先程の一誠と同じ様な輩口調で競り返し、強引に突き飛ばすと、持っていた剣の刀身を鎧を纏っている腕に当て、火花を散らせながら弓を引くような動作の構えを取る。

 

 

『テメーが誰かなのはどうでもいい、だがその力を使ってイイ気になってんじゃねぇぞボケがぁっ!!』

 

『ほほぅ? 何を知ったような事を――――死ぬまでやってやんぞゴラァッ!!!』

 

 

 そこからは筆舌に尽くし難い化け物同士の戦いに――

 

 

「元士郎! 大丈――ぶ?」

 

 

 

 

『死ねオラァ!!』

 

『テメーが死ねや!!!』

 

 

 発展したのか……。

 少なくとも言われた通り銀の福音のパイロットを安全と言えるだろう場所に放置して戻ってきたマドカの目には、不良気取りのガキの喧嘩にしか見えなかった様で、殴れば殴り返すの繰り返しである両者を見て唖然としてしまう。

 

 

『クックック……中々やるじゃねぇか?』

 

『テメーもなぁ……』

 

「お、おい……」

 

 

 何だか川の土手で決闘でもしてるかの様なやり取りを挟み、両者共に肩で息をする姿を見て思わずマドカが止めに入る。

 何だか良く解らないけど、自分が思ってた様な戦いでは無いので一応事情が聞きたかった。

 

 

「取り敢えずまずは聞くが、貴様は何者だ? 今貴様が纏ってるのはISでは無いだろ?」

 

「は? ………キミこそ何者だ?」

 

 

 まだ殴る気満々の元士郎を抑えつつ、全身真っ赤な男と思われる声の主に何者かを問う。

 その際逆に誰だと言われて、即答でコイツ(元士郎)の相棒と答える。

 

 

「私はこの相棒(パートナー)と仕事をしていてな、その過程で神器の力を察知してこうして待ってみた訳だ。

そうしたら貴様が現れた」

 

『…………』

 

「しかもだ、その力はこの相棒がもっともよく知る力――赤い龍の力だった」

 

『………何?』

 

 

 少女と思われる存在に言われ、驚いた一誠が未だ中身が解らない鎧男を凝視する。

 

 

「単刀直入に聞くぞ? お前は兵藤一誠なのか?」

 

『お、おい……!』

 

『………………は?』

 

 

 今この少女は何と言った? 何故その名前を――自分の名前を知っている?

 

 

「私と相棒が知りたいのはそういう事だ」

 

『直入過ぎるだろ……』

 

「こういう事は最初にハッキリさせるべきだ。

でないと変に拗れるだろ?」

 

『ま、まあそうだけど……』

 

 

 どう見ても怪しげな二人組ということを考えたら、世界で二番目のIS操縦者という情報を持ってるから聞いただけなのかもしれない。

 けどその前にこの少女はハッキリと神器の存在を知ってる様子だったし、何よりその隣の存在の纏う力は紛れもなく神器だ。

 既にこの男が妙な力でこの少女を手込めにしてるからかもしれない可能性も捨てきれない。

 

 けど、それでも一誠は動揺を隠しきれず、無意識に禁手化を解いてしまった。

 

 

「………」

 

『!?』

 

「…………男だな。どう見ても」

 

 

 もしマドカが割って入らなかったら本格的に殺し合いに発展していた。

 だがそれを回避できたのは幸運なのだろうか……。

 男である姿を晒し、ポツリと呟いた少女が未だに鎧を纏う人物を見て何やら話しているのを鋭く見据えながら出方を伺う。

 

 すると今度はその人物の纏う鎧が一瞬の光と共に消える。

 そして露になったその姿に――――

 

 

「……………………………さ、匙……?」

 

「………………」

 

 

 一誠の時間はそこで数分止まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 互いに忘れもしない変わらぬ姿。

 

 

「「……………」」

 

 

 本物かどうかは定かでは無い。

 だが一言――共通できる忌まわしき名前を口にしてまれば……。

 

 

「ナルガミのカス野郎」

 

「………。あぁ、もうわかった。は、はは……マジかよ」

 

 

 それが互いに知る存在である事はすぐにわかった。

 

 

「「………」」

 

 

 だがどうしたら良いのかわからない。

 お互いがお互いを転生者の類いと勘違いしてたし、よりにもよって一番勘違いしてはいけない勘違いだったので気まずいどころじゃなく、嵐で雨粒に叩かれながら終始無言で互いに目を逸らしていた。

 

 

「ふむ、場所でも変えるか?」

 

「えっとキミは―――――っ!? ち、ちーちゃん!?」

 

 

 それを見かねた少女が顔を晒せば更に驚き……。

 

 

「えっと……さ、良い天気ですね……?」

 

「あ、お、おう……そ、そうだな……」

 

「思いきり嵐だぞ」

 

 

 中学生みたいなやり取りをして……。

 

 

「えっとさ……と、取り敢えずこれだけは言っておく、あのナルガミとかいうゴミは完全にぶち殺したぞ」

 

「え……じゃあ、殺されてこの世界に迷い混んだ訳じゃ――」

 

「えっとですね……話すと長いっつーか……えーっと……あの、その……あー……」

 

「まどろっこしいな! もっとハキハキできんのか二人とも!」

 

「い、いやそうは言ってもちーちゃん似の子ちゃん、もう何か色々と唐突すぎて……なぁ?」

 

「あ、あぁ……俺はてっきりナルガミみたいな奴が赤龍帝の力を振りかざして調子に乗ってるのかと思ってたから……」

 

「そう、俺も逆にお前と気付かずにそう思ってたわ……あははは――考えることは一緒だな。

お前やっぱり俺の知ってる匙なんだな………よかった、生きててくれて」

 

「お、おう……」

 

 

 自分より一回以上も歳が下の子に怒られて……。

 

 

「やはり敵だったんだな貴様!!!」

 

「ん? アレは確か篠ノ之箒だな」

 

「何故俺達ではなくて兵藤を攻撃してるんだ?」

 

「ま、待ってくれ!! 話を聞いて――」

 

「黙れ!! 一夏と千冬さんに代わって私が始末してやる!!!」

 

 

 物凄い誤解をされて。

 

 

「おい小娘、敵である俺達じゃなくて兵藤を何故殺そうとしてる? いや、無理だがな」

 

「っ!? あ、あなたは旅館に居た……そ、それにソイツは織斑先生に――」

 

「そんなに姉さんに似てるのか? うーん……」

 

「いや似てるも何も子供の頃のちーちゃんそのものだよ。キミは一体……」

 

 

 元士郎が止めたりと概ねややこしい事になっていく。

 

 

「コイツは銀の福音を破壊した敵と繋がってたぞ! 一夏、お前を裏切ったんだ!!」

 

「あーはいはい、うるせーんだよギャーギャーと。

で、アンタがおっちゃんの言ってた匙っておっさんか? 何で千冬姉そっくりな奴と一緒に居るのかはわからねぇけど」

 

 

 まあ、肝心の一夏は全然相手にしないが。

 

 

 

 

 

「わ、私を弟子にしてください!!」

 

「わ、私もお願いします!」

 

「私もどうか……!!」

 

「……………………は?」

 

「む……おいちょっと待て、元士郎はお前の姉を拘さようとしてる組織の一員なんだぞ? しかもお前等姉妹に至っては確か更識とかいう暗部の従者姉妹だろう? 頼む相手を間違えてるだろ」

 

「そ、それは……!

しかし元士郎さんとお前はその例の組織の思惑とな関係ないと聞いている!」

 

「つまり敵じゃないと思ってるんだよ~」

 

「ええ、しかもあの男に対抗できる唯一の人……逃す手はありません」

 

「おいお前、何元士郎を名前呼びしてる」

 

 

 

 そして運命は――

 

 

「ちょ……! あ、あんまり近付かないでくれ……!」

 

「元士郎は女にトラウマがあるんだよ。

まあ私はっ!! ………例外だが、そういう訳で弟子だなんだというのは無理だ。だから帰れ」

 

「い、嫌だ! 弟子にしてくれるまでここに居座るぞ!!」

 

「ひぃっ!? や、やめろぉ!! 揃って俺の足にしがみつくな!!」

 

「これ以上元士郎を困らせるなら流石に私も怒るぞ……」

 

 

 訳のわからない方向へ向かう。

 

 

「ま、マドカ……ふ、震えが止まらない……!」

 

「大丈夫だ元士郎、私がぎゅっとしてあげる………

ほら、少しは落ち着くだろ?」

 

「あ、あぁ……はぁ……ふぅ……あのレズ共には何も感じなかったが……クソ……」

 

「心配しなくても私が守るさ。

ほら、姉さんみたいな大きさじゃないけど、好きにしても良いぞ?」

 

「………いや、別にそういう事は……」

 

 

 

 

似非




補足

本当はこのまますれ違い続ける予定だったけど……書いてて嫌になったのでギャグで誤魔化す。

まあ、立場的な意味でこれから厄介な事にはなりますが……。


その2

まあ所詮似非だけど、この匙くんにとっては小娘認識である例の三人娘が押し掛けて軽くトラウマ再発。

果たして弟子になれるのか、それとも……。

マドカたんはプンスカしちゃうなそうなると。
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