[先天]あなたは問題児だ。   作:赤坂 通

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★≪冒険者の日常の一コマ≫『絶対に入ってはいけない予感はしていた』

 ───箱庭に訪れて以来、激しい喜びだとか心の底から楽しむような事もほとんどない日々を送っていたあなたの身に起きた出来事のちょっとした振り返りだ。

 そう。いつもと何も変わらない日々を過ごすあなたの身に起きた出来事だった。

 

 終わった後で考えてみると流石に自制期間が長すぎたのだな、と少し思った。

 今回の一件をしっかりと認識したうえで、ストレス発散をたまにしないといけない。

 まぁ、そのストレス発散が出来なかった結果がこれ、というだけなのだが。

 ゆったりと聞いてもらえればいい。何の変哲もないストレス発散の記録だ。

 

 

 

 

 

     *

 

 

 

 

 

 始めは、大道芸人の一行『サーカス』と呼ばれる催し物を見る為に街に繰り出したのが始まりだった。

 黒ウサギと前日に交わした農園の手入れ作業をサボって食堂に『そうだ。町行こう』と書いた置手紙を置いて本拠を飛び出したのだ。

 それもこれも耀の嗅覚があなた達をふらふらと町へと導いたのが原因だ。

 いつもの少年少女達から少し離れて、様々な屋台をあなたは見回っている。

 そんなあなたに変なチンピラが、酔っているのか絡んできたので頭から叩いて道に突き刺してあなたの視界から消滅させた。

 不愉快に思ったわけでもないが、酔って絡んできたならそれ相応の覚悟をしてきているという事だろうし注意も何もいらないだろう。

 最近はうざったい相手を叩いて地面に突き刺す方法がマイブームだ。なんといっても頭が地面からつくしの様に生える姿が心地いい。

 やはりミンチにするのが一番だが、相手が手も足も出なくなって口だけで負け惜しみをするのが素晴らしい。

 

 

 

 無様な姿を大衆に晒して恥をかくがいい。

 

 

 

 町に出たのは間違いではなかったのだろう。気のせい程度にスッキリした感じもする。

 この屋台で買った謎のハンバー……ガー……? らしきものも美味しい。

 一口食べて疑問に思ったので何の肉が使われているのかを聞いた所、店主が材料を濁したのが特徴的だろう。やや怖いがノースティリスではよくある事だ。箱庭ではあまり見ないが。

 

 妹の弁当に似た感じだと思えばいい。本当に謎だ。

 

 あとハンバーガーの外側の梱包が特徴的だろう。特殊な紙に巻かれているのだ。

 手が汚れなくて便利なのだが、ゴミが出るのが少し難点だろうか。

 さて、ゴミ箱は、と。

 残ったソースを指で掬って舐めながら周りを見渡すと、ちょうど向こうに少女に手を出している男が見えた。少女が怒りながら叫んでいる。

 

 それ自体はどうでもいいのだが、あの少女はネームドだ。手を出したら犯罪だろう。

 男はカルマが下がっているのを理解していないのだろうか。

 箱庭の衛兵に代わってあなたが正義を執行してやろう。

 

 

 喰らえ。投擲2000の手加減投球一本。

 

 死亡フラグ少年も同じ様に、同じハンバー……ガー……? か何かで出たゴミを投げつけていた。

 食べ終わりが速かったあなたの方が着弾も速い。

 

 

 

 ボールを相手のゴールにシュゥゥゥーッ!! 

 超! エキサイティン!! 

 

 

 * キッ *

 

 

 綺麗に決まった。最高だ。ブラボー。

 

 クズはきちんと屑籠に入れるべきだと思うのだ。

 変な男をクズ投げで倒したところ少女がなにやら礼を言ってきた。

 手を出した愚か者が悪い。

 ところでネームドならばクエストの一つでも貰えないだろうか。

 

 そう思い伝えてみたものの、先に黒ウサギが到着してしまった。

 ぐちぐちと怒られるが、あなたの耳には届かない。

 あなたの耳にお小言を届けさせたければあなたの妻の黒天使に言わせるといい。

 そしたら地面に埋まる程反省して謝る。

 決して死んで埋まるわけではないのであしからず。

 

 なんやかんやしていたら先程のクズが立ち上がった。

 よく起き上がれるなと少し思った。あなたの目ではあなたの投擲で200ダメージ入っていたのだが。

 そしてクズの体力は肉屋(?)の店主ということもあり300程度。

 残りが29なところを見るに71ダメージが死亡フラグ少年のもの。

 死亡フラグ少年が雑魚過ぎて殺り損ねたようだ。

 わざわざ手加減することでラストヒットを譲り、死亡フラグ少年の罪にしようと思ったのだが。

 そしてカルマが下がったところで正義執行。完璧な流れを断たれてしまった。

 

 満身創痍の状態でこちらに喧嘩を売ってきているが死ぬつもりだろうか。

 あなたのデコピン一発どころか、小指で突いたら死ぬ状態なのだが。

 いちゃもんを付けてきているのは安い挑発だろうか。

 そう思って冷めた目で見ていた所。助けた少女曰く、参加者に不利なルールでギフトゲームをいつも仕掛けてくるそうだ。

 

 

 なるほど。つまりぶちのめしていいということだろうか。

 黒ウサギがそんなギフトゲームは受けるべきではない、と言ってはいるが。

 

 そうか。確かに不利な条件で戦うのは下策だと思うしその勝負受けてたとう。

 

 いやぁ。受けるべきではないといわれると受けたくなってしまう。

 本能が抗えないから、思考途中で受けて立とうと思ってしまうのも致し方ないだろう。

 

 

 

 

 

     *

 

 

 

 

 

 迷宮の様な迷路のような謎の空間に飛ばされた。これがこのゲームのゲーム盤だろう。

 迷路の謎を解き明かして迷路を突破すればいいようだ。

 

 

 

 なるほどなるほど。

 

 

 

 つまり核、またはメテオの出番だ。更地にすれば謎も全て溶ける。

 誤字ではない。解けるのではない。溶けるのだ。

 チップに黒ウサギの肉を贈与するとしたから負けるわけにはいかない。

 最初にその肉を食べるのはあなただ。

 明日など見据えなくていい。今を楽しみながら進む、を作戦にガンガンいこう。

 

 そう。わざわざ落とし穴に黒ウサギの様にハマる必要はない。

 

 ガンガン行こうぜ。

 そういえばメテオと核。皆にどちらがいいか聞いてみよう。

 

 

 どちらがいいだろうか。

 どっちもダメだそうだ。

 

 

 ならば採掘はいかがだろうか。全ての壁を手作業で破壊するだけなのだが。

 それならいいと言われた。何の違いも無いと思うのだが。

 

 といったところで落とし穴から這い上がってきた黒ウサギに全部ダメだと止められた。

 なんでも迷路を破壊しては謎を解く以前にゲーム敗北になると。

 

 

 黒ウサギ含めコミュニティの主力は全員あなたのギフトを把握しているはずなのだが。

 さては偽物だな。

 最近調子に乗ってきているのか、持ち手のぬるぬるを加速させてきている蠢く長棒をそのキュートなお尻にスロットインさせてもらおう。

 

 スロットイン。トランスミッション。

 

 全力で拒否られた。つまらない。

 とりあえずムカついたので顔面に蹴りを飛ばしておいた。

 加減しつつ、速度500程度の攻撃だ。普段の黒ウサギならなんとか回避して前髪を切り飛ばされるくらいで済む。当たっても精々アゴシッと言いながら愉快な顔をする程度だ。

 以前死亡フラグ少年に蹴りを飛ばして愉快な顔になるのは確認済みである。

 

 ギリギリで回避可能だというのに間に合わない辺り、やはり偽物だ。

 あと微妙にいつものアホ面の面影がない。なぜか真面目系の顔をしている。それも気にくわない。

 なんだその顔は。愉快な顔になるがいい。

 

 最悪黒ウサギの偽物だった場合、顎がサヨナラバイバイするかもしれない。

 暮らし続けていた街にサヨナラバイバイも言っておかなければならなくなるかもしれない。

 黄色い巨大なネズミと旅には出なくてもいいのだが。

 

 ……不思議と今日のあなたは電波が良く混じる気がする。

 楽しいからどうでもいいのだが。

 

 

 

 ───……ッ!! (ブチッ

 

 

 カットインが入った気がする。

 顎からサマーソルトキックで蹴り飛ばしたら黒ウサギが煙を吹きながら肉屋の店主になった。

 体力は残り3。かなり際どかった。

 ちょうどいい。敵が低体力でダウンした。

 

 

 来た。総攻撃チャンスだ。

 A はい

 B いいえ

 

 

 

 ……まぁしないのだが。なんなのだろう。電波というには異常だろう。

 何処かの神様があなたに何かしているのかもしれない。

 

 とりあえず、ギフトの報酬にとバーベキューセットを貰えた。

 店売りではそこそこ見かけない最高レベルの調理器具をポンとだしてくれるとは。

 有難くいただいておこう。

 

 

 

 

 

      *

 

 

 

 

 

 前略。

 次の日になりサーカスを見に行った。今は帰り道である。

 

 詳しく言うと面倒なので簡単に説明だけすると、昨日助けた少女がチケットを持ってきてくれたのだ。あなたがバーベキューセットで子供や耀にたかられて減ったストックしてあったパフェを補充していた時の事である。

 サーカスはそこそこ面白かった。黒ウサギがドラゴンに変わる所など姿変えの技術を教えて貰いたいほどに鮮やかだった。あそこまで手馴れている人を見るのは初めてだ。

 

 黒ウサギ本人がどこかに消えてしまったのが悲しいところだが。

 

 まぁよくある事だ。よくあるよくある。

 奴隷商に間違えて売り飛ばしたとでも思っておこう。

 

 皆はそうはいかないようで探しているようだが。

 頼まれたので仕方がなくあなたも探すことにして、ぼちぼちと街中を歩いているがまぁそう簡単に見つかるはずもなく。

 核やメテオで消し飛ばしてから復活の魔法も交えて探したい衝動に襲われつつ、歩き回っていたところで丘の上にピエロがいるのを見つけた。

 とはいえ全速力で歩き回るあなたを見る一瞬すらピエロには与えられず、あなたが長棒で殴り飛ばしてしまったのだが。

 体力があと100は残っていたはずなのだがいきなり溶けてしまった。スライムだったのだろうか。

 悲しい。殺してしまったようだ。まぁ死んでしまったのなら仕方がない。

 勝手に死んだのならあなたの関与したところではない。

 地面に残ったシミが汚いので火炎瓶で燃やして処理しておいた。

 断末魔の叫びが聞こえる。気のせいだ。死んだ奴は声を上げないのだから。

 蜘蛛の巣を張り巡らして火を消したら先程まで無かった魔法陣が残った。

 と、そんな状況のあなたの下に死亡フラグ少年一行が来た。何故か白夜叉も増えている。

 

 

 一体どうしたのだろうか。

 

 

 そう思って聞いてみると白夜叉もサーカスに用事があるようだ。

 まぁいいだろう。とりあえず変なピエロは叩き潰しておいたと伝えておく。

 あるいはギフトゲームが始まった状況だったのかもしれない。

 このピエロは先陣。魔法陣の先にさらなる強敵。まぁこの路線だろう。

 

 先んじて一体倒してしまったが何、皆が遅すぎるというだけだ。

 

 

 

 

 

      *

 

 

 

 

 

 魔方陣に乗ったらサーカスの会場に飛ばされた。テレポートの魔法が仕込んであったのだろうか。トラップに転移魔方陣の組み合わせ。面白い。

 やはり箱庭の世界はなんやかんや面白い。ムーンゲートの先の世界のよく組まれたショートストーリーくらい面白い。

 とりあえずいきなり転送先に幸運の女神達が敵対した状態で大量にいたりしないから安心だ。

 いつかはそんなトラップも出てくるのかもしれないが。

 

 

 む。何かが向こうからくるようだ。

 

 

 

 ……。

 

 ……───。

 

 …………──────。

 

 

 

 いや、何をしているのだろう。このウサギは。

 殺したくなってきた。何故玉乗りしている。

 飛鳥、耀、白夜叉に攻撃許可を尋ねる。

 殺さない程度を旨に許可を貰った。よし。

 

 全力のドロップキックで下の玉を蹴り飛ばした。

 観客席に玉が突き刺さり、黒ウサギが顔面から地面に落ちた。

 無様もクソも無い。されて当然だ。この人騒がせウサギが。

 おもむろに鎌を取り出し首を刈らなかったのを褒めて欲しい。

 

 だが、黒ウサギはサーカスの一員として扱うとかなんとか。返して欲しければ戦え、と。

 サーカス団員、というより団長の女性の言うにはそういう事らしい。

 

 なるほど。まぁいい暇つぶしになりそうだ。

 長棒でぺしぺしと肩を叩きながら面倒くさそうにため息をついて全員星の彼方への特急切符をプレゼントすることにした。

 そう思っていたら白夜叉に袖を引っ張られ、死亡フラグ少年達の強さを見たいから手を出すなと耳打ちで言われた。

 なるほど。では代わりに白夜叉のパンティーを貰えないだろうか。

 

 凄く嫌そうな顔だったが、許可を出された。流石のあなたも驚いた。ブラボー。

 頼むから固定アーティファクトのパンティーであって欲しい。

 パンティーという報酬も出るというならあなたが手を出す理由は無い。

 手を出したとしても面倒くさいだけだ。全員とりあえず半殺しにしてトドメを任せておしまいなのだから。

 

 一回戦は黒ウサギvs死亡フラグ少年。

 引き分けで終わった。次。

 

 二回戦。飛鳥vs変な猫っぽい少女

 開幕即座に相手が降参するという状況になったが、そのまま試合は続行されてその後は普通に戦っていた。

 降参を不意打ちに使うという姑息な手のようだ。ちょっと飛鳥がダメージを負っていた。

 近接戦は苦手なペット主体の戦い方の飛鳥には少々手厳しい局面になっていた。

 飛鳥のギフトが喋らなければ発動しないことを見抜かれていたのか、喋る隙を与えないように戦うのは相手の作戦勝ちだろう。

 とはいえ油断して飛鳥が自身にギフトを掛けるという行動を見逃したのが相手の敗因だろう。

 先日の魔王戦の折に手に入れたという赤い巨人の像を召喚して闘技場を投げて質量で勝利。

 そこそこ面白い戦いだった。

 

 そして三回戦。耀vs三匹のモフ+犬。

 モフ達。いや、そういう名前では無いのだがどう見てもモフモフなのだ。

 犬は凶悪な顔をしているが。まぁいいのではないだろうか。

 モフ達は全力であなたもモフりたいくらいかわいらしい。あなたの家族のプチくらいかわいい。いや、プチ程はかわいくないな。あなたの家族のプチが一番だ。

 プチは胡坐で抱くとプニプニモチモチしていて心地いいのだ。

 あの弾力と滑々な肌はいっそ暴力的だと思う。

 炬燵に入って冬に抱くと二秒で眠りにつける。

 いやだが黒天使の膝枕の方が……。

 終わらなくなりそうだからここまでにしよう。

 

 いやぁ。思い出したらとても抱きたくなってきた。

 あなたの家族のプチはプルプルモチモチのスベスベでモッチリしているのだ。

 流石魅力2000のプチ。最高の抱き心地を保証してくれる。

 枕にすると人をダメにする。間違いなくダメにする。それはあなたが保証する。

 なにせ枕にして寝たらだらだらと過ごし続けて二年程経っていた時があった。

 人がダメになっていた。請求書の滞納で犯罪者落ちもマッハだった。

 

 巷では『人をダメにする枕』なるものがあるがアレはプチの下位互換だ。

 プチを超える枕は存在しない。

 ただしあなたが枕にできるのはあなたの家族のプチ一人だけだ。

 それ以外のプチは弱すぎて潰れて死んでしまう。

 

 いけない。戻ったはずがまたトリップしていた。現実に戻らねば。

 

 とりあえず、あの三匹+一匹に全力で攻撃されている耀も幸せそうだ。

 終わったら後でちょっとあなたもモフらせてもらおう。

 そうだ。そうしよう。幾ら積んででもモフりたい。

 

 おお。合体をするとかなんとか。モフモフが三体と一匹……来るぞ白夜叉。

 残念ながら来ないそうだ。

 

 残念がり四肢を地面について悲しむあなたがいるがそれはどうでもいい。問題じゃない。

 

 三身合体する事で発せられた演出の煙が収まり、その先にはアルティミット・シイング・モフた

 




赤坂です。
番外編の『乙』編です。
時系列的には二巻終了後だと思ってここに挟みます。
あと、終わり方は間違っていません。
ではでは。
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