[先天]あなたは問題児だ。   作:赤坂 通

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とりあえず、マニ信者の方は帰ってどうぞ。(確固たる意志)


★≪ある冒険者の物語≫
第一話『強くなりたいなら牛乳と廃人に相談だ』


 『あなた』は、ノースティリスの冒険者だ。

 

 神々には遥かに届かぬが、それでも常人より永い時を生き、間違いなくノースティリスの最強の一角。

 

 底も見えぬ暗き穴「すくつ」で暴れ回り。脱税の為に強化されすぎた衛兵に追われ。妻となって久しい黒天使とその子供達と共に演奏虐殺パーティーを開催し。ノースティリスに訪れて以来信仰を捧げ続けた露出癖とかいう次元を超越した格好の敬愛する女神様に手合わせを願った結果弓で射貫かれ。「ポンコツ!」を願って嘲笑い、その後実際にポンコツを降ろし完膚無きまでに叩き潰しミンチにしてポンコツの祭壇をポンコツの死体で乗っ取り嘲笑う。

 

 そうして飽きる事無く世界を遊び倒していたあなたの足元にある日、不思議な手紙が転がってきた。

 

 

 

 

 

 

「 おかえりなさいまし~ 。手紙が届いてるでおじゃるよ。ご主人様」

 

 

 

 

 

 

「……………………???」

 

 

 

 

 そんな手紙の前で、『あなた』はメイドの一言で思考を停止させフリーズしていた。

 小さな一軒家……回りに倉庫やアーティファクト展示場や店が乱立している……に、帰って来た『あなた』にメイドがいつものような文句で出迎えて手紙が届いていると伝えたのだ。

 手紙など『あなた』に届くのは……初めてだろうか。それとも遠い過去に体験したことのある懐かしい出来事だろうか。

 少なくとも、あまりにも突然の出来事だったといえたのは確かだ。

 久しぶりのフリーズである。

 

「……ご主人がフリーズしたわね。白天使。殴って直しなさい」

「わーい! なぐるー!」

 

 隣でその光景を見ている黒い翼の大人びた少女と白い髪の少女はいつも通りに対処に移る。

 白い髪の少女によって振りかざされた白い翼の生えた綺麗な杖がフルスイングで、ゴキャッ! っといい音を鳴らしながらフリーズしている『あなた』の首をへし折った。

 いつもの出来事である。どこからどうみても主に対する仕打ちではない。だがこの世界では当然の様にあり得る。

 日常茶飯事だからこそ、気にするほどの事でもない。首が折れて薄く叫び声をあげているのは気のせいだろう。

 

 そんな首の折れ曲がった『あなた』は二人に返事をする事無く、おずおずと手紙を拾い鑑定の魔法をかけ、一切の躊躇いもなく手紙を開いた。

 

 

 

 手紙を読み上げた『あなた』は嫌な顔をした。

 

 

 

 ほぼ同時に、世界の境界が曖昧になり。

 悲鳴を上げる暇などなく、準備をする一瞬すら与えられず。

 転移とはかくも恐ろしきものだ。それだけはずっとずっと、遥か昔から学んでいたことだ。

 

 

 

 そうして、三人は大空へと放り出された。

 

 

 

 

 

 

 ───黒い翼の少女は北側の極寒の大地の上空へ。

 

 

 

 

 

 

 

 ───白い髪の少女は南側の大樹の上空へ。

 

 

 

 

 

 

 

 ───そして『あなた』は……。

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

 ───東側、箱庭の外。4000m上空。

 

 『あなた』は自由落下に身を任せながらこうなっては仕方ないとまったりしつつ契約の魔法をとりあえず唱えた。

 周りに3人ほど追加でいるが、彼ら彼女らもまた同じように落ちているからそもそもにこの転移は突然の事なのだろう。

 幾度か水の膜の様な物にぶつかったが、『あなた』は減速することなどなかった。

 むしろ何度か悲鳴を上げていそうな表情をしていた。

 

 そしてそのまま4人は川に落下し、三人は悲鳴を上げながらも濡れるだけで済んだが、『あなた』はそうもいかない。

 水面に叩きつけられ、自身の全身から響き渡った人体の弾ける心地の良い音にうっとりとしながら契約の魔法は発動した。

 薄い光の柱が降り立ち『あなた』はズタボロの様子で立ち上がった。

 

 本当に契約の魔法様様である。

 

 

「し、信じられないわ! まさか問答無用で引きずり込んだ挙句、空に放り出すなんて!」

 

「右に同じだクソったれ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ」

 

「此処……どこだろう」

 

 同じ様に落とされたが死ぬことは無かった三人がそれぞれ自由気ままに動き、ついでというように自己紹介をする傍らでぶつぶつと笑顔を浮かべながら『あなた』は愚痴を吐いていた。

 

 手紙の内容も糞なら転移直後にうみみゃぁ! を喰らったようなものなのだから愚痴の一つを吐いても仕方ないだろう。

 

 

 

 

「で、そっちで毒づいてるお前は?」

 

 

 

 

 ……さて、そろそろ『あなた』が何者なのか伝える時間が来た。

 

 

 

 何時だって名前は、本当は最初に明かすものだ。

 例に倣って『あなた』も応えようとして頬に人差し指を当てて応えようとして少し悩んだ。

 

「私は…………」 (長考)

「私は?」

 

 

 語尾を切り、『あなた』は悩みだした。

 

 

 

「 …………………………」(熟考)

「私は何なのかしら?」

 

 

 

 お嬢様みたいな喋り方の何者かが話しかけてきているが、何も耳に入ってなどいない。

 先程から笑顔で頬に人差し指をあてたまま『あなた』は固まっている。

 

 

 

「 ……………………………… 」(黙考)

「……ねぇ。これ応える気がないんじゃ」

 

 

 

 

 猫を抱えた薄ぼんやりした少女が諦め始めてしまった。

 当然だろう。

『あなた』が悩み始めて既に2分は経過している。

 

 

 川のせせらぎの音が心地いい。

 

 

 そう思ってしまっても仕方がない程に場は静まり返っていた。

 

 

「……………………………………………………!」(閃き)

「お、帰ってきたな」

 

 

 金髪の男がニヤニヤしながら

 きっちり三分経過して意識を取り戻したように首を跳ね上げたようやく『あなた』は口を開いた。

 

 

「『あえげ仁』よぉ」

「「「いや、それは違う」」」

 

 

 

 即答だった。

 それは無い。流石に無いというように綺麗に三人が否定した。

 溜めに溜めて発言したあまり面白くも無いネタに底冷えした空気に対してため息を一つ吐いた『あなた』は、気を取り直したように笑顔を浮かべて『あなた』は名乗る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はぁ、ヴェルニスっていうのぉ。呼ぶ時はヴェルニスって呼んでぇ。大事な大事な、神様に呼んで戴いている名前だからぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やや間延びしたような語尾でおっとりとした喋り方で話す、ノースティリスの冒険者が箱庭に訪れた。

 

 

 閉じられた目からは何も伺う事は出来ない。

 白銀の様な髪で170cmよりもやや高い身長。

 緑色のフード付きのマントを羽織り、無地の紺色のシャツに黒いズボン。

 紫色という濃い色合いのブーツを履いた、やや色味が強い格好。

 腰には重厚そうな長剣を携えていて、武装らしき武装はただそれだけだった。

 

 

 

 

 

 そして……その顔には「悪い人物ではない」と彼女を見た誰もがそう言う程の優し気な、慈愛に満ちた笑顔を湛えていた。

 

 

 

 

 

 

 これにてようやくスタートライン。

 ここから始まる。

 

 

 

 

 ここから『あなた』の冒険が始まる。

 

 

 

 

 

 




どうも。赤坂です。
前回で<<冒険者の物語>>が終わりました。えぇ。
あと数話かかると思ったんですが秒で終わりましたね……。

ここからは喋りが解禁されます。

『あなた』も……ヴェルニスも私のTRPGのキャラの一人なので、普通に喋れます。


ので、普通に喋れます。喋るんです。喋ります(断固たる意思)

半年かそこら「」での発言をほとんどしない書き方をしてたら喋りでの文章に困ってました。はい。
そういえば白天使の冒険も苦労してましたね。
次話を早めに上げ……れるといいですね!(希望的観測)

ではでは。
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