Fate kaleid moon プリズマ☆サツキ 作:創作魔文書鷹剣
〜さつきside〜
現在、ルヴィア邸の一角にあるオルタの部屋ではさつきとオルタが話をしている。話といっても世間話の類ではなく、極めて重要な情報共有をしているのだ。
「それで・・・?イリヤは知ってたってわけ?あのうっか凛が口を滑らせたせいで。」
「う、うん・・・「噂」は一部本当で、その裏に謎の怪物がいるらしいって言ってた。」
(・・・あのアホ。何で知ってんのよ、何で言っちゃうのよ。)
一応凛はこの冬木市のセカンドオーナーである以上、市内で起きる「神秘の側」に属する問題は全て把握している。そのため今回の騒動も当然実情把握に努めていた。それが幸いして(僅かながら)情報収集に成功したのだが、持ち前のうっかり癖が災いして自分の(元)
「あのうっかりレッドの話は置いといて、重要なのはイリヤが『怪物がいる』って情報を知ってしまったことね。あのホワイトロリータ、『みんなのために戦わなくちゃ!』とか言い出しそうだし。」
「わたし・・・やっぱりイリヤちゃんには戦ってほしくない。ホントは戦いとか無縁なはずなのに、すぐ命はって危ないことするから・・・平和に暮らしてほしいな。」
(アンタも大概危なっかしいんだけど?)
ブーメランが突き刺さった。危なっかしい真似してるのはさつきも同じなはずだが、本人にその自覚がないからタチが悪い。
「それで・・・よかったら、オルタが抱えてる秘密も教えてくれないかなー。なんて・・・」
「わかった・・・わかったから・・・教える教える。」
ついにオルタは秘密を明かす気になった。このまま黙っていても、イリヤが勝手に動き回るのは目に見えている。ならば敢えて秘密を明かすことで事態の深刻さを理解させ、自発的にひっこんでもらう考えだ。
「冬木市内に蔓延してる『噂』とその裏にいる『怪物』、その怪物ってのは私やアンタと同じ低位の死徒。でもコイツらは前座、本命の怪物は『タタリ』死徒27祖13位に位置する化け物。色んな噂が流れるのはコイツが現れる前兆で、次第に噂がエスカレートしてったらコイツが登場。辺り一面根こそぎ滅ぼして去ってゆく・・・わかった?」
「う、うん。なんとか・・・」←あんまりわかってない
(絶対わかってないでしょ・・・)
バレてた。さつきの場合、嘘が下手すぎて顔に出てるのだ。急にあんな話聞かされて理解しろと言う方がおかしいが、もはや理解できるかどうかは関係ない。嫌でも現実に食らいついていかねば、待っているのは悉くが破滅を迎える未来だけだ。
「とにかく、今後はコイツをどうにかしないといけないの。さもなきゃ、私もアンタも・・・嫌、辺り一面が崩壊してみんな御陀仏よ。」
「そっか・・・それは確かにイリヤちゃん達巻き込めないね。絶対無茶するから。」
「だからアンタもだっての・・・私の手伝いするのは勝手だけど、邪魔
だけはしないでよね。ただでさえギリギリの状況かもしれないんだから・・・」
「あの・・・さっきから何話してるんですか?」
突然聞こえた第三者の声に振り返ってみれば、部屋の入り口には美遊がいた。部屋にいた2人の思考は「誤魔化す」の一言で一致したが、イリヤと美遊を巻き込むまいとした途端に美遊が現れてしまったのはマズい。おまけに話を聞いていたかもしれない。そうなれば隠しようがなくなって美遊を巻き込むことになるし、そうなればイリヤが参戦するのは目に見えてる。
(何とか誤魔化して、追い返すしかないか・・・?)
「大丈夫だよ美遊ちゃん、ちょっとお話してただけだから。」
「大丈夫・・・?あの、さつきさん。嘘ついてますよね。」
「えぇッ!?い、いや別に嘘とかついてないから!!」
(あんな簡単なブラフに引っかかるとか、嘘つくの下手すぎでしょ。)
実際美遊は確証があってさつきを問い詰めているわけではない。だからこそ簡単なブラフを仕掛けたのだが、予想以上に効果的面で嘘臭さが倍増した。オルタにも小馬鹿にされてるし。
「やっぱり嘘ついてますよね。」
『100%嘘ついてます。じゃないとこんなに動揺しません。』
「サ、サファイアまで!?何でこんなに疑われてるの!?」
(そりゃ疑うでしょ。)
あまりにも嘘が下手なせいで、疑惑が払拭されずに益々強まっている。こんなに疑われて尚嘘をつける筈がなく、もう正直に自白するしかない。
「もう誤魔化せないみたいね・・・いいわ、教えてあげる。今この町で何が起きているか・・・」
ついにオルタが口を開いた。さつきの狼狽ように呆れたからか、もう誤魔化しはきかないと考えたようだ。「噂」は一部本当でその裏には自分と同じ死徒がいること、近いうちに「タタリ」が出現してしまうことも全て。
「そんなことが・・・」
「コイツを止めるには情報収集も必要。だからアンタとイリヤはこっちの担当、学校で新しい噂とか色々聞いてきて。」
「はい・・・」
「夜は死徒が動き出すからじっとしてなさい。夜間は私と、そこの鈍臭いヤツの2人で動くから。」
「鈍臭いとか言わないでよぉ・・・」
さつきの悲しい呟きは誰にも聞いてもらえなかった。
「それじゃ、あのホワイトロリータにこの話伝えといて。」
「はいッ!」
妙に気合の入った感じで美遊はイリヤの元に向かった。サファイアのテレビ電話機能でもいいが、これほど重大な話は直接会って話した方がいいに決まってる。
「ホラ、さっそく今夜から行くから準備しときなさい。」
「は〜い・・・」
オルタは少しだけ周りにいる人たちを過小評価していた。誰だって友達のためなら動いてくれる。オルタは紛れもない友達なのだから。
FGOにさっちん来ないかなぁ・・・