束はかなり気分が良かった。
嫌いでムカつく男を漸く泣かせてやる事が出来たのが実に清々しい。
「束の機嫌の良さの理由を考えた結果――リアルに合体したわね?」
「…………………」
「何だと!? それは本当かイッセー!!」
「篠ノ之とだなんて……いやぶっちゃけ解ってた感はあったけど、それでも狡いぞ!! ………ち、ちなみにどうだったの?」
態度に出しすぎてるせいで察しが良い桐生にいきなりバレて一誠が問い詰められたりしてるが、まあどうでも良い。
とにかく束の気分は今最高潮に良かった。
「まぁアンタと束の仲と距離感考えたら寧ろ何で今までそんな事が無かったのかが解せなかった訳だし、今更驚く事でも無いわね」
「まぁな……ちぇ、他の知らん誰かならぶっ飛ばしてたけど、篠ノ之だしなぁ」
「怒るに怒れないよなー」
「その妙な優しさを今発揮されても俺はどう返したら良いのか微妙に困るぜ」
物凄い機嫌良く、鼻歌まで唄ってる束を横に友人三人に微妙な祝福をされる一誠。
まさか縁が無い自分があの束と――と思うと信じられない気分だけど、今朝まで行っていた感覚とこの気だるさは正に本物だ。
『半分喰われたもんだったな』
(言うなよ、あの子に体力負けしたなんて情けなさすぎるぜ……)
こうなってしまったからには最早逃げる訳にはいかない。
元々逃げるつもりは無かったけど、これで逃げたら多分喰いちぎられるだろう……。
「あぁ~! 俺もおんにゃのことにゃんにゃんしてぇ!」
「ほんの少しだけプラトニックににゃんにゃんしてぇ!」
「縁があればできるんじゃないの~?」
何故か親しくなれた三人のクラスメート達を横目に一誠は今後束とのつきあい方を変えなければなぁと思うのと同時に不安要素を消さないといけないと同時に考えた。
というのもここ最近束に付きまとう鬱陶しい野良猫が居るからだ。
「先輩、よかったらご飯を一緒に……」
昼休み等になると高確率でわざわざ現れる白い野良猫が……。
「うぉい! 小猫ちゃんだ!」
「今日も近くで見られて感激だ!」
別に来るのは構わない―――いや、やはり一誠的に思い出したくもない事を思い出させるので来てほしくはない。
だがそれとは別に問題がある。それはあまりのしつこさに束の機嫌がかなり悪くなるのだ。
「あらら? 束ったらこんな子を引っかけたの? 隅に置けないわねぇ?」
「……」
『来るな、寄るな、話し掛けるな』と散々束に言われたにも関わらず、性懲りもなく今日もお昼の時間にわざわざこの教室へと現れた学園のマスコットとやらに、元浜&松田他は大層はしゃぎ倒し、桐生はニタニタしながら不機嫌度上昇中の束の背中を叩き、そして我らが一誠くんは……。
「あ、やっべー! 図書室に『大人の身体』って保体の本返すの忘れてたわー!
今すぐ返しに行こーっと」
顔を見るのもなるべく嫌なので取り敢えず嘘ぶっこいて逃げ出そうとした。
ちなみに本当の所は匙少年の昼御飯を食べる姿を見守りに行くという、気色悪いものだったりする。
「うげ!?」
「………」
しかしそうは問屋が下ろさない。
そろーっと逃げようとした一誠の背中を制服越しに掴み、逃げたら許さないといった目付きで睨み付ける束に阻止されてしまった。
「逃げんなよ?」
「に、逃げてないっつーの、前にも言ったろうけど俺は欠片だろうと関わりたくないんだよ。束だってわかるだろ?」
「それは何度も聞いたよいーちゃん、でも私に押し付けるのは違うんじゃないの?」
「別に押し付けてる訳じゃあ……」
ヒソヒソと二人だけで顔を寄せ合ってこっちをじーっと見てくる野良猫ならぬ小猫とは関わりたくないと主張する一誠。
端から見れば距離が近すぎて変な誤解でもされかねないやり取りだし、現に既に周囲の殆どは誤解してる。
それは勿論、急に押し掛けてきた小猫も。
「あの、確かアナタは変態三人組とかいう内の一人ですよね? 先輩とはどんなご関係なんですか?」
何時までもヒソヒソと二人だけで話をしてる姿にしびれでも切らせたのか、若干声低めに小猫が一誠に向かって質問する。
「え、まさかの俺に対する質問? いや別にキミの知るところでも無い感じというか……なぁ?」
何だその質問は? と思いながら束に振る一誠。
「私が誰とどうしてようがアナタに何の関係があるのかな? 本当にキミって子は何なの?」
そのパスを貰ってそのままワンタッチで投げ返した束は少々どころじゃないくらいうんざりした様子だった。
何せ知りもしなければ興味の欠片もない様な小娘に付きまとわれてるのだから他人嫌いの束にしてみればうざったいことこの上ないのだ。
「この前も昨日もそうだけどさ、キミっていう概念に興味が無いんだ。
キミが何をトチ狂って私を誰かと勘違いしてるのかなんて知らないけど、それはキミの中だけで勝手に思い込んで表に出さないでくれない?」
「………」
だからこそ辛辣に、突き放すように吐き捨てた束。
元浜、松田、桐生以外の生徒から若干非難めいた視線を貰うが、そんなもの束にとっては有象無象程度にしか思わないし、別に嫌われようが関係なかった。
「束の言い方は少しキツいかもしれないけど、塔城さんも少しおかしいんじゃないの?
兵藤に向かって束の何なのかだなんて言うのもそうだし」
「………」
桐生のフォローは入ったものの、教室内は一誠達を中心に微妙な空気が流れている。
更に極め付けは、それまでコソコソして逃げてた一誠の一言により顰蹙を大量購入する。
「あのさぁ、別にキミがこの子に何を思ってるのかは知らないけど、キミに一々文句垂れられる謂れは無いんだよね。
それこそ桐生さんじゃねーけど、何でどうでも良い赤の他人に束との関係をベラベラ喋らなきゃならねーんだっつー話だし」
「………………」
心底興味がない。まず姿形を含めて全てが興味の無い小猫に向かってハッキリと鬱陶しいと言い切った瞬間、一部女子から物でも投げられそうな勢いで睨み付けられたが、割りと束と同じで薄い対人関係でしか無い相手の悪意なんて受けてもへっちゃらだったりする。
故に一生涯関わりたくないという意味もあってか、珍しく攻撃的にものを言った一誠は、小猫に言う。
「勝手に束をテメーの都合で代用品扱いすんなよ?」
「っ!?」
かつて転生者にどっぷり浸かっていた姉妹だからなのか、例え今世がそうで無くても嫌なものは嫌だったらしく、小猫にとっては心の底を切り捨てられた様な、見透かされた様な言い方をされて思わず殺気立ち、マイペースにパンを噛ってる一誠をこれでもかと睨んだ。
「アナタに何が……!」
「知らないな? 俺も束と同じでキミという概念に興味ないし関わりたくもないからね。
でも何だかキミを怒らせてしまった様だし、そこは謝るよ……ごめんなさい」
「お、おいおいイッセー?」
「その言い方はマズイぞ? 小猫ちゃんファンを敵に回してるって……」
「良いよ別に。石でも投げたきゃ勝手にしろって。
人にはそれぞれ好みがあって、俺は偶々興味が無かっただけだしな。その主張を変えるつもりもねーよ」
そうわざとらしく声をあげながら周りを見渡し、クスクスと笑うと、桐生が苦笑いする。
「あー……アンタやっぱりそうだったのねぇ? 前々からどうも他と違ってオカ研のメンバーを見る目が冷めてたし」
「え? そう見えた?」
「確かにノリも悪かったな」
「まあ篠ノ之が居るしなお前は」
「別にそんな理由じゃあ無いけどな」
ムシャムシャと食べながら、これまでの行いを振り返って納得する元浜と松田に敵意などの感情は一切無く、寧ろ納得した顔をしていた。
どうやらエロ三人衆の繋がりは一誠の思っていた以上に強いものがあったらしく、美少女に辛辣な態度をとっても他と違って敵意を向ける様子はゼロだ。
「えっとさ小猫ちゃん、取り敢えずせっかく来たんだから座ったら? イッセーと篠ノ之もそれくらいは良いだろ?」
「「え~?」」
「揃ってそんな顔すんなや、良いじゃんか別に飯食うくらい」
「まあ、追い返すのも何だしねぇ?」
割りとフォローの上手い元浜、松田、桐生の三人は取り敢えず立ち尽くしてイッセーを睨んでた小猫を座らせ、微妙な空気の中で昼食を取るのだった。
塔城小猫ファンを敵に回してしまったものの、基本的にド変態三人組で通ってるせいか微妙な嫌われ方がデフォルトな為あまり変わらない。
そんなものより一誠にとっては匙少年の安全と健全な学生ライフを守る事が大事であり、今日も気付かれないように影からコソコソと生徒会の仕事に勤しむ匙少年を見守っていた。
「花壇の花の植え替えかぁ……楽しそうで何よりだよ――と、言いたいが、命令するだけしといて他の連中は手伝わんのかい」
「あのさぁ……」
「ん、何だい束ちゃま? 悪いけど今俺は匙君がお花の植え替えを見守ることに忙しいのだ」
ハッキリ言ってしまえば小猫の事なんて言えないだろうというくらい無駄に気合いを入れて、せっせと花の植え替えをしてる匙少年を影から見守り続けてる一誠に、束は呆れと不満さを覚えながら同行する形で見ている。
「………ん?」
その視線が露骨過ぎるせいか、時折周りを見渡し、首を傾げては作業に戻る匙少年。
これではまるでストーカーだ。
「チッ、あの生徒会長も一緒にやれや、そっちの方が匙君だって喜ぶだろうが。
ホント何から何まで気が利かねぇな……」
匙少年の幸せの為なら、例え惚れた相手が自分にとってチンパンジー的認識の存在だろうが応援するつもりらしい一誠はかつては転生者に謂われるがまま匙を見捨てた女悪魔が手伝わない事を勝手に憤慨している。
「……」
『放っておけ、コイツは一々極端なんだ』
その気色悪い情熱を燃やすのが面白くない束を察したのか、本来なら一誠にしか聞こえないドライグが表に出ること無く束に声を掛ける。
本当なら聞こえないのだが、一誠の細胞を移植し、ドライグの一部を使えるようになってから一誠とドライグの精神間でのやり取りが聞こえ、更にはあの一夜に桐生風に表現するなら、合体をした事でより深い繋がりを持った事でドライグと声の無い会話が可能になったのだ。
とにかくそんな訳でドライグから微妙なフォローをされる束だが、そうだとしても面白くないのは変わらないし、何より何をウジウジやってるのかがわからない。
「ほら!」
「え、ちょ……!?」
なので仕方なくコソコソし続ける気の一誠の手を掴んだ束は、慌てるのを無視して無理矢理花壇の植え替えをしている匙少年に近づく。
「一々コソコソされるとムカつくんだよ、さっさと話すなりなんなりしなよ」
「で、でで、でもよ!」
「でもヘチマも無い。そのままじゃどう見ても気色悪いストーカーだからね?」
テンパる一誠を無理矢理引っ張り、まだ此方に気付いてない匙少年に後ろから近づいていく。
そして――
「んぁ?」
「うっ!?」
その匙少年が気配に気付いて振り返り、一誠と一誠を引っ張る束に気がつく。
「……何?」
「あ、い、いや……ええっと……!」
「………」
訝しげな顔をする匙少年に、一誠は一気にテンパり、思わず横に居た束に助けを求める視線を向けるが、連れてくるだけ連れてきといて束は目を逸らし、自分で何とかしろと切り捨てた。
「お前確かA組の兵藤だろ? 俺に何か用か?」
「え? 俺の事知って――」
「あぁ、ド変態三人組の一人だろ? ある意味有名だぜ?」
「あ、そ、そうなの? あはは、それはまた光栄というか……」
名前を知ってると聞いた瞬間、あからさまに表情を明るくさせた一誠。
しかしそれは一瞬の事であり、何故なら自分の事を知ってると話した匙少年の顔がどう見ても好意的では無く、軽蔑したソレだったからだ。
「隣の子は篠ノ之さんだよな? いっつも一緒に歩いてるってんである意味で有名なんだよ。
で、話は戻るけど何の用だよ……」
「た、偶々見て何やってんのかなー……って」
「花壇の植え替え。
うちの会長から頼まれた生徒会の仕事だが?」
「あ、そ、そうなんだ、ふーん? 一人で大変じゃないの? せ、せっかくだし手伝おうか?」
「いいや結構。これは俺が会長から仰せつかった仕事だ。お前に手伝って貰うことなんか無い……あぁ、言っておくが仮に手伝って恩を着せてた所で会長や他のメンバーと仲良くする様取り合うなんて真似はしねーぞ?」
「え!? ま、待てよ俺別に――」
「ほら良いから行った行った、仕事の邪魔だ」
「…………………はい」
どうやら勘違いされてるし、警戒もされてた様で、此処に来て普段の嘘の行いが災いするとは思わなかった一誠はハートを粉々にされた気持ちで、何やら匙少年に言いたげな束を連れ、雨に打たれながら捨てられた雑種犬の様にその場を後にする。
「…………。良いよ、別に見返りなんか求めないし、自己満足だし」
『はぁ……』
思ってた以上に嫌われてたと知り、かなり堪えた様子で項垂れる一誠にドライグと束は呆れた。
「匙君が幸せになれるなら別に良いし、嫌われて様が関係ないし………」
「一々女々しいな、しょうがないじゃん、こうなってたんなら」
『そもそもお前の知る小僧とは生き方も違うし、転生者のカスだって居ないんだ。
そらこういう印象を持たれてる事だって予想はできただろう?』
「わかってるよ……」
とはいえ、見るからにへこんでるので束も罵倒はせず、彼女なりの言葉でドライグと一緒になって元気付ける。
しかし相当ショックだったのか、一誠の表情はかなり無理をしてる笑みだった。
「わかってるわかってる。寧ろ好都合だぜ、嫌われてる方が向こうからも悟られる心配は無くなるしな。
これなら多少派手にやってもバレる事はねーだろうさ……くくく」
「………」
『………』
そこまでして神経質なまでにあの少年の身の回りを守るつもりなのかよ……とドライグと束は匙少年に対して異常なまでの拘りを見せる一誠に言葉が出ない。
かつて転生者に殺されてしまったのが相当トラウマになってて、例えこの世界が転生者による影響を受けてないとしても、確率がゼロである確証が無い限りはどんな手段を使ってでも、この世界の匙少年の幸福を守る。
その行為に見返りは求めず、守られていた事を悟られず、例え嫌われていようと……。
「ありがとな束ちゃま、これで改めて決意が固められたぜ」
『極端バカめ……』
「へ、それは褒め言葉だなドライグ~」
それでも一誠は贖罪の為に守る。
今度こそ彼の幸福の為に……。
「それにドスケベなのは否定しようもないしな! あっはっはっはっ!」
永久進化の異常は彼の中で更に輝きを増す。
「はっはっはっー………………あれ、笑いすぎて目の前が滲んできたぞ? ぐすっ……」
「全然吹っ切ってないじゃん。はぁ……何時までもメソメソしないでよ、しょうがないな」
と、こんな感じで密かなる新たな決意を固めた一誠だが、笑ってる内にボロボロと両目から涙が止まらなくなったのを見た束はため息混じりに一誠の手を掴むと、そのまま不意打ち気味に首に腕を回し、自分の胸元に引き寄せて抱き締めた。
「な、なに……!?」
「横でメソメソされると鬱陶しいからしょうがなくね。 これでもまだ言うなら流石に頭に来るよ?」
ふわりと香る束の匂いと、柔らかさに驚きつつも一誠の心は確かに落ち着いた。
多分きっとそれは先日のソレで散々アレしたから……というのも理由にあるのかもしれない。
「少しは誤魔化せたよね? アンタ――いーちゃんは変態だもんね?」
「いや、うん……」
「うんうん、それで良いよ、これで貸しひとつだからね?」
「おう」
割りとどころか、例のオカ研連中クラスのスタイルだったりする束の胸に顔を埋めながら一誠はうなずいた。
「私が居ないと確実にダメ男になるねアナタは? ふふん、感謝したまえよこの束さんに?」
「あ、うん……」
楽しそうに、嬉しそうに笑う束が離れ、一誠はボーッとしながらまた頷く。
「ん? なにその顔? 別にこれ以上は何も無いよ? 期待した目で見られてもね」
「いや別に……」
「隠すなよ? ふふ……なぁに? このまま適当な場所に連れ込みたいの? そして押し倒したいの? あーあ、ちょっと甘やかしたらすーぐそうなるダメ男だなぁいーちゃんは? しょーがないなー? お外でしたいなんて変態にも程があるんだから♪」
「……ん? おい待て、俺別にそんな事思ってな――」
「あーっと! そういえば鍵の掛かってる体育倉庫が近くにあったね! しょーがないからそこでしてやるよ!」
「え、ちょっと待って! 話がおかしな方向にいってね!? ねぇちょっと!?」
変な方向に行ってる気がしたが、確かに一誠はショックを忘れられた。
「………………」
影から覗いてた野良猫に敢えて束が見せつけてやるという意図があったり、ショックを与えた事に気づくこと無く……。
「~♪ 続きは私の部屋でするからね?」
「え!? …………束ちゃまの両親にバレたら死ぬだろ俺」
「それなら多分大丈夫じゃないの? そもそもこの世界じゃアンタと私は相当親しい様だし、何でも4歳前にはキスやらかしてたらしいじゃん?」
「………」
「それに鬱陶しい奴にこれ以上付きまとわれるのはごめんだし、此処等で消えて貰いたいじゃない?」
「それさ、俺が無駄に敵意持たれて余計にうざい事になるんじゃないのか……?」
「……………。どうかなぁ? さっきの一回の時も覗いた挙げ句一人でやってたみたいだし~?」
「は?」
「………うぅ……せんぱい……束せんぱい……」
終わり
思ってた以上にしつこい野良猫。
しかしながら一度でも大切に感じてしまった相手に対する執着心が半端無くなる性質のせいで一誠は当初よりもより束をその野良猫から守ろうとする。
「うちの小猫がアナタに懐いてる様だから挨拶でもしようと思ったのだけど…」
「懐いたのは一方的だし、寧ろ迷惑なんだよね。
アンタ等から言ってくれない? やめろって」
「………」
野良猫の主にまで絡まれてそろそろ頭に来た束と一誠はハッキリ言う。
「私はね、自分の時間を邪魔されるのが一番ムカつくんだよね、例えばいーちゃんと合体してるのをわざわざ覗くとかね」
「え……小猫アナタそんな……」
「だ、だって……」
「で、それを見て一人遊びしてるのもやめて欲しいんだよねー? 趣味が悪すぎだと思うんだ」
「小猫!? な、なにしてるのよ!?」
「だ、だってぇ……! わ、私だって束先輩に虐められたいのに……!」
「え゛?」
「うわぉ……嫌なもん聞いちゃったんだけど……妙に束に拘る理由にそんなものまで、おい、頼むからおたく等でやめさせてもらえません?」
しかし主に注意されていく内にぶちまける野良猫の性癖に、流石の主やその仲間達もドン引きしてしまう。
「お、弟扱いなのか俺は……」
「さ、匙君! だったら弟扱いするなと男らしく行くっきゃねぇ!!」
悩める少年に全力手助けしたり。
「おい貧乳地味眼鏡、お前ごときがなぁにを偉そうに匙君を弟扱いしやがる? おぅコラ?」
「い、いきなり何ですかアナタは! ひ、貧乳言うな!!」
「じゃかしぃボケがぁ!! テメーみてーなド貧乳なんざちょーしくれた言動した挙げ句そのまま喪女行きじゃあ! 無理してねーでとっとと匙君の気持ちに応えんかい!!」
でも匙少年のことになると完全にポンコツ化するせいで変な事になったり。
「兵藤ぉぉっ!! テメェェェ!!!」
「さ、匙君!! どうだった!? 会長さんとデートの申し込みとか来た!?」
「ふざけんなよ!? アレから会長はブツブツとお前の名前連呼しながら『貧乳じゃないもん……ちゃんとあるもん……見せたら驚くもん、そうよ、見せれば良いのよ』とか言い続けてんだぞ!? 何言ったんだよお前!!」
「え? いやだから無理してないでとっとと匙くんの想いに応えなさいと……」
「じゃあ何で会長は鏡の前に立って胸抑えながら『くふふふ♪ あの篠ノ之さんよりあるもーん♪ 絶対に兵藤くんはびっくりするわ♪』……とかいってんだよ!!?」
「は!? い、いやいや知らない知らない知らない! 意味がわからない! ちょっと待ってろ、今すぐ正気に戻すぜ!!」
――
「おいゴラ!! この前言った事忘れたんかい!!」
「あ……♪ 兵藤くん、よく来ましたね! あはは、ほらどうです? 篠ノ之さんより私の方が胸はあるでしょう?」
「知るかボケ!! 誰がんな話した!! 俺は匙くんとデートしろって言っとんじゃい!! テメーが束より大きいだなんて現実逃避に付き合うつもりはねーんだよ! 早く行けぃ!!」
「そ、そんな……! …………あ、あるもん……ちゃんとあるもん……グスッ 篠ノ之さんに負けてないもん……ふぇぇん……!」
「……………。なにしてんのアンタ?」
「ぜぇぜぇ、わ、わからない……俺はただ匙くんを弟扱いしてるこの贅沢眼鏡ド貧乳に思い知らせてやろうとしただけで……」
「し、篠ノ之さん! くっ、このっ、このっ! アナタのせいで私は貧乳だとこの人に思われてるのよ!」
「いや知らないし」
匙少年の為にと泥沼になったり。
「100倍ビッグバン・ドラゴン波ァァァッ!!!」
「ぎぇやぁぁぁぁっ!!!?!?!?」
「へん! これであの鬱陶しい連中が家に来ることも、助けろ連呼することは無くなった!」
望んでないのに悪魔達に付きまとわれたあげく、変な婚約騒動を20秒で黙らせたり。
「兵藤、篠ノ之……た、頼む、この前の様に会長の婚約者を何とかする為に力を……!」
「任せてくれ匙くん! よっしゃあ! 匙くんの為に3秒で黙らせてやらぁ!!」
「……あのさ、キミがその会長って子にお熱なのはわかってんだけど、キミがさっさとその会長さんを何とかしないからどんどん話が変な方向になってるのわかるよね?」
「お、おう……」
匙くん匙くんで束さんが超絶不機嫌になったりと……平和っちゃあ平和な世界は続くかも。
似非終わり
補足
どこぞのひんぬー会長とか言うな!!
きっと多分ならんよ! だってただの似非だもの!
その2
白猫さんはどうも……うん……。