[先天]あなたは問題児だ。   作:赤坂 通

4 / 33
第四話『透明な敵への主な対処法・透明視、ポーション、一本道、メテオ』

 あなた自身が理解しようとしてないから結局よくわからないままの謎の拉致事件の後。

 数日してから死亡フラグ少年からあなたへの呼び出しがあった。

 なんでも、この間あなたが足を蹴り飛ばしたら無様に叫び散らしていた優男のところに殴り込みに行くから付いて来い。との事だ。

 付いて来いとはなんだ付いて来いとは。

 

 そう伝えたら、依頼という形式で願いを出された。

 期間は一日。報酬はこの依頼の途中で手に入るであろうアーティファクトの全てとの事だ。

 これはこれは太っ腹で三段腹な事だが、別に依頼でなくてもあなたが自分で赴いて奪えばいいのでは、と思ってそう伝えたところそれは犯罪だと言われた。

 犯罪と言われると、免罪符が手に入らず願いが機能するが普段とはまったく違う方向で機能する今、少し面倒で犯罪行為を躊躇ってしまうあなたがいる。

 

 ちなみに呼び掛けがあるまでの数日間で色々試したところカルマはノースティリスの頃のままの状態……というよりは仕様というべきだろうか……が引き継がれている模様で、先日あなたの懐から小銭をすれ違い様に盗もうとした子供を衝動的に殺……永遠に立ち上がらない様に転ばせたところ、周りが一瞬騒然としたが周りの人達全員が首を捻って悩みながらも普段の営みに即座に戻っていった。そういうことなのだろう。騒然としたところが不思議だった。

 その後に気になったのであなたが窃盗を死亡フラグ少年に行いわざと失敗したところいきなりキレだして死亡フラグ少年が全力であなたを殺しにかかってきた。

 しばらく遠くに行きぶらぶらした後に戻った所死亡フラグ少年は落ち着いていた。

 本人曰く、思い返せばかなりどうでもいい事なのに不思議と殺意が沸いた。体を止められなくなった。との事だ。

 まぁ割と当然の結果ではあるが、自制できない程とは情緒不安定なのだろうか。ユニコーンの角は多少ストックはあるが……いや、今すぐにでも建築したフラグで死にそうな死亡フラグ少年ごときに数に限りがある道具を使う必要性は無い。

 

 

 話が逸れた。

 とりあえず死亡フラグ少年からの依頼は受ける事にしよう。

 正当なルールに基づいて奪うなら何も問題は無いとの事だからだ。

 この箱庭のギフトゲームとやらは依頼とまた違った少し面倒な要素……ルールとか制約などがあるが、裏を返せばその範疇なら何をしてもいいうものだからありがたい。

 あなた自身でギフトゲームをこの世全体を対象に持ち掛けて、あなたの『いつも通りの生活』のルールを設定して世界を荒らして回りたい。

 しないのだが。

 

 依頼に関しては殴り込みの戦力になるだけとの事だ。ギフトゲームを相手に持ちかける手段は既に揃っているとの事だ。

 レシマスを攻略しろと言われ、魔石集めの為に西へ東へ南へ北へと奔走した時のように走り回る必要があるかもしれないと思っていた分拍子抜けである。

 

 ギフトゲーム開催の為の交渉の場にあなたは連れていかれなかったが、ギフトゲーム本番の場にしっかりと参加している。

 何はともあれ、殺人はするなと言われた。そもそもするつもりもないから安心してほしい。殺人はしない。事故は起きるかもしれないが。

 あなたは今、あなたの生き武器シリーズの一つの『生ものの生きている長棒』を装備している。

 もちろんしっかりキチンと育て切ってある。手慰みで作ったもので厳選したわけではないので強くはないが性別:女性の血だけを吸った長棒だ。わざわざ全力で殺す相手を絞ったのだ。

 手の中で蠢く長棒に飛鳥や耀、黒ウサギといった女性陣が悲鳴を上げていたが安心してほしい。害はおそらくない。

 

 軽く弁明しておくがこの長棒の製作理由にはあなたの趣味は含まれていない。

 妻の黒天使があまりに暇を持て余してい たあなたの暇潰しとして提案してきたのだ。

 

 

 

 

 

     *

 

 

 

 

 

 さて。あなたは現在空中に浮遊する宮殿の前にいる。

 ふと、自作の魔法属性メテオですくつ同様に全て滅ぼしたくなった。二秒でゲームが終わる。そう呟いたところ無反応を返された。結局は戯言だ。

 いい加減慣れてきたのかあなたの戯言に少年少女達が反応しなくなってきた。

 試しに本気でメテオの詠唱を開始してみようか。反応が楽しみだ。

 準備して打たないとあなたもろとも皆殺しにしてしまうからやらないが。

 

 いい加減真面目にやろう。いつまでも遊んでいても楽しいが限度がある。

 正面の扉を蹴破ってゲーム開始の宣言を死亡フラグ少年がしただが、それは即落ち2コマのネタになるし、したくなるから止めてほしい。

 あなただったら今にでも即落ち2コマにする自信がある。

 もちろん落ちるのは首だ。

 

 ……今回、あなたが参加するギフトゲームの内容を纏めよう。

 簡単に言えば、敵陣営の人に見つからずに例の優男を倒せ。

 この場合見られたら終わりとの事なので見られなければ良い。

 だが透明化する方法はあなたは今のところ持ち合わせていないし、あなたには敵の位置は目で見る以外の把握方法をあいにく持ち合わせていない。

 透明な敵への対策は★≪賢者の兜≫があるから問題無いが見つかるのがNGな時点でどうしようもない。

 

 そう思って軽く相談してみたら不意打ちなら問題なさそうだということだ。

 相手の視界にさえ入らなければいい。

 つまり、視認されるより早くぶちのめして意識を失わせればいい。視界を暗闇に閉ざしてしまえばいい。

 ふと、あなたは遥か昔……まだ駆け出しもいい頃のあなた自身のことを思い出した。

 

 

 

 

 ──────────────

 

 

 あなたがまだ冒険者として初心者の頃。

 本当の本当に駆け出しの身であった頃。

 冒険者として生きていく上でのノウハウも知らず、右も左もわからぬままにただその日を暮らせるかどうかという食料を担いでノースティリスを練り歩いていた時の事。

 不思議な城をあなたは見つけた。不気味な城を見つけて不用心にもうろうろと彷徨い入り奥に進んだあなたは、大きな広間と床に広がる骸達を見た次の瞬間。

 にゃーにゃー言う何かに首を掻っ切られてあなたは臓物貪られたのだ。

 その時は敵の姿を見る事はおろか、あなたが死んだ時点であなた自身、死んだ事にすら気づけなかった。

 

 ……その数十年後にリベンジし、相手が瞬きするよりも早く襲い掛かってコマ切れの挽き肉にして調理して喰らってやったのだが。

 

 

 ──────────────

 

 

 

 とまぁ、ここまで言えばわかるだろう。

 速度差というものは開けば開くほどにそら恐ろしい性能差へと繋がる。速度を全開にすれば読んで字の如く『目にも止まらぬ速度で走れる』あなたは見つかりようがない。

 あなたの頭の中で繰り広げられた思い出で説明なんて面倒なことはせず、速度差にモノを言わせて全員潰す、とだけ軽く説明しつつ伝えてみたところ少年少女達が呆れ返った顔でご自由にどうぞ、と返してきた。ならば遠慮はいらないだろう。

 あなたを除く他の皆がすたすたと歩いて進みだしたのであなたはこの世界に合わせて落としていた速度を解放して駆け出した。

 ぶちのめすついでにアーティファクトも回収せねば。

 

 透明化した敵の透明を無効化するためにも賢者の兜を被りつつ全力疾走で屋敷の中を駆け巡り、透明なのか透明じゃないのかはわからないがおそらく透明になって警戒しているであろう兵士などの有象無象を手の中でうねうねと蠢く長棒を突き刺……ちょっと口に出せないことをしておいた。なぁに。数日すれば痛みはきっととれる。死ななければ安いの精神でいこう。

 あなたが有象無象達から奪い取った兜に鑑定の魔法をかけてみれば★≪ハデスの兜のレプリカ≫という名前だった。

 効果は「それは装備した者を透明にする。」というだけの簡潔な効果だった。それでも十分強いがこうなるとレプリカじゃない本物はどれほどの物なのだろう。

 エンチャントの強度が単に違うのだろうか。

 

 そうして兵士で遊んで居たところポケットから * ビー * と音がした。

 何事だろうと思い、ひとまず壁生成であなた自身を囲んでから音の原因をごそごそと探した。

 思い当たるものと言えばポケットに入れておいたギフトゲームの詳細が書かれた羊皮紙だが……なにやら×印が大きく出ていた。

 何処かで誰かに見られたのだろうか。あなたの視界に鎧の反射光が見えただけでも全て屠ったというのに。誰にもみられていないはずだ。あなたは背後だって見通せる。

 だからこそ悪態をつくしかない。ふざけるな。見つかっていないはずだ。と。

 そもそもあなたのいた世界では見つかったという判定なんて曖昧なのだ。

 攻撃していたとはいえ隠密2000のあなたが見つかるのはおかしい。

 ジーッと睨んでいたところ×印が空気を読んだように薄れて消えた。

 それでいいのだ。それで。

 ウンウンと頷いたあなたはしまって再び走り始めた。

 

 数分後、あなたの手には本物の★≪ハデスの兜≫があった。

 レプリカと強度に差は無かったが、こちらは濡れても姿が現れたりしないらしい。

 さらに追加で隠密の技能がちょっとありえないレベルで跳ね上がる。

 これはそこそこ良い物だ。仕舞っておこう。

 ちなみに耐性は何も付いてないうえに防具としては★≪賢者の兜≫より少し弱い位なので多分おそらく使用しないと思う。

 常用するには難がある。そもそも透明自体そこまで強い効果ではない。

 攻撃されたら攻撃してきた地点というのは察しが付くものだ。

 これはまぁ、コレクション倉庫行きだろう。

 

 それ以上にはアーティファクトは見つからなかった。

 そういえば神託の魔法を使えばわかるのではないのだろうか。

 いつもの癖で神託の魔法を使ったところ当然のように女神様に繋がった。

 そういえばそうだった。この間試したばかりだ。癖なのと、こちらの世界での変化しているという記憶の修正がまだ追い付いていない。

 試しに聞いてみたが、なんでも『多すぎるから羅列してもわからない』とのことだ。

 さすが女神様。あなたがあまりにも多いと聞き流すし、確認するのも面倒くさがる事をしっかりと理解して下さっている。

 しち面倒な質問に答えてくださったことに滂沱の涙を流しながらその御心使いに感謝し、五体投地しながらストックしてあるあなたのミンチを捧げておいた。

 

 うだうだと兵士を潰したりそこら辺の物品を窃盗したりとなんやかんやしているうちに最上階最奥、明らかにボスのいそうな大広間……部屋……天井のない円形闘技場? にいる優男の元に着いた。

 皆はまだ着いていないようだ。

 あなたを見た優男が何故か怒っているがどうでもいい。

 一息に近づいて窃盗を利用して装備や荷物を確認する。

 

 ★≪アルゴールの召喚石≫

 ★≪アダマスの鎌・レプリカ≫

 ★≪タラリア・レプリカ≫

 etc...

 

 レプリカばかり。

 価値無し。

 ★≪アルゴールの召喚石≫が少々気になる程度だろうか。

 とはいえ固定アーティファクトは盗めない。

 とりあえず殺……してはいけないのだった。ぶちのめしておこう。

 とりあえず口上だけは名乗らせてやろう。そうしたら潔く逝かせる。

 

 やんわりとそう伝えたら★≪アルゴールの召喚石≫を使ってきた。

 現れたのは拘束具に全身を巻かれた≪アルゴール≫という灰色の醜女。

 レベルの足りていない雑魚だ。これならすくつ深層の階層主達の方が余程恐ろしい。

 ギフトは侮れないというのはたしかだが、だがこれはどうなのだろう。普通に正面から顔面を殴ったら死ぬのではないだろうか。

 というか召喚されてからずっと無駄に騒がしい。わーわー騒ぐのもいいがもう少し美声で喚いて欲しい。これがわめく狂人だろうか。見方によっては暴れ狂っている様にも見える。

 醜女が暴れて振り回した手が優男にあたり、優男が殴り飛ばされた。

 これは間違いなく暴れ狂っている。

 それにバリバリと拘束具を破っている。筋肉の誇示だろうか。バブル工場で得た本物だが手抜きでもある偽りの筋肉で対抗してみようか。

 あなたの目には恐怖して「拘束具なんて付けてる場合じゃねぇ!」と騒いでいる様にも見えるが。

 拘束具が外れたらレベルの判断基準が上がった。

 目隠ししていても勝てそうだ。から、負ける気はしない。に上がった。

 一気にレベルが上がったところを見るにかなり本気なのだろう。

 拘束具がレベルを封じているのが気になったが、壊れてしまった今はもう知る術はない。

 ギャアギャアと喚いてあなたに向けて威嚇してきた。

 なるほど。

 そうかそうか。

 

 

 どうでもいい。

 

 

 長棒で横っ面を殴って吹っ飛ばしておいた。

 なんだか、コキャッという音と共に首が360度回転していたような気がするが気のせいだろう。

 

 壁に衝突するとほぼ同時に皆が到着した。

 道中の敵は全て排除したはずだから、ここまで遅れたのは皆がゆったりと移動してたからだろう。

 死亡フラグ少年が優男が壁にめり込んでぐったりしている姿と醜女の首が一周分捻れた姿をため息をつきながら確認してから優男へと足を向けた。

 あなたは石化させて固定アーティファクトを生み出すアーティファクトが欲しいのだが。

 そういえば見当たらなかったな、と誰に伝えるわけでもなく呟いて再び屋敷へと探しに向かった。

 仕事はこなしたはずだ。ならあとは報酬の時間のはずだ。

 宝物庫にでも隠しているのだろう。

 

 

 

 

 

     *

 

 

 

 

 

 結局、手に入れた目ぼしい物は★≪ハデスの兜≫一つだった。優男は殺したわけでは無いし、件の召喚石も使用されたからなのかなくなってしまった。

 兜だけでも十分な収穫ではあるが……。

 そんなあなたの手慰みのアーティファクト回収事情はさておき。

 先日、なんやかんやで石にされてアーティファクト化していたレティシアというお嬢様がコミュニティに参入した。

 戦力として申し分ないとの事だったがやっぱり等しく雑魚なのは変わらなかった。

 レベル的にはあの醜女の方が高そうな感じはしたし、白夜叉の方が明らかに強い。

 お嬢様の歓迎会を開くとの事だったのであなたも差し迫ってすることもなく暇だから久しぶりに料理を振舞おうと思った。

 自分の家族以外に料理を振る舞うのはいつぶりだろうか。駆け出しが終わった頃あたり以来かもしれない。

 ひとまずBBQセットで作るプリンは如何だろうか。

 製作過程を確認された上で何もおかしい事はないのだが拒否された。

 ならばとフードプロセッサーで作るメロンパンを差し出してみた。

 カリカリモフモフで美味しいのだが。

 それも拒否された。

 得体が知れないと断られた。やれもっと産地を明確にしろだの、やれ作り方も作る道具もおかしいだのと。

 注文の多い奴らだ。そんな者にはこの称号:カビキラー取得の為に狩り続けて溜まったゴミクズと説明するとゴミクズという言葉に失礼してしまう、そんな奴のステーキを振舞ってやろう。(ニヤリ

 

 そうやって子供達や耀や飛鳥、お嬢様とわいわいと遊んでいるそんな傍らでまた死亡フラグ少年が新しい死亡フラグを建てていた。

 

 いつ殺そうか。殺す日が楽しみだ。




どうも赤坂です。
ご丁寧に最新話を喜ぶ感想貰って調子に乗った結果の連日投稿です。

余談ですが、この作品のキャラの元ネタの私のキャラのデータは現在破損しています。
この作品書き始めてしばらくして破損して消えたのできっと箱庭に旅立ったんでしょう。
今は二代目を育て始めているところです。
あー楽しい(血涙)
ではでは
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。