Fate kaleid moon プリズマ☆サツキ 作:創作魔文書鷹剣
〜イリヤside〜
「そんでさイリ子、また空を飛び回る影が見つかったんだよ!」
イリヤはクラスメートからの情報収集を行なっているが、得られる情報はどれも価値の無いモノばかりだ。今聞いた話も今までに聞いた話と何ら変わらず、いよいよ学校での情報収集活動も限界が近づきつつある。
「イリヤ 、どうだった?」
「ダメだった・・・みんな聞いたことある話しかしない。美遊の方は?」
「・・・こっちもダメ、やっぱり『タタリ』が現れるのが近づくまで進展無さそう。」
2人とも頭を抱えていた。ここまで進展が無いとどうしたらいいか分からず、無駄に時間だけが過ぎていきそうで恐ろしい。特に今は少しでも時間を惜しむべき時であり、刻一刻とその時が迫っているというのに行動が空回りしているのが辛い。
『これ以上の情報収集は難しいでしょう。ここは一度皆様方と話し合って今後の方針を検討するべきです。』
「そうだね、向こうで何かあるかもしれないし。」
サファイアの鶴の一声でさつき達と話し合うことが決定し、今日の活動はお開きになった。この間完全に蚊帳の外だったルビーは不満気だ。
『なーんでサファイアちゃんの話は聞くのにわたしの話は聞かないんですかー?』
ルビーのチャチャ入れも平然と流されてしまう。かつてのイリヤはルビーのいらない台詞回しひとつひとつに反応してちゃんとリアクションをとってくれる数少ない人物だったが、このステッキに慣れてしまったのか精神的に成長したのか反応が無くなった。ルビー的には悲しい成長である。
「じゃあ今日は普通にしてようね。」
そんな時こそ、何か起きるものだ。
「い、イリ子イリ子!!ちょっとコレ見ろ!!スゴイ写真!!」
その手には一枚の写真が握られていた。彼女の話によるとクラスメートの1人が持ってきた写真みたいだが、それに写っているのがとんでもないものだった。
「コレ!コレ!めっちゃハッキリと顔がわかるぞ!!」
写真には夜空を飛び回る人が写っているが、この写真は他と違いその顔がハッキリとわかる。だが何よりイリヤにとって衝撃だったのはその顔が義理の兄に瓜二つだったことだ。
(この人が「言峰士郎」・・・お兄ちゃんにそっくり・・・)
「イリヤ、大丈夫?」
「う、うん。大丈夫・・・」
内心は全然大丈夫じゃなかった。既に言峰士郎の存在は知っていたがこれ程似ているとは思っていなかった。そういえばイリヤと兄の士郎は血をわけた兄妹ではなく士郎の方は父親が拾ってきた養子だったが、まさか彼と言峰士郎は血の繋がった兄弟だったりして・・・なんて想像にイリヤが囚われているうちに写真の件はお流れになった。
「・・・ホントに大丈夫?」
「・・・え?あ、大丈夫だよ!?何か変に見えた!?」
全く大丈夫じゃないと美遊は見抜いていた。未だかつてこれ程動揺したイリヤは見たことが無く、美遊(ルビーとサファイアも)はイリヤの兄を見たことがあるが故にその動揺は理解できる。他人のそら似ではとても説明できないほどに酷似しているその姿を見てイリヤが冷静でいられる訳がない。
『皆さま、「言峰士郎」という人物についてですが。タタリとの関係性が考えられますので、後に詳しくお話します。』
『最近はサファイアちゃんが仕切り役みたいになってしまって・・・純粋無垢で姉思いだった頃のサファイアちゃんはどこに行ってしまったんでしょう・・・』
『そんな時期はありません。』
(ちょ!?ルビーもサファイアも声抑えてってば!!)
最近、イリヤと美遊の机付近で謎の声が聞こえると噂になってるらしい。その噂を聞いたイリヤと美遊は頭を抱えたという。
《ルヴィア邸にて》
現在イリヤ達はルヴィア邸に集まりさつき達と一緒に話し合いをしている。学校で集めた噂に関する情報を話し、さつき達が夜の巡回中に起きた出来事を話す。とはいえ夜チーム(ルビーが命名)も特に何か掴めたわけではないが、収穫があるとすれば聖堂教会の代行者である「シエル」と接触し味方に引き込めようとしているらしい。ちょっと人生お疲れモードみたいだけど。
「やっぱ手探りで解決策探すってのは無理よね・・・」
『皆さま、その解決策についてですが。例の「言峰士郎」に接触するべきだと思います。タタリの能力の1つに「ifの存在をも具現化する」という能力がありまして、彼はイリヤさまの兄「衛宮士郎」さまのifとして具現化したのだと思われます。』
『わたし達の創造主はその辺に詳しいですからねー、タタリに関する情報は確かですよ。』
『具現化した言峰士郎が聖堂教会の武器を握っていた以上、彼は代行者の1人でしょう。タタリが具現化した存在でありながら、下級の死徒にとって天敵とも言える人物なのです。ならば、彼はと接触して上手く味方に引き込めればこれ以上ない戦力になるかもしれません。』
「・・・引き込める確証あるの?」
『それに関しては、まだ何とも。状況が煮詰まって「終わり」が近づけば近づくほどに可能性は高まるかもですが・・・ハッキリ言って未知数です。上手くいく確証はありませんが、失敗する確証もありません。』
サファイアの提案は無茶苦茶だ。タタリが具現化した存在が代行者かもしれないから、味方にして戦力増強しようなどと実現が見込めない策を出したのだ。しかし現状の手詰まりな状況では他に策などない。たが問題が無いわけじゃない。
「たとえ接触できたとして、協力は難しいかもですわ。こっちにも死徒が2人いる以上、素直に協力してくれるとは思えませんわ。」
「私達がいちゃ難しいなら・・・逆に私達がいなければイケるかもってことだよね。だったら、また別行動すればいいんじゃない?」
「さつきさんの意見に賛成!わたし達でその人に会えればいいんでしょ?」
「イリヤ、夜に外出できるの?」
「うぅ・・・」
少々前途多難だが、やるしか道は無い。
次回はさっちんのターン。