Fate/zero minus   作:yumeno

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3話 父の思惑

Interlude―――

 

双子が生まれた。

子に恵まれることは良いことだ。魔術師の才は生まれた時に決まる。才無き者に遠坂は継げない。

双子の子に『凛』『黄泉』と名付けた。

願わくば、我が子が『根源』に辿り着くことを祈る。

 

――…

 

さらに一人生まれた。名を『桜』。

しかし、これはどうするか?『凛』、『黄泉』、『桜』、皆が、希代の魔術師として育つほどの才を持ってしまった。

これをただの凡俗に落とすなど世界の罪だ。

『五大元素使い』、『エーテル・アイテール』、『架空元素・虚数』。

どれも捨てがたい。

しかし、私は魔術師だ。二人を切り捨てなくてはならない。

もしくは養子。

いや、貰ってくれる家があるだろうか?

あったとしても、二人の才を持て余すことの無い名家となるとさらに少ない…。

 

この中となるとやはり、『凛』。

『五大元素使い』という万能な力は遠坂の力となるだろう。

と、なると『黄泉』と『桜』。

どうするか?

 

桜はまだ分からない。あの子はまだ幼すぎる。判断はまだ先に送る。

 

しかし、黄泉の方は…

あの子は大人び過ぎている。

我儘を一つ言わず、私や葵の言うことをしっかりと聞く子だ。

知識欲も豊富で、いつも本ばかり読む。あまり人と喋る方ではないが、困っていると助けてくれるような優しい子だ。

しかし、優しすぎる。

 

虫の一匹にすら情をかけ、生に対して信じられないほどの感情を向ける。

魔術師向きでは無い。時には切り捨てる選択をしなければならないだろう場面でも、黄泉は出来ないだろう。

 

この前、凛の部屋に忍び込んで魔術の書物を読み漁っていた時のことだ。

あの子は養子についてを話してた時、小さく頷いて受け入れていた。あれほどの覚悟をあの歳で身に付けている。

 

さらに博識で好奇心旺盛、素直になんでも吸い込む。この才を眠らせるなんて選択肢は無い。しかし、どうする…黄泉、桜を引き取ってくれる家を探し、聖遺物を見つけ、魔術を繋ぎ、聖杯戦争の準備を行わなくてはならない。どうする…。

 

「あなた!!黄泉が!黄泉が!」

 

扉を倒すような勢いで葵が書斎に来た。

 

「どうし――」

「幼稚園で…病院…意識不明で…私…!!」

 

詳しくは分からないが、黄泉が病院に緊急発送されたのだろうことを察した。

 

「すぐに準備する。葵は先に病院に行きなさい」

 

杖を掴み、すぐに魔術を行使する。使い魔を用いて教会に連絡を入れる。

綺礼に連絡をいれ、遠坂の家の留守を頼んだ。

 

「「父様!私たちも行きます!」」

 

凛、桜が玄関で待っていた。

 

「二人は家で待っていなさい。直に綺礼がやってくる」

「「父様!」」

 

二人の真剣な表情。しかし、これで二人に何かあれば…

 

「…待っていなさい」

 

病院に着く。

すると、黄泉が何人もの医師や看護師に手足を押さえつけられていた。

 

「早くもってこい!」

 

何人もの看護師が黄泉のいる部屋を行ききする。注射をするとゆっくり眠るように落ち着いた。

 

「時臣さん!」

 

葵が寄ってくる。これはなんだ!?

 

「幼稚園にいる時に、急に自分で自分の首を絞めてしまったそうなの!!それに気づいた先生が止めて、救急車を呼んでくれたそうなのだけど、今も目が覚めると手で首を絞めてしまうそうなの!!」

 

訳が分からない。

医師の一人が寄ってくる。

 

「親族の方ですね。――――」

 

そこからの会話はあまり覚えていない。優雅たれという家訓を捨ててしまうほど動揺が走っていた。

 

「―――聞いていますか?」

 

バッ、と走り出す。これは専門家が必要だ。

 

――…

 

そこからは葵に黄泉を任せ、伝手を使って黄泉を調べさせた。

そして分かった。

 

黄泉は何かの加護を受けている。

しかし、加護と呼ぶには悍ましい。他人からの『願い』に対して絶対服従するような『呪い』だ。

これが原因で黄泉は願われ、死にかけた。

 

さらに『助け』を求める者に対して意思を殺して助けるという、魔術師になるための切り捨てる要素が決定的に欠けてしまった。

 

このままでは、下手に良い家に入れようものなら、解剖され、標本のように額縁に飾られる人生になってまうだろう。

何が原因かは分からないが、神秘の薄くなったこの時代で『加護』を受けた、という神代に近い存在だ。いくらでも利用価値がある。

 

しかし、だからと言って、凡俗に落としようものなら、俗物にいいように扱われるような人生になるだろう。

 

とり合えず、俗世には送れない。少なくともあの『加護』を制御できるまでは。

制御も兼ねて教会の方で当分預かることにした

 

「遠坂さん。黄泉君のことなんですが」

 

悩んでいる私に天啓を授けてくれたのは言峰神父であった。

 

「あの歳であれほどの博識。神父としての戒めもしっかりと守れるほどの心の強さ。あの才を眠らせるのは勿体無い。もし、良ければ言峰家で引き取らせてほしいのです」

 

私は二つ返事で引き受けた。

その後、間桐から桜を養子に欲しいという話しを聞いた。

 

――…

 

「父様。私が間桐に行くわけには行きませんか?」

 

黄泉が久しぶりに綺礼とともに訪れてきたと思ったが、どうやら魔術師になれないという道に納得できないらしい。

 

黄泉は私に突っ張ってくるが、決まったことだと追い出した。

私は選択を間違ったのだろうか?

 

―――Interlude out

 

 




ありがとうございました。

感想等お待ちしております。

次は来週の水曜(2018/2/7/17:00)に投稿します。
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