Fate kaleid moon プリズマ☆サツキ   作:創作魔文書鷹剣

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ep46可能性

《さつきside》

 

 シオンとあれこれ会議(?)した翌朝、ルヴィア邸の一角にて・・・

 

「・・・で?昨日の夜はどこにいたわけ?」

 

「えっと・・・アトラス院のシオンさんと一緒に作戦会議を・・・」

 

 昨晩の会議から一夜明け、ルヴィア邸に戻って来たさつきはオルタにこってりと搾られていた。オルタは作戦会議するなら自分も呼べとかもうちょっと具体的な話をしろとか言っているが、もしかしたら自分が呼ばれなくて寂しいかったのかもしれないが・・・

 

「アトラス院も聖堂教会も信用ならないけど、今は嫌でも信じるしかないのはわかってるわ。でも奴らと接触するなら私も連れていきなさいっての。後悔しても知らないわよ。」

 

「で、でもあの人わりといい人みたいだし・・・」

 

「詐欺師に騙される主婦みたいな事言わないの。」

 

「本当ならオルタも呼びたかったんだよ?だけどさ、急に呼ばれちゃったから・・・。」

 

「はいはい、言い訳はいいから。」

 

 このくだりも何回やった事だろうか、相変わらず責められると弱いさつきはオルタに言い負けて凹んでいる。流石に本人も反省しているんだろうがそれ以上にオルタのネチネチした責め方が心に刺さるらしい。さっちんが落ち込んでる姿は可愛いけど可愛そうだからやめてほしいんだが・・・

 

「反省したんならせめてタタリへの対策ぐらい考えなさい。今は何よりも時間が惜しいんだから。」

 

「えーっと・・・アトラス院も聖堂教会も切り札みたいな物は持ってるみたいだよ?ただ、使うかはわからないけど・・・」

 

「だーかーら、他の誰かが持ってる切り札じゃなくてアンタ(・・・)が持ってる切り札を考えなさいよ。アンタ自分の事考えなさすぎ。」

 

「私の・・・切り札?」

 

 そんな物あったっけ?と思いつつこれまでの事を振り返ってみたが、切り札に該当するような隠し球に心あたりは無かった。ある日突然死徒になってしまった事、シエル先輩に追いかけ回された事、急に冬木市に来てしまった事、イリヤ達と出会って変な戦いに巻き込まれた事・・・ギリギリ思い出と呼べそうな記憶は幾つかあるのだが、自分の切り札になりそうな物は一つも無かった。

 

「・・・わからないならいいわ。どうせ然るべき時にわかるだろうし。」

 

「然るべき時って・・・?ちょっと、ちゃんと教えてよ〜!」

 

 さつきの懇願も聞き入れず、オルタはどこかに行ってしまった。

 

「はあ〜ぁ・・・どうしよ。」

 

『お困りのようですね、さつき様。』

 

「うわぁ!?サファイア!?」

 

「私も・・・」

 

「あっ、美遊ちゃんも。」

 

 どうやらカレイドステッキには人の不意をついて現れる習性があるらしい。美遊はちゃんと普通に出てくるのに、サファイア(ルビーも)はちょいちょい驚くような現れ方でさつきの不意をつく・・・こんな簡単に不意をつかれるさつきは流石に気を抜きすぎだが。

 

「かくかくしかじか・・・」

 

「・・・へぇ。」

 

『なるほどなるほど・・・そちらの事情は粗方わかりました。つまりタタリにも通用するような「切り札」をご所望だと。』

 

「そう・・・なんだけど、ねぇ?そんな都合のいい物ないよ・・・」

 

「物じゃなくてもいい・・・。」

 

『そうですね・・・一応私達カレイドステッキには更なる高火力を引き出す方法があるんですが・・・』

 

「・・・ですが?」

 

『姉さんが『必殺技を最初から使っちゃうのは流石にナンセンスですよー、やっぱり必殺技は最後までとっとかないとー!』などと申しておりまして・・・』

 

「ああ〜・・・」

 

 納得できないが納得した。ルビーはこの期に及んでまで必殺技をとっておきたい腹づもりらしい。この状況でそれを曲げないつもりなら流石に実力行使も辞さない。魔法少女もののアニメにありがちなヤツをやろうとするな、と言ってやらねばならないようだ・・・

 

「多分・・・今ごろ、イリヤも同じ事考えてる。」

 

《イリヤside》

 

「そんなのがあるなら最初から使ってよーッ!!」

 

『おやおやイリヤさん、そんなに大声出しちゃご家族の皆さんに怪しまれますよー。もっと控えて控えてー。」

 

「ルビーのせいでしょーッ!!」

 

 ルヴィア邸でルビーの愚行が密告されていた頃、イリヤの家には激しい絶叫が響いていた。幸いリズが家事をサボって大音量でテレビを見ていたおかげでその絶叫は誰にも聞かれなかったが、セラに聞かれていたら厄介事じゃ済まなかっただろう。

 

『まあまあ落ち着いてくださいよ、これでもカレイドステッキとしての自覚と責任感は強い方だって自負はありますからー。』

 

「あるんならせめてちゃんとして・・・」

 

 もうツッコミ役はウンザリだ。何とかして代役を探さないと自分の体が保たない。などとイリヤが考えてるうちに、ルビーから電話のコール音が鳴り響いた。

 

『もしもーし、サファイアちゃんですかー?』

 

『姉さん、どうせイリヤ様を困らせてるんでしょう。』

 

『困らせてるなんてそんな人聞きの悪い事をー、ルビーちゃんはいつだって真面目で優しいルビーちゃんですよー!』

 

 もうツッコミをする気も起きないのか、ルビーが何を言おうと我関せずを貫き通す覚悟を決めたサファイア。そんな話はいいからイリヤを電話口に出せと言われたルビー、妹に邪険に扱われる事に若干の興奮を覚えつつも自分のマスターを電話口に出す。

 

『はーい、サファイア?』

 

『イリヤ様、姉さんがちゃんと教えてるわけないので私から説明します。』

 

『な、何を?』

 

『カレイドステッキの齎す力、タタリを撃ち倒す可能性の一つ・・・所謂第二形態です。』

 




 さっちん主役の話を書きたい。100作ぐらい。

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