赤龍帝ストラトス(仮)   作:超人類DX

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小猫&???→束ちゃま→一誠→匙きゅん→会長→???

的な?

良かれと思ってやろう事が全部裏目になってしまう的な。


※一方通行な関係性

 匙少年に嫌われいても尚、彼の安心安全の為に行動する決意を改めて固めた一誠。

 その情熱っぷりたるや、事情を知ってる束が面白がらない程度に強く、例え軽蔑されてても曲げる事は無かった。

 

 

「ふむふむ、あの眼鏡に生徒会の仕事を与えられて喜ぶ匙君。

チッ、あの様子だとやっぱし好きなのかなぁ……」

 

「見りゃわかるでしょうが」

 

「うぅ、そうだよなぁ。あぁ、心配だ……」

 

「向こうからしたら大きなお世話だろうね」

 

「だとしてもだよ……あぁ……」

 

『ハァ……』

 

 

 束を誰かと重ねてストーカーする小猫の事がまったく言えない一誠の匙少年観察タイム。

 生徒会のメンバーとして、例の生徒会長を前に実に楽しげな姿を見て安心であるが、同時にその気持ちを向ける相手が一誠にとって不安要素の塊なせいか、一々大袈裟に心配しているその姿はまさに気色悪いの一言だ。

 

 

「ほら帰るよ、何時までも居たら怪しまれるし」

 

「………おう」

 

 

 そんな訳で今日も一誠は変わらず、一々不安になりながら束に引っ張られて観察を終わらせるのだった。

 

 

 

 

 それから数日した後の事だった。

 ()()の時空なら人間に擬態した堕天使に一誠が嘘の告白され、デートと意気込んでそのまま殺害されるという流れがあるのだが、この時空はまず一誠自身が他の種族に騙される訳も無ければ、告白なんて受けないし、何より存在しない筈の束が居る。

 

 

「エロ本とエロDVDならとっくに燃やされたよ」

 

「あー……そっか」

 

「うんまぁ……だよな」

 

 

 束に色々と処分されたという一誠の微妙に遠い目をしながらの一言に同志たる元浜と松田は察した様な顔をする。

 つまり束という存在のお陰でそういった流れが完全に塞き止められてるのだ。

 それが果たして僥倖かどうかは分からないが、少なくとも本人達は楽しそうだ。

 

 

「でも考えてみたら篠ノ之さんみたいな美少女とイチャイチャできるんだし、やっぱ羨ましいぜ」

 

「まったくだ、桐生の言うとおり何となく察してたけどね」

 

「……」

 

 

 何やら桐生との会話に付き合ってる束を眺めながら元浜と松田は確かに羨ましそうな顔だ。

 まぁ確かに二人の言うとおり――というか、実は例の悪魔達並みに容姿とスタイルを持ってたりするし、一誠が居なければ恐らく何人も玉砕してた男子も居ただろう。

 ただ、物凄く排他的な性格じゃなければ……だが。

 

 

「あら、愛しの兵藤が束のことを眺めてるわよ?」

 

「その歯の浮くような言い方やめてくんない? キミの思ってるような感じじゃないし」

 

「はいはい、そういう事にしといてあげるわ」

 

「チッ……」

 

 

 三人の視線に気づいた桐生に茶化されて束は舌打ちをする。

 何を言ってもヘラヘラと絡んでくるこの度胸があるのか呑気なのかわからないクラスメートとも、気付いたら一年はこうしたやり取りを続けている。

 既に他の女子からその性格のせいで敬遠されて孤立してるにも拘わらず、この眼鏡を掛けた女子は自分と、変態だと嫌われてる三人組に対して平等的に接してくる。

 

 

「キミって割りと変わってるよね」

 

「今更? まぁそうね、普通に誰かの集団に加わるよりはアンタ達みたいな変わり種と関わる方が面白いとは思ってるわ」

 

「…………」

 

 

 にっこりと笑う桐生に束は目を逸らす。

 やっぱり苦手だ、こういうタイプは……。

 一誠が自分にとっては元の世界に居た頃も、子供扱いを止めなかったという意味でムカついたが、この桐生という少女はムカつくというよりは本当に苦手と束は感じた。

 ISの開発者の篠ノ之束としてなら適当に追っ払える自信はあるが、この世界においての自分は只の高校生であるし、一応一誠に気を使って目立つ真似を控えてるつもりなのもあって、上手く煙に巻けない。

 

 

(多分箒ちゃんみたいなタイプはもっとも苦手かもね、こういうタイプ)

 

 

 一夏との幸せを願い、一誠に付いて行った事で置いていった妹の事を思い返しながら束は桐生という少女のタイプを解析していく。

 多分箒だったら思うがままにからかわれてしまう……そんなタイプだと。

 

 

「失礼するよ、このクラスに兵藤君と……えっと、篠ノ之束さんが居ると思うんだけど、今居るかい?」

 

 

 そんな事を考えつつ、そろそろ一誠がホモみたいな行動の時間だなと時計を眺めていると、自分と一誠は居るかという男の声と、ほぼ同時に木霊しまくる黄色い声に顔をしかめる。

 

 

「げ! アイツは憎きイケメン野郎!」

 

「わざわざ黄色い声を俺達に嫌味で聞かせに来たのかあのイケメン野郎め! てかイッセーと篠ノ之さんだぁ?」

 

「…………………」

 

 

 金髪で実に顔の整った少年の出現に男子の殆どがブーイングしている中、ふと一誠の方を見てみると死ぬほど嫌そうな顔をしていた。

 アレはイケメンに嫉妬しているから――では無く、あの少年の背後に居る存在に対してのものだというのは束にもすぐ理解できた。

 

 

「あらあら? 塔城さんに続いて今度は隣のクラスの木場君じゃない。

アンタ達って本当にネタに事欠かないわねぇ」

 

「言ってる場合か眼鏡っ子め! この野郎、俺達の友達に何の用だ!!」

 

「そうだそうだこのイケメン野郎!」

 

「ちょっと! 木場くんに失礼よ!」

 

「アンタ達のせいで木場くんが穢れるわ!」

 

「うるせー! だったらコイツがどっか行けば解決すんだろーが!!」

 

 

 何故か木場にとっては用の無い元浜と松田が熱くなり、女子達から物凄い総スカンを食らっている。

 しかしそんな周りの声をスルーし、木場は無表情の束と反対にめっちゃ嫌そうな顔を隠しもせずしている一誠の両方に向かって言う。

 

 

「うちの部活部長が呼んでるんだ、申し訳ないけど一緒に来て欲しい。

ええっと……時間はあるかな篠ノ之さん?」

 

「は?」

 

「おい……ちょっと待てや」

 

 

 何故か束に対してだけ妙に気の使う言い方をした木場に、束本人は目を丸くし、デジャビュを感じた一誠は異様に低い声で束の横に立ち、ほんのちょっと目付き悪めに睨む。

 

 

「用があるのは俺に対しても含まれてるんだろ?」

 

「え? あ、うん……まあそうだけど」

 

 

 このガキ……。と、内心イラッとする反応をされた一誠は毒づく。

 本来の世界ではたしか女だったが、ムカつくのはあの時と殆ど変わらない。

 

 

「急に来るなり唐突だけど、木場君は束と兵藤に用があるのよね?」

 

「うん、そうだ。

時間はそんなに取らせないよ―――――それで篠ノ之さん、もしよかったら……」

 

「束にやけに気を使うなお前?」

 

「兵藤にもちゃんと聞くべきだと思うわよ私も」

 

「そうだそうだ!」

 

「帰れ帰れ!」

 

 

 やばい、反射的に蹴り飛ばしてやりてぇ。

 束との繋がりを持ったせいか、異様にそこら辺が敏感且、以前より強い執着を持ち始めた一誠は、さっきから妙に束にだけ気を使う態度の木場に対して思うが、一応自重するだけの理性は精神的にある程度成熟してるお陰で持っていた。

 

 

「別に良いよ、ちょうどおたく等の部長に言っておきたい事があったし」

 

 

 そんな一誠を横に束は席から立つと、付いていくと言う。

 元浜と松田が反対するが、桐生によって宥められる。

 

 

「よかった! それならついてきてくれ! あぁ、兵藤君も」

 

「こんのガキァ……」

 

「落ち着いていーちゃん、例の野良猫について文句言うだけだし、向こうが呼び出すんなら好都合でしょ?」

 

「そうだけど、なんか気にくわないんだよ」

 

 

 そう言いつつも束の横に引っ付いて木場の後を歩く一誠。

 束が一誠の事をいーちゃんと呼んだ瞬間、一瞬歩くのを止めたが、そのまま何事もなかったように二人を旧校舎まで案内する。

 

 

「ここだよ。さぁ、篠ノ之さんからお先にどうぞ」

 

「……どーも」

 

「さっきからお前わざとやってるだろ? 俺に喧嘩売ってるよな? なぁオイ?」

 

「レディーファーストだよ兵藤君。他意なんかないさ」

 

 

 近寄りたくもない場所の中まで入り、挙げ句またしてもイラッとさせられた一誠は、妙に淡々としてる木場に物凄く納得できない気持ちを抱き、束、木場の後に部室という名の悪魔の巣窟に入る。

 

 

「部長、お連れしました」

 

 

 部名の通りというべきか、如何にもな物が飾られてる部屋に入り、ソファに座る様に案内されて座る。

 そして木場の声に部室の奥から姿を現したのは、毎朝毎朝ギャーギャー騒がれてる元である赤髪の少女と黒髪の少女――そして束のストーカーの白髪の少女だった。

 

 

「こんにちは、私たちの事は知ってると思うけど、一応自己紹介する前にウチの小猫がお世話になってる事についてお礼を言うわ」

 

 

 世話なんかしてないし、する気もねーよと束とシンクロながら内心毒づきながら、勝手に自己紹介し始める悪魔連中。

 名前なんかどうでも良かったし、わざわざここに来てやった理由だってその小猫についてなのだ。

 

 親睦なんか深めるなどクソ食らえだ。

 

 

「じゃあ早速言うけど、おたくの所の――あー、そこに居る一年の子が鬱陶しいんだよねー? アンタ等で何とか言っといてくれない?」

 

「謂れの無い敵意を向けられても迷惑なんすよねー」

 

 

 自己紹介を完全にスルーし、早速ここに来た理由をぶちまける一誠と束。

 するとこの赤髪の少女――リアス・グレモリーははてと首を傾げる。

 

 

「? おかしいわね、小猫が言ってたのはタバネと仲良くして貰ってるって話だったのだけど……」

 

 

 何でそんなに迷惑がられてるのか分からないといった顔のリアス・グレモリー。

 そんな彼女に対してふと今まで気づきもしない程無関心だった一誠がある所に気づいた。

 

 

「なぁ、よく聞いたらこいつの声って箒ちゃんの声に似てないか?」

 

「似てねーよ、ありえないから」

 

 

 ほんの気の迷い程度ながらの一言に束はぴしゃりと返す。

 確かに束も似てるかもしれない程度には思ったが、喋り口調が全然違うし、何よりこんな目立つ髪の色する時点で完璧に違う。

 そんな事よりもこのリアスはどうやら変な勘違いをしてるらしいから、さっきから目が泳いでる野良猫についてタップリ言ってやらないといけないのだ。

 

 

「どうにも、そこの子はとんだ捏造を噛ましてくれたみたいだね? え?」

 

「ぅ……」

 

「………。どうやらちょっと小猫に聞かなくちゃいけないみたいね? どういう事?」

 

 

 聞いた話が違うと理解したのか、リアスは小さくなる小猫を見据える。

 

 

「へぇー? 仲良くして貰ってました……ねぇ?」

 

「いきなり出てきて俺に対して妙に敵意持ちまくりで仲良くねぇ? 面白い解釈だな?」

 

「そ、それは……だってアナタが!」

 

「小猫っ!!

……どうやら大分失礼を働いていた様ね。ごめんなさいね」

 

「謝るくらいなら何とかしといて貰えます?」

 

 

 ばつの悪そうな顔をしつつ、やっぱり一誠に対して何か言い返そうとする小猫を一喝し、リアスが頭を下げる。

 しかしある意味此処からリアスは聞いて後悔する事だらけだった。

 

 

「私はね、自分の時間を邪魔されるのが一番ムカつくの。

例えばいーちゃんと合体してるのをわざわざ覗くとかね」

 

「が、合体?」

 

「なっ!?」

 

 

 この中の誰よりも妖艶に笑って話す束に女なのにドキッとする中、一人ショックを受ける者が居た気がしたが誰も気づいてない。

 

 

「小猫、アナタそんな……何をしてるのよ!?」 

 

 

 合体という隠語めいた単語の意味を束の放つ色香で理解したリアスは自分の事の様に恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら小猫に怒る。

 

 

「だ、だって……!」

 

「だ、だっても何もないでしょう!? 何でそんな事をしたの!」

 

 

 人の情時を覗く趣味があったなんて知らなかったというか、単にビックリしてしまったリアスに問い詰められて目を逸らす小猫だが、追撃はまだ止まらない。

 

 

「で、それを見て一人遊びしてるのもやめて欲しいんだよねー? 趣味が悪すぎだと思うんだ?」

 

「本当に何をしてるのよ!?」

 

 

 流石に怒らないと小猫の為にならないとリアスは真剣に小猫を正座させようとする。

 だが小猫はそんなリアスに――というかこの場に居る全員向けてその想いをぶちまけた。

 

 

「だ、だって……! だってぇ!! わ、私だって束先輩に虐められたいのに……この人がっ!」

 

「え゛?」

 

 

 束にどうこうされたいのに一誠のせいで何もされないと……恨めしそうに一誠を指差しながらぶちまけた小猫のアレな思いにたっぷり一分は部室内の時が止まった。

 

 

「うっわぉ……。

嫌なもん聞いちゃったんだけど……妙に束に拘る理由にそんなものまで?

おい、頼むからおたく等でやめさせてもらえません? てか近寄らせるな」

 

「ちょ……ちょっ、と待って。

私も色々と衝撃過ぎて頭の中が……」

 

 

 注意されていく内にぶちまけてしまった野良猫の性癖に、流石の主やその仲間達もドン引きしてしまう。

 

 

「いや、でもわかるかも……」

 

 

 と、一人誰かがボソッと言った気がしたけど、あまりにも酷い展開なせいで運良く聞こえなかった様だ。

 

 

「本当に申し訳なかったわ。

最近この子がタバネについて実に楽しそうに話してたから、てっきり仲良くして貰ってたとばかりに――本当にごめんなさい」

 

「……いや、部員がド変態な性癖持ってたと知ればそうもなりますわな」

 

「ちょっとだけアナタに同情できるよ」

 

 

 結局お礼どころか全力謝罪をする羽目になったリアスを見て、流石に少しだけ同情した一誠と束。

 その元凶たる本人も反省してる―――――

 

 

「ごめんなさいタバネ姉様……」

 

 

 とは思えず、寧ろ開き直りでもしたのか勝手に束を姉と言い出した。

 

 

「姉になったつもりなんてゼロなんだけど、やめてくんない。本気で気持ち悪いんだけど」

 

「小猫!!」

 

「よくこれで俺を変態と呼べたな……。ブーメランも驚きだぜ」

 

「アナタに言われたくない。大体ズルいんですよ……幼馴染か知りませんけどタバネ姉様とあんな……うぅ……」

 

「何でアナタが二人の仲に文句言うのよ! 恥を知りなさい!!」

 

 

 しかも一誠に対しては依然敵意丸出しであり、リアスは今度こそ激怒して何とかして謝らせようとするが、あんまり効果は無さそうだ。

 

 

「あーもう良いっすよ? 何だかアンタを見てると昔あった認識がほんの少しだけ改められた気分になるだけだし」

 

「ぜぇ、ぜぇ……!

こ、こんなに怒鳴ったのは久し振りだわ」

 

「出歯亀は馬に蹴られて地獄行きになるってよく教えておいてね? じゃあ私達はこの辺で」

 

「え、ええ……よく言って聞かせるわ」

 

 

 まさか悪魔に同情するとは思わなかったと一誠は束に連れられて部室を後にする。

 その際……。

 

 

「残念だったなぁ色々と?」

 

「っ!? な、なんの事だい?」

 

「いーや? くくく……もし束に何かしようもんならぶっ殺すよ? とだけは言うわ……クククッ!」

 

 

 勝ち誇るのは忘れずに。

 

 

「あの野良猫がやめると思う?」

 

「やめないに一票。

ていうかさ、なんで私があの白いのに姉呼ばわりされにゃならないの?」

 

「俺が知りたいぜそんなの。

多分キミの滲み出る姉属性があの野良猫にヒットでもしたのか……?」

 

「ふーん? じゃあ姉ちゃんプレイでもしてあげようか?」

 

「じゃあって何だよ……? あのさ、ひとつ聞いて良い? 束ちゃまってさ、改めて聞くけど俺の事好きなの?」

 

「は? 誰が? 誰を? アンタが束さんの事が好きすぎるんでしょ? だから仕方なく受け入れてやってるんじゃん」

 

「…………。わかったよ、もう良いよ。

何かこうして今までを思い返してみるとキミが可愛くてしょうがねーや」

 

「!? な……にそれ? 点数稼ぎのつもり? あぁ、もしかしてまーたムラムラしたの? この変態性欲魔人め、そんなにしたいならしょうがないな……ったく」

 

『チラチラ一誠を見ながら期待した顔をするお前の言えた事じゃないだろ……』

 

「はぁぁっ!? 何言ってるのこのドラゴンは!? 束さんはこの性欲バカが犯罪に走らない様に泣く泣く身代わりになってるだけだよ!!」

 

「わかったわかった、気付いた途端だけど本当可愛いなこの子」

 

『お前も大概おかしいだろ』

 

 

 旧校舎を後にし、ナチュラルにイチャイチャしながら家に帰ろうと門を目指す二人。

 言葉とは裏腹にさっきから一誠に可愛いを連呼されて妙に気分よさげになってる束は帰ったら一誠の部屋に居座る気満々の様子だ。

 

 

「あ! あそこに居るのは匙君……!」

 

「は?」

 

 

 まあ、そんな気分はその道中、縁石ブロックの様なものを腰を下ろしていた少年を目敏く一誠が見つけたせいですぐに台無しになったのだが。

 

 

「むむっ、何やら様子が変だぞ匙君」

 

「あっ…………そ!」

 

「そんな淡白な事言わずにさぁ……何かあったのか? ……………ハッ!? ま、まさか生徒会の連中にいじめられたのか!?」

 

 

 折角いい気分だったのに、またしても一誠がホモを疑うレベルで気にしまくってる相手である匙少年のお陰ですっかり上昇した気分は奈落に落ち、返事がかなり無愛想になっている。

 勿論表情もそれに比例したものになってる訳だが、生憎一誠の視界は座って項垂れてる匙少年が占拠してるので気付いてない。

 

 

「ど、どうしよ?」

 

「知らないよ、気になるなら自分で聞いたら?」

 

「う、うぅむ……」

 

『どうせ大した事じゃないだろ。放っておけ』

 

「だけどよ……」

 

 

 珍しくドライグと意見の合う束。

 だがそんな二人の言葉を受けても一誠の顔にはハッキリ気になって仕方ないと書いており、結局一誠は中学生の初恋みたい大袈裟に深呼吸を繰り返すと、意を決した様に項垂れる匙少年の前に立つ。

 

 

「お、おう……ええっと、偶然だな?」

 

「……………あ? あぁ、お前か……」

 

 

 偶然といえば確かに偶然だが、普段が普段なので果たして本当に偶然なのか微妙に疑われそうな態度で此方に気付いて素っ気ない態度の匙少年に話しかけた一誠。

 誰がどう見ても意気消沈した様子の匙少年はそんな一誠と物凄く面白くなさそうな顔をして一誠を見てる束を交互に見やると、再び大きなため息を吐いて項垂れる。

 

 

「だ、大丈夫かよ? 何かあったのか?」

 

「別に何でもない。良いからアッチ行けよ」

 

「そ、そういう訳にはいかないだろ、だって元気無さそうだし……えっと、生徒会の仕事楽しそうだったじゃん?」

 

「……。うるせぇな、お前に何の関係があるんだよ?」

 

 

 生徒会の仕事……という言葉が地雷だったのか、途端に一誠に険悪な雰囲気を向ける匙少年。

 だがそれでも一誠は根気強く匙少年の持つ警戒の糸を緩ませようと頑張り続ける。

 

 

「見知った友より見知らぬ他人相手に話した方が話しやすいってのもあるだろ? 絶対誰にも言わないから言ってみろよ――――役に立てるかわからないけどさ……な?」

 

「………………」

 

 

 

 

『この無駄な情熱何なんだよ……』

 

(何だろ、果てしなくムカつく)

 

『分からんでもないが、黙っててやれ。

文句なら後に取っとくべきだ』

 

(キミに意見されるなんて束さんもヤキが回ったよ……)

 

 

 身ぶり手振りで落ち込んでる匙少年を元気付けようと無駄に情熱を燃やしてる姿にドライグですら呆れ、束も実につまらなそうにドライグに宥められている。

 分かっていたが、それでも微妙に納得できないのだ。

 

 

「俺さ、好きな人が居るんだ」

 

「む……おう」

 

 

(話すのかよ、何だ結局構ってちゃんだったんだね)

 

『言ってやるなよ……』

 

 

 警戒を緩めた一誠の口先が凄かったのか、単に匙少年が傷心となった自分に構ってほしかっただけなのか、静かに自分の恋について話始めたのを聞いて束はつまらなそうに小石を蹴っていた。

 

 

「思いきって聞いてみたんだ、自分の事をどんな認識なのかって。

そしたら……お、弟みたいな感覚だって何てことない顔して言われてよ――お、弟扱いだったのかよと思ったら何だかさ……」

 

「さ、匙君……! ア,アノガキャァ」

 

 

 どうやら本命相手に弟扱いされたのが堪えたらしく、またそれを聞いた一誠は既に誰の事なのかわかってたので小さく聞こえない様に毒づいた。

 

 

「だ、大丈夫だって! 今はまだそうかもだけど、頼もしいところ見せたら認識なんて変わるって!」

 

「………だけどよ」

 

「大体よ! 生徒会の役員までやる匙君を弟みたいだなんてヒデェ話だぜ! よし待ってろ! 俺言ってくらぁ!!」

 

「…………は!? おいちょっと待て!!」

 

 

 そして匙少年の事になるとアホというかポンコツ化してしまう一誠は何を思ったのか急にそう言い出すと、匙少年の制止を聞かずに生徒会室までダッシュした。

 

 

「ちょっとオイ!?」

 

「あーぁ、話さなきゃ良かったのに」

「と、止めてくれないのかよ!?」

 

「何で私が? 止めたくば自分で止めたら良いじゃん。束さんには関係ないし」

 

「そ、そんな……! てかアイツ、俺が誰を好きなのか知らないのに行ってしまったし……」

 

 

 冷たい態度の束に匙少年は若干精神的に引いてしまいつつも追いかけようとする。

 だがそんな少年を束は呼び止めると……。

 

 

「一言キミに言ってやりたいんだけどさぁ……」

 

 

 一誠がその努力の方向を間違えてる気がしてならない元である少年に対して偉く冷酷な表情で何かを言う。

 それが何なのかは分からないが、少なくともこれ以降、匙少年は束に微妙に勝てないという意識を持ってしまったらしい。

 

 

「喧嘩の話の時間だコラァ!!!」

 

『なっ!?』

 

 

 さて、そんな一誠はというと、どこぞの80年代の不良が上級生のクラスにカチコミ掛ける様な粗暴さで生徒会

室の扉を蹴破る勢いで開けると、ギョッとする見事に女子だらけの生徒会役員達が固まってこちらを見てるのを無視し、ズンズンと他の役員と同じリアクションをしてる生徒会長・支取蒼那の席の前に立つ。

 

 

「な、何ですかアナタは? 藪から棒に……?」

 

 

 あまりにも突然すぎて流石の生徒会長も驚いてるのか、若干眼鏡がズレたままだ。

 しかし元々何の意識も興味も関心も無い一誠は無遠慮に両手を使って生徒会長の机を壊さない程度の強さで叩くと……。

 

 

「おい貧乳地味眼鏡」

 

「ひ、ひんにゅうじみめがねっ!?」

 

 

 そういえば名前すら関心ゼロすぎて知らなかったと思い出し、取り敢えず見た目の特徴をそのままに……ていうか完全に悪口としか聞こえない呼び方をして生徒会長にメンチを切った。

 

 

「お前ごときがなぁにを偉そうに匙君を弟扱いしやがる? おぅコラ?」

 

「な、何なんですかアナタ!? 一体何の事を言ってるのか……いや、それよりも貧乳言うな!」

 

 

 いきなり現れて、いきなり悪口言われてと混乱しながらも、取り敢えず貧乳は嫌だったので呼ぶなとメンチに対して負けじと言い返した生徒会長。

 が、再び両手で机をバンバン叩くその妙な迫力のせで勢いが殺された。

 

 

「じゃかしぃボケがぁ!! テメーみてーなド貧乳なんざちょーしくれた言動した挙げ句そのまま喪女行きじゃあ! 無理してねーでとっとと匙君の気持ちに応えんかい!!」

 

「だ、だからの何の話……」

 

「匙君じゃあ! テメーこの野郎、あんないい奴を傷つけやがってボケがぁ……! 貧乳ごときが偉そうなんだよバカが! 今すぐ全裸で土下座しとけ!!」

 

「ちょ、ちょっと待った! アナタ確かA組の兵藤君だよね? 何で匙君の事……」

 

「あぁ!? 今テメーとなんざ話してねぇ!! 黙ってろぃ!!」

 

「ぅ……」

 

 

 ただ事じゃないと生徒会長を助けるつもりで同学年の女子が話しかけたが、めちゃくちゃ目が血走ってる一誠に一蹴され、退いてしまう。

 

 

「さ、匙に何を聞いたかは知りませんが、とにかく私を貧乳と呼ぶのは……」

 

「うっせぇ! 見た通りだろうがこのド貧乳が!! あぁ!? どうせなら今すぐ揉まれてデカくなってみろや!?」

 

「だ、だから貧乳じゃな――」

「貧乳ですけどぉー! 確実にドが付く貧乳ですぅ! ウチんところのクラスの桐生さんとか束と比べたらテメーは絶壁ですぅ!!」

 

「ぜ、絶壁じゃない!! ちゃんとある!!」

 

「うるせぇバーカ!! とにかく今すぐ匙君に謝ってこいや!!」

 

「ひ、貧乳じゃない……ちゃんとある……貧乳じゃないもん……!」

 

 

『………』

 

 

 何だこの茶番は……。

 役員達は唐突に現れて会長を罵倒しまくる一誠と、段々半泣きになって口調が子供っぽくなってる主の交互を見て微妙な気分にさせられながら眺めてる。

 

 

「あるもん……リアスとかが無駄にデカいだけで私は美乳だもん」

 

「はぁ? ………ハァ、目の前の現実すら見えないとはね。クソが、何で匙君はこんな貧乳眼鏡なんか………」

 

「さっきから匙って言ってるけど、あの子に何か聞いたのですか?」

 

「アンタの心ない言葉で非常に傷ついたとな。

まったく、胸が断崖絶壁な奴は器も狭い上に断崖絶壁だな……嫌だ嫌だ」

 

「貧乳じゃないし絶壁じゃない! ちゃ、ちゃんとある! 何でそんな意地悪……い、言うの……? グスッ……ふぇぇぇん!」

 

「あぁ、会長!? ちょ、ちょっと兵藤君酷いよ!」

 

「あぁ!? 匙君が味わった苦しみに比べたカスだろうがボケ共!」

 

 

 遂に泣き出した生徒会長に普段を知る役員は大層驚きつつも一誠を責めるが、本人に聞く耳はゼロばかりか罵倒が止まらない。

 

 

「良いか貴様等!! 当たり前だと思ってんじゃねーぞ!! 匙君みたいな聖人君子は他に居ないんだ!! もし蔑ろにしたらぶっとばしてやるかんな!!」

 

「げ、元ちゃんに何でそこまで……」

 

「ぬ!? げ、元ちゃん…………?

お、おいお前……何だその羨ましい呼び方は? そ、そんなに親しいの?」

 

「へ? あ、まあ……勝手に呼んでるだけだけど……。あの、それより会長が泣いてることについて……」

 

「そんなのはどうでも良い。とにかく今後は気を付けろよな! フンッ!!」

 

 

 そして言いたい放題言うだけ言って鼻息荒く生徒会室を後にした。

 これじゃまるで只の不審者だ。

 

 

「な、なんだったの?」

 

「か、会長……大丈夫ですか?」

 

「酷いわホント、会長の事あんな風に……明日にでもキツく言い返さないと、ね、会――」

 

「貧乳じゃないもん……ちゃんとあるもん……見せたら驚くもん。

………あ、そうよ、見せれば良いのよ……彼はきっと知らないから着痩せする私にそんな事言ったのよ。うんそうよきっとそう。なぁんだ簡単だったわ。

くふふふ♪ 確か彼は兵藤一誠君だったね、ふふっ! あの篠ノ之さんよりあるもーん♪ 絶対に兵藤くんはびっくりするわ♪」

 

「――長……?」

 

 

 そんな不審者に言われたい放題でさぞ会長も御立腹だろうと役員達は励まそうとした。

 だがしかし、何やらブツブツと自分の胸に触れながら独り言を言っていた会長は独りでに笑いだし、遂には変な方向に決意を固めだしていた。

 

 

「あのー……会長?」

 

「…………。ハッ! そういえば精神的に未熟なこのくらいの歳の男の子は好きな女の子をつい虐めるらしいけど、まさか彼は私の事が? だとすれば合点が……あぁ、なるほど……そういう事だったのね、彼は私が好きだからわざとあんな事を……」

 

「いやちょっと会長? それはありえないような……」

 

「なーんだ! もう、素直じゃないのね彼って! でも今まであんな情熱的に迫られた事なんて無かったからちょっとドキドキしちゃったわ。

うーん……どうしましょう? 今度会ったら取り敢えず貧乳じゃないことを示しつつ、今後のつきあい方を話し合って………」

 

 

 完全におかしな方向に……。

 

 

「やったぞ! これで匙君はモテモテだ!」

 

「テメェこの野郎! なんて事しやがる! 俺どうやって顔合わせんだ!」

 

「ええっ!? だ、ダメだったのか…?」

 

 

 終わり




補足

書いててわかる事ひとつ、

あぁ、自分ってレイヴェルたんとソーナさんを自然と優遇させる悪癖があるんだなぁ……と。


その2
あまりにも唐突なのと、自分に対して恐れも何もなく物凄くなじってくる一誠に変なものを抱いてしまった会長さんの明日は一体……

野良猫と実は――な彼はどうなる。

リアスさんの苦労は解消されるのか?


その3
良かれと本人は本気で思ったのが全部裏目……。
とにかく、元の世界でのトラウマが凄まじいせいでしかねぇやることが全て極端だし、大きなお世話としか思えない真似しかしない。

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