Fate/zero minus   作:yumeno

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時系列戻ります。


第九話 時臣の思惑

 

「召喚のよるべに従い参上した。問う。貴方が私のマスターか?」

 

現れたのは褐色の肌をした、赤い外套の男だった。

時臣は目を見開いて驚いている…というより落胆していた。

 

「どうした?」

 

褐色の男は声も出さない時臣に話しかける。なぜ、時臣が落胆しているのか?それはステータスにあった。全て低い。かろうじて魔力がBという値に落胆を隠せなかった。

時臣は数分の時の末に声を出す。

 

「いや、すまない。返す言葉としてはYes。私が貴殿のマスター、遠坂時臣。遠坂家現当主。貴殿のクラスと真名を教えていただきたい」

 

時臣は少々かしこまって問う。サーヴァントとの友好関係は後々に役立つのだから、ここでくだらない思いを抱いていても仕方ない。

 

褐色の男は少し悩んだようなそぶりの後、困ったように眉を顰めながら言う。

 

「クラスは“アーチャー”。召喚のミスか何かはわからないが、、記憶が混濁しているようだ。すまないが、自分の真名がわからない」

 

時臣は頭を抱える。呼び出したサーヴァントが自身の名を知らないなんてことがあるとは予想もしていなかったのだ。ステータスは低く、真名もわからないとは…

 

小さなため息が出てしまう。

それを聞いた褐色の男――アーチャーは馬鹿にするかのような笑みで時臣を見て言う。

 

「安心したまえマスター。貴殿が呼び出したサーヴァントが最強でないはずがあるまい。なに、大したことはあるまい。たった六騎落とすだけの戦いだ」

 

さもあらんとばかりの自信に時臣はつい笑ってしまった。

 

「真名はわからんが、宝具は問題なく使える。ところで、こんな辛気臭い地下から出て話さないか?」

 

それもそうだと思ってとりあえず地下の工房から出た。

 

クラスとしては三騎士の一角、アーチャー。遠距離からの攻撃が特に目出、奇襲にも使える良クラスといえる。

 

「茶でも入れようかマスター。これでも昔、どこかの貴族に使えたことがあった記憶がある」

 

呼びだしたサーヴァントは有無を言わさぬ勢いで、台所の方に消えていく。

 

はあ、とまたため息。確かに奇襲に使う分にはステータスなど意味もないものだろう。しかし、真名がわからないなど…失敗だった。やはり少々無理をしてでも聖遺物を手に入れるべきであった。

 

台所の方をちらと見る。

サーヴァントが自主的にマスターのために茶を入れる…普通の使い魔ならさもあらんことだが、相手は過去の英雄。そう考えだすと時臣は変な頭痛がしだしたので、少々思考を隅に捨て置く。

 

「どうしたのかねマスター」

 

令呪という手はどうだろうか?記憶を戻せ、と命じればまず間違いなく戻るだろう。…却下だ。そんな選択肢はそもそも存在しない。そんなちっぽけなことに令呪は使えない。

 

「何やら考え事のようだが、マスター。今後の方針でも話そうか。聖杯に何を望むのかを尋ねても良いかね?」

 

時臣は遠坂の悲願である、根源への到達のために聖杯を欲している。そのためには最後の令呪を自身のサーヴァントの自害に残し、七騎全てをくべなくてはならない。

それを馬鹿正直に言うこともないが、目標地点は話しても問題はないだろう。

 

 

聖杯を望む理由を告げ、協力者に綺礼がいることを話した。

アーチャーは少し悩んだそぶりの後、「そうか」と小さくつぶやき、どこか諦めたような表情をしていた。何故かはわからないが、少し残念そうな表情をしたように見える。

 

「どうしたのかね?」

 

今度は時臣がアーチャーに尋ねた。

 

「いや、何でもない。マスターの願い聞き受けた。これより私の弓をマスターにささげよう」

 

歯切れの悪い返事に感じたが、気にしないことにして次に方針について話す。綺礼が呼び出したサーヴァント、アサシンは分身の宝具を持っている。故に、分身の一体を倒し、アサシンをアーチャーが倒したことにして、アサシンを動きやすくする作戦を伝えた。

 

「そうか…マスターの指示に従おう――ところでマスター。夕食はまだだろう?」

 

そう言ってまた、台所に消えていくサーヴァントを見てため息を吐いた。

 

――…

 

その後、町の間取りを見るために地図を見たり、外に出たり、使える宝具の説明をだったりしている間に一夜目が訪れる。

この地にいる魔術師のリストを見ながらアーチャーは時臣に問う。

 

「そういえばマスター。第三次、つまり前回なんだが、アインツベルンはいつ敗退した?」

 

何故、前回の聖杯戦争が気になっているのか?と疑問に思ったが、このサーヴァントの思考は全く読めそうにもないし、重要なことでもないので、「そうだが」と軽く返した。それがどうした?と目で伝るが、アーチャーは「なんでもない」と返すのみだった。

 

 

一夜目の(茶番)が始まる。

多くのマスターたちが使い魔という形で他の陣営を探し回っている中、見つかりやすい位置でアサシンを倒す。

 

結果は上々。さらに言うならアーチャーはクラスを隠すような立ち回りもしてくれた。

 

「師よ。では私は協会に向かいます」

 

計画も予定通り進み、サーヴァントを失ったことになっている綺礼は、教会という、最も安全といえる場所に避難し、綺礼の父とともにこちらの陣営と協力する算段となってる。

 

「ではな時臣君。…くれぐれも気をつけてくれ。今回はバーサーカーの召喚を観測できなかったが、代わりに他のエクストラクラスと思われる召喚を観測している。アインツベルンか間桐かはわからんが、重々用心してほしい」

「ええ、わかっています神父。必ずや他の陣営を下し、遠坂が聖杯をとってみせます」

 




ありがとうごさいました。

次は来週の水曜(2018/4/25/17:00)に更新します。
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