<サラマンドラ>、<サウザンドアイズ>、<ノーネーム>の三コミュニティによる魔王への対策についての話し合いが終わり、白夜叉と十六夜は<サウザンドアイズ>の北側支店へと向かっていた。
同じく話し合いの場に居たヴェルニスとジンと黒ウサギの三人だが、話し合いが終わるとヴェルニスがふらりと何処かへ消え、黒ウサギはまたヴェルニスが何か仕出かすのではないかとジンを連れて後を追って飛び出していった。
「魔王自体よりも、むしろ敵がどうやってゲームを仕掛けてくるのかが疑問だな。あそこまで予防線を張って、それでもなお現れるって言うなら、どうやって現れる事が出来る?」
「気になるところだの。おんしに宛てて送られた予言に記された"星の位置"とは何か。ひとまず星がよく見える時間帯、夜間の警備は増やしておくべきであろうな。展示回廊での事件もあるしの。"星の位置"……ふむ、戻ったらちと調べてみるかの」
「展示回廊といえば、ヴェルニスは今度は一体何をしでかしたんだ?」
「昼頃に様々な展示品が飾られたこの大祭の目玉の一つである展示回廊で大規模なネズミの群れが発生しての。おんしらの所の小娘二人が観光客達を守り、
「やっぱり『歩く災害』だなアイツは。怪我人が出なかった分まだマシか。それで? 明日までに展示回廊は再開出来そうなのか」
「うぅむ、どうだろうな。一部の展示品が紛失したりといった報告もあるというのもあるが、血を洗い流したとて大空洞に残り、籠る『匂い』だからの。しかもネズミ、それも血となると病原菌なぞも……どうしても難しそうというのが私の見立てだ」
「そいつは残念。明日辺りにでも見に行こうと思ってたんだが。そういや、あっちのゲームはどうなってるんだ?」
「あっち、というと『造物主の決闘』か? 今日の昼過ぎから予選が開始しておったのだが展示回廊での事件もあって警備と安全の都合上、予選自体が途中までしか行われておらん。明日の早朝から再び予選を再開し、昼過ぎに決勝……まで行けるといいの。夕方まで食い込むかもしれん」
「へぇ。春日部とお嬢様は今からでも参加出来たりするか?」
「飛び込み枠が空いておる。時間の都合上、一組か二組程度までしか無理だが……。参加させるつもりか?」
「そろそろしっかりと戦い方を学ばねぇと魔王との戦いに二人が着いてこれなくなる。俺が動かずとも大会の存在を知っていればヴェルニスの奴が勝手に二人を突っ込ませるとは思うが……いや、俺から動いた方が確実か」
「祭りが盛り上がるのは主催者としては嬉しい限りだからの。招待状を送った者として楽しませるのも務めだろう。私からも誘うとしよう」
あいにく、展示回廊は解放されなさそうだが致し方あるまい。
飛び込み枠が空いているなら自分も飛び込んでしまおうか、などと十六夜は頭の片隅で考えてみる。それこそ今も着けたままの壊れたヘッドホンをギフトだとか何とか偽ればいけそうだ。
そう考えた瞬間に白夜叉が釘を刺すように半目になって十六夜を睨んだ。
「……小僧、おんしとヴェルニスは絶対に参加させんぞ?」
「頭の中を覗くんじゃねぇよ。出たところで『速度』差がある以上、決闘どころかマトモな戦いにすらならねぇのはわかってる」
誰でも歓迎と銘打つ大会だが、ヴェルニスと十六夜は参加拒否らしい。
とはいえ、ヴェルニスが度々口にする『速い』ということがどういう事を示すのか。それを理解出来るのならばこの扱いには納得せざるをえない。
地を這う一匹の蟻が天を貫く巨人に勝てぬように。一秒を超えられない者は十六夜とヴェルニスの二人の横に並び立つ事すら許されないのだ。
「わかっておるならよい。なに、大会に出れずとも魔王との戦いが控えておるのだ。魔王と呼ばれる者共はいずれも強敵。きっとおんしも満足出来るだろう」
「ヴェルニスがいるだろ。俺が出る幕もなく一秒で終わらせられる可能性があるんじゃないか?」
「いや、それはない」
「……へぇ。断言できるのか」
「あぁ。間違いなく。そもそもそれならばおんし宛に二枚目の予言を送る必要がなくなるだろう? 数瞬で終わるというのにゲーム攻略のヒントを贈る必要はない。例えヴェルニスがあまりにも予想外の存在だとしても予言はそれも含めて送られてきておる」
「それだ。その二枚目の予言。この手紙、この予言が魔王を
魔王戦後に当てた予言ではないのか。そう訊ねる。ありえない話ではないだろう。魔王は即座に倒される、だが魔王戦後にこそ気を付けるべきであるとする手紙の可能性があるのではないか。
そう十六夜が伝えると、白夜叉は腕を組んで悩み始めるがやはり答えは同じだった。
「うむ。それもない」
「というと? 魔王との戦いが終わった後にこの予言の気を付けるべき事が訪れる時が来ることはないと」
「予言は此度の大祭の開催に際し贈られたもの。十六夜、おんし宛の手紙も同様だ。そこは変わらぬ」
「だが、それなら何故俺宛なんだ。大祭への贈り物だろ? 北側のフロアマスターの襲名祝い、共同主催者が東側の白夜叉とはいえ北側じゃなく東側の、それも招待されていたとはいえ<ノーネーム>宛ての上に一個人宛て。ってのはどう考えてもおかしいだろ。同じ東側繋がりとはいえよ」
「わざわざ祭りにほぼ無関係の一個人に宛てるだけの理由があるということだろうな。あるいは小僧。おんしが必ず読まねばならない、つまりは
「なんだ、やけに楽観的すぎやしないか?」
<サウザンドアイズ>北側支店の入り口の暖簾を潜りながら十六夜は訝しげに訊ねる。
魔王が現れるというのに白夜叉はあまりにも楽観的すぎではないか。如何に白夜叉が東側最強と謳われていたとしてもだ。
十六夜も後を追って暖簾を潜り、店内へと入ると外では聞こえなかった騒がしい声が響いていた。
「待つのですよヴェルニス様ぁああああああああああああああああああ!!! 今度という今度はもうッ! もう許さないのですよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!!」
響き渡る黒ウサギの絶叫。ドタバタと走り回る音と共に飛鳥と耀の声も響いてきた。
「どこにいったのかしら!? 捕まえて縛り上げるわよ!」
「玄関に行った! 店外に逃がさないように気を付けて!」
「待つわけないじゃなぁい。あ、白夜叉。黒ウサギのパンティーあげるわぁ」
「うむ。ありがたく貰おう。いくら欲しい?」
「好感度稼ぎだから別にいらないわぁ」
平坦な声と共に小走りで突如として玄関口に現れた浴衣姿のヴェルニスが颯爽と白夜叉に黒い物体を手渡し嵐のように去っていく。
<ノーネーム>女性陣三人組の姦しい叫び声が店内に響き渡っているが店外に声が漏れていないのは盗聴の類を防いでいるなにがしかのギフトによるものだろう。超大手コミュニティならではの防音性能だった。
ドタドタと走り回る音が延々と響く中、やけに説得力のある声音で白夜叉が十六夜の先程の問いに答える。
「とまぁ、このように魔王というものは嵐のように現れて全てを奪って去っていく。此度は予言されている分、準備が出来る。おんしらを呼び出したようにの。なにより私もおるから多少楽観的 でもよいだろうて」
「ナチュラルにヴェルニスを魔王呼びするんだな」
「似たようなものじゃろ?」
「下着を盗んだだけのただの下着泥棒だろ。あれで魔王って呼ばれるなら……いや、白夜叉もセクハラして魔王って呼ばれてたっけか」
「いや、それは違うぞ? 流石に箱庭広しといえどセクハラで魔王と呼ばれるものはおらんからな? というより私がセクハラを始めたのは魔王と名乗らなくなってからだからな?」
まぁよいか、と呵呵と笑って白夜叉は手に持った黒い物体を懐に仕舞って私室へと戻っていく。十六夜は肩を竦めて風呂場へと向かう事にした。
風呂場へと向かう途中で何かがハリセンで全力で叩かれたような小気味いい音が響き、店を揺らす振動が十六夜に伝わってきた。
*
貴賓室に皆が集まっている、十六夜が風呂から出ると女店員にそう伝えられる。遅れて入室するも正座したヴェルニスへの罵倒の場になっており大した話しはしていなさそうだった。
「悪い、遅れた。……あー、もう始まってたか?」
「ん、来たか。見ればわかる通り何も始まっておらんから安心せい。ほれ、小僧も来たしそこまでにして本題に入るぞ」
パンパンと手を叩き、楽しげにニコニコと笑顔を浮かべたヴェルニスをハリセンで殴打する三人に声をかける。全員が席についたのを確認すると白夜叉は来賓室の席の中心に陣取り、両肘をテーブルに載せこの上なく真剣な声音で話始める。
「それでは皆の者。今から第一回、黒ウサギの審判衣装をエロ可愛くする会議を」
「始めません」
「始めます」
「始めませんっ!」
「ミニスカから覗くガーターの太ももへの食い込みも好きだけれど、ここはいっそロングブーツ、ロングスカート、上も長袖にしてより一層素肌を見え難くする事で見えないからこそ萌える、あるいは滲み出るエロを清楚で押し隠す感じに仕立て上げるのはどうかしらぁ。デニム生地のむっちりした感じも好きなのよねぇ。スラッとした体形にも似合うしムチッとした体形にも似合うしオイオイその太ももで審判は無理だろ。って思われるような格好もいいと思うのだけれどぉ。案の一つにどうかしらぁ?」
「それもいいの! だが本題である"エロ可愛く"という趣旨から外れてしまう。うぅむ悩ましい!」
「というかヴェルニスの居た世界にデニム生地とかあるのか」
「普通に始めないでくださいっ!」
白夜叉の提案に悪乗りする十六夜。速攻で両断する黒ウサギだが、ヴェルニスが意に介さず普通に話し始める。黒ウサギとしてはミニスカよりはヴェルニスの挙げるような服装の方が好みであり嫌な提案ではないもののこのままでは話が脱線し続ける。白夜叉は笑いなが本題へと入る。
「衣装の事は横に置いておいてだな、明日の『造物主の決闘』の審判役を黒ウサギに頼みたいのだ」
「審判役をですか? 唐突ですね。構いませんが、何故でしょう?」
「ヴェルニスに壊された時計塔の避難の折に黒ウサギを……というより"月の兎"を見かけた、審判として出るのかと運営に問いかけが殺到しての。知っての通り"箱庭の貴族"が審判を務めるゲームには箔が付く。皆の期待も高まっておるし依頼させて欲しい。別途金銭も当然用意する」
同士の仕出かした事だ、と色々と手伝いに走った影響によるもののようだ。なるほど、と一同は納得する。
「分かりました。明日のゲーム審判・進行はこの黒ウサギが承ります」
「うむ、感謝するぞ。……それで審判衣装だが、例のレースで編んだシースルーの黒いビスチェスカートを」
「着ません」
「ここに女神様の衣装を意識して仕立てた服があるのだけれどぉ。どうかしらぁ」
「シースルーな布!? その透き通った布一枚でどうしろと!?」
「さ、流石にそれは僕からもストップをかけないといけないです……」
「ヴェルニス! それはエロ可愛いではなくただエロいだけであろう!」
「そうだぞヴェルニス。エロ可愛いってのはだな……」
「談義を始めないで下さい! いい加減本気で怒りますよ!?」
ヴェルニスが懐から反対側が透けるほどに薄い生地の白布を取り出し始めて流石に焦るがこれを服と言い張ってはいけない。これを服と言い張れるのは全裸が普段着の人だけだ。ジンも流石にストップをかけるレベルのアウトだ。流石の十六夜と白夜叉も踏みとどまる。
そこでふと思い出したように十六夜が飛鳥と耀に声をかける。
「あぁそうだ、『造物主の決闘』なんだが飛び込み枠が空いてるらしい。お嬢様と春日部に明日飛び込み参戦して貰いたいんだが、いいか?」
「これもまた突然ね。私たち二人っていうのに何か理由はあるのかしら。十六夜君やヴェルニスさんなら優勝間違いなしでしょう?」
「俺とヴェルニスは大会主催者の一人、ここにいる白夜叉から参加拒否された。だからお嬢様と春日部の二人で大会を荒らして白夜叉に一泡吹かせてやってほしい」
「これこれ。先程と言ってることが違うではないか。理由をでっちあげるでない。……私からも参戦して欲しいというのは正直なところでの。なにせ今日の事件のせいで明日に試合が回されておるのだ。盛り上げねば観客にも失礼だし、なによりおんしらの雄姿を見た者もおる。<ノーネーム>の名を売るのにもうってつけだろうて」
「でも『造物主の決闘』っていうからには何か作らないと」
「おんしにはその『生命の目録』があろう。その恩恵は技術・美術共にかなり優れておる。力試しのギフトゲームにはなるが問題なかろう?」
「飛鳥は? 飛鳥にはそういった物はないけど」
「二人で参加、というよりは参加者とサポーター枠じゃな。サポーターは特に創作物系の恩恵等は必要とはしておらん」
「それなら問題はないわね。この辺りで一回どこまで通用するのか試してみるのも面白そうだわ。私は参加でいいわよ」
「うん。それなら参加してみようかな」
<ノーネーム>として名前を売る、というにはこの大祭の目玉の大会に参加するのは現状では最高の選択肢といえるだろう。
名を売るのが目的であるのなら、出来ることならばジンを参加者として、サポーターに二人のどちらかをつけるのがいいのだろうがあいにくジンは創作系のギフトを持っていない。優勝出来たならその時に改めて名前を売ればいいだろう。
「そうねぇ……参加するにしても飛鳥はせめて自衛用の武器と防具は欲しいわぁ。危ないものぉ」
「そういえば展示回廊でも言ってたわね。何か貸してもらえるのかしら?」
「貸すというよりあげるわぁ。指輪と短剣でいいかしらぁ? それとも長剣のほうがいい?」
「短剣のほうが取り回しが楽だと思うから短剣を貰えるかしら」
ごそごそと懐を漁ったヴェルニスは一本の短剣と指輪を取り出す。柄まで紅い刃渡り30㎝程度の刃が剥き出しの短剣と、同じく紅い指輪だ。パッと見では何の変哲もない武器に見える。机に置くとヴェルニスは武器がどのようなものか説明を始めた。
「こっちの短剣が全属性追加ダメージ発生と神経ブレス、生命力があがるルビナス製の生き武器、こっちの指輪が全主能力上昇の同じくルビナス製の指輪よぉ。どっちも手慰みに作った奴だから性能は低いし飛鳥にはちょうどいいわぁ」
「生き武器……生きてる、ってことかしら?」
「そうよぉ。この長b」
「ストップですヴェルニスさんっ!」
「止まりなさい! 流石にそれは出さなくて良いわ!」
「ストップ。ヴェルニス、ストップ。出さなくていい」
「うむ。それは出さんで良い。生きている武器についてはよーくわかっておる」
「そう? ならいいけれどぉ……」
参考に、と例の蠢く長棒を取り出そうとしたヴェルニスを女性陣が止める。精神衛生上よろしくない物をおいそれと取り出されては困る。未だに<ペルセウス>戦でのトラウマが根強く黒ウサギの中に残っており、他の女性陣も長棒に何度か襲われかけている。
「生きている武器……といっても今取り出されようとしていた例の棒みたいに蠢いてはいないのね」
「待て。ヴェルニス、一つ聞きたい事がある」
「なにかしらぁ?」
飛鳥が出された短剣に手を伸ばすも、その手を白夜叉が止めてヴェルニスに尋ねる。
この短剣は生きている、と言って同じ生きている武器の長棒を取り出そうとしていた。だが、だとすればこの短剣はおかしい事になる。
取り出されただけでおぞましい気配が漂う剣や気色の悪い視線を放つ長棒、であれば似たような気配がしてもおかしくはないはずだ。
いくら手慰み程度といえど本質が同じであればこの短剣からも何かしらの気配を感じてもおかしくはない。
その気配が一切、存在しないのだ。取り出された段階でそれが生きていると言われなければおそらく生きている武器であると知らぬまま使っていたであろう程には。
「生きているというが、それは真か? 意思を持つ武具なぞ箱庭では珍しくはないがあの長棒と違って、この短剣は違うであろう」
「生き武器に意思なんてないわぁ。ただ敵を殺して血を吸って、吸えば吸うほどに強くなっていくってだけの武器よぉ。ほかの武器にはない性質だから生きている武器って呼ばれてるわねぇ」
「吸血武具か……いや、確かに見た事はあるがどれもこれも箱庭では妖刀や魔剣と呼ばれる類の物だ。というか長棒も意思は特にない……? いや、これは今は良いか」
「吸血って、それがどうしたのかしらぁ? 一応血吸いを回避する~とかなんとかいう方法を試したかっただけの武器なのよねぇこの短剣」
血を吸い強くなる、つまりは他者を傷つけて強くなる武器。殺しが完全に御法度な世界であるとは言い切れないからこそ存在が認められる武器の類ではあるが、それでも忌み嫌われる武器でもある。血吸いを回避した、というが回避していなければ所有者の血すらも吸い上げるというのだろうか。
「つまりだな。その武具、呪われたりしておらんだろうな」
「呪いなんてそんなのないわよぉ。むしろ祝福されてるわぁ。一応祝福出来ない、というよりしてはいけない邪悪生き武器って呼ばれるものもあるけれど戦士ギルドに加入してないと面倒だから使ってないけどねぇ」
「なんにせよ、実力に見合わぬ過ぎた代物ではないのか? おんしが手掛けたというなら質が最高でなくとも相当の物であろう」
「だからぁ、ただの手慰みで作っただけだから実用性はほとんどないのよぉ。もっと強い武器はごまんとあるし、追加ダメージって言っても効果を重ねて強度あげてないから弱いしぃ、指輪の主能力上昇って言っても二桁程度よぉ? 駆け出し冒険者が中堅冒険者一歩手前になる程度だしぃ、なにより三桁四桁主能力が上がるなら既に私が装備してるわぁ」
「駆け出しが中堅になる、って相当じゃないかな?」
「1年くらい片手間に体を鍛えれば同じくらいにはなれるわよぉ? 不眠不休なら3日もかからずこの指輪を装備するより強くなれるしぃ」
廃人が手慰みに作った装備、それもいつも見る長棒を考えると超特級の危険物の可能性すらあるのだ。そんな白夜叉の警戒を意に介さずヴェルニスは取り出した二つの装備は弱いと言い切る。
不眠不休で体を鍛えれば指輪を装備するより強くなれるというが一体どのような修練をする羽目になるのか。だが、今はそれに関してはどうでもいい事だ。実際に使ってみなければ性能がどうかはわからないが、それでも警戒するに越したことはない。そんな警戒をよそに飛鳥は肩を竦めて机から両方とも手に取った。
「まぁいいわ。ありがたく貰うわよ。何も考えがないわけじゃないでしょうし。それで、追加だめーじ? はどうやって発動させるのかしら」
手にやけにしっくりと収まる短剣を光にかざす。飛鳥が持つと同時に僅かに短剣が震えたが、飛鳥が首を傾げた瞬間には震えは収まっていた。
「刃を当てればそれだけで発動するわぁ。どれかが発動じゃなくて追加ダメージは全部が一気に発動するからぁ。神経ブレスに関しては神経属性のブレスが出るのだけれどぉ、これは確率で発動ねぇ」
「発動確率はどのくらいなのかしら?」
「さぁ? 発動しなくても変わらないしぃ。攻撃が当たれば相手はミンチになるわよぉ?」
「それは武器の性能というより使い手の性能ではないでしょうか……?」
当たれば死ぬ、というかヴェルニスが何かをふるえば全部当たれば死ぬ一撃に出来るのだろう。何の参考にもならない発言だった。確率で発動というがその確率も把握していない様で実際に使ってみないことには何もわからない状態は変わらなかった。
「慣れない武器を振り回すのも危ないし、最終手段として使うことにするわ。耀さん、明日は頑張りましょう?」
「うん。目指せ、優勝」
「白夜叉、強敵になりそうな奴はいるのか?」
「おんしは知っておるのではないのか?」
「いや、そこまで細かい所までは流石に覚えてねぇよ。お前だって一年近く前の夕食の細かなメニューを聞かれてもわからねぇだろ? 大きなイベント事ならまだしも」
「それもそうか。ふむ、六桁のコミュニティから参戦しておる者もいる。対戦相手になる可能性もあるので詳細は伏せるが、相手にとって不足はないであろうな。なに、命までは取られん。存分に戦うとよい」
意気込む二人を見つつ十六夜は白夜叉に尋ねる。
<ペルセウス>との戦いの決戦は十六夜に任せきりだったとはいえ五桁の相手と戦った事もあるのだ。<ペルセウス>も六桁に落ちたとの噂を聞くが、それでも六桁。勝てない事はないだろう。
コクリ、と飛鳥と耀は頷いた。
『造物主の決闘』、来る魔王との戦い、意図のわからぬ二つ目の予言。
"歴史の修正力"があるのだとすれば間違いない。もうすぐ揺り戻しが来る。
十六夜は静かに拳を握る。
───何処かの空で、葵色の髪が空に靡いた。
赤坂です。
前回あとがきで話してた挿絵云々まで到達しませんでした。
サブタイトルと挿絵とシーンが既に決まっているので、そこまで今話に入れるとなると話が冗長になるし、何より最も書きたいシーンが薄れそうだったし、というかたぶん1万か2万か、そのくらいの文字数までいって投稿がもっと遅れそうだったので……
さて、そんな無駄ァ!な言い訳はさておき。
前話のあとがきに追記はしていたのですが、しばらく前にモバイル版Elona、『伊洛纳』(通称:ElonaMobile)がリリースされています。
ネット記事とかでも取り上げられてたし知ってる人は多そう?
詳細は私の活動報告にあるのでそちらをご参照ください。……って8月ぅ!? 時が経つのが早すぎる(驚愕)
改めて。
どうも、ElonaMobile黒天使降臨速度日本一位の赤坂です。
(DiscordのElona鯖並びにTwitter調べ。おそらく日本一位)
8/29にリリース、20時頃に情報を知りインストール。
翌日、8/30の22時に黒天使降臨。日本一位……のはず!
皆がいつもの通りにロミ爆する中、一人黙々と黒天使降臨を目指して頑張ってました。
最近ではPC版の方で、初期キャラ作成後どの位効率的に黒天使を降臨させられるかのRTAをしてみたり(現在最高記録『13分59秒』)
全ては黒天使への愛ゆえに……。
ではでは。