Fate kaleid moon プリズマ☆サツキ 作:創作魔文書鷹剣
〜さつきside〜
橋のふもとの公園で戦った敵は強かった。最初に戦った敵よりも厄介な攻撃を仕掛けてきたし、何より高さを維持しているのは圧倒的にこちらが不利だ。加えて、こちらの攻撃はあの魔力指向制御平面に弾かれて敵に届かない。そのためには、敵の真上まで飛ぶしかない。イリヤは「魔法少女は飛ぶもの」という思い込みがあったからすぐに飛べるようになったが、問題は美遊だ。「人は飛べない」という固定観念が強すぎて、飛行するイメージが想像できずにいる。敵の強さを考えれば、美遊も飛べるようになる必要がある。
「美遊、すぐにでも飛べるようにならないとカード回収に滞りが生じますわ。他のカードを回収しようにも、飛べるのと飛べないのとでは戦力として大きな違いが出ますわ。」
「赤い方のステッキを持ってるイリヤちゃんって子も飛んでるし、サファイアにも同じ機能があるんなら飛べるんじゃない?」
「それでも人は・・・飛べません。」
(ゆ・・・夢がなさすぎる・・・)
「そんなに頭が固い内はどうやっても飛べませんわ!明日は特訓ですわよ!」
(なんか・・・ロクな予感がしないなぁ・・・)
〜翌日〜
「それでは、留守番は任せましたわサツキ。」
「う・・・うん。いってらっしゃい。」
昨日戦った敵に対抗するべく、ルヴィアが美遊を連れて修業に行った。日光に弱い事をやんわりと伝えてあるさつきは決まって留守番役になっている。
「それにしても・・・私なんでメイドなんてやってるんだろう?」
ルヴィアに屋敷まで連れられて、何故か勢いでメイドになってしまった。ルヴィアの有無を言わさぬ怒涛の勢いに押されてルヴィア邸のメイドにさせられたのはまだいいとして、日中は出歩けず基本的に屋敷内を掃除するぐらいしかやる事がない。加えて、このメイド服が思ったより恥ずかしい。
(こんな姿・・・
〜イリヤside〜
「うーん・・・林の中で特訓とか・・・魔法少女にしてはずいぶん地味だよね。」
『舞台裏なんてそんなものですよー。日々の地道な努力がいつか実を結ぶのです。それでは、チャッチャと転身して特訓開始といきましょうか。コンパクトフルオープン!境界回廊最大展開!』
「魔法少女プリズマイリヤ推参‼︎」
いつもより変身シーンがおざなりなのは魔法少女モノの性なので諦めるしかない。時には諦めも肝心だ。
『先ずは飛行訓練からですねー。今回は完全に空中戦となりそうですし。』
「とりあえず素早く動けるようにするとか?」
『それもありますが魔力の効率運用も大事ですね。飛行は大量に魔力を消費しますから。魔力は無制限に供給できますが、一度に使える量は個人の資質次第なんです。』
「水道の蛇口みたいな感じね・・・」
『より少ない魔力で飛びつつ、自在に攻撃できるようになりましょう。』
「ん、了解。あ・・・そうだ。リンさんからこれ預かってきたんだけど、試しに使ってみていいかな?」
イリヤが懐から取り出したのは銅色のカード。既に魔術協会が回収したアーチャーのカードだ。
「アーチャーっていうくらいだから弓だよね。どんな必殺の武器が・・・えーと・・・
出てきたのは黒い弓。一見するとただの弓だが、仮にも英霊の武器。その力は現代の武器ではとても太刀打ちできない程強力だ。
「よーし、さっそく試し射ちを・・・ん?矢は?」
『ありませんよ』
「えええ弓だけ!?全然意味ないよコレ!」
『そういえばこんなんでした。凛さんが試した時は手近にあった黒鍵を矢の代わりにして使ってましたが・・・』
イリヤとルビーは知る由も無いが、アーチャーの弓は他の英霊の宝具以上に本人が使うことで真価を発揮する。クラスカードの力で英霊の宝具を使用できても英霊本人にはなれない。このカードは戦力に加えられないのだ。
「あ!戻った!」
『時間切れです』
「はぁ・・・地道に特訓するしかないね・・・」
『頑張りましょう。美遊さんも今頃特訓してるはずですよ。』
「ミユさんかー・・・どんな特訓してるんだろうね。」
〜上空〜
「無理です、不可能です。」
「美遊、あなたが飛べないのはその頭の固さのせいですわ。最初からそう決めつけていては何も成せません!」
「・・・ッですがッ!」
美遊の眼下に広がるのは、小さな冬木町。つまり美遊は今空にいるのだ。ルヴィアのヘリコプターに乗せられて遥か上空まで連れ去られた美遊はここから飛び降りる事を強いられていた。どこからどう見ても、ただの飛び降り自殺だ。
『おやめくださいルヴィア様。パラシュートなしでのスカイダイビングなど単なる自殺行為です。』
「こうでもしないと飛べるようにならないでしょう!身体が浮く感覚を実体験でもって知るのですわ!美遊はなまじ頭がいいから、物理常識に捕らわれているんですわ。魔法少女の力は空想の力・・・常識を破らねば道は拓けません。」
『付き合う必要はありません美遊様。拾っていただいた恩があるとはいえ、このような命令は度が過ぎています。』
「さぁ、一歩を踏み出しなさい!あなたなら必ず飛べます!できると信じれば不可能など無いのですわ!」
信じれば不可能は無いと言えど、このような自殺行為の一歩はただの狂行でしか無い。匹夫の勇と大勇は違うと言ってやりたい。
「いえ、やはりどう考えても無理で」
おっと、美遊が蹴り飛ばされたぞ。
「獅子は千尋の谷に我が子を突き落とすと言いますわ・・・見事這い上がってみせなさい美遊・・・!」
ところで、這い上がろうにも壁が無ければ這い上がれないのだが。それこそ空を飛べと言うのか?
〜イリヤside〜
「ん?何か降ってき・・・たあぁぁぁ‼︎?ちょっ・・・い、いったい何・・・?」
『全魔力を物理保護に変換しました。お怪我はありませんか美遊様。』
「な・・・なんとか・・・あ。」
今しがた空から降ってきた美遊が目撃したのは、あっさりと自然に浮遊するイリヤ。あまりにも簡単に飛行を身につけた彼女を見て、ついに美遊が折れた。
「昨日の今日で言えたことじゃないけど・・・空が飛べなくちゃ戦えない・・・その・・・教えてほしい・・・飛び方・・・」
「と、飛び方?えーと・・・そう言われても・・・」
『イリヤ様は魔法少女は飛ぶもの、とおっしゃいました。そのイメージの元になった何かがあるのでは?』
「元・・・あー・・・それなら・・・」
〜イリヤ宅〜
『雲の中に逃げても無駄だ!この空で散れ‼︎マジカル☆ブシドームサシ第伍話空の華』
「こ・・・これ・・・?」
イリヤの家で美遊が見てるのは魔法少女マジカル☆ブシドームサシのDVDだ。間違いなくイリヤの飛行するイメージはここから来てるのだが、美遊にとっては物理法則を無視した出鱈目な動きでしかなく、とても飛行するイメージには繋がらない。
「必要なのは揚力ではなく浮力だってことまでは・・・」
『ルビーデコピン!』
ルビーがいきなり美遊にデコピンした。手がないので羽で。
『まったくもー。美遊さんは基本性能は素晴らしいみたいですが、そんなコチコチの頭では魔法少女は務まりませんよー?イリヤさんを見てください!理屈や工程をすっ飛ばして結果だけをイメージする!そのくらい能天気で即物的な思考の方が魔法少女に向いてるんです!』
「なんかさっきからひどい言われようなんだけど!?」
『そうですねー、美遊さんにはこの言葉を贈りましょう。「人が空想できること全ては起こり得る魔法事象」わたしたちの創造主たる魔法使いの言葉です。』
ルビーが珍しくまともな事を言った。ルビーとサファイアの創造主、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグの言葉は美遊に何かしらの変化を与えたのだろう。
「まぁ・・・つまりアレでしょ?考えるな!空想しろ!とかいう・・・ってうわー・・・すごく納得いかないって顔してる・・・」
「そう・・・あまり参考にはならなかったけど・・・少しは考え方がわかった気がする。また・・・今夜」
〜さつきside〜
「ただいま・・・」
「あ、おかえりー。」
結局美遊は飛ぶイメージを持てないまま家に帰ってきた。このままじゃダメだとわかってはいるが、具体的なイメージが持てない以上はどうやっても飛べない。
「どう?飛べるようになった?」
「ううん・・・」
「そっかぁ・・・」
サファイアの力は空想の具現化。イリヤ程の想像力(妄想力とも言う)を持たない美遊はサファイアの力を充分に活かせずにいた。
「まったく、このままではカード回収もままなりませんわ。」
「ルヴィアさん・・・」
「ねぇ、一言に飛ぶって言ってもやり方は1つじゃないよね?例えばほら、跳躍とか・・・な、なんかゴメンね!魔力とか魔術とか何も知らない素人がいきなり・・・」
「跳躍・・・」
さつきからしてみれば何気ない一言だったのだが、この一言が美遊に大きな影響をもたらした。
「跳躍・・・それですわ!」
『確かに魔力を固めて足場にして、その上を跳ぶという手段も可能です。むしろイリヤ様のような飛行より魔力の効率が良いぐらいです。美遊様、イメージできますか?』
「・・・」
数秒間を空けて、美遊が跳んだ。これでカード回収も捗るだろう。
「あ、まって。そんな高く跳んだら・・・」
「・・・痛ッ!」
「天井に頭ぶつかっちゃう・・・」
魔力を固めて足場にするというアイデアはさつき立案としました。さっちんからしてみれば、何気ない一言なんですけどね。それにほら、メイド服のさっちん可愛いでしょう?
もし今後、私が何か作品を書くとしたら、読みたいのは?(詳細は活動報告に記載)
-
遠野志貴×サイコホモ弓塚さつき
-
○○の主役は我々だ! in FGO
-
○○の主役は我々だ! in ドルフロ
-
ペルソナシリーズ オリジナル作品
-
弓塚さつき、異世界転生で最強になる