Fate kaleid moon プリズマ☆サツキ 作:創作魔文書鷹剣
イリヤside〜
休み時間の教室という場所は、非常に騒がしいものだ。同年代の子供がこれほど沢山集まれば騒がしいのは当然だが、今日はいつもに増して騒がしかった。
「ねぇ知ってる?町の北にある長い坂、『出る』らしいよ!」
「アイツ、昨日の夜に変な人影を見たらしいぜ。」
「屋根の上を飛び回ってたみたいなんだって!」
元々様々な理由から話題性に事欠かない冬木市だが、最近はいつもより話題が豊富だ。普通ならこんな事態はおかしいと誰かが気づくかもしれないが、今回は多くの人が気づいていない。
「ねぇルビー、この噂ホントかな?」
『こんなに広まってるわけですから、元になった何かはあるんでしょうけどねー。まぁ屋根の上を飛び回る怪物とか、テンプレすぎますけど。』
奇怪な化け物と形容できる怪物の話は、世界各地でよく聞くものである。が、この21世紀にそんな話が突然広まるのは不自然だ。つまり、十中八九元になった「怪物」がいるのだ。
「イリヤ、どうしたの?」
「あ、美遊。いやー・・・最近噂話が多いなって話。」
「たしかに・・・いろんなの聞く。」
『私も様々な噂を聞きました。疑わしいものから妙に現実味があるものまで多種多様です。』
サファイアが小耳に挟んだ噂は数ばかり多いが、大半はどこかで聞いたような話ばかりだった。信憑性がある噂はごく一部だけで、それらも人によっては信じられない内容だ。
「なんか・・・最近色々変だよね。いろんなことがあったし、ここにきて急に噂話が増えるなんて・・・」
「イリヤの言う通り。ここ最近で色々起きすぎ。」
ここしばらくの冬木市は様々な出来事が同時多発的に発生していた。それらは全て、イリヤ達の奮闘で大ごとになる前に解決された。しかし、こういった「怪物」にまつわる噂話の多さは、明らかにその発生源になる「何か」があるとしか思えない。
『私達の方でさつき様とオルタ様に話しておきます。あの2人はどうにも気がかりなので。』
「うん、その方がいいと思う。」
実際、この場にいる誰もがあの2人に話を聞きたいと思った。だが、さつきはあまり多くのことを知らないようだし、オルタは口が固く抱えている秘密について語ろうとしない。2人から情報を聞き出すのはかなり難儀だ。
〜さつきside〜
『・・・というワケでして。最近、様々な噂話が聞ける状況になっています。』
「・・・なるほどね。で?それが私達とどう関係してるの?」
「屋根の上を飛び回ってた人物・・・こんなことができる人は少ないはず。死徒ならできると思います。」
「そ、そんな疑うの・・・?」
現在、ルヴィア邸にてさつきとオルタが尋問されていた。美遊達が学校で聞いた噂の数々、その内のいくつかは死徒の能力をもってすれば実現できるものもあった。結論として、これらの噂の内一部は死徒である2人を見たのではと考えられた。屋根の上を飛び回ってた人影に関しては、逆にそれ以外に理屈がつけられない。
「疑うなら勝手に疑えば?少なくとも私はそんな噂知らないし。」
特に反論するでもなく、オルタは私室に戻った。
〜その夜〜
冬木市内の一角、小さな公園で乱闘が起きていた。片方は人の道を逸らされた怪物、もう片方はそれを浄化する代行者だ。
「死徒紛いの急激な増加・・・やはりこの地に強大な『厄災』が迫っていると見るべきでしょうか。それにしても・・・」
市内のいたるところに現れる死徒紛いの怪物、駆逐し損ねれば地獄の蓋が開かれる。不規則に出現する怪物を先回り出来ずに後手に回り続ける一方では、いつか限界が訪れてしまうだけだ。いかに彼女が「弓」と呼ばれる強者だろうと、こればかりは厄介きわまりない。
「この出現頻度、私1人ではやはり無理がありますね・・・せめて後から来た増援と合流して・・・何の用ですか?」
「大した用じゃないわ、聞きたいことができたの。」
夜の闇から、オルタが姿を現した。吸血鬼たる彼女にとって目の前の代行者は天敵の筈だが、気にせず会話を始める。
「疑わしい噂の発生、怪物の出現、そして・・・避けられない破滅。心あたりある?」
「そんな適当な・・・もっと具体的に話せないんですか?」
「じゃ、先輩の知ってる「個性豊かな27体の化け物」は?どうせ見当ついてるんでしょ?」
「・・・・・ッ!!」
「ビンゴ・・・って顔ね。」
オルタは明らかに確信を持っている。だが、それでも不安要素は出来るだけ排除しておきたい。そのための情報を得るために、今夜は聖堂教会の刺客と楽しくレクリエーションというわけだ。
「で?その心あたりはどんな化け物?」
「いえ・・・・・・・『アレ』は既に化け物の範疇を超えています。もはや、永久不変の『現象』として世界を蝕む厄災です・・・・・・死徒27祖第13位『タタリ』この戦いは、私達の負けかもしれませんね。」
「タタリ・・・死徒27祖の一体がいるってわけね。やっぱりこの街特異点なんじゃない?三咲町もまあまあカオスだったけど、こんなに酷くはなかったし。」
(三咲町も充分無法地帯だった気がしますが・・・。)
かつての記憶に想いを馳せながら、これからやって来る厄災への備えを始めなければならない。地獄の蓋が開く瞬間はすぐ近くまで来ているし、何より死徒27祖に名を連ねる化け物に対して受け身のままでは確実に死を迎えるだろう。
(私が見たモノがソイツに関係してるのか・・・先ずはそこからね。)
ひっさしぶりに本作を書きましたよ。そういえば、リメイク版月姫のテストプレイが少しだけ進んでるようですね。さっちんが幸せになれますように。生まれる前からリメイク待機してたんで、期待大です。
もし今後、私が何か作品を書くとしたら、読みたいのは?(詳細は活動報告に記載)
-
遠野志貴×サイコホモ弓塚さつき
-
○○の主役は我々だ! in FGO
-
○○の主役は我々だ! in ドルフロ
-
ペルソナシリーズ オリジナル作品
-
弓塚さつき、異世界転生で最強になる