Fate kaleid moon プリズマ☆サツキ 作:創作魔文書鷹剣
《イリヤside》
本来ならばこれほどまで彼女らが持ち堪えるはずはなかった。戦いが始まる前の状況と戦力を考慮しても、その差は絶大であり埋まる事などあり得なかった。しかし事実は小説よりも奇なり、現にそのあり得ざる現象は発生してしまった。
『さあ戦いはこれからですよー!さつきさんの弔い合戦に負けるわけにはいきませーん!』
『姉さん、それだとさつき様が死んだ事になってしまいます。』
「不吉な事言わないで!?なんかリアリティがあるから・・・」
「冗談で済まされない。ルビーは折檻・・・?」
魔法少女達と喧しいステッキの大騒ぎ、ここだけ切り取ればいつもの日常と何も変わらない。だがその目の前にいる存在は日常にいてはいけない。単独で1つの都市を地獄に変えられる怪物を、決して生かしておくわけにはいかない。
「役者は出揃いクランクアップは間近・・・この大舞台!完全なる完成の時は来たれり!!」
完全なる完成・・・即ち彼女らが死を迎え、タタリが執筆した台本に従って破壊と滅亡がこの冬木を包み込むバッドエンド。そのエンディングを迎えようとタタリは荒れ狂う。だが状況は確かに変わっていた。先程まで嵐の如く手に負えない強さを見せつけてきたタタリの力が、明らかに弱くなっている。
「タタリの力が・・・アイツ、やっぱり鍵握る運命ってわけね!」
『これは・・・まだ捨てたものじゃありません!タタリの魔力が劇的に低下した事で戦闘能力そのものが弱まってますよー!ほらほら代行者も錬金術師も戦うなら今ですよー!!』
「別に言われなくても戦いますよ!この状況は計算外ですけど!」
各々の持てる力を最大限に駆使してタタリを葬る。たったそれだけの事が出来ないまま死んでいく筈だったが、状況は一変した。
『さつき様のお力が戦局を変えた・・・勝ち目は僅かに残されています。皆様、攻撃を!』
「第七聖典もアレが相手じゃあ効き目が悪いんですが!少しぐらい足掻いてみせますよ!」
「こっちだってガマリエル担いで頑張ってるんだ!そう簡単にやられないぞ!」
そして激闘の隣、世紀の大チャンスを作った功労者は地に伏して倒れていた。
「ホラ見なさい。アンタが命懸けで頑張ったから全員戦えてるのよ。」
「ぅ・・・ぅん、み、ぇる・・・」
「・・・アンタの事、正直そんなに信用してなかったけど・・・まあ認めてあげるわ。少しぐらいね。」
「アナタが人を認めると気持ちが悪いですわね・・・」
「今はそんな事言ってる場合じゃないわよ!」
両隣の喧騒に挟まれて、さつきは戦闘の行く末を見守る。多くの力が入り乱れ、この冬木市が崩壊するか否かを定める死闘は激化の一途を辿る。その様を、その場に流れ落ちる血を見届けた。
「この場にいる誰もがこの地を守るべく、お前を倒すべく戦っている。お前が不死だろうと現象と化して命ある肉体を捨てていようとも、俺たちがお前を倒す!」
「端役風情に台本を書き換える権利はなし!!全ては監督と脚本家がもたらす演出によって決まる事!!それに逆らうとは愚かなぁアアアァ!!」
数の利と埋められた力の差、少しずつであるがタタリの猛攻を押し返し始めた。夜明けが近づけばタタリは退散し取り逃がしてしまうし、何よりもオルタが日光に当たれば消滅してしまう。唯一の勝ち筋は、それまでにタタリを倒す事。
「もはや計算に意味があるかわかりませんけど!タタリを倒すには後一歩!決定打が足りません!!このままではジリ貧ですよ!!」
『ルビーちゃんに任せてください!こういう時はオリジナルフォームって相場が決まってるんですよー!!というわけで、ちょ〜とさつきさんの血を拝借・・・』
そこら辺に滴り落ちていたさつきの血を拝借し、自身の体内に格納したルビー。そして明らかにヤバいボイスと共にルビーの形が変化していく。
『Warning!Warning!血中魔力濃度が18000をOVER!直ちに魔力の抽出を停止するようマスター権限で命令してください!』
「え!?え、えちょっとルビー!?何してるの!?」
『この状況に至っても想定していた第2形態への変身は困難です!!というわけで、さつきさんが有する吸血鬼の血とイリヤさんの魔力!その2つを合わせてオリジナルフォームを作り出すしかありません!!さあイリヤさん!停止ではなく実行を命令してください!!」
「え、えっと・・・実行!!」
『OK!マスター権限による抽出の実行を承認!…抽出完了!マスターの肉体に投与開始!』
その瞬間、イリヤの体に大きな変化が起きた。正確には体じゃなくてその魔力と衣装に、だが。
『さあ・・・プリズマ☆イリヤ、ファントムカレイドフォーム・・・爆☆誕!ですよー!!』
「・・・何コレーーーーーーッ!?」
現れたのはボロボロの紅い外套を身に纏った姿のイリヤ。普段の魔法少女然とした姿と比べて露出が増えたせいで余計に恥かし・・・いい趣味してる格好になってしまった。
『さあさあイリヤさん!恥ずかしい格好は今更じゃないですかー!今はそれよりタタリですよタタリ!』
「そ、そうだった!ええーい!!くらえーッ!!」
半ばやぶれかぶれの攻撃、即興で生み出した新たな形態。普通に考えれば勝てるはずはないが、この形態はルビーの予測を遥かに超えて強かった。さつきの血液から抽出された魔力をイリヤに投与し、魔法少女の器として洗練された性能を発揮する。その力はタタリにも届くほどに強い。
「ぬぅ・・・舞台には華が付き物!だがその姿は外法もいいところ!主役には相応しき衣装があるもの故にぃッ!!」
『こっちだって簡単に終わる気はしませんよー!!サファイアちゃん!今です!!』
『皆さま、その魔力。しばし姉様にお預けを!必ず勝利を掴み取るために!』
一同に残された魔力をサファイアが徴収し、それをルビーに転送する。そしてその魔力を糧に、最大最強の一撃を放つ。
「
もう早くメルブラ編終わらせなきゃ、今のところ全体の半分メルブラ編だし。