Fate kaleid moon プリズマ☆サツキ   作:創作魔文書鷹剣

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最近話が異次元に向かって捻れてる気がする・・・

???「凶れ」


ep35本心

《さつきside》

 

 タタリ退散パーティに新しくルヴィアが加わったものの、協調性の欠片も無いせいでこれ以上のメンバー加入は望めない。一応どこぞのうっかりレッドがまだ残ってるけど、メンバーに加えたら絶対ルヴィアと喧嘩するから入れたくない。だから今の人数で満足するしかない。

 

「ホントに死徒いないんだね、やっぱり先輩がやってるのかな?」

 

「それもある。けど『シロウ』って奴がいる以上先輩だけとは限らないし、そもそも先輩だって味方ってわけじゃないからね。」

 

 夜になっても死徒は現れない。この状況は明らかに「誰か」が死徒を駆逐しているからこそ起こりうる状況だが、問題は「誰がやっているか」だ。シエル先輩ならば味方になってくれる可能性はある。この世界線の彼女は妙にさつき達に甘いし、上手く味方に引き込めれば百人力だ。しかし「シロウ」だった場合はそうはいかない。間違いなく殺し合いになる上に、向こうは一切躊躇が無い。最悪タタリと合わせて三つ巴になれば全てが崩壊する。彼は何としてでもタタリ出現前に仕留めねばならない。

 

「そういえば・・・この前会った人はどうなったのかな?」

 

「アレの心配はしなくていいでしょ。思い出すのも嫌なの。」

 

 不意に電柱の根本に転がっていた男女性を思い出した。嵐のように吹き荒れて去って行ったあの人物は、思い出すだけで嫌になるような疲労感をもたらした。おまけにさつきがドジったせいで探し中の女性は見つからないだろう。

 

「ここの河原も異常無し・・・と、思いきや肉片。多分死徒の残骸ね。相当弱くてあっさり倒されたんでしょ。」

 

「えぇ、確かに楽でしたよ。」

 

 背後から声が聞こえた。振り返るまでもなく誰だかわかる。シエル。聖堂教会の代行者であり、「弓」の異名を持つ凄腕である。彼女がこの町にいるということは、それ相応の脅威があるということ。つまり向こうの目的もまた「タタリ」なのだ。

 

「何の用?こっちは忙しいんだけど。」

 

「伝えなければいけない事があります。貴女方2人に・・・」

 

 その言葉は重みに溢れていた。伝えることは何より苦しい。しかし伝えずにいるのはもっと苦しい。相手のためなんだと自分に嘘をついても意味はなく、全ては自分がこの苦しみから逃げたいだけだと理解してしまった。自分はどこまで我儘で自分勝手なんだと嫌気が差す。

 

「私はかつて死徒に成り果てた貴女(さつき)と対峙し、これを討ち取りました。それは死徒を駆逐すべし、という自らの正義感故の行動です。しかしそれは大きな過ち・・・遠野志貴、彼を傷つけてしまいました。彼は今も傷心の身、全ては私の未熟さ故。この町でどれだけ死徒紛いの怪物を切り裂いても、所詮私は許されざる罪人・・・彼の元を離れたかっただけ・・・彼が抱く私への恨みに耐えられるなかっただけ。

 

 其れは彼女の苦しみ。自らの過ち故に愛する者を傷つけて、彼の元を離れて尚罪で汚れた両手は洗えない。彼女は彼と共に歩むには汚れすぎたのだ。

 

「今ならまだ間に合います。タタリが出現する前に逃げれば、生きていられます。貴女方は私と違う、罪で汚れていません。勝ち目の無い争いに首を突っ込んで死ぬ必要はありません・・・だから、今すぐに逃げなさい。」

 

「悪いけどそれは無理、首突っ込まなきゃいけないの。」

 

 シエルの言葉を聞いたところで、オルタの決意は変わらない。勿論さつきも同様に既に心は決まっている。さつきはイリヤと美遊のために、オルタは自らが視た幻視の正体を探るために。2人の目的は違うが、奇妙なことに見ている方角は一緒だ。

 

「私達、友達のために頑張らなくちゃいけないんです!だから逃げません!」

 

「『達』って言ってるけど、私は別に友情とか関係無いから。ただ解き明かしたい謎があるだけ。」

 

「・・・わかりました。そこまで言うのなら止めはしません。ですが、タタリに立ち向かうのは言うなれば破滅の運命を変えるような無謀です。それでも立ち向かうのですね・・・?」

 

 答えは決まっている。Yesだ。たとえこれから先の旅路がどれほど苦難に満ちていても、今更退くことは無い。タタリがなんだ、破滅の運命がなんだ。そんなことで逃げ出すほど2人は臆病じゃない。いや、実際さつきの足はちょくちょく震えてるけど。

 

「先輩は一緒に来ないんですか・・・?」

 

「私は一緒にいられません・・・その資格が無いのです。」

 

 その言葉がさつきを熱くする。

 

「じゃあ資格って何ですか?誰かに許されなきゃ、一緒に居ちゃいけないんですか?先輩は遠野くんに恨まれて逃げて来たって言いました。でも、きっと遠野くんは先輩のことを恨んでなんかいません!だって・・・だって、遠野くんは誰にでも優しい人ですから!何があっても、親しい人を恨んだりしません!!」

 

「何いきなり彼氏の話してんの?」

 

 その一言で急に冷静になったのか、さつきは静かになった。そして次の瞬間には耳まで真っ赤になって逃げ出した。

 

「じゃあ、そういうことで。」

 

 オルタもそう言い残し、逃げ出したさつきを追いかけに行った。後にはシエル1人だけが残った。

 

「全く・・・貴女は相変わらずですね。」

 

 その呟きは夜空に消えて、彼女の心は少しばかり晴れやかに。ただ自分の本心を覗きこまれた上で諭してくれて、気分が楽になった。もしかしたら自分は許されるのかもしれないと一抹の望みを抱き、天を仰ぎ見る。

 

「貴女は・・・私を許してくれますか?」

 




今気づいたけど、どんなに早く書き上げても原作終わるまで今作終われんやん。

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