リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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ジオウ第13話……まぁ見事にディケイドがやりたい放題でしたね。
しかし個人的には、ゴーストの力を持たずとも霊術っぽい何かでソウゴの魂を救ったタケルの能力に驚かされました。タケルそんな事できたんだな……って思った数分後、タケルのお父さんも生身でアホみたいな強さだった事を思い出し納得してしまった自分がいたり←

そんな作者の感想は置いといて、今回はエピソード・アビスの4話目を更新。
今回は最初から最後まで溟の視点からお送りします。

それではどうぞ。



エピソード・アビス 4

『よく眠れたか?』

 

次に目覚めた時、聞こえて来た最初の一言がそれだった。

 

『……ここは……』

 

気付けば私は、ベッドの上で暖かい布団をかけられていた。その私を見下ろしていたのは、部活動中に私達の様子を見ていたというあの男だった。ここは一体どこなのか。自分はどうしてこのような所にいるのか。何故彼が私の前にいるのか。それらの謎は、この男の口から一通り明かされた。

 

『俺の自宅だ。まさかこんな長い時間眠り続けるとはな』

 

『! あなたは……』

 

『お前の手荷物から、明日の予定を確認させて貰った。明日が学校も部活も休みの日で良かったな。でなきゃ学校の宿題も碌にできないし、部活にも参加できないもんなぁ』

 

『私の……』

 

そこで私は気付いた。着ている服装が変わっている。それは私が学校で着ていたセーラー服ではなく、無地の白いシャツと黒いジャージのズボン。私が着ていたはずのセーラー服は、丁寧に畳んだ状態で近くの小さな机に置かれていた。

 

『……急に胸を隠してどうした』

 

『ッ……見たの?』

 

『意識がない奴の面倒を見るのは大変だった、とだけ言っておこう』

 

『……変態』

 

『安心しろ。ガキの裸に欲情する趣味はない』

 

それを本人の目の前で言うのか。彼の歯に衣着せぬ物言いには、ハッキリ言って印象は最悪だ。そんな私の思いなど微塵も汲み取ろうとはしない彼は、テーブルの方から持って来た椅子をベッドの横に置き、ゆっくり座り込んでから私の方に視線を向けて来た。

 

『それはさておきだ……覚えているか? お前が何故ここに来る事になったのか、その理由を』

 

『……ッ……!』

 

忘れるはずもない。アイツ等がこの私にした乱暴の数々。アイツ等に欲望のままに貪られた時の感触が、今もまだこの体に残っているのを感じ取れた。一生消える事のない傷が、この体に刻み込まれた事を思い知らされた。思い出すだけで、とうに枯れたはずの涙が止まらなかった。

 

『……どうして?』

 

『?』

 

『……どうして私なの……どうして私だけ、いつもこんな目に……どうして……ッ!!』

 

『それが人間だからだ』

 

私の泣き言などバッサリ斬り捨てるかのように、その男は特に不思議そうに考える事もなく、真顔で堂々と言ってのけた。

 

『お前に限った話じゃない。人は皆、自分が良い思いをしたいと思っている。その為に他の誰がどんな酷い目に遭おうとも、それにいちいち目を向けてやるほど優しい生き物じゃない……それはお前がよくわかっているはずだ。醜い人間の被害者となったお前が』

 

『ッ……』

 

『だが、今のお前は少し違う』

 

『え……?』

 

この時はまだ、彼の言おうとしている事の意図が掴めなかった。彼もそれを見抜いていたのか、私にあの黒いカードデッキを投げ渡して来た。

 

『本来なら、お前はあのまま哀れな被害者Aとして終わるはずだった。だが運が良いのか悪いのか……お前は“奴”に選ばれた』

 

『? どういう―――』

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

妙な音が聞こえて来たのはその時だった。戸惑っている私の疑問を解決する為に、男は近くの窓を指差す事で答えを示してくれた。

 

『『グルルルルル……!!』』

 

『ひっ……!?』

 

『落ち着け。コイツ等は俺の命令に忠実だ』

 

見た事のない怪物が2体、こちらを睨みつけていた。唸り声を上げているそいつ等から遠ざかろうとして、それを見越していた彼に両手で背中を受け止められた。

 

『な、何……何なのコイツ等……!』

 

『お前に与えられた1つのチャンスだ』

 

男もまた、自分が持っているカードデッキを私に見せつけた。私が持っているのと違って、それには鮫の顔を象った紋章があった。

 

『今、お前には2つの選択肢が与えられている。1つは、このまま哀れな被害者Aとして惨めな人生を送るか……もう1つは、今とは違う新しい未来を手に入れるか』

 

『今とは、違う……新しい未来……?』

 

『どちらを選ぶかは、お前の願い次第だ』

 

そこから彼は、私にカードデッキの使い道を説明してくれた。

 

ミラーワールドの存在。

 

モンスターの存在。

 

仮面ライダーの存在。

 

その仮面ライダー同士で殺し合いをさせている男―――神崎士郎の存在。

 

そして最後の1人まで勝ち残ったライダーが手にできる、叶えたい願いを叶えられる力。

 

最初に聞いた時は半信半疑だった。

 

でも、彼が私に見せた力は間違いなく本物だった。

 

彼の言った、今とは違う新しい未来。

 

もう二度と手に入らないと思っていた、私が望んでいた未来。

 

私が幸せでいられる、私だけの居場所。

 

それが手に入るかもしれないとわかった瞬間……私は自分の道を即決していた。

 

だから私は聞く事にした。

 

『……どうしたら』

 

『ん?』

 

『……仮面ライダーになるには、どうしたら良い?』

 

この男―――二宮鋭介こと仮面ライダーアビスに、仮面ライダーになる為の方法を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ひぃ!? ま、待って野崎さん!!』

 

『いや。待たない』

 

そこからの私の行動は早かった。

 

モンスターと契約し、仮面ライダーとなった私の為に、二宮さん(・・・・)は「やりたい事をやれば良い」と教えてくれた。

 

その教えに従って、私は私を酷い目に遭わせた奴等に復讐する事にした。

 

『ご、ごめんなさい、私が悪かったわ!! あれは、その、ちょっと嫉妬しただけなの!! 本気であなたを潰そうとした訳じゃなくて―――』

 

『もう良い。言い訳は聞きたくない』

 

『い、いや!? お願い、まだ死にたくな―――』

 

『クカアァッ!!』

 

こうしてまた1人、私を貶めた人間を排除する事に成功した。

 

私を慰み者にした不良達を。

 

嫉妬なんかでこの私を陥れた先輩達を。

 

これまで私に暴力を振るって来た醜い者達を。

 

見て見ぬフリをしてこの私を見捨てて来た最低な者達を。

 

私を不幸にして来た連中は、私がこの手で1人残らず排除していった。

 

殺したいと思っていた奴等が全員死んでくれた事で、私は胸の中がスッとしたような気がしていた。

 

『気は済んだか?』

 

『……うん。やりたい事はこれで済んだ』

 

『そうか……』

 

私がやろうと思っていた事に、二宮さんは律儀に付き合ってくれていた。

 

私が殺したいと思っている奴の住所を彼が突き止め、そこに私が向かってモンスターに捕食させる。

 

彼からすれば、わざわざ私の為にそこまでする必要なんてないはずなのに。

 

私の為に何故ここまでしてくれるのか、一度彼に聞いてみる事にした。

 

『人を殺す重み……それを背負える覚悟がお前にあるかどうか、この目で確かめたかっただけの話だ。まぁ、そんな心配は杞憂で終わったようだが』

 

『そんな事の為に……?』

 

『お前が俺にとって使える奴かどうか、見極めるには重要だろう? 使えないようなら捨てるだけだ』

 

思っていた以上にアッサリした理由だった。

 

しかも私が使える奴かどうかとか、使えないなら捨てるだけだとか、それを本人の目の前で堂々と言っちゃう度胸に私は驚きだった。

 

それなのに何故か、私は彼に対して不快感をあまり示していなかった。

 

お互いに利用し合っているだけで、いずれは殺し合う事になる関係なのだと。

 

その時点で、自分がそれを理解していたからなのもあるかもしれない。

 

しかしそれを差し引いても、私は彼の事を知りたがっていた。

 

いずれ殺し合う事になるのだから、本当はあまり深く関わるべきじゃない。

 

それをわかっていながらも、一体何が彼をここまでさせているのか、私はそれが気になって仕方がなかった。

 

そんな想いを胸に秘めながら、私は彼と行動を共にし続けた。

 

そしてある時……私は私達以外の仮面ライダー達と出会う事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふぅん、その娘が二宮さんの言ってたライダー?』

 

『あぁ』

 

仮面ライダーとして戦い始めてから、およそ2週間後ぐらい経った時の事だ。

 

私は二宮さんに連れられて、ある大きな豪邸へとやって来た。見るからに金持ちの人間が住んでいるとわかる豪華な敷地内は、一般市民の私にとっては今後も縁がないであろうと思い込んでいた光景だ。その敷地内を通って、大きなシャンデリアのある広い部屋まで連れられて来た私を待っていたのは、私達以外の仮面ライダー達だった。

 

『もうちょっと年齢のいった奴かと思ってたけど。まさかこんな未成年の子供だったなんてねぇ』

 

『……子供扱いしないで』

 

『そんなんでムキになっちゃってる辺り、まだまだお子様って事だよねぇ~』

 

高そうなテーブルに堂々と足をかけ、携帯型ゲーム機で遊んでいる青年―――“芝浦淳(しばうらじゅん)”こと“仮面ライダーガイ”。ゲームを遊びながら話し、こちらには見向きもしようとしない生意気な態度の彼を見た瞬間、コイツとは絶対に仲良くなれないと、私の心はほんの一瞬で悟っていた。

 

『ふん、俺からすればどっちもまだまだガキンチョだよ』

 

『ッ……うるさいなぁ、高見沢さんは黙っててよ』

 

豪華な装飾の椅子に腰かけた、偉そうな態度をしているスーツの男―――“高見沢逸郎(たかみざわいつろう)”こと“仮面ライダーベルデ”。あの有名な高見沢グループを、今の大企業までのし上がらせた実力とカリスマを持っている彼は、まるで品定めするかのように私の事をジロジロ見てきた。芝浦ほどではないにしろ、こちらを見下しているかのような態度を取る彼の事も、私は正直好きにはなれそうにはなかった。

 

『それで? そのガキは使えるんだろうな、二宮』

 

『……彼女を貶めた連中を何名か、自分の意志でモンスターに捕食させています。素質は充分にあるかと』

 

『なるほど……ま、自分が嫌いな奴なら殺ってもおかしくないわな』

 

あの男……高見沢が椅子から立ち上がって、私の方まで近付いて来る。アイツが醸し出している雰囲気に、私は何となく苦手意識を感じて、体が後ろに下がろうとしていた。尤も、後ろに立っていた二宮さんに肩を押さえられて、それは叶わなかった訳だけど。

 

『お前、名前は?』

 

『……野崎溟』

 

『そうか……それじゃあ野崎。お前の覚悟を試させて貰おうか』

 

『?』

 

もう散々人は殺してきたのに、今更何を試すつもりなのか。

 

その謎は、高見沢が広げて見せてきた新聞紙に答えが載っていた。

 

『ここ最近、金持ちの家をターゲットにしている泥棒がいるのは、ニュースを見て知っているな?』

 

『知ってるけど……それが?』

 

『こいつの正体は既に掴んでいる。俺達と同じ仮面ライダーだ』

 

高見沢の説明を聞いて、私はなるほどと思った。確かに鏡面さえ存在していれば、たとえ密室でもミラーワールドを通じて侵入するのは簡単であり、泥棒するのに向いている。

 

『問題はここからだ。金持ちは金持ちでも、コイツは悪人からしか盗まず、盗んだ金をわざわざ貧乏な人間に分け与えている。おまけに本人も、殺しは絶対にしないとまでほざいてやがるのさ』

 

『……怪盗ルパンみたい』

 

それを聞いた時は少し意外だった。仮面ライダーなんて皆、自分の為だけに戦っていると思っていたから。そういう人もいるんだなって、この時の私はそう思っていた。

 

『フィクションの真似事なんかやって、自分がカッコ良い事をしてるつもりのダークヒーローぶった偽善者……そういうのってさ、見ててホント反吐が出るよねぇ~』

 

『考えてもみろ。殺人をしないって言葉が仮に本当の事だとしても、そんな奴が仮面ライダーをやっている意味があると思うか? 他のライダーからすれば、ハッキリ言って邪魔なだけ……実に目障りな存在だ』

 

彼等の会話を聞いて、私は彼等が何をしようとしているのか何となく理解できた。彼等の目が、ハッキリとこちらを見据えていた。

 

『……殺すの?』

 

『奴を始末すれば、倒すべきライダーが1人減る事になる。俺達にとっても、お前にとっても損はない話だ』

 

高見沢の右手が私の肩に触れた。

 

たったそれだけの行為が、まるで自分の心臓を直接掴まれているかのようにも感じて、凄く気味が悪かったのは覚えている。

 

『お前はこれまで、既に多くの人間を犠牲にしてきたんだからなぁ……これくらいは簡単な事だろう?』

 

『ッ……!』

 

私の本能が察していた。

 

私が善人を殺せるかどうか(・・・・・・・・・・)、彼等に試されているのだと。

 

殺せればそれで良し。

 

では、殺せなかった場合は?

 

その行く末は、私を見据えている彼等の目付きが物語っていた。

 

それから数日後……私がアイツ等に試される時がやって来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――うあぁっ!?』

 

ミラーワールドでの戦い。高見沢達が獲物として付け狙っていた戦士―――仮面ライダーベルグを発見し、私達は徒党を組んで彼を追い詰めていた。突然の襲撃を受けたベルグは混乱して、私達の攻撃を成す術なく受け続けた。

 

高峰光毅(たかみねこうき)……お前は一度、この俺からも金を盗もうとした事があったなぁ。それがお前の運の尽きだったって事だ』

 

『ッ……やめてくれ……俺は人を殺す気なんてない……!!』

 

『アンタにはなくても、俺達にはあるんだよねぇ~』

 

『ライダーを殺す覚悟もないのにライダーをやっている時点で、お前の運命は決まっていたんだよ』

 

≪STRIKE VENT≫

 

『くっ……ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?』

 

アビスやガイの攻撃を受け、吹っ飛ばされて地面を転がされるベルグ。瀕死寸前となり、立ち上がる気力も失いつつある彼を見て、ベルデは私の方に振り返りながら言って来た。

 

『さぁ野崎、後はお前の仕事だ』

 

『……えぇ』

 

奴にトドメを刺せ。

 

お前もライダーなら、これくらいの事はできるだろう?

 

口で言われなくとも、彼の言おうとしている事は私にも理解できた。だから私は自分の召喚機を構えて、倒れているベルグの方へと1歩ずつ歩み寄って行く。

 

『やめてくれ……僕にはまだ、やらなきゃいけない事があるんだ……!!』

 

『……それは何? お金を盗む事?』

 

『貧しい人達を救いたいんだ……その為に僕は、この力で……!!』

 

『……ッ』

 

助けたい人を助ける為にも、自分はまだ死ぬ訳にはいかない。こんな絶望的な状況下でも、そんな綺麗事を言える人間が存在しているなんて思ってもみなかった。この時、私の中に僅かに残っていた善意が、召喚機の引き鉄を引く事を躊躇っていた。

 

『どうした? できないのか?』

 

『あれ、まさかできないなんて言わないよねぇ? もう散々殺しておいてさ』

 

『……ッ!』

 

そうだ。私はもう後には引けない。

 

私の願いの為にも。ここで躊躇っている訳にはいかないんだ。

 

私は自分にそう言い聞かせながら……

 

 

 

 

バキイィンッ!!

 

 

 

 

引き金にかけた指を引き、ベルグのカードデッキを破壊してみせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はぁ……はぁ……ッ……!!』

 

『……またいつもの奴(・・・・・)か?』

 

ベルグを殺めてから数日が経過した。根が悪人じゃない人間を初めて殺したその日から、私の夢の中にはこれまで殺してきた人間達が現れるようになり、私は消えない悪夢に苦しめられ続けた。

 

『ごめんなさい……ごめんなさい……ッ!!』

 

『貧しい人の為とはいえ、ベルグが盗みという罪を犯していた事実は変わらん。お前が苦しむ必要などないだろうに』

 

『でも……でも……!!』

 

確かにベルグは犯罪を犯していた。

 

しかし、彼は彼なりに他の誰かを救おうとしていた。

 

その意志が本物である事は間違いなかった。

 

その優しい人間をこの手で殺めた事に対する罪悪感は、その後も私の中にずっと残り続けていた。

 

これまで散々人を殺してきたというのに……私は今頃になって、人を殺したという事実に対して、罪の意識を感じるようになっていた。

 

『……馬鹿な奴だ』

 

そんな私の意識を変えさせたのが、二宮さんの言葉だった。

 

『人は皆、自分の為に生きる存在に過ぎない。高見沢さんも言っていただろう? 人間は皆ライダーなんだってな』

 

『ッ……』

 

『人は何の犠牲もなしに生きる事はできない。願いを叶えたいのなら……望む未来を手に入れたいのなら……何を犠牲にしてでも、その為に生き延びるしかない。それこそがライダーの……人間の背負っている宿命だ』

 

『宿命……?』

 

『そうだ。ライダーになった以上、勝たなければこの宿命からは逃れられない。逃れたいのなら戦うしかない。お前はお前の望みの為に。俺は俺の目的の為に……な』

 

人間の背負っている宿命。

 

それは人間として……今の世を生きている者として当たり前の事なんだと。彼は私にそう教えてくれた。

 

だからこそ、私は聞いてみたいと思った。

 

そんな事を私に教えてくれた彼は、何を目的としているのか。何を背負った上で戦っているのかを。

 

『あなたは……何の為に戦っているの? 叶えたい願いの為……?』

 

『違う。俺が戦っているのはそんな物の為じゃない』

 

『え……』

 

叶えたい願いがない?

 

じゃあ彼は、一体何の為に戦っているというの?

 

好きな願いを叶えられるかもしれないというのに、何故彼はそれに縋らないの?

 

その理由も、彼は続けて答えてくれた。

 

『本当に叶うかどうかもわからん以上、それを当てにするつもりは毛頭ない。俺が戦う理由はただ1つだ』

 

『それは、何……?』

 

『死にたくないからだ』

 

死にたくないから。ライダーが……人が戦う理由としては、一番シンプルな物。二宮さんがそんなシンプルな理由を告げた事が、私には少し意外に感じた。

 

『死にたくない、まだまだ生き続けたい……それは人が持って当たり前の感情だ。戦う理由なんて、それだけあれば充分だろう?』

 

『……思ってたより単純なのね』

 

『理由はいつだって単純だ……だが、それを果たすのは決して容易ではない。だから俺は、何を犠牲にしてでも生き延びる道を選んだ。俺の行く道を阻む奴は誰だろうと潰す。それはお前とて例外じゃない』

 

『……そっか』

 

この男からすれば、私の事も『生き延びる為に利用しているだけの道具』でしかないのだろう。

 

それは私もわかり切っている事のはずだった。

 

それなのに私は……この人(・・・)に共感を示していた。

 

いずれ敵対する事になるであろう彼に対して、私は複雑な気持ちを抱き始めていた。

 

この複雑な気持ちが、一体何から来ている物なのか……この時の私にはまだわからなかった。

 

『……尤も、今はお前より先に倒すべきライダーが他にいるがな』

 

そんな時だった。

 

彼が私に、1つの頼み事をしてきたのは。

 

『野崎。お前に少し、手伝って貰いたい事がある』

 

『……何?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『高見沢逸郎を潰したい。それにはお前の力を借りる必要がある』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




最初は二宮の事を『この男』だとか『彼』だとか言っていたのに、いつからか『この人』と呼び始めていた溟。
溟と言いドゥーエと言い、二宮は何故か悪女と絡む機会が多いです。

そんな彼女が他に関わったのは、『15RIDERS』でも二宮と徒党を組んでいた高見沢と芝浦の2人。
特に高見沢の方は、溟に罪の意識を与えたり、二宮を今の冷徹な人間にさせたりと、他のライダー達に多大な影響を与えています。それだけ、作者にとっては彼が言った『人間は皆ライダーなんだよ』という台詞がとても印象に残っています。
一方、この面子の中では溟に一番年齢が近い芝浦ですが、初対面の段階からこの2人は馬が合わなかった模様。まぁ彼と馬の合う奴なんてそうそういないでしょう。

そしてなんと、仮面ライダーベルグがまさかの再登場。ここに来てベルグ本来の変身者の素性が明かされるという謎過ぎる展開に←
高峰光毅の『高峰』という名字ですが、『高』の部分はベルグのモチーフ生物である『鷹』とかけています。結構シンプルなネーミングです。
ちなみに、何故シャドウ(カラス)とベルグ(鷹)という組み合わせを思いついたのかと言うと、最近久しぶりに見た仮面ライダーアマゾンズのシーズン2が切っ掛けだったり。生物のモチーフ的にもイユとイユパパの関係を思い出しますね(イユパパは正確にはハゲタカですが)。

その高峰を葬った事が原因で、根が悪人ではない人間まで殺してしまったという罪の意識に苛まれる事となった溟。
そんな彼女の脆い心を支えていたのが、溟の事を『自分が生き延びるのに使える手駒』としか見なしていなかった二宮の言葉でした。自分の言いたい事はストレートに言ってのける二宮の辛辣な物言いが、今回に限っては皮肉にも、今にも崩れそうな溟の心を支える要因にもなっていたというのがこれまた奇妙なお話。

尤も、この時の二宮が溟の事をどう思っていたのかは……それは後々判明していきます。

今は取り敢えず次回の更新を待てぇい!!
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