この辺りから矛盾点、設定ミス、作者の勘違いが発生する可能性があります。その場合、直せる範囲なら直し、無理なら設定捏造という形をとらせてもらいます。
その場合、後書きに書かせていただきます。
衛宮切嗣は思考する。
コンテナでのランサーとの戦闘。これによってランサー陣営の戦力とその主の性格などの情報を得ることが出来た。これは良い。さらには相手のランサーの真名が知れたのも大きい。
しかし、こちらのサーヴァントの名まで知られてしまったのは誤算だった。
この戦いを見ている者は多い。どちらかの陣営が欠けたその時、襲って来る可能性は高いだろう。
さらに、ここでランサーのマスターを狙撃で殺すにしても、闇夜に紛れる、死んだはずの『アサシン』に自身がバレるのはどうしても避けたい。
こちらに出来る手札はセイバー本人がランサーを打倒することだが、ランサーの宝具によって回復不能の傷を負わされた。このままでは他のサーヴァントとの戦闘に支障をきたすだろう。どうにかセイバーにランサーを打倒してもらいたい。
セイバーとランサーの打ち合い。アサシンの監視。ランサーはサーヴァントを討つのは難しかろう。しかし、マスターはそうでもない。この戦闘で勝つ必要がなくなった以上、頃合いを見て撤退を、と切嗣は考えていた。
しかしそんな時、他の陣営からの攻撃を受ける。
完全なる死角からの一線自身も気づかなかったそれによって、戦況は一変する。
ランサーのもつ宝具の効力が力を失う。その陣営のサーヴァントは十中八九『アーチャー』。
ランサーとセイバーを同時に相手取り、且つ、マスターさえも狙えるそれが不可避の死角より追撃が開始された。
「何をやっているランサー!――」
ランサーのマスターによってセイバーを攻撃し始める。しかし、ここで馬鹿正直に戦う必要はない。ランサーから受けた傷は宝具の消滅とともに効力を失っているためランサーを無理して倒す必要は無くなった。
故にセイバーに撤退を、という時にまた他の戦力が介入した。
令呪を使い、セイバーをという時は舞弥も使って止めようとしたがその必要もなくなった。
『
「双方剣を治めよ!王の御前であるぞ!」
衛宮切嗣はこの状況に焦りを出していた。
アーチャー、ライダーの介入により、戦況が滅茶苦茶だ。
それに加えてアサシンがコンテナを見張っている所為で迂闊にケイネスを狙撃出来ない。
いや、ケイネスはすでにアーチャーの射程内におり、且つ、姿を現している。
彼の拠点を叩く計画も、生粋の魔術師であり、戦術を理解していない学者様であることは分かったのだから、ここでわざわざ衛宮切嗣が手に掛ける必要はない。
「セイバー。隙を見てアイリと撤退を」
盾となって守る騎士は赤の大柄のサーヴァントを守るような立ち位置。
セイバーは黙ったまま肯定の意を出す。
ランサーは継続して戦うには傷を負いすぎている。このまま、連戦はきつかろうが、マスターがそのあたりを理解しているのかは疑問であるが、ここで戦うというのなら撤退しやすい。
「我が名は征服王イスカンダル!此度はライダーのクラスを得て現界した!問うておく。汝らは聖杯を余に譲り、我が軍門に下る気はないか!?」
「さっきからな~にを考えてやがりますか!こんの馬鹿は!!!」
ライダーの介入によって一時的に戦況が止まっている。
互いが互いを牽制し合うサーヴァント。ピリピリとした緊張の中だ。
ランサーは令呪による強制を押さえつけるように、腕を震わせている。
「「断る!」」
セイバー、ランサーはライダーを睨む。
ライダーの介入と合わせてアーチャーの狙撃が止まった。
アーチャーの狙撃が止まったのは何故か?切嗣はアーチャーが居ると思われる方向にスコープを向ける。そこに居るのは赤い外套のサーヴァントと、白い髪の和服姿のサーヴァントが争っていた。なるほど、何処かの勢力がアーチャーを叩いたようだった。
この状況で何故?ここでアーチャーを抑えることでメリットがあるのは、我々とランサー陣営。もしかしたらランサー陣営かライダー陣営の同盟サーヴァントの可能性もある。
「舞弥。アーチャーとその交戦中のサーヴァントを頼む」
「了解」
しかし、あれが征服王か…あんな何も考えていないような男に世界は征服されかけたのかと、切嗣は呆れるように思った。
切嗣は英雄が嫌いである。若者が憧れ、騎士道という体のいい言い訳を戦場で語る彼らに憎悪すら覚えるほどだ。故に、ライダーの誇らしげな表情や、何でもありの現代の戦場に自身の弱点を晒す者に、小さな苛立ちを覚えた。
しかし、それをすっと押さえつけ、戦場をゆっくりと考察する。
マスターを狙うことはできるが、まず当たらないだろう。現代の銃で以ても、神話に生きた英雄にとっては見慣れた速さ。躱せない、防げない道理はない。ここは様子見に徹するほかに手はない。幸いにして、こちらの居場所が悟られるような気配もない。
「まあ、よい。残念であるが…ところでランサーのマスターよ。何処から覗き見しているのか知らんが、下種な手口で騎士の戦いを汚す出ない。ランサーを引かせよ。なおこれ以上こ奴に恥をかかすというのなら、余はセイバーに加勢する」
ライダーは冷たい声色で脅す。ランサーのマスターは屈辱の表情を浮かべながらランサーに命ずる。
これは都合がよさそうだ。このままランサーは引くだろう。と、なるとライダーだが、セイバーに続けてたたかわせるには荷が重いだろう相手だ。ここは一度ランサーに合わせてひかせてもらおう。と、切嗣は舞弥達に指示を出した。
「撤退しろランサー。今宵は――
「いえ、ここでランサーには落ちてもらう」
乱入者の夜はまだ終わらない。
全員の目が突然現れた少年に向けられた。
真っ白に染まった髪をし、体には入れ墨のような紋章が刻まれている。それも全身隈なく、顔さえも刻まれた黒と赤の紋章だ。
その少年がランサー、セイバー、ライバーがいるコンテナに介入する。
「ふむ、乱入者が多い戦場であるなぁ。なあ、そこなサーヴァントよ。一つ我が――」
「――私はあなたの下には付きませんよ」
「そいつは残念だ」
ライダーは本当に残念そうにため息をつく。乱入者にも変わらず勧告とは、なんて豪胆な男か!と、皆が思った。
あんなサーヴァントのマスターは御免だね、なんて軽く感がるぐらいには、皆呆れている。
「俺を落とすと申すか、そこなサーヴァントよ。ならば全身全霊を以て御相手いたそう!」
ランサーが構える。ぎらついた瞳をして紋章の少年をにらむ。ランサーは正面から挑まれたようなもの。騎士として、相手が武器を構えるまでは待たなくてはならない。しかし、少年は武器を構えることなく、アーチャーがいると思われる方向を見た。
「ランサー、セイバー、ライダー、アサシンは変わらないのはまだいい。キャスターは
少年は独り言のように呟いている。ため息交じりに悪態をつくその姿は、ここが戦場であることを忘れているのかと、疑いたくなる様子だった。
「何の用だ、そこなサーヴァントよ!独り言をつぶやき場を乱すだけをしに来たのではあるまい」
「ええ、警告と宣言に」
何を?と、質問する前に少年は答える。
「皆が争い、利用しようとする聖杯は、汚れています。なので、私にすべて任せて皆さん死んでください」
それを言った瞬間、「ガァァアア!」という、うねり声とともに少年の体が変質する。それはまるで人狼のような姿。真っ黒く染まったそれは、まるで生きる呪いの塊だった。
「バーサーカー!?」
狂ったようにうねり声をあげながら、ランサーに向かって駆けていく。それをランサーは静かに対応した。
少年による瞬足の攻撃を、神速の槍で以て、その心臓に突き刺した。
「ふん、その程度で我らの戦場に乱入するとは…恨むなら自身の未熟な実力を恨むことだ」
槍はしっかりと心臓に突き刺さっている。血が傷口から、口からぼとぼとと流れ出る。
いきなり現れ、宣言をしたにも関わらず、何の手ごたえもないことにセイバー、ライダーは違和感を覚えた。ランサーはマスターとの遺恨による負の感情で気づかなかったそれによって、全く気付かなかったために、彼の生死の分岐点が分かれた。
「あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「何!?」
少年の体に血のように赤い線が刺された心臓より体に伸びていく。それはやがて全身に広がり、それとともに赤以外の体が白く染まる。
「逆しまに死ね」
撤退しようとしたランサーの手を、血で染まった獣のような手でつかむ。狼狽するランサーに少年は自身が持つ、最弱にして、最凶の宝具を開帳した。
「
少年に刻まれた傷がランサーにも反映される。それは原初の呪い。報復という概念が付与された宝具だ。ランサーの心臓が機能を失う。
「ぐふっ!主よ…」
ランサーが光とともに消える。
これでランサーが落ちた。
少年は未だ消えない。ふらふらとはしているが限界している。
セイバーを指さして次はお前だ、とでも言うかのよう睨みつけた。
「セイバー、こりゃまずいぞ…カウンタータイプの宝具。対策無しでアレの当たるのは愚策極まりないと思うが、そちは何かしらの手があるか?」
「いや、効果範囲、制限、それらがわからない。アイリスフィールここは撤退しましょう」
「然り。セイバー…ランサーのやつは残念だったが…次に相まみえるとき!貴殿に余の全身全霊をぶつけられることを切に願う限りだ!」
「ええ、その時は私も全身全霊を以てお相手いたそう」
コンテナで行われた第二戦の終わりを告げるように、月が隠れ、二つの陣営は撤退した。
ありがとうございました。
次の更新は来週の水曜日(2018/3/14/17:00)に投稿します。
ルビミス訂正(2018/3/10)
重大な設定ミスの修正(2018/3/17)