Fate/zero minus   作:yumeno

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これから原作突入になります。
※主人公視点はこれから当分ありません。
※聖杯戦争説明会のようなものなので、分かる人は軽く流しながらで構いません。


Fate/zero minus
第一話 聖杯戦争 偽りの一戦目


 

――…

 

あらゆる場所で、同時期に多くのマスターがサーヴァントを召喚する。

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師シュバインオ―グ。

降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

――ある者は自宅の霊脈で、悲願のため。

傍らには神父の弟子をひかえさせている。

 

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破局する」

 

――ある者は少し開けた森の一角で、自らを証明するため。

鶏の血でつづられた魔法陣に自身のちっぽけなプライドを示す。

 

「――――Anfang」

「――――告げる」

 

「―――告げる。

汝の身は我がもとに、我が命運は汝の剣に。

 

――ある者は廃れた家で、三人の子どもの幸せのため。

その者の愛する者を奪いたい気持ちが見え隠れしながら。

 

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うなら応えよ」

 

――ある者は遠く離れた地で、世界を救うため。

平等な天秤が存在する世界を求めて。

 

「誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

 

――そして、その少年は…

 

「汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守りてよ――――!」

 

「問おう――

「問います――

「問う――

「問いましょう――

「問おう――

 

「貴方が――

「貴方が――

「お前が――

「貴殿が――

「貴方が――

 

「「「「「私の(余の)(吾輩の)マスターか?」」」」」

 

ここに聖杯戦争の開幕した。

 

――…

 

アインツベルンの屋敷には一人の騎士が雪の中で遊ぶ、仲睦まじい父と娘の姿に驚きの表情を浮かべていた。

 

「どうしたの?セイバー」

「いえ、ただ、マスターもあのような表情を浮かべるのかと思いまして」

 

セイバーと呼ばれた少女は何処か男らしさのようなキリっとした瞳をし、そこに立っているだけなのに、隙の無いような緊張感を味合わせる。黄金色の髪を束ね、黒のスーツを着た姿は何処か、様になっているように思う。

何処を見たら騎士なのか?と問われれば難しい気もするが、彼女は正真正銘、神話に近い時代に生きた本物の騎士(英雄)だ。

 

「ふふ、セイバーのそんな表情を見れるなんて、貴方のファンに自慢すれば飛びついて来そうね」

「御冗談をアイリスフィール」

 

アイリスフィールと呼ばれるのは、銀色の髪をした赤い目の婦人。一見すると大人びた見目麗しいお姉さんだが、内面を見ると、とても無邪気な印象を受ける。

しかし、そんな無邪気な婦人の目に決意のような表情が浮かび、外に居る自身の夫を見ながら呟く。

 

「もうすぐ始まるのね」

 

その声には何処か、揺らぎのようなものが感じられた。『始まる』ことを心では期待していないように感じられる。

 

「ええ、必ず聖杯戦争で勝ち抜きましょう」

 

騎士の少女はそんな婦人の不安を拭うように決意を決めたように声を張った。

 

聖杯戦争。

それは七人の魔術師が七騎の使い魔(サーヴァント)を召喚し、万能の願望機『聖杯』を奪い合う戦いのこと。

最後の一人になるまで戦い、六騎の使い魔(サーヴァント)を『聖杯』にくべることで、その生き残った一人とその使い魔(サーヴァント)は願いをかなえることが出来る。

そして、その戦いで重要になってくるのは使い魔(サーヴァント)

これはただの使い魔ではない。

 

過去、未来、現在における人類史で歴史に名を遺した真の英雄たちを召喚する。弓を以て何十隻もの戦艦を滅ぼした戦士。行くものに恐れを振りまいた海賊団。竜さえ殺し、不死身になった剣士などだ。

そして、そこに居る騎士が一人は、かの『アーサー王伝説』に登場するキャメロットの王、『アルトリア・ペンドラゴン』である。

誰もが知るあの『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』を携える本物の騎士だ。

 

――…

 

都心から少し離れた民家で大柄の男と小柄な魔術師が小競り合いをしていた。

 

「おい坊主!こりゃなんだ?」

「ああん?ああ、テレビだよ。テ・レ・ビ!」

「ほう!これが動く絵に音声を伝える箱か!なんともまあ、不思議な箱よな~」

「あ~もう!なんだっていいだろ!」

 

大柄の男は感慨深そうにテレビを見ている。たたいたり裏に回ったりと、とても現代に生きる人間がする行いに見えない。

『大戦略』と書かれたTシャツがはち切れそうなほど豪快筋肉。深紅の髪に顎髭を生やす大柄の男は『ライダー』の使い魔(サーヴァント)

 

呆れてベットに座ってしまったのは彼のマスター、『ウェイバー・ベルベット』。

血なまぐさい聖杯戦争に参加する魔術師が一人だ。

男性にしては長い黒髪。二つわけされた髪からは真面目な印象を受けるが何処か幼さを残し、大人になろうとするような必死さを受け取れた。

彼は、自身が召喚した使い魔(サーヴァント)の扱いに難儀しながら、これかの事に思考を回す。

 

――聖杯戦争…七騎の使い魔(サーヴァント)が殺し合う儀式。それぞれの使い魔(サーヴァント)は七つのクラスを以て過去(・・)の英霊を召喚する。

『セイバー』バランスが良い最良のクラス。高い対魔力を所持する。過去の聖杯戦争で勝ち抜いた最強のクラス。

『アーチャー』単独行動スキルと高い射撃能力のあるクラス。総じて基本能力が低いが、強力な宝具を所持していることが多い。アーチャーというだけあって弓などの飛び道具を使う。

『ランサー』最高の敏捷性を持つとされるクラス。白兵戦において大きなキーポイントとなる。堅実なサーヴァント。

『ライダー』騎兵のクラス。高い機動力と強力な宝具を複数個持つサーヴァント。

『キャスター』魔術師のクラス。現代の魔術師がゴミぐらいに思えるような化け物もいれば、作家のような到底魔術師とは呼べないようなサーヴァントも呼ばれることがある。

『バーサーカー』狂うことで破壊に特化したクラス。英雄の自我を失わせ、マスターの指示にしっかりと従うクラスではあるが、魔力の消費量は一流のマスターであっても自滅する可能性がある諸刃の剣のサーヴァント。

『アサシン』暗殺者のクラス。気配遮断により、使い魔(サーヴァント)ではなく、魔術師(マスター)を狙うことが多い。

自身がもつのは『ライダー』のクラスをもつ使い魔(サーヴァント)。高い機動力と強力な宝具を複数個持つ。…『対魔力』もあることから『キャスター』は大丈夫かな?『バーサーカー』はまあ、勝手に自爆するだろうし大丈夫かな?問題は『アサシン』『アーチャー』『ランサー』そして『セイバー』。前者二つは僕が狙われること。後者二つは単純にサーヴァントの能力差だよな。

 

「なあ、ライダー。お前の『宝具』ってどんななんだ?」

 

ライダーのサーヴァントは自慢するように語り出した。最強宝具を隠して…。

 

――…

 

時計塔の講師であり、魔術師。ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは自身の婚約者とランサーのサーヴァントを携えて日本に向かう。

 

「我が主よ」

 

ランサーのサーヴァントは二槍を携える騎士。彼の顔には、魔性の泣き黒子があり、その輝くような美男子の顔を一層際立たせる。忠誠を誓うように自ら自身のマスターに跪き、顔を伏せる光景はまさしく王国に存在する騎士そのものだろう。

 

「どうしたランサー?」

 

そのマスターであるケイネスはワイングラスを揺らしながらランサーの話しを聞く。

名門の生まれであるケイネスは人を見下したような傲慢な目をしてランサーを見下ろしている。敗北という言葉を知らずに育った彼は、自身の生まれも相まって、非情にプライドが高いのだ。例え、英雄と称えられた人外じみた人物であっても、その態度は揺るぎない。

ランサーは自身の忠誠を絶対のものとするために言葉を以て、主に宣言する。

 

「必ずや主君の元まで聖杯を持ち帰ります」

「当然だランサー!どうして当然の行為を再確認されなくてはならない!…それよりも、その二槍の『宝具』は有名すぎるであろう?私が許可するまでこの呪符を以てその正体を隠すこととする」

 

力強い騎士の宣言を、ケイネスは理解していなかった。彼ら魔術師にとっての約束と騎士たちの約束では重みが大きく異なる。彼ら騎士たちは、自身が主君に宣言した言葉を違えるようなことがあれば、その時を以て、自身は騎士ではなく蛮族へと成り下がる。故に自身の信頼と忠誠のための宣言。ケイネスには…魔術師には絶対に分かることがない騎士の生き様というものだということだ。

ケイネスは自身の使い魔(サーヴァント)を本当に使い魔、主人の言うことを聞くペットのようにしか思っていないが故に、自身の願いを再度確認する使い魔(サーヴァント)に叱咤を飛ばす

ランサーにとっては重要な宣言であったためだったが、自身は主君を理解できていないと思い、申し訳ありません、と小さく謝る。

ランサーは自身が持つ二槍の『宝具』をケイネス(マスター)になんの躊躇いもなく渡した。

 

『宝具』というのは使い魔(サーヴァント)が一つはもつとされる最終兵器のようなもの。アーサー王ならエクスカリバー、ジークフリートならバルムンク、のように英雄が生前もしくは物語で語られる象徴のことを指すもの。故に、『宝具』を見れば使い魔(サーヴァント)の正体が知られることになる。

何故、正体、名が知られることが拙いのかはジークフリートやら、アキレウスあたりを例に出せば納得してくれると思う。彼らは弱点となる部分が神話や伝説に記載されている。さらに言うなら他にも、そのものがどれほどの実力なのかも露見するだろう。しかし、それを差し引いても初見殺しとなる最終兵器は重要なものだ。

 

故に、マスターといえども、それを軽く渡す行為をする使い魔(サーヴァント)は少ない。自身の忠誠を誉とするランサーであったからこそだろう。

 

「頼んだぞランサー」

「はっ!」

 

始まりの夜は近い。彼らの忠誠が真に届き、誠の信頼を築く二人になることを望むばかりだ。

 

――…

――Fate/zero minus

 

漆黒の身で闇夜に紛れるサーヴァントが神父の男の元に現れる。世にも奇妙な面をしたそのサーヴァントは『アサシン』。

 

「行け、アサシン。何、大したことは無い」

「御意」

 

誰もが静まり返った街の一角。その魔術師の家にアサシンのサーヴァントが奇襲を以て侵入を試みる。厳重の警戒態勢の敷かれた魔術結界は、現代で言うところのレーザーによる網が所せましと張り巡らされている。そのレーザーが流れるように移動しているのだから逃れることなど不可能だ。

しかし、それは人間ならというだが…。

アサシンのサーヴァントは流れ動く監視の網を容易に躱す。とてもその姿からは想像も出来ないほどの流れる動きで躱し、その魔術の元を壊していく。

表情は面で分からないまでも、余裕なのは伝わってくる。

 

「ほう、流石はアサシンのサーヴァント、と言ったところか?まあ、所詮はアサシン」

 

それを見るのは屋敷の上に立つ、屋敷のマスターのサーヴァントの姿があった。赤い外套を身に纏った筋肉質な男。白い髪に褐色色に焼けた肌。両の手には中華剣が一本握られている。

 

「何っ!」

 

アサシンが驚きの声を上げる。その声には自身のアサシンとしての自信があり、悟られない驕りがあった。そして、距離を詰めたその赤い外套のサーヴァントに対する驚きだった。

 

「さらばだ!アサシンのサーヴァントよ!」

 

赤い外套のサーヴァントがアサシンのサーヴァントを切り裂く。アサシンのサーヴァントはあっけなく消え、これで一つ落としたことになる。

聖杯戦争の始まりだ。

 




ありがとうございました。

次は来週の水曜(2018/2/21/17:00)に投稿します。
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