東方masquerade   作:リョウタロス

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第三章 破壊と救出
第十九幕 狂気


「ありがとね、またお願いするわ。」

「まいど、またいつでも注文してください。それじゃ」

 

俺はその日の仕事を終え永遠亭に帰ろうとブレイドのバイクであるブルースペイダーを走らせていた

そして竹林が見えてきた辺りで人影がポツンと立っていた

最初は妹紅かとも思ったが違う、奇抜なシルクハット、少し汚れている白衣、そしていかにも隙も人を馬鹿にしたような笑みを浮かべている顔

 

財団X幹部 マッドハッターことMがそこには立っていた

 

「あは♪遅かったね、待ちくたびれちゃったよ。君ってこんな時間まで仕事するなんて働き者だね」

「こんな時間って言ってもまだ7時だろ、残業して夜遅くまで働いてる世界中のお父さん達に謝れや。そんで今度はなんだ?また変なメモリでも部下に使わせて俺を倒す気か?」

「ん〜、少し違うね♪今回僕は1人でここに来た。つまり僕は1人で君を倒す気なんだよ」

 

そう言った瞬間Mから殺気が放たれる

 

「見せてあげよう。僕専用のガイアメモリを」

Mはロストドライバーを装着しポケットから一本のガイアメモリを取り出した

 

『Crazy』

 

「変身」

Mは一度自分の帽子を取ってからロストドライバーにクレイジーメモリを挿した

 

『Crazy』

 

Mはボディカラーは紫、目は赤、姿は仮面ライダージョーカーによく似て額にはダブルフィーラー(ダブルの額のW←これ)ではなく一本の角が生えている仮面ライダー、仮面ライダークレイジーに変身した。クレイジーは片手には黒いステッキを持ち一度取った帽子をかぶり直す

 

「おいおい、オリジナル仮面ライダーってやつかよ。勘弁してほしいぜ」

「君を僕の世界に招待しよう、【Crazy World】」

 

Mがステッキで地面を突くとそこから半球状にどす黒い色のエネルギーが広がり俺を含む辺り一帯おそらく半径1km辺りまでがそのエネルギーいや奴の世界に取り込まれた

 

「一体なんなんだよ、この気味悪い空間は」

「すぐにわかるさ。この世界がどんな物かは」

 

「すぐに決着つけてやる!」

俺はその時早めに決着をつけるためにBRACK RXのベルトを出そうとした筈だ、しかし出てきたベルトは龍騎系のベルトとシザースのデッキだった

 

「な!?なんでRXのベルトを出そうとしたのにシザースのデッキが!?」

「ふふふ、お目当てのベルトが出なかったみたいだね。なんでだろうね♪ふふふ」

「てめえ。くそっ!しょうがない、変身!」

俺はシザースのデッキをベルトに装填して蟹を模した仮面ライダー、仮面ライダーシザースに変身した

 

「予言しよう、君は僕に一撃も与えられず負ける」

「そう簡単に負けるかよ。あと、予言は外れることが多いのが相場だぜ」

 

「ハアア!」

俺はまずシザースの召喚機であるシザースバイザーで斬りかかるが簡単に避けられる

 

「ほらほら、そんな攻撃じゃ僕には当たらないよ。【Crazy Bomb】」

Mがステッキを振るとそこから紫色の光弾が出てきて俺に向かって飛んでくる

俺はそれを避けようとするがいきなり足が動かなくなり膝をついてしまった

 

「なんでだ!?ダメージはくらってない筈なのに!動けないなら耐えるしかないか!」

俺はガードベントを取り出しシザースバイザーに入れた筈だった

 

『STRIKE VENT』

 

俺が装備したのはガードベントのシェルディフェンスではなくス ト ラ イ ク ベ ン トのシザースピンチだった

当然左腕で防御しようとしていた俺にいくら右腕が強化されても意味がない

俺はそのまま光弾に当たり俺は吹き飛ばされた

 

「が…あっ…くっ、なんでガードベントじゃなくてストライクベントに」

「種明かしをしてあげよう。君が出そうとしたベルトとは違う物が出たのも、君の足がいきなり動かなくなったのも、入れたカードが違う物だったのも全部、僕が

・ ・ ・ ・

狂 わ せ た のさ」

 

「ベルトの件は君の能力を狂わせ、足の件は君の足の筋肉を狂わせ、カードの件はデッキの出させるカードを狂わせた。これがこの世界の能力。僕の世界の中のものを好きなだけ好きなところを狂わせることが出来る」

「そんなチートありかよ…」

「ありなのさ!この僕の世界ならね!ま、この空間から出ちゃえば元に戻るんだけど。それでもこの空間内でのダメージはそのまま残る。だから君を殺さない程度に痛ぶって支部に持ち帰るとするよ」

 

「そう簡単に…やられねえつってんだろ!」

俺は何も考えず勘でデッキからカードを取り出しシザースバイザーに入れた

 

『ADVENT』

 

「うっし!当たりだ!」

俺の隣に鏡が現れそこから蟹を模したシザースの契約モンスター、ボルキャンサーが現れる

 

「いけ!ボルキャンサー!」

「ハア"アアア!」

 

ボルキャンサーはハサミを振り上げクレイジーに襲いかかる…筈だった

ボルキャンサーは何もいないところに突っ込みそこでめちゃくちゃにハサミを振り回している、まるでそこで触れない幻覚の敵と戦っているように

 

「てめえまさか!?」

「その通り、あの蟹さんの視覚を狂わせたのさ。ついでに聴覚もね。つまり今あの蟹さんは見える筈の無い幻覚が見えて聞こえない筈の幻聴が聞こえる、そんな状態さ。さ、君もペットだけにあんな思いさせないで飼い主も同じようになりなよ」

Mはそう言うとMの角が一瞬帯電したようにビリっとほんの少し放電したようになってから俺の額をステッキで突ついた

 

「あ!?ああ…なんだよ、これ。」

俺の周りには何人ものクレイジーがいる、いやそう見えている

 

『君に見えている僕らの中のどれが本物か、わかるかい?』

 

『そーれ!』

クレイジー達は一斉にクレイジーボムを出し俺に放つ

「一発でも切り裂けば!」

俺は右手のシザースピンチを振るいクレイジーボムを切り裂こうとしたが

 

『残念はずれ〜』

 

シザースピンチは空を切り本当に放たれたクレイジーボムが俺に直撃しさらに俺はボロボロになる

 

(クロックアップを使ってこの空間から抜け出せば…)

「神速【クロックアップ】!」

しかし発動させようとして手に持っていたのはいきなり現れて不規則に透明になる透明【インビジブル】だった、発動させようとしたスペカが違うのではそのカードは反応しない

 

「違うスペカだったか…ぐぅっ!?」

「何してるんだい?今の君は!何も!出来ないのにさ!」

「ぐっ!?がっ!?ぐぁっ!?」

 

Mは俺を踏みつけセリフに一呼吸いれるたびに俺を踏みつける

 

「もう飽きちゃった。そろそろ終わりにしようか」

Mはクレイジーメモリをベルトの右のマキシマムスロットに挿しそこのボタンを叩く

 

『Crazy Maximam Drive』

 

クレイジーのステッキの先に紫色のエネルギーが溜まり俺にそれを叩きつける

 

「トドメだ【Crazy Wave(狂気の波動)】」

「があああああああああああ!?」

 

俺の体を紫の波動が蹂躙し俺の変身は解け波動の余波でボルキャンサーも吹き飛ばされ消えてしまった

 

「あ……く…」

「まだ意識があるのかい?しぶといねえ。でもこれならもうこの世界もいいかな」

Mはそう言うとクレイジーワールドを解いた

 

「フロッグ…ポット…」

俺は最後の力でフロッグポットを出しギジメモリに俺の声を録音する

 

「永琳達に伝えてくれ…ーーー

 

「最後の伝言は終わったかい?」

「ああ、終わったよ、クソ野郎」

「じゃそのうるさい口を閉じようか」

「がはっ!?」ガクッ

 

俺は殴られ気絶しそのままMに抱えられ連れていかれた

 

 

永遠亭

 

「紀斗は見つかった?」

「駄目です、どこにも見当たりません。」

「お師匠様!竹林内でこれが!」

 

てゐが持ってきたのは連れてかれる前に紀斗が永遠亭に向かわせたフロッグポットだった

 

「メモも一緒についてた。多分財団Xの幹部の能力と『俺の言葉が録音してあるからきいてくれ』って」

永琳達は捜索を手伝ってくれていた皆を集めフロッグポットをその中心においた

「じゃ、再生するよ。」

 

『聞こえ…るか?紀斗だ。…簡潔に言うと……俺は敵に負けた。おそらく…このまま連れてかれて…洗脳か…実験されるだろう。もし…俺が洗脳されてお前らを殺そうとしたら…迷わず…俺を殺してくれ。俺はお前らを死なせたくないし…幻想郷を…奴らのいいようにさせたく無い。だから…その時は……任せた』

 

甲が床を殴り怒りで体を震わせている

「ふざけんなよ…。あの馬鹿!自分を殺せだと!勝手に妄想で被害広げてんじゃねえよ!洗脳されて戻ってきたら絶対元に戻してやる!」

「しっ!まだ続きが」

 

『あと、俺の部屋の床に…隠し金庫がある。その中にある物があるから……ピンチになったら使え。最後に…永琳…ごめんな。綿月姉妹に…お前を幸せにしてみせるって…言ったのにな。もし…ちゃんと正気で…また会えたら…お前に伝えたいことが…ある。愛してるよ、永琳…』

 

「ここまでらしいですね」

「永琳以外は一度紀斗の部屋に行ってきてもらえるかしら。隠し金庫の中身も知りたいし」

「わかったわ。皆、行きましょ」

 

部屋には輝夜と永琳だけが残る

 

「今なら私たちだけだから泣いてもいいわよ。」

「う…ううう…うあああああん!うああああ!紀斗の!紀斗の馬鹿ぁぁぁぁ!」

 

永琳は数十分輝夜の膝で泣き続けると寝てしまった

「……帰ったらおしおきね。永琳を泣かせた罪は重いわよ、だから早く帰ってきなさい、紀斗」

 

 


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