Fate kaleid moon プリズマ☆サツキ 作:創作魔文書鷹剣
〜イリヤside〜
「38度2分・・・風邪ではないようですが、少し熱がありますね。」
「んー・・・確かにちょっと熱っぽいかも・・・」
イリヤは若干の熱からくる怠さに悩まされていた。その実態はもっと大事なのだが、幼い彼女にわかる筈もない。
「・・・大事をとって、今日はお休みしましょう。学校へはわたしが連絡を入れておきます。」
「えー、セラ過保護すぎー。」
「過保護で結構です、万が一があっては奥様に顔向けできません。とにかく今日はお休みです!お昼にはお食事を持ってきますので安静にしていてくださいね!」
「はいはーい・・・ふぅ・・・お休み・・・かー・・・」
窓の外には、いつもと変わりない朝の風景が広がっていた。
〜一方その頃〜
「どうだった?イリヤの事。」
真面目に働かない事で有名な堕メイド、リズがセラにイリヤの様子を聞いていた。家族を心配しているだけに聞こえるが、その裏にはある意図が隠れていた。
「・・・ほぼ間違いなく『力』の影響ですね、イリヤさんの封印が一時的に解けた形跡があったわ。10年間蓄積されていた魔力が部分的に使用されたとみて間違いない。おそらく、今の発熱はその反動でしょう。」
セラの考えは間違っていない。しかし、問題は『力』が解放されたことにある。
「熱はすぐ治るでしょうけど・・・あの封印は死の瀬戸際とか、そういう危険な状況にならないと外れないのに!ああ、もしかしたらイリヤさんは何か厄介な事件に巻き込まれているのでは・・・!」
大正解である。しかも、イリヤが巻き込まれている事件は厄介極まり無い。
「考えすぎだってー、交通事故に遭いそうになって封印解除ーとかそんなんじゃないの?」
「それはそれで問題ですっ!ていうか最近のイリヤさん私に何か隠し事してるような気がするんですけどっ‼︎時々なーんかソワソワしてるっぽいし‼︎・・・ハッ!まさか、反抗期⁉︎」
「年頃の娘なんてそんなもん、セラ神経質すぎー」
〜イリヤside〜
「重病でもないのに学校休むのってちょっと罪悪感あるよねー。」
『まー昨晩は激闘でしたから、今日くらいゆっくり休んでもバチは当たりませんよー。』
多少は微熱を抱えてるのだが、本人からすればわざわざ休むような事に感じないので、やや罪悪感を感じている。誰しもそう思うだろう。
「最近夜更かしが多かったから・・・朝起きるの辛かったんだよねー。あー・・・平日の昼間っからゴロゴロするのって幸せかも・・・」
『・・・休息は結構ですが、そのまま登校拒否児にならないでくださいね。』
「大きくなったらニートになりたい・・・」
『なんて寝言なんでしょう!』
〜さつきside〜
昨日の戦いは苛烈を極めた。「セイバー」のクラスカードは「ライダー」や「キャスター」を圧倒的に上回る強さを持ち、あわや全滅というところまで追い詰められた。しかし、今考えるべき事は他にある。イリヤの事だ。でもさつきにはそれを考えるだけの知識がない。
「ただいま・・・」
「あ、お帰りー。」
なんとなく流れでメイドの仕事をする羽目になったさつきと美遊、ルヴィアに無理矢理着させられたメイド服は恥ずかしいなんてものじゃない。
「そういえばさつきさん・・・昨日のアレは・・・」
「思い出させないで・・・アレは流石に黒歴史だから・・・」
『姉さんに頼ったのが間違いです。』
昨日の自分の姿を思い出したくないので、必死で美遊の発言を止める。だが、ルビーのことだからどうせ録画している筈である。
『姉さんの魔法少女観はわたしにもわかりません・・・おっと、これは・・・?』
「「 ? 」」
《サファイアちゃーん!もしもーし!》
突如、ルビーから電話がかかってきた。
〜イリヤside〜
《イリヤスフィール?》
「ど・・・ども、いきなりごめんね。」
ルビーの提案により、急遽電話をする事になった。イリヤとしても美遊と友達になるチャンスなのだが、いかんせん美遊の考えてる事がわからないのだ。
《何か用事?》
「あ・・・ううん、用ってわけじゃないけど・・・ミユさんもさつきさんも今何してるのかなーって・・・」
一応会話を続けようと試みるが、全くと言っていいほど会話が続かない。
『ああもうじれったいですねー!何不器用な会話してるんですか!』
「そ、そう言われても・・・!」
『顔を見ないと話しづらいようなら、テレビ電話にもできますよ!』
「ほんっと無意味に多機能ね・・・」
『ちょうど白い壁がありますし、ここに映しましょうか。行きますよー』
壁にうつし出されたのは、メイド姿のさつきと美遊だった。
「メッ・・・メイド服ーッ⁉︎」
《あっ、こっ・・・これは違う・・・わたしの趣味とかじゃなくて・・・ルヴィアさんに無理矢理着させられてっ・・・》
《もう駄目・・・助けて遠野くん・・・ああでも遠野くんに見られたら死んじゃう・・・》
2人の美少女がメイド姿で赤面するこの光景について、イリヤは後に「その時、かちりと・・・わたしの中で変なスイッチが入る音がした。」と語っている。
「ミユさん・・・さつきさん・・・今すぐあなた達に会いたいわ・・・うん、すごく会いたい。なんて言うか生で見たい。来て、今すぐ来て!そのまんまの格好で来て‼︎家は向かいでしょ!駆け足ーッ‼︎」
《はっ、はいぃっ⁉︎・・・じゃあ、さつきさん・・・》
《えっと・・・わたし昼間は出歩けないから・・・》
死徒の特性上昼間に出歩けないので、美遊は1人で暴走するイリヤに立ち向かわなければならない。
「あの・・・おじゃましま・・・」
「いらっしゃーい!すっごーい!ホントにメイド服だー‼︎」
案の定、イリヤは暴走して部屋に入ってきた美遊に即座に抱きついている。
「本物?本物の小学生メイド?ちょっと『ご主人様』って言ってみて!」
「え、普通は『お嬢様』じゃ・・・」
「いいから‼︎早く‼︎」
「ごっ、ご主人様ーッ⁉︎」
暴走を続けるイリヤの圧に押され、完全に受けに回っている美遊。その一連のやりとりを見ていた人物がいた。
「え、えーと・・・イリヤ?」
「・・・ハッ!お兄ちゃん⁉︎」
何度ノックしても返事がないので、何かに熱中してるのかと思った兄、衛宮士郎が部屋に入ってきた。本人に悪気はないが、こういう時は決まって彼が痛い目にあう。
「バッ・・・バカ〜ッ‼︎」
「なんでさーッ‼︎」
イリヤにフルパワーでビンタされ、床に倒れこむ士郎。美遊は士郎の顔を見てからというもの、ずっと固まっていた。
この作品を書き始めたはいいものの、いつさっちんが死徒だとイリヤ達に明かすべきか迷ってます。
もし今後、私が何か作品を書くとしたら、読みたいのは?(詳細は活動報告に記載)
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遠野志貴×サイコホモ弓塚さつき
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○○の主役は我々だ! in FGO
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○○の主役は我々だ! in ドルフロ
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ペルソナシリーズ オリジナル作品
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弓塚さつき、異世界転生で最強になる