太陽が山の頂上に沈みかけている頃、博麗神社にて。
夕陽が射す境内に佇む霊夢の姿があった。彼女は目を閉じて、何かを感じ取ろうとしているようだった。その表情は普段より険しく、どこか切迫した雰囲気を感じさせる。
しばらく経って、霊夢は目を開いた。そして鳥居の上へ視線を向けると、そこに座っている八雲紫の姿を視界に入れた。霊夢は険しい顔のまま、紫に向かって話しかける。
「来ると思っていたわ。でも、まさか一人で来てくれるなんて思ってもみなかった」
紫は小さく笑うと、霊夢の方を向いて言った。
「だって私一人で充分ですもの。あの時もそうだったじゃない」
霊夢は無言で眉根を寄せると、紫の立っている鳥居の下まで歩み寄った。それから少しの間を置いて、ようやく口を開く。
「随分と舐められたものね。訳の分からない事言って煙に巻くつもり?」
霊夢は敵意に満ちた目つきで、目の前に立つ胡散臭い妖怪女を睨んだ。しかし当の本人は涼しい顔をして、相変わらず何を考えているのか読み取れない笑顔を浮かべている。それが余計に腹立たしかった。
霊夢は苛立ちを抑えきれず、語気を強めて言う。
「いつまで上から目線で見下ろせば気が済むのよ? 降りて来て、さっさと用件を言いなさい」
「んー、そうねえ。どうしようかしら。このまま話しても別に構わないんだけど、それじゃあ霊夢が納得しないでしょうし。むしろ貴女がこっちに来たらどうなの」
紫の態度を見て、霊夢は鼻を鳴らした。
こいつはいつもそうだ。自分が優位に立てる状況でしか話をしようとせず、相手の出方や反応を楽しむためにわざと挑発的な言動を取る。霊夢は紫の性格を知っているため、こういう時は下手に逆らわず、相手に合わせてやるのが一番だと理解していた。
だから、素直に従うことにした。
霊夢は鳥居の上に行こうとして、その場で飛んだ。しかし膝上の高さまでしか浮かずに、そのまま重力に引かれて地面に落下してしまう。
「あ、あれ?」
それを見ていた紫はくすりと笑い、霊夢は苦々しい表情になる。
霊夢は地面から立ち上がり、改めて宙に浮かび上がろうと試みるが、またも上手くいかなかった。
「……どうして飛べないのよ!」
霊夢は焦燥感を露にして叫んだ。
すると紫は不敵な笑みを見せ、愉快そうな声で言う。
「ふふっ。何を焦ってるの? ほら、落ち着いて。深呼吸をして、ゆっくり考えてごらんなさい。貴女の身体が今、どんな状態なのか……」
紫の言葉を聞いて、霊夢の頭の中に様々な思考が駆け巡る。そしてすぐに答えに行き着いた。
「あんたが、私に何かしたんでしょ!?」
霊夢は怒りの形相になり、紫に向かって叫ぶように言い放った。それに対して紫は妖艶な微笑みを絶やすことなく答える。
「何かしたと言えばしたし、してないと言えばしていないわ。私はただ、ちょっとだけ貴女の背中を押してあげただけだから」
そう言われても、霊夢には何の事だか分からなかった。そんな彼女に、紫はさらに続ける。
「今の貴女は、鳥籠に棲まう小鳥と同じ。飛ぶための翼はあるけれど、外の世界へ出る事は出来ない。鍵が掛かっているわけでもなければ、鎖で繋がれているわけでもないのに。なぜなら、その場所がとても居心地が良いから。隣に誰かが居て、その人と共に居るだけで満足しているから。それはつまり、自分で自分を縛っているということ。だから外に出ようなんて考えすら思いつかない。たとえその先にあるのが、破滅への道しかないとしてもね」
霊夢は黙ったまま、紫の話を聞き続けた。
彼女はまるで心を見透かすような視線で霊夢を見ながら、言葉を続ける。
「また、前みたいに空を自由に泳ぎたいのかしら? それなら、どうすればいいのか教えてあげるわ」
「……言って」
霊夢は静かに、短く呟くように言う。
それを聞いた紫は口角を上げ、意地の悪い笑顔を浮かべた。
それから、少し間を置いて紫はゆっくりと、諭すように言葉を紡ぐ。
「彼を、殺すのよ」
その瞬間、霊夢の顔つきが変わった。周囲の空気が一変し、肌が粟立つほどの殺気が放たれ始める。だが紫は動じることなく、霊夢の変化を観察していた。
やがて霊夢が、感情を抑え込んだ静かな口調で言う。
「殺す」
次の瞬間、紫はその場から前のめりに吹っ飛び、鳥居の上から転げ落ちる。
「ぎゃっ!」
紫は悲鳴を上げて地面に叩きつけれられた。そして呻き声をこぼしながら、うつ伏せのまま顔をあげて鳥居に視線を向けた。
先程紫が居た場所には、人間大の陰陽玉が浮いていた。それが紫を吹き飛ばしたのだ。
紫はよろめきながら立ち上がると、背後から聞こえる足音に気付き振り返る。そこには霊夢の姿があった。彼女の瞳は、殺意の赤に染まっていた。
「……やるじゃない。でも、不意打ちは卑怯だわ。スペルカードルールを忘れたのかしら?」
紫は余裕ぶって言ったが、内心では冷や汗を流していた。
しかし霊夢は、そんな彼女の様子など気にも留めず、冷静な声で答える。
「これは遊びじゃない。私達の邪魔をする者は誰であろうと許さない」
霊夢にとっては紫のことなど、どうでもいいのだ。霊夢にとって大事なのは、○○だけ。
○○さえいれば、他には何もいらない。
○○以外の全てが敵になる。
○○を傷つける全てのモノを消し去る。
○○以外、全てを排除する。
霊夢はそう考えている。今の彼女に必要なのは、目の前の女を殺す事だけだった。
「だから、お前を殺すの」
霊夢は、抑揚のない声で言い放つ。
それを聞いた紫は、呆れたように溜め息をつくと、やれやれと首を横に振った。
「誰に向かって口を利いているつもりなのかしら。私は妖怪の賢者の一人よ? その私が、たかが人間の小娘に殺されると思って?」
紫の言葉には明らかな挑発が含まれていて、それを理解した上で霊夢は無視した。
霊夢は無言でその場にしゃがみ込み、地面に手を置く。すると紋様のようなものが地面に浮かび上がり、そこから光の線が伸びた。
線はそのまま神社の本殿まで伸びていき、そこで止まる。
光が消えると、神社の本殿の前に大きな魔法陣が出現した。それは禍々しく歪んだ円形をしており、まるで地獄に繋がる門のようにも見える。
その光景を見た紫は目を見開き、驚愕の声を上げる。
「まさか……」
紫の表情には焦燥の色が滲んでいた。
霊夢は立ち上がり、無造作に手についた土を払う。それから、静かに告げた。
「平伏せ」
「あっ……あぁ」
紫の口から掠れた声が漏れた。その言葉と同時に、紫は身体をビクリと震わせ、そのまま膝から崩れ落ちた。紫は四つん這いになり、額を地面に擦り付けるようにしてうずくまる。
それは紫が意図した動きではなく、強制的に行われたものだった。頭を上げようにも、腕を動かすことすらできない。全身から妖気が抜けてゆき、力が入らなくなる。
霊夢は地に這いつくばる紫に近づいて行き、冷めた眼差しで彼女を見下ろした。
「がっ……ぐぅっ!」
紫は歯を食いしばり、荒く呼吸を繰り返し、必死になって立ち上がろうとする。だが、全く動けない。まるで地の底から見えない力で引っ張られているような感覚だった。
霊夢は、おもむろに紫の頭を踏みつけた。紫の額が地に押し付けられ、ぐりっと鈍い音が響く。紫の顔が苦痛と屈辱の色に染まり、彼女の目には涙すら浮かんでいる。それでもなお、霊夢は容赦しなかった。
何度も、何度も、繰り返し踏みつける。霊夢の靴底が、紫の頭を蹂躙する。呻き声が、悲鳴に変わる。紫の頭からは血が流れ、辺りに飛び散っていた。
やがて、霊夢はやり飽きたと言わんばかりに足を離すと、しゃがみ込んで紫が被っている帽子を掴んで、乱暴に投げ捨てた。
そして今度は紫の髪を無造作に鷲掴み、強引に顔を持ち上げる。紫の端正な顔は土と血に塗れ、見る影もない。霊夢はそんな彼女を冷ややかな視線で見つめながら、吐き捨てるように言った。
「妖怪の賢者ともあろう者が、人間の小娘如きに頭を下げるなんてね」
紫の頬に、一筋の血が流れる。彼女はどうにか言葉を絞り出した。
「……一体何なの? 貴女は……」
霊夢はそれに答えず、代わりに紫の髪を引っ張って仰向けに転がす。なすがままになった紫の腹部の上に馬乗りになると、霊夢は懐から針を取り出し、逆手に握り込む。長く太い鉄の針だ。
それを見た紫は目を大きく見開いた。自分の腹の上で不敵に笑う少女を見上げ、震え声で訊ねる。
「そ、それ、どうするつもり?」
「勿論、針は刺すためにあるものよ」
霊夢はそう言うなり、持った針を紫の左腕に突き立てた。僅かな抵抗感の後、肉を貫く嫌な音と共に針の先端が体内に潜り込む。
「あああぁぁっ!?」
紫は絶叫を上げて暴れようとするが、力が全く入らない。霊夢は構わず、針を押し込み続ける。
「あううぅ……」
鋭い痛みと熱を感じ、紫は大きく息を吐き出した。霊夢はそのままゆっくりと、確実に、深くまで押し込んだ。やがて針は紫の腕を貫いて地に突き刺さった。
霊夢は針から手を離し紫の顔を覗き込む。紫の表情は痛みに耐えるためか、酷く歪んでいる。額には脂汗が滲み、唇を強く噛み締めていた。その目からは大粒の涙が零れる。霊夢は手を伸ばし、指先でそれを拭うと紫に向かって囁いた。
「妖怪なのに涙を流すのね。変なの」
紫は何も言い返せなかった。
霊夢はつまらなさそうに息を吐き、再び刺さっている針を握る、それからそれをぐりぐりと捻り始めた。
「いぎぃっ! やめ、てぇっ!」
紫は堪らず叫び声を上げる。霊夢は少しの間、無言で紫を痛めつけていたが、ふと思い立ったように手を止める。紫は荒く呼吸をしながら、不思議そうな眼差しを霊夢に向ける。
すると霊夢は口元に笑みを浮かべて言った。
「妖怪でも痛みを感じるのよね。だったらどこまで耐えられるのかしら? あと何本、針を刺せば死ぬのかな?」
紫の顔色が青ざめる。霊夢は紫の反応を楽しむかのように、また一本、新たに針を左腕に突き立てる。
紫は悲鳴を上げ、身を捩らせる。しかし逃れることは叶わない。
「あはっ。いい気味ね。妖怪の賢者さん」
霊夢の口調は普段と変わらない。それが余計に恐ろしかった。紫の目に恐怖の感情が浮かぶ。
霊夢はそれを見逃さなかった。霊夢は紫の耳元で優しく、諭すように語りかける。
「大丈夫よ。急所は外してあげる。ちゃんと痛がってくれないとつまらないもの。針も沢山あるから安心なさい」
霊夢の言葉に嘘はない。針はまだまだ残っている。地獄はまだ始まったばかりなのだ。
霊夢は紫の身体の上から退くと、改めて目の前の相手を観察する。
紫は目を見開いたまま、ぐったりとして動かない。身体中に無数の針が刺さっており、そこからは血が流れ続けている。
既に生気は無く、瞳孔は開き切っていた。泣き叫んでいた紫は途中から何も言わなくなり、今ではただ静かに涙を流しているだけだ。
霊夢は自分の手を眺め、そこについた紫の血を見て顔をしかめた。
「随分と汚れちゃったわ。○○さんに会う前に、綺麗にならないと駄目ね。こんな姿見せられないし、私以外の匂いがしたら嫌だもん」
霊夢はそう呟くと、紫の死体を跨いで神社の奥へと向かおうとした。
「待ちなさい」
不意に後ろから声を掛けられ、霊夢は振り返る。霊夢の視界には、地に伏したままの紫しか映らない。しかし今の声は紫のものだった。霊夢は怪しむような視線を向ける。
「こっちよ」
またしても背後から声が聞こえた。今度は霊夢は振り向きざまに弾幕を放とうとした。しかし顔をそちらに向けようと瞬間、思わず動きを止めてしまう。頬に鋭い痛みを感じたからだ。霊夢は反射的に前へ飛んで振りかえった。
そこには、いつの間にかもう一人の紫がいた。髪や服装は乱れておらず、身体には傷一つついていない。先程までとは打って変わって柔和な表情をしている。まるで別人のような変わりようだ。だが、彼女の纏う雰囲気は紫そのもので間違いない。
霊夢は頬に手を当て、指先に付いた僅かな血液をまじまじと見つめながら言った。
「……どういうこと?」
「あらあら、ごめんなさいねえ。少し驚かせるつもりだったんだけど、貴女が勢いよく振り向くものだから、つい手が滑ってしまったの。それで頬が切れてしまったようね。傷をつける気はなかったのよ。本当よ?」
紫は自身の爪を見せながら、申し訳なさそうな様子で言う。
霊夢は警戒した面持ちのまま、自分の身体を確認する。幸い傷は深くなく、出血も少ない。すぐに治りそうだ。
しかし、そんなことはどうでも良かった。問題は目の前にいる紫が本物かどうかだ。
「違う! 私が聞きたいのはそういう事じゃない!」
霊夢は大声で叫ぶと、そのまま地面を踏みつけた。その衝撃で砂埃が舞い上がる。
紫は両手を広げて首を傾げると、困ったように眉尻を下げて答えた。
「そんなに怒ると、可愛い顔に皺が出来てしまうわよ。せっかくの美人が台無しになるから止めなさい」
紫はそう言うと霊夢の方に向かって歩き出す。霊夢は後ずさって距離を取ろうとしたが、紫の方が早かった。
「あっ」
霊夢の腕を掴むと、強引に引き寄せようとする。霊夢はそれに抵抗するが、紫の力は強くびくともしない。
「私を虐めて楽しかったかしら? それなら、わざわざ余興を用意した甲斐があるというものね」
「何を、言って、いるの!」
紫は妖艶に微笑み、霊夢の顔を見据えたまま話す。霊夢は紫の言葉を聞いて顔をしかめると、掴まれた腕を振り払おうと暴れ始めた。
紫はその様子を見て口角を上げると、更に力を込めていく。霊夢は歯を食い縛って抵抗するが、次第に力が抜けていくのを感じ取っていた。
やがて、霊夢は諦めたように力を抜くと、紫を睨んで吐き捨てるように言い放った。
「……手を抜いていた癖によく言うわね」
「相手が悪かったわね。でも、私以外だったら殺されていたかもしれないわよ。理性を失った相手ほど恐ろしいものはないんだから」
紫はクスリと笑い、霊夢の頬を撫でる。
霊夢は悔しそうに唇を噛んだ。そして、霊夢は自分が思っていた以上に、紫の術中に嵌っていることに気付く。霊夢は紫の手を払い除けようとしたが、逆に紫に抱き寄せられてしまった。紫は霊夢を抱き締めると耳元で囁く。
「大丈夫よ。私は霊夢と争うつもりはないの。彼との仲を邪魔するつもりもないの。だから、安心して頂戴」
「……その言葉を信用しろっていうの?」
霊夢は疑心暗鬼になりながらも、絞り出すように声を出す。
すると、紫は霊夢を解放して、今度は優しく頭を撫でた。霊夢は戸惑いつつも、黙って紫の行為を受け入れる。
紫は穏やかな口調で話し始めた。
「空を飛べなくなった。それが何を意味するのか貴女は分かっているはずよ。博麗の巫女が無敵たる所以は、奥義夢想天生にある。それを封じられた今、貴女の力は全盛期の半分にも満たない。つまり、今の霊夢に彼を守る力はないの。貴女達を引き裂こうとする者が襲って来たらどうするつもりなの? 貴女は人間で、彼も人間。幻想郷には沢山の危険がある。怪我や病気でも、いつか死んでしまうわ。それは明日かも知れないし、明後日かも知れない。二人だけで幸せになれるなんて、本気で思っているのかしら?」
紫の問い掛けに対して、霊夢は何も言わずに俯く。その表情からは、不安と焦燥感が浮き彫りになっていた。紫は続ける。
「彼を愛しておきながら、どうして彼に迷惑をかけるような真似をするの? 彼の気持ちを考えなかったの? 彼は本当に貴女を愛しているの? 貴女はそんなことお構いなしに、我を通しているだけじゃない」
霊夢は拳を強く握りしめ、何も答えられない自分に腹を立てていた。
紫の言っていることは正論だ。しかし、それでも納得できない。霊夢には譲れないものがあるのだ。
紫は霊夢の様子を見て、軽く溜め息をつく。そして、諭すように語りかけた。
「とはいえ、私に人の恋路を邪魔する趣味は無いの。むしろ応援しているくらいよ。だから、二人の関係を認めてあげる」
紫は霊夢の手を取ると、霊夢の目を見つめる。嘘偽りのない言葉だと証明するように、霊夢の瞳の奥まで覗き込んだ。
霊夢はその視線に耐えられず目を逸らす。
紫は霊夢の反応を確認すると、そのまま続けた。
「そして、霊夢にとっても良い提案があるの。聞いてくれるかしら?」
紫の提案という言葉を聞いた瞬間、霊夢は身構える。
霊夢が警戒していることに気付いた紫は苦笑した。
「そんなに怖い顔をしないで欲しいわね。これは貴女も望んでいる事なのに」
「……聞くだけなら、聞いてあげても良いわ」
霊夢がぶっきらぼうに応えると、紫は嬉しそうに微笑む。
そして、紫は口を開いておもむろに話を始めた。一分も経たないうちに、霊夢の顔から血の気が引いていく。その内容は霊夢の想像を絶するもの。しかし願ってもない申し出だった。
「……それ、本当なの?」
「ええ。これは契約よ。一度始めたら途中で止めることはできない。それに、この方法以外に貴女達が結ばれる方法は無いと思うわ」
「何故、私にこんなことをさせようとするの? 周りくどいやり方をしてまで、何の意味が……」
霊夢の言葉を聞いて、紫は意味深に笑う。そして、一言だけ告げた。
「愛を知りたいから、かしらね」
その声音からは感情が読み取れない。思惑を悟らせないための仮面のようにも見えた。
「で、どうするのかしら。私の提案を飲むの? それとも断るの?」
紫はいつも通りの口調で言う。
霊夢は紫の真意が分からないままだったが、断る理由は無かった。○○と共に居られる可能性があるならば、どんな手段を使ってでも掴み取る。
霊夢は覚悟を決めると、紫の目を見る。
紫の瞳には、自分の姿が映っていた。まるで鏡合わせのような光景。
霊夢は脳裏に○○との未来を想い描きながら、紫に向かって答えを告げる。
それは博麗の巫女としてではなく、一人の少女としての願いであった。