Fate kaleid moon プリズマ☆サツキ   作:創作魔文書鷹剣

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これは、遥か遠い未来。いずれ彼女がたどり着く未来か、「他の彼女」がたどり着く未来か。


ep25今は遥か遠い未来

〜さつきside〜

 

(志貴くん・・・起きてるかな?)

 

思ったより早く起きてしまい、特にやることもないさつきは志貴の部屋に向かった。軽いノックの音に返事は返ってこず、さつきは意を決して部屋に入った。

 

(志貴くんの寝顔・・・えい!)

 

隙だらけの志貴に接近し、思い切って頰を指で突く。起きている時は恥ずかしくて出来ないが、今ならいくらでも出来る。因みにさつきは既に十何回もやられているが、本人は知る由も無いし知らない方が良いかもしれない。

 

「ムニャ・・・・・」

 

(起きちゃった⁉︎・・・あっ、手握られてる・・・)

 

流石にやりすぎたかと思いきや、単に寝返りを打っただけだった。ちょっといたずらが過ぎたと思って帰ろうとしたが、手を握られて帰るに帰れない。

 

(も、もうちょっとだけここに居ようかな・・・)

 

ほぼ毎日こんな感じにイチャイチャしているが、別に慣れたりはしない。むしろ毎日してるせいで常に心臓がバクバクして、音が周りに聞こえるぐらいドキドキしてるのが実情だ。

 

「志貴くん・・・大好き」

 

「おれも・・・」

 

まさかの答えが返ってきた。

 

(・・・あ、あれ?もしかして今気絶してた?)

 

不意打ちすぎる言葉に、動揺を通り越して気絶した。

 

(あれ?志貴くんがいない・・・?)

 

「えい」

 

「ひゃうッ⁉︎」

 

振り返ったら、後ろで志貴の指が構えていた。ちょうどベストポジションに指があり、先程さつきがやったように頰を指で突かれた。

 

「絶対やってたでしょ?(こっちは何回もやってるけど)隣に転がってた時は何事かと思ったけど、眠かった?」

 

(朴念仁・・・)

 

志貴が朴念仁なのはもはや誤魔化せないレベルで常識だからしょうがないし、今更恋に鋭敏になられたら逆に困る。もっとも、さつきも若干抜けているため案外お似合いなのかもしれない。

 

(最高・・・寝顔見た時本気で発狂するかと思った・・・)

 

この遠野志貴、少々変態性が発露気味である。

 

〜そして昼になった〜

 

(志貴くん、どこか行っちゃった・・・)

 

志貴が野暮用で外出してしまい、自動的にさつきはお留守番となった。四六時中イチャついているだけあって、唐突な置き去りはかなり寂しいものであった。因みに志貴の野暮用の内容は・・・

 

「先輩・・・さつきがかわいいんです」

 

「何で私に言うんですか・・・?」

 

これであった。早く結婚しろよ、あくしろよ。

 

(早く帰ってこないかなぁ・・・)

 

恋する乙女は恋の相手がいないとこうも寂しくなるものだ、さつきの場合はこれが極めて深刻である。何しろ志貴がいないと寂しくて泣き寝入りし、志貴が他の女と話してたら嫉妬して拗ねるのだ。ちゃんと大切にしてあげましょう。

 

(寝てたら、また同じことしてくれるかな?)

 

淡い期待に胸を踊らせながら、志貴の部屋で帰りを待つ。ふと、ベッドの下を見てみようと思った。

 

(し、志貴くんもベッドの下に色々隠してるのかな・・・?)

 

見られる側からすればたまったもんじゃないが、さつきに悪意は無いから許してあげてほしい。彼氏のベッドの下なんて、気になって仕方がないだろうしネ!

 

「え・・・こ、コレは・・・」

 

思わず声に出てしまうほどの衝撃だった。メイド物8冊・妹物7冊・その他ニッチな分野の本は12冊も隠してあった。どうやってこんなに揃えたんだコレ。

 

「し、志貴くんってこういうの好きなの・・・?」

 

若干驚きながらも、一冊一冊読み進める。志貴の好みが知りたいだけなので、あくまでさつきに悪意は無い。あっても可愛いから許されるのがこの世界線だが。

 

〜その後〜

 

「ただいま〜」

 

「お、お帰りなさいませ、ご主人様・・・」

 

「・・・え?きゅ、急にどうしたの・・・?」

 

誰しも家に帰ったら彼女がメイドみたいな出迎え方してたら流石に驚くし、この尊さに耐えられる人間がいるのかどうかすらわからない。現に、志貴は一瞬気絶しかけた。

 

「し、志貴くんってこういうの好きなんでしょ?だから頑張ったんだけど・・・どうかな?」

 

「・・・と、ところで俺の好みなんてどうやって調べたの?」

 

「志貴くんの部屋にいっぱいあった本に書いてあったから・・・だから、こういうのが好きかなって・・・」

 

この瞬間、志貴は察した。自分の秘密、ひたむきに隠した宝物が見つかっており、あまつさえ中を見られていたことを。

 

(見られた・・・頑張ってかき集めた物全部・・・)

 

「だ、大丈夫志貴くん?」

 

「ダイジョウブデス・・・」

 

志貴は人生で1番落ち込んだが、さつきに対しては一切怒れない。こんなかわいい顔で覗き込まれたら怒ったりできないし、泣かれたら落ち着かせるのが難しくてしょうがない。(泣き顔もかわいいが)

 

「と、ところで結局用事って何だったの?」

 

「ちょっと・・・先輩のところに・・・痛い!急に何⁉︎」

 

そんなこと言ったらさつきが嫉妬するって気づかないあたり、流石に朴念仁である。

 

〜夜になるまでカット〜

 

「おやすみなさい、志貴くん」

 

「ああ、おやすみ」

 

本当は一緒に寝たいところだが、今の仲に至るまでに一生分の勇気を使い果たしたために言い出せないでいる。

 

(今日も楽しかったなぁ・・・)

 

今日1日を振り返って、総評はいつもと同じだった。毎日のようにイチャついて、好感度+100を超えて好きになる。一緒にいればいるほど好きになるというのがお互いの相手への評価である。

 

(志貴くんと毎日一緒なんて・・・夢みたい・・・)

 

吸血鬼に堕ちた少女は夢を見る、いつか一緒にいられるようにと。

 

吸血鬼に堕ちた少女は望む、いつかまた会えることを。

 

吸血鬼に堕ちた少女は笑う、不安を忘れるために。

 

「夢かよ」

 

吸血鬼に堕ちた少女は願う、いつかこの夢が現実になるようにと。




さっちん誕生日おめでとう!弓塚さつき生誕祭に合わせて急ピッチで書いたおまけだけど、いつか夢じゃなくなるんだなコレが。とにかく、さっちんに幸あれ。

もし今後、私が何か作品を書くとしたら、読みたいのは?(詳細は活動報告に記載)

  • 遠野志貴×サイコホモ弓塚さつき
  • ○○の主役は我々だ! in FGO
  • ○○の主役は我々だ! in ドルフロ
  • ペルソナシリーズ オリジナル作品
  • 弓塚さつき、異世界転生で最強になる

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