IS インフィニット・ストラトス 月を見る少女   作:フレイムバースト

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モンハンワールドをやりながら投稿じゃい。




Chapter.2

「ぁ…ぅ」

ぼんやりとした視界が天井を映す。全身が妙に痛むが、それを無視しながらゆっくりと身体を起こす。

ここはどこだ。見る限り医療機関であるようだが、それ以外の情報は全くない。

それ以外の情報は全くない、というのはわたしにも言える。自分手を見つめ、近くにあった鏡に映る自分の姿を見つめても、何もわからない。この手は誰のだ、鏡の中のお前は誰だ。身につけているそのクリスタルのネックレスはなんだ。それを思い出そうとして頭の中の記憶を探るが、記憶から思い出せるのは、機械を罵倒する男性の声と、ロボットのようなものが戦い続ける宇宙、敵対しているロボットに砲撃される記憶しかない。自分に繋がる手がかりは一切ない。

ただ一つ、自分に関わりがあったものとして克明に覚えている単語は

「バーゼラルド…」

バーゼラルド。それが何を示すのかはわからないが、自分と密接に関わっていたものだと体は理解している

「目を覚ましたようだな」

突然扉が開き、その音でぴくん、と体が跳ねる。

「あなたは…」

「織斑千冬、IS学園に務めている教員だ。海に打ち上げられていたお前をここに搬送したのは私だ」

目の前の女性はそう名乗りながら、腕を組みながら私の隣にやってきた。

「…とりあえず、何があった。海に打ち上げられるような事態など只事ではないはずだ」

「わからないです」

織斑千冬の質問に対し、私はすぐに答える。彼女は何か答えを期待していたのか肩透かしを食らったような顔をしていた

「…即答されるとは思わなかったな…わからないなら次だ。名前はなん…「わかりません」……」

食い気味につい答えてしまったが千冬は頭を抱えて眉間に皺を寄せる。そんな千冬に私は自分の話せることを話すことにした

「私は自分の名前も、あなたの勤めるIS学園がどんな職場なのかも知りません。今の私が理解しているのは一般常識と、自分に密接な関わりを持つであろう物の名前だけです」

「その密接な関わりを持つ物の名前はなんだ」

「…バーゼラルドと言います。私に残っている記憶ではかつての乗機であった物の名前です」

「かつての乗機、だと?お前はISのパイロットだったのか?」

「…IS、とはなんでしょう?」

私の質問に千冬はさらに頭を抱えた。この人は純粋な疑問に直面すると固まってしまうタイプなのだろう。

 

「…まさかな、本当に記憶喪失というやつか?…仕方あるまい、実物を見せてやる」

 

千冬は私について来い、と言った。私はそれに従うことにした。今は自分の知らないことを知らなきゃいけない。どんなものでも貪欲に見て、触らねばならない。

 

「ところで千冬、私の衣服についてですが」

「その呼び方が引っかからなくはないが、先に答えておこう。お前を見つけた生徒がわざわざ貸与してくれたのだ。…ありがたく思えよ」

素性も知れない私に服を貸してくれるとは、その人はなんというお人好しなのだろう。サイズはあっていないが、今はその優しさに甘えておくことにした。

 

そのまま千冬についていけば、格納庫のような所にたどり着いた。何故だかこの場所の雰囲気は懐かしく感じる。私の中の記憶が懐かしく感じている。

 

「……。おい、お前は本当に名前がわからないのだな?」

千冬に声をかけられる。眉間にしわを寄せながら苦笑いしている。ああいった苦笑いは何かにつまづいた時の笑みだ。

「はい。一切思い出せません。もしやそれで何か問題が…」

「物分かりがいいな。書類に書くための名前が必要だ。なんでもいい。今すぐ名前をでっち上げろ。それがお前のこれからの名だ」

 

「名前、ですか……」

 

名前を考えろと言われて私は悶々と記憶に残る引き出しを開けていく。

私の記憶は月に行って、激しい戦いをしたところで途切れている。ならば月に記憶の手がかりがあるのだろう、と考えながらいつのまにか出ていた月を見る…そして思いついたワードを並べてそれっぽくなるように名前を組み立て、書類にサインをする

「『月見ㅤ純』か…」

 

月見ㅤ純

月を見つめ、そこに記憶の手がかりがあると純粋に信じている私を端的に表した名前。本来の名前を思い出したとしても、この名前で通す。

 

「…とりあえず、お前、と呼ばずに済むのはいい。月見、ついてこい」

書類にサインを終えると千冬の言う通りに隣について歩く。

千冬はISについて色々と教えてくれた。白騎士事件と呼ばれる事件で既存の兵器は過去のものになったこと、また、ISを用いたスポーツがあること。ISには世代というものがあるということ。今から見せてもらえるのは第2世代のISらしい。

 

「月見、これがISだ。」

千冬に連いて歩いた先のハッチに、それらは鎮座していた。

「第2世代型IS、ラファール・リヴァイヴと打鉄だ…装着は流石に許可が取れなかったが、触るぐらいならまだ許してやる、とのことだ。思う存分観察すると良い」

千冬がわざわざ許可を取ってくれたのだ、千冬の言葉通りじっくり観察してみることにした。

 

ラファール・リヴァイヴ。緑色の機体。銃火器の扱いに秀でた量産機、ということらしいが銃火器のようなものが装備されているようには見えない。聞けば巨大すぎるもの以外は全て量子化されているというのだ。なんとも不思議なものである。これはよく調べてみた方が良さそうだ、とラファール・リヴァイヴに触れた瞬間サイバーラインがISと私を繋ぐように光を放ち始めた

「っ!?」「何だ、どこを触った、月見」

どこか触ってはいけないところを触ってしまったのだろうかと焦っているうちにネックレスにしていたクリスタルにサイバーラインが接続される。

千冬も事の異常性を理解したのか私をラファールから引き離し、そのまま距離を取る。

光に包まれていくラファール。それは今までの重厚なシルエットからみるみるうちに姿を変えていく。

そして眩い光が辺りを一瞬、白く染めた後目の前に鎮座していたのは白と水色で彩られた機体。そしてその機体のシルエットは記憶に残っていたロボットに酷似していた。その機体の名は私にかかわりあるもの。失われた記憶の一欠片。この機体の名は━━━━━━━

「バーゼラルド…」

バーゼラルドが、そこにいた。

 




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