Fate kaleid moon プリズマ☆サツキ   作:創作魔文書鷹剣

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ep45昼と夜と話し合い

《さつきside》

 

 月明かりに照らされて、2つの影は舞い踊る。建物の隙間を抜けて駆け回る2人に気づける者はいないだろう。

 

「弓塚さつき、貴女はタタリについて何を知っていますか?」

 

「えっと・・・吸血鬼で、死徒27祖第13位・・・ワラキアの夜って呼ばれる事もある・・・これくらいです。」

 

「概ね正解ですね、ですが重大なファクターが欠落しています。」

 

 シオン・エルトナム・アトラシアが続ける言葉、それこそがタタリを「厄災」たらしめる力。

 

「タタリの真の力、それは『世に蔓延る噂の具現化』です。」

 

 噂の具現化と聞いて、思い当たる節はたくさんある。イリヤ達が学校で聞いた噂、特に「屋根の上を飛び回る人影」あたりは印象に残っていた・・・身近に出来る人(自分も含む)が数人いるからだ。

 

「人から人へ伝わる噂・・・それが徐々に具体的になり、やがて現実の存在として出現します。そして「噂」が「真実」に達する頃には、破滅の時が来てしまいます。」

 

 破滅の時、それを回避するために誰もが策を練っている。だがタタリはそれを易々と許しはしない。なにせその力は一度出現しただけで一つの街を滅亡させてしまう程なのだ。そう簡単にいくわけがない。

 

「聖堂教会も対策を練ってはいますが・・・この町で回収されたという『クラスカード』の存在を加味しても、恐らくタタリには遠く及ばない。それ故に『別の策』が必要なのです。タタリに知覚されない、必殺の妙手が。」

 

 必殺の妙手、なんと響きの良い言葉だろうか。問題はそんな物があるとは到底思えない所だが。

 

「必殺って・・・そんな物がホントにあるんですか?」

 

「あるにはありますが・・・その殆どが私には使いようがない物ばかりです。特にアトラス院は世界さえ滅ぼしかねない代物が眠っていますので・・・。」

 

 むしろタタリよりもアトラス院の方が危険なんじゃなかろうか、と思ったさつきは間違いではないだろう。事実、世界を滅ぼすようなトンデモ殺戮兵器が7つぐらい封印されているみたいだし。

 

「だからこそ別の策なのです。あの夜に出会した少女が持っていた魔術礼装、あれも恐らく強力な代物ですが『必殺』とまではいかない・・・」

 

「あのー・・・、あのステッキ?ってホントに強いんですか?なんだか迷惑ばかりで扱いが難しい気がするんですけど・・・」

 

「アレの性能が恐ろしく優秀なのは魔術師ならば誰もがわかって当然です。アレは間違いなく魔道元帥、宝石翁が手掛けた一品・・・そもそも一介の礼装が英霊の座に接続できる事自体が異常なのですが・・・。」

 

(わからない・・・何が言いたいのか全然わからない・・・何も知らなくてごめんなさい。)

 

 さつきの無念すぎるぼやきは誰にも届く事はなく、会話は結論を出せぬまま時間だけが刻々と過ぎてゆく。結局今の彼女らが持ち合わせている手札ではタタリに遠く及ばないという事実を再確認しただけに終わった。

 

「アトラス院も聖堂教会も奥の手を隠してはいますが・・・それをこの場に、しかも私の提案を採用して持ち出してくるはずがありません。やはり今持ち合わせている手札で戦うしか・・・」

 

 ここでさつき達が持ち合わせている「手札」を再確認してみよう。「カレイドステッキ2本」「クラスカード7枚」「上記2つを使う魔法少女2名」「死徒2名」「代行者2名」「錬金術師1名」「宝石魔術の使い手2名」・・・うん、明らかな戦力不足だ。

 

「切り札かぁ・・・、そんな物があったら私達だって苦労しないよぉ・・・」

 

「それは百も承知です。ただ僅かでも敵を掣肘しうる可能性を帯びた『何か』が必要・・・それがない事には何も始まりません。後2日程度でどれだけソレに近づけるか・・・」

 

 あと2回月が登った夜、それがタタリのもたらす破滅の時だそうだ。その発言が確かなら、という事を前提にしているとはいえ、あまりにも短い。今だって時間を無駄にしていられないのだが・・・いかんせん頼るあても無い無謀な戦いに打って出る選択を迫られているのだから、冷静でいられるほうがおかしい話なのだ。

 

「とにかく、何としても切り札を手に入れねばなりません。そのためにも・・・弓塚さつき、貴女に協力を要請します。」

 

《翌朝、穂群原学園にて・・・》

 

 此処は学校の屋上、イリヤと美遊は何とかしてタタリに対抗せねばと対策会議を開いていた。対策会議と言っても2人が何か妙案を閃く事は無く、どちらかと言うとルビーとサファイアが中心となって話し合っている。あの問題児・改みたいなルビーが真面目に話しているのはシュールすぎるが・・・

 

『現状では私達が束になって挑みかかったところで返り討ちに遭うのが目に見えています。そのためにも、必殺の妙手が必要なわけですが・・・』

 

「ない・・・んだよね?」

 

 イリヤの問いにサファイアが無言で頷く。だが本心では別の考えを持っていた。勿論、美遊とルビーも。

 

(イリヤ様があの時に起こした爆発・・・あれは間違いなく溜め込んだ膨大な魔力を一気に解き放つ魔力爆発、あの威力をもし自力で制御できたならば・・・?)

 

 思い出されるのはアサシンのカードを手に入れるべく境面界に突入したあの夜、アサシンの毒によって身体を蝕まれたイリヤはあたり一面を粉砕した。しかもルビーの手を借りず、自らの魔力のみで。

 

(イリヤがあの力を使えればそれだけで十分な戦力になる・・・でも・・・)

 

 それは叶うならば使ってはいけない力だと、美遊達はわかっている。何故なら・・・

 

(あんな顔をするイリヤは・・・もう見たくない・・・)

 




 2234文字だと・・・?こんなに苦労して書いたのに?
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