[先天]あなたは問題児だ。   作:赤坂 通

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第十話『家族はいいものだ。いつだって信頼できる』

 ───南側、<アンダーウッド>。

 

 具体的な話はそこまで聞いていないが、白夜叉から軽く話は聞けた。

 

 襲われている側の立て籠っているという大樹の先に合った光景はもう絶望の淵に落ちた様な、終末の日に挑戦してみようとか思って終末を起こした後の駆け出しの様な顔をしている。

 死んだ魚の様な目とはこのことだろうか。

 見ていて面白い。

 

 敵が誰かも味方が誰かもよくわからない今は特にする事も無く、見知った顔はないかとぶらぶらと大樹の中を歩きまわっていたら * 濡れ * 状態の斑ロリと飛鳥を小脇に抱えた死亡フラグ少年の後ろを黒ウサギがぽつぽつと歩いている光景に出くわした。

 女子供を二人小脇に抱えるのは面白いのだろうか。

 黒天使とプチを小脇に抱えながら核爆発から逃げる遊びを思い出した。そうだ面白いのだった。

 口でデンデンデン・デンデレレンデン♪ とか口ずさみながら星がメテオによって壊滅する時のテーマを口ずさむと余計楽しいのだった。

 

 なるほど、認めよう。面白い事をしていると。

 

 とりあえずなんとなく後ろに付いていくことにした。

 面白いことが起きないかと期待してニヤニヤしながら。

 

 

 

 

 

     *

 

 

 

 

 

 そんなニヤニヤしつつ付いていったあなたは風呂場で頭をワシワシと洗っている。

 斑ロリ……本名をペストという少女をガシガシと、明らかに他者を洗いなれていない手で洗っている飛鳥の隣で洗っている。

 黒天使に土下座で頼み込んだり、普通にプチを洗ったりとしてきたおかげであなたは他者を洗い慣れている。

 慣れていないなら代わりに洗ってやろうか。

 そう声を掛けたら斑ロリがついでに首をへし折ってきそうなどと言ってきた。

 

 よくわかっているではないk……いや、別に折るつもりはない。

 

 というか気にしていなかったが斑ロリは一月くらい前に死亡フラグ少年・飛鳥・耀と黒ウサギが処理したのではなかったのだろうか。

 ……よくわからないが、条件が揃ったからとか何とかでノースティリスでいう、ペットの状態になっているようだ。

 なるほど。道行く他の冒険者も何度も雇用して親交を深めるとペットに出来ると聞くがそういうものだろう。

 

 

 条件を整えて、ペットにする。そこに何の違いもありはしない。

 割と違う気がするがきっと気のせいだろう。

 

 

 あなたとしては迷惑をかけてきたり、敵対してこない限り何もするつもりはない。

 そういえば、斑ロリはふわふわ浮けるし目つきが意外とキツいから黒天使の服装をしたら似合いそうだ。身長は全く違うが。

 そうと決まれば斑ロリの服を入れ替えておこう。

 黒天使の服は365着保管してあるのだ。綺麗に一年分である。

 着ている物も含めれば366着である。常にこれをキープしている。

 全部あなたのお手製だ。また一着作り直すだけだ。

 あらゆるパターンあらゆる種類の服装コレクション。

 もちろん、黒天使愛用……というより本人曰く制服の衣装も別として366着ある。

 そちらの制服を先に着せるとしよう。よく本に書かれている、よくある黒天使の服だ。

 

 そうなったら、黒い翼も装備してしまって黒天使の『ペスト』という名前に改名するのはどうだろうか。

 

 ……黒天使の話をしたら斑ロリが妙な反応をした気がした。

 尋問のお時間だ。 * きもちいいこと * をされたくなければチャキチャキと吐くがいい。

 そんな名前の人を見た記憶がある、というだけだった。何処で見たのか、と平らな胸に手を当てて鼻で笑いながら聞いたら999ダメの風を放出された。

 一桁減っている。弱体化されたのだろうか。

 頭を強めにチョップしたら「つくし」と叫びながら湯船に沈んだ。

 これから彼女の事はつくしと呼ぶことにしようか。

 いや、斑ロリで十分だろう。

 何の話をしていたのだっけか。

 

 いけない。のぼせているのかもしれない。

 頭がぽわぽわする。

 外に出ることにした。

 

 

 

 

 

     *

 

 

 

 

 

 死亡フラグ少年含めての会議が開かれて、あなたへの状況説明が行われた。

 南側の現在の状況をあなたなりに把握しよう。

 

 巨人の群れが攻めて来て、巨龍が現れて、城が空に浮かんでいて、城が攻略のカギ。今は休戦中で再開は一週間程度後。ただ、一部人員が城に運ばれていて……。

 

 

 

 なるほど。わからん。

 

 

 

 とりあえず大樹周辺で終末の日が訪れているのは確かだろう。

 巨人と、竜。若干違うがまぁ合っている。

 ラグナロクを取り出して机の上にゴトリと置いて、相手が龍と巨人ならこちらも無差別殺戮兵器を使ってはいかがだろう。と伝えた。誰かに任せるつもりだ。

 この兵器をあなたは使う気は無い。

 

 剣を取り出したが、具体的になにが起こるのかと聞かれた。

 この剣を使っていると、世界が燃え上がり炎に包まれ、青白い燐光を放つ長く浴びていればドンドンとあらゆる生命体に異形化を引き起こすエーテルが世界中に吹き荒れ、裂けた大地からは数多の巨人が姿を現し無差別に殺戮を起こし、天が割れれば竜が舞い降り星を覆い吐息が全てを薙ぎ払う。

 

 俗にいう終末の日が訪れる。という事だ。この世の終わりが見れる。

 そう伝えたら絶対に使うなと言われた。そうだろう。間違いなく状況が悪化する。

 あなたにしてみれば面白そうとしか言えない。

 もしも邪魔な制約が無く、境界門を超えて即座に巨人の群れと出くわしたりなんてしていたら数が足りないと叫んで間違いなく抜いている自信がある。

 

 

 さて、ではどうしたものだろう。

 謎解きなどという面倒くさいことはあなたは苦手なのだ。だからここらへんは知能派(笑)な死亡フラグ少年等に任せてあなたは巨人を全て星屑に変えて、隙あらば巨龍を天に返せばいいのだろうか。

 お前はそれくらいでいいなどと死亡フラグ少年に適当に扱われた。

 

 

 ムカついた。

 そうだ。城に行こう。

 滅ぼせ。

 

 

 そう言い残して窓からおもむろに飛び出してテレポートの魔法を唱えまくった。

 唱える事数十回、城の上……というよりは城下町だろうか……に辿り着いた。

 空気が若干薄いし、明らかに景色が変わったし、向こうの方に大きな城も見える。ここが空に浮かぶ攻略のカギになるであろう城でまぁ間違いないだろう。

 よし、乗り込もう。

 

 途中何度も変な赤茶けた草の様な何かが襲ってきたが全て叩いて地面に刺してオブジェに仕立て上げておいた。

 歩き回って彼方に見える城に辿り着き、門を体当たりで消し飛ばして中に入った。

 妙に複雑な城をすたすたと歩き回る。暫らく歩き回ってみたが中には赤茶けた変な生物は見当たらなかった。

 

 それにしてもやけに静かだ。攻略のカギという事は敵の本陣だろうし、敵陣営の拠点というならもっと兵がいていいものだろう。

 これではつまらない。大義名分の名の下に全てを滅ぼすつもりが倒すべき相手すら見当たらない。

 テレポートで適当に侵入したのがいけないのだろうか。正規な手順を踏まずに空中の城に侵入したから敵が配置されていない可能性がある。

 だとしたらあなたの非ではある。だが自重する気は無い。

 敵がいないなら好都合。返り血で塗れない分気持ちよく動けると楽観的に考えておこう。

 

 あなたは殺気が城中を駆け巡って城を振るわせても、なんら気にしない程にご機嫌な気分になったつもりで歩いていた。

 

 城がビリビリ震えているがあなたには慣れ親しんだ些末な殺気だ。

 ガードの前でガードの肉をこれみよがしに食った時程度だ。

 あなたレベルの殺気には到底追いつかない。

 

 

 

 研ぎ澄まされ濁り落ちた気持ちの悪い、底の見えない黒い殺気。

 はっきりいって人間どころか、生物の出していい物じゃない。

 おい近づくな。パンティーを要求して却下されたからと言って殺気を出すな。

 この間あげただろうなんで二枚目を要求する。

 おい、帰れ。これ以上ふざけたら出禁にするぞ。

 

 

 白夜叉にそう判断を下される殺気を放つあなたにとっては気にするほどではないのだ。

 白夜叉に今まで向けたことのある殺気は精々本気の1~2割程度の物で、ポンコツに対して向ける殺気とは比べるまでも無いのは説明する必要すらない事実である。

 ポンコツに向けるのは純度10000%の1000割本気の殺気だ。

 女神様にその調子だ、と言わせる程の殺気である。

 ミンチにしろ。

 殺せ。

 

 思い出し殺気を出しつつ、ブツブツと黒い瘴気を背負い殺気を撒き散らしながら歩いていたら最奥部らしきところに辿り着いた。

 ぷるぷると頭を振って意識を取り戻す。先程のカスみたいな殺気の出所もここだろう。

 

 

 

 天井の高い大きな広間にあなたが姿を現したその時、ふと吹く筈の無い穏やかな風を感じて息を呑んだ。

 

 

 

 白髪の子供や黒髪の少女、なんか変なローブに、柱の陰に隠れている誰か。

 全員が全員驚いているが、あなたも驚いている。

 涙が止まらない。

 現在進行形で顔中のあらゆるところから液体が垂れ流れているレベルだ。

 

 震える足で一歩ずつ進んだ。視界の端で黒髪の少女がナイフを抜き、白髪の子供が止めているが些末な事だ。

 あぁ、そうだ。邪魔を、するな。

 

 

 あなたはただ、その場に薄く残る香りに突き動かされていた。

 どれ程の時が経とうと忘れる事など。消えることなど無い。脳に、魂に刻み込まれた懐かしい香りに涙が滂沱の様に流れて止まらない。

 あなたは時すらも置き去りにする程に速い。だからこそ、会えない時間はあまりにも長く感じてしまう。

 女神様に感謝を捧げる時の様に涙を流しながら両腕で何もない空間を、薄い匂いの残る空間を掻き抱いた。

 

 

 

 ───天高く、深い蒼を湛えた青空に。緑溢れる木々を駆け抜ける風。

 

 

 ───花々が咲き乱れる天の園の草原に吹く風。

 

 

 ───春に吹く、命溢れる風の中で目を閉じ、深く呼吸をした時の様に心地の良い、鼻腔を擽る薄く甘い香り。

 

 

 ……あぁ、懐かしい匂いだ。

 

 ここにいたのだ。

 確かに、ここに彼女は居た。

 

 あなたの妻の黒天使がここにいたはずだ。

 

 この広大な箱庭で出会える可能性は薄く。今の今まであなたはこの世界に彼女がいるかどうかすら怪しんでいたのだ。

 ノースティリスにいるままなのかもしれない。そう思っていた黒天使は間違いなくこの場にいた。今、あなたが暮らすこの世界で確かに彼女は生きている。

 両腕を回してあなたはあなたの体を抱き締めてただ泣き続けた。

 この世界にいるのなら、必ず彼女に会える筈だ。

 この世界にいなかったなら、この世界から帰れなかったら。会えなかったのかもしれないのだ。

 招待状に書かれていた通り、家族を捨てる事になってしまっていたなら。

 いつかきっと探し出して会える。おそらく、そう遠くない未来に。

 その事実に感謝し、薄い微笑みを湛えながら、ずっと、ずっと。

 

 

 あなたは涙を流し続けた。

 

 

 

 

 

     *

 

 

 

 

 

 カツカツと地面を蹴る音が響きあなたの耳にその音が飛び込んできた。

 気が付けば、先程まで周りにいた白髪やら黒髪やらは消えていた。

 あなたは涙を拭いて立ち上がった。

 

 音を立てて走ってきたのは耀や老いた猫……猫? らしき二足歩行の生物と先日の祭りの南瓜頭だった。

 今は南瓜頭も猫っぽい生物もどうでもいい。もし敵対していたとしても欠片も気にするほどの事ではない。

 あなたは今、果てしなく心が満たされているのだ限りなくあらゆる全てがどうでもいいと言える。

 

 広間に来た皆が驚いていたが、あなたがいる事になのか、それとも泣いた跡のあるあなたに驚いていたのかよくわからない。

 耀に何故ここにいるのか、と聞かれて答えに詰まった。

 救援に来た、といえば聞こえはいいだろうが実際は死亡フラグ少年にぞんざいに扱われたのにムカついてテレポート連打で無理やり突破して城に遊びに来たところ黒天使の匂いがして泣いて……。

 

 

 うむ。説明が実にめんどくさい。

 

 

 あなたがウンウン唸りながらどう返事をしたものかと悩みだすのを見て、壁になにかをカチャカチャと嵌め込み始めた耀には適当に南側の救援に来たと伝えておいた。

 白夜叉に向かえと言われたと。

 それならここじゃなく大樹の防衛に向かって欲しい、と言われた。

 城では現状はそこそこ安全に謎解きを進める事が出来る。だとすれば戦力的には大樹の防衛に向かって欲しいとの事だ。

 なるほど、理由も明確だし何より死亡フラグ少年よりもしっかりと説得力がある。

 黒天使を探す以外には特にする事も現状では無くなったあなたは大樹防衛のための雑魚処理に向かう事にした。

 テレポートを再び唱えて下に降りた。

 

 ……思えば、前の斑ロリ戦の時も壁から降りるときにテレポートを使えばよかった。

 いやでもあそこで使ったら最悪箱庭の外に弾き出される可能性の方が高そうだ。

 

 数度のテレポートで降りた直後に叫び声を上げている巨人族に殴られ、黒い風を浴びて変な光を浴びなければ気分はよかっただろう。

 黒い風のダメージは低いから斑ロリの物だろう。テレポートで急に飛び出したあなたに非がある。

 後で黒天使の格好をしながらあなたの抱き枕になる事で許そう。

 黒天使の残り香だけで祝福ストマフィリアが数十個は食べれるあなただ。黒天使の格好をした斑ロリなど見たらモグモグしてしまいそうだ。物理的に。

 

 先程の一件もあり、弾みがついたあなたはもはや餓死中なほどに黒天使成分が欠乏しているのだ。

 香りを嗅いだおかげで余計に拍車がかかっている。

 とりあえず巨人共を処理するか、と剣を抜いたところでふと思い出せた。

 

 

 

 あぁ、そうだ。

 殺してはいけないのだった。

 

 

 実に、実に面倒だ。全部殺せば一番早く解決できるというのに。

 既に半死半生の叫び声を上げ続ける巨人達を長棒を振るい辺り一帯と共に吹き飛ばした瞬間に、巨龍が嘶いて大地に向けて突き進み始めた。

 

 でかくて強そうだ。

 

 それにあなたの判定ではそこそこの強さがあるようだ。

 久しぶりに、ほんの少しだけ全力を出しても耐えてくれるだろう。

 そんな淡い期待を持ちながら長棒をしまう。

 

 テレテテッテテー。★≪破壊の斧≫ー。

 

 ここに取り出したるは、あなたの斧装備時の愛用★<<破壊の斧>>。

 これで頭から唐竹割りにして叩き潰してミンチにすると気持ちがいいのだ。

 

 今は出来ないが。

 

 走って大樹に向かった。巨龍の鱗がポロポロと落ちて化物に変化しているが十把一絡げだ。

 どれもこれも大差ないし纏めてポイだ。

 斧の腹で化物共を叩き飛ばしながら巨龍に殺気をぶつけながら突っ込む。さっさと戦いを終わらせて黒天使を探したい。

 頭から突っ込んできた巨龍に向けて下から飛び掛かる。

 

 全力殴打一本。

 

 巨龍の顎を下から殴りつけた。

 それと同時に軽いな、と。あなたはそう思った。

 箱庭の最強種の1つだなんだと聞くがすくつ万桁階層の終末産の竜よりは弱そうだ。

 確かにこの巨躯と重量は凶器足り得るだろう。

 だが、それだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。

 物量で押せる程度の能力ならあなたの敵ではない。

 DVを上げて出直して欲しい。

 ハッキリ言って店の中に吊るしてあるバブルよりも体重自体も軽い。あのバブル達は数万Kgあるから比べてはいけないが。

 

 巨龍の顎が跳ね上がったとはいえ殺したわけではない。怯ませた程度だ。大樹にぶつからせるわけにはいかない。

 

 龍にとっては予想外の一撃だったのか、やたらめったらに暴れ始めた。

 ……ノースティリスとはやや違うこの物理法則が本当に面倒だ。

 勢いが付いた状態で、身長や体重差が数百倍ある生物に殴られればあなたとて弾かれるもので。尻尾で殴られて吹き飛ばされてしまった。

 全力で踏ん張れば耐えられそうだったのだが、突然の事だったし吹き飛ばされた性で今は空中だ。

 ほとんど為す術もなくあなたは彼方に吹っ飛ばされた。

 

 風を裂きながら飛ぶ感覚は心地いいのだが、地面に足が付かない事にはどうしようもない。

 空を蹴る事も出来なくは無いが装備の切り替えもおぼつかないこの態勢ではどうにもならないのが現実だ。

 何より大気を蹴る所業は流石に下準備を沢山してようやく1~2歩程度だ。

 

 暴れていた巨龍が空中で再び態勢を立て直して大樹に向けて雄たけびを上げながら空を駆け出す。

 ……大樹ではなく、あなたに向けて、だろう。血走った瞳と殺気が物語っている。

 その道中に大樹が挟まれている、それだけだ。

 

 白夜叉には南側の救援を頼まれた。

 ジャーナルも南側の救援に変わっている。

 大樹が折れたらおそらく救援としては失敗になる気がする。あなた側……というより南側の陣営の拠点が崩壊させられるということなのだから。

 このままでは間違いなく依頼達成失敗だ。

 歯噛みしながら落ち込むしかない。

 

 あなたは目を細めて悲しんだ。

 悲しんでから、薄く微笑んだ。

 

 

 いいや違う失敗になどならないではないか。

 あぁそうだ。

 

 そうだった。

 

 

 

 ───彼女がいる。彼女達がいる。

 黒天使がいるのなら、もう一人の家族だって。

 

 

 

 

 

 

 ───彼方の大樹の下に、皆を守り抜くと叫ぶ白い服に白髪の少女が見えた。

 ───響く声に動かされる様に、一条の黒い翼が羽搏き。黒い羽根が大樹と龍の間に舞った。

 

 

 

 風が吹き荒れ空が斬り裂かれた。

 天に轟かせんと強く羽搏く音が大樹に向けて突き進む巨龍を包み、頭から尻尾までを一気に駆け抜けた。

 数瞬遅れて斬り刻まれた巨龍の全身が弾け血を吹き出し、勢いが弱まった所を急激に巨大化した飛鳥の持つ紅い巨人が再び押し返した。

 

 同時に、箱庭の大天幕が開かれる。突き抜ける斑ロリの出す風とまた違う、研ぎ澄まされた剣の如き黒い一迅の風は巨龍の体を裂き終わると同時に姿を消した。

 巨龍が天へと昇っていく。

 空に浮かぶ城から光が瞬きながら飛び出し空を駆け、巨龍に追いつき輝く心臓を貫き巨龍は天へと溶けるように消えていった。

 

 あなたは家族の以心伝心ぶりというよりは流石の働きに感謝しつつ、またしくじったな、とようやく地面に足を付けて呟いた。

 反省だ。ただひたすらに反省だ。

 やはり油断は大敵。美味しいところを持って行かれない為にも今度からは箱庭の物理に気を付けるとしよう。

 

 なんだかいつも反省している気がする。

 

 きっと気のせいだ。ぼちぼち大樹に戻るとしよう。

 

 

 なんとか、だが。

 

 [ジャーナルが更新された。]

 

 

 

 ───依頼は達成になったようだ。

 




どうも。赤坂です
そろそろ書き溜めてたストックが尽きてきました。
ストックが尽きたらどうなるのか。
答えは明確。読書しまく……書く時間が増えるんです。

あと、活動報告の方に【タイトル変更の相談】のお知らせがありますです。

ではでは。
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