Fate kaleid moon プリズマ☆サツキ 作:創作魔文書鷹剣
《イリヤside》
『あれは・・・まさか、固有結界!?心象風景の具現化なんて、さつきさんはやってくれますねー!!』
「うぅん・・・ルビー、うるさい・・・」
「イリヤ、イリヤ・・・大丈夫?」
『美遊様、あれを・・・』
2人と2本が見つめる先には、花々が美しく咲き乱れる荘厳な庭園が現れていた。そしてその中央で相対するさつきとタタリ。先程まで共に戦っていたオルタやシエル、シオン、リーズを蚊帳の外に押し出すほどの威圧感に場は支配されていた。
『あの庭園内に充満していた魔力が消えています。タタリの魔力も少しずつ削がれて・・・恐らくこれはさつき様の力・・・ッ!周囲の魔力を急速に消失させる、固有結界!!』
《さつきside》
それは魔に堕ちた彼女が見せた本当の力、弓塚さつきという人間が秘めていた可能性の極地。ただの人間に過ぎなかった彼女が、吸血鬼としての類稀なる才能を有していたが故に辿り着ける心象風景。如何なる大魔術師さえも封じる、枯渇庭園であった。
「これはこれは・・・たかが端役如きがコレ程の力。」
タタリとて魔力は無尽蔵ではない。いずれ限界が来るその時まで、さつきはたった1人で戦わねばならない。しかし、真っ直ぐに敵を見据えてさつきはいい放つ。
「逃げれば?今なら見逃してあげるよ?」
それからの彼女は、ただ純粋な怪物だった。自分だけが圧倒的に有利な環境で暴れ回り、溢れんばかりの攻撃性を振り回すだけの化け物となった。その一撃一撃がタタリに僅かでも傷を与え、一歩ずつ勝利への道筋を辿ってゆく。
「ううぅ・・・ああアぁアアァ!!」
決着の時は遠くない。タタリの魔力が尽きるその瞬間を目指して、1分1秒でも長く戦い続けるためにさつきは戦う。だが彼女は素質こそあれど心・・・即ち「覚悟」が足りない。故に命をかけた殺し合いは圧倒的に不向きだった。
「なんとなんとなんと・・・端役如きがここまで熱演するとは意外、しかし所詮は端役・・・この大舞台に上がる資格は無し!!」
美しかった庭園は時間の流れと共に朽ち行き、枯れ果てた花園は禍々しささえ感じるほど変化していた。これこそがさつきの心象風景。花のように可憐な少女だった彼女は運命に翻弄され、歪な怪物に変貌してゆく。自らの身を嫌という程反映したこの庭園は彼女の空間、だが無敵ではない。
「うぅ、ぅう・・・ガァアァァァ!!」
「やはり端役ではこの程度・・・所詮大舞台には役者不足。消え去る事のみが唯一の役割!!」
相手は死徒27祖第13位に位置するタタリ。その強さたるやさつきとは比べ物になるはずもない。さつきの絶叫と共に枯渇庭園は崩れ去り、あたりには冬木の街並みが戻って来た。さつきはピクリとも動かず、ただ倒れ伏す事しか出来なかった。
『さつき様!生命反応が衰弱を始めています!!すぐに撤退を!!』
「グズグズしない!オリジナルのアンタが死んだら私だって・・・」
「弓塚さん・・・」
仲間達の言葉さえ届かず、目の前まで迫った死を前に抵抗すら出来ない。
「端役はここで降板とする、最早部隊に立つ資格はなし・・・」
「いいや、あるさ。」
さつきを引き裂こうとするタタリの爪、それを切り裂いたのは一振りの黒鍵。今の今まで姿を見せなかった助っ人、言峰士郎がそこにいた。
「アイツが命懸けで、アンタの魔力削ってくれたおかげでな。」
本来ならタタリの爪を切り裂く事など出来はしない。だが魔力を削がれた今のタタリにはそれが通じる。さつきの命懸けの行動は、決して無駄ではなかった。
「それに時間稼いでくれたおかげで、イリヤ達も戦線復帰ときた。第2R始めるか!!」
士郎の言葉に賛同するように次々と立ち上がる一同、さつきが命懸けで戦った時間は確かに先へと繋がった。
「おに・・・士郎さん。私達の必殺技、今ならイケるかな?」
『イケるに決まってますよー!このルビーちゃんが付いているからには!!』
「イリヤ、さつきさんの心配もしてあげて。」
『さつき様ならリン様とルヴィア様に押し付けましたから。助かるでしょう。』
「言峰士郎・・・アイツには聞かなきゃいけない事が山程あるけど、今は
「初めて貴女と意見が一致しましたわね。」
「弓塚さん。貴女が作り出した希望・・・無駄にはしません。」
「これは流石に計算外でしたよ・・・」
「まあまあシオン、おかげで勝てそうって事で!」
未だ強烈な存在感を放つタタリを前に一同は立ち向かう。
「さあ・・・ここからが本番さ。」
「面白い、実に・・・」