Fate kaleid moon プリズマ☆サツキ 作:創作魔文書鷹剣
〜さつきside〜
「あっ、おかえり美遊ちゃん。」
オルタの部屋から戻ってきた美遊を見つけた。いつもに増して表情が固いことから、多分上手くいかなかったんだなと予想する。
「・・・ダメだった?」
「ダメでした・・・」
案の定だった。やはりオルタは口を閉ざしたまま何も教えない気なのだろう。既にイリヤには隠し事の内容が伝わっているが。
(何でオルタは何も言わないんだろう?絶対余計に怪しまれるだけなのに。いっそ嘘ついてでも安心させてあげた方がいいんじゃないかな・・・?)
さつきはこんな事考えてるが、隠し事の内容を踏まえて考えれば黙ってるより嘘をついた方が危険なのは一目瞭然だ。今度の相手はガード集めの時とはわけが違うし、イリヤと美遊を巻き込むまいとするのも至極当然だ。
「こんな所で何をやってるんですの?」
「ルヴィアさん・・・」
1人で考えこんでいたところにルヴィアが通りかかった。何故だか久しぶりに会った気がするが、きっと気のせいだろう。
「私の
「は、はい・・・」
ルヴィアは風のように現れ、風のように去っていった。それでも、この僅かな言葉がさつきには嬉しかった。この程度の叱責なら薬になるし、少しでも明るさを取り戻せば彼女は前に進み出すだろう。
「あ、イリヤちゃんとも話さなきゃ。多分噂聞いてるよね。」
どうせ行くのは一瞬だし、ちょっとお話してこようとルヴィア邸を飛び出した。オルタが分離してから日光を浴びても大丈夫(ちょっとダルいぐらい)になり、こうしてお出掛けも出来るようになったのは素直に嬉しい。オルタに感謝だ。
「イリヤちゃーん!ちょっとお話しよー!」
こんなアポ無しの突撃訪問を敢行するあたり、さつきはどこか抜けてるんだろう。普通は事前に連絡して行く時間を決めたりする筈だが、吸血鬼生活の影響か元々天然気味だったのが更に加速したようだ。かわいいからセーフだけど。
「ごめんねー、急に来ちゃって。ちょっとお話したくてさ。」
『フッフッフッ・・・貴女とお話したいのはこちらも同じ!さつきさんの秘密!とことん暴いちゃいますよー!』
「あーっと・・・それはまたいつかね。」
「いつかはやるんだ・・・」
と、いうわけで・・・現在2人と1本のトークショーが繰り広げられている。めちゃめちゃグイグイくるルビーと強く来られると突き放せないさつきではトークの相性最悪なのに加え、イリヤも振り回される側の人間なせいで今この場にルビーを抑えられる人物がいない。まさにルビーの独壇場だ。
『時にさつきさん!ルビーちゃん秘蔵のラヴパワーに興味はありませんか!?今ならあなたの秘密と引き換えに譲っちゃいますよー!』
「秘蔵のラヴパワーって何・・・?さつきさん、こんな話聞くだけ」
「それ使ったら・・・メインヒロインになれるかな・・・?」
「さつきさーーーん!!ダメーー!戻って来てーー!」
メインヒロインの座に目が眩んだが、イリヤの必死の叫びが功を奏してギリギリのところで正気に戻った。危うく乙女の秘密を売ってしまうところだった。
「そ、それで・・・イリヤちゃんは聞いたの?色んな噂。」
「うん、学校でみんな言ってたし・・・凛さんが教えてくれた。この噂、一部はホントで変な怪物がいるんだって。」
「え?」
「え・・・?」
さつきは驚愕した。美遊が言ってた「噂」はあくまで噂で、勝手に一人歩きしただけのパチモンだと思っていた。しかし、現実は違った。数々の噂の裏には謎の怪物がおり、それの目撃情報が「噂」として世間に流れていた事実。何より、それをイリヤが知っていた事が驚きだった。
(て、いうか・・・何でイリヤちゃんだけが教えられてるの!?そもそもそれってオルタも知ってるんじゃない!?ちょくちょく夜中に出かけてたの怪しいし!もしかしてオルタが隠してる秘密ってコレなんじゃない!?)
「さつきさーん?もしもーし?」
『この人自分の世界観に入っちゃうと面倒くさいですよねー。』
「シレッと悪口言われた!?」
さっきから致命的に会話が成立していない。どうやらこの2人と1本の話術は全てが少しずつ噛み合わないようで、僅かに話が逸れると脱線したまましばらく直らないようだ。ここまで酷いのも中々見られないが。
「そ、それでイリヤちゃんが聞いた「噂」はどんなの?もしもの時のために知っておいた方がいいかなって。」
「えーと・・・夜中に「出る」とか、屋根の上を誰かが飛び回ってたとか・・・そんなの。多分ミユも同じ噂聞いてると思う。」
『何なら今すぐサファイアちゃんとお電話しますかー?みんなでお喋りできて便利ですよ?』
「いや、後で本人に聞くからいいよ。で、話題の「出る」のはお化けだよね。屋根の上を飛び回ってたのは・・・オルタなのかな?」
「多分・・・そうだよね。この前みたいに夜中に出掛けてるんなら、それを誰かが見てたのかなー・・・?何で屋根の上にいたのかは分かんないけど。」
どれほど議論を重ねても核心に迫る答えは見えず、逆に頭がこんがらがるばかりだ。前述した相性の悪さがそうさせるなか、それとも単純に答えを得るためのピースが揃っていないからか。どちらにせよ、今この場で何か進展があるわけではないのは確か。
「そっか、お話付き合ってくれてありがと。またいつかお喋りしようね。」
「あ、え!?もう終わり!?もっとゆっくりしてったら・・・って、もう行っちゃったし・・・」
『空回り気味ですねーイリヤさんは。』
少しずつでも、彼女達は前に進んでいる。
さっちんのロリ形態を妄想して危うく死にかけた直後にさっちんの話を書いている私は、魂までさっちんに吸血されて忠実なしもべになっているのかもしれませんね。