Fate/zero minus   作:yumeno

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文字数が…増えない。


第八話 二陣営の思惑

 

目まぐるしく戦況が変化した夜が終わる。

ここは一つの民家の中。そこにはライダーのサーヴァントとそのマスターが拠を構えている。

 

「どうして撤退したんだよ!ライダー!」

 

ライダーのマスター、ウェイバー・ベルベットは我関せずとゲームを続けるライダーに怒鳴るように声を張った。

 

「ちと黙らんか。先ほどからゆうておるではないか。あの場に残るは愚策。あのバーサーカーの乱入がなければ、余は二人の騎士の邪魔建てをしたアーチャー、キャスターを戦場に引き釣り下すつもりであった。来なければセイバー、ランサーを説得の上、アーチャー、そしてキャスターを討ったであろう。しかし、バーサーカーの乱入により、アーチャーを追えば後ろに付かれ、残ればアーチャーの追撃にあったであろう」

 

ウェイバーは昨夜の戦闘を思い返す。

アーチャーの狙撃。キャスターの足止め。バーサーカーの乱入。そして、ライダーの乱入があった。ライダーの乱入は何度もライダーに聞いたが、結局は『勿体ない』という点に尽きる。これはどうしたものかと頭を悩ませるが、他はどうだろうか?

 

アーチャーの狙撃。アーチャーという狙撃の達人が、不意を打って二つの陣営を狙うのわかる。しかし、最悪の場合、ランサーとセイバーが協力してアーチャーを狙うこともあったはずだ。それなのに二つの陣営を攻撃したのは何故か?

その答えはライダーが持っていた。

 

「セイバー、ランサー。その二つの陣営では傷の負い方が違ったであろう?つまり、ランサー陣営はセイバーの陣営にアーチャーがいるのではないかという思いが浮かぶ。まあ、ランサーのマスターはそこまで頭が回らなかったようだが…これによってアーチャーはセイバー陣営にいる可能性が高い。まあ、それもわからん事だが…疑心暗鬼の間にアーチャーは狙撃ができる」

 

なるほど、と思いながら次にキャスターの足止めを思い返す。

 

「ならキャスターは――」

 

キャスター陣営がこちらに足止めをするメリットはなんだ?というよりもまず、何故足止めする必要があることに気づいたのか?

ブルリ、と足が震える。僕でも知らない情報をあのキャスターが握っているような感覚が恐怖の感情を以て体を襲った。

 

「あのキャスターは…剣を持ってはいたが、それほどうまいわけでもない。気づいただろうが、あのキャスターのサーヴァントとそのマスターは得体が知れん。こちらの思惑を読んだ行動であることは確かであろう。それに加え、余裕そうな表情はなかったが、何か隠し玉を持っているような気配があった」

 

う~んという、うねり声をあげながらもキャスターを一度隅に置き、バーサーカー思考を傾ける。

 

「バーサーカーの狙いはなんだ?計画とかなんとか言ってたけど、それにバーサーカーにしては理性のあるやつだったし…」

「マスターの指示に従っての行動であろう。しかし、もし、バーサーカーでないとしたら…まあよい。それより坊主。余はあのサーヴァントに心当たりがある。それは――」

 

――…

 

森の奥深くに陣取るサーヴァントとそのマスター。それに加えて彼らの協力者二人がいた。

マスター、衛宮切嗣は先のライダーたちとほとんど同じ予測をしていた。(ライダーがキャスターと思っている陣営以外)

 

違う点といえば、アーチャー陣営に乱入し、アーチャーを止めていた者がランサー陣営だろうという予測を立てている点と、アサシン陣営がアーチャー陣営に属しているだろうことだ。

 

ランサー陣営が落ちた。これはいい。どちらにしろ落とすつもりだったのだから、どこが落とそうが構わない。それよりも警戒すべきはバーサーカー、アーチャー、そして、残るキャスター。どれもクラスが確定ではない。アーチャーは確かに狙撃していたが、何もアーチャーでないと狙撃できないというわけではない。が、アーチャーはほぼ確実にアーチャーとみていい。あれほどの距離を射抜くのはまずアーチャーだろう。

 

ライダーの言葉を信用するなら、残りのバーサーカーとキャスター。アサシンに至ってはまず間違いなくあれがアサシンで違いない。

バーサーカーかキャスターのどちらかがランサーについていると考えると、先にサーヴァントの居ないランサー陣営をつぶしておこう。と、これからを決めた。

 

「どう?勝てそう?」

 

アイリスフィールがパソコンに向かっている衛宮切嗣に紅茶を出しながら問う。その声色には夫である切嗣を労わるような優しい心があった。

 

「勝つさ。僕はそのために全てを投げ売ってここまで来たんだ。必ず勝つ」

 

強い意志を宿した目をして言う。何か大切なものへの後悔を払いのけるように決意を心に秘めていた。

 

恒久的世界平和。

虐げられた者の居ない理想郷を現実にするために衛宮切嗣は聖杯戦争に参加している。そのためなら自らを世界の悪としても何のためらいもないと公言できるほどに本気だ。

 

「そうね…きっと勝つわ。それでね、切嗣。あのバーサーカーのサーヴァントの真名がわかったかもしれないの。それは――」

 

 

 

「「この世全ての悪(アンリマユ)」」

 

 

二つの陣営は同じ答えにたどり着いた。

 

――…

 

二日目の夜が来る。

そこにいるのは乾いた目で倒壊するビルを見る衛宮切嗣と、昨夜に見たバーサーカーと赤茶色い髪をしたサーヴァントだった。




ありがとうございました。

次の更新は来週の水曜日(2018/4/18/17:00)に投稿します。
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