リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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どうもどうも。

雨が降る中、よれよれになったスーツの上着をクリーニング屋に出しに行った結果、クリーニング屋自体が定休日だったと知り、無駄に雨に濡れるだけで終わってしまったロンギヌスです。
くそ、日にちをちゃんと確認しておくべきだった……!←

そんな作者のどうでも良い呟きはさておき、エピソード・アビスの5話目をどうぞ。



エピソード・アビス 5

『高見沢さんを、潰す……?』

 

突然、彼の口から告げられた提案。その内容を聞いて、私は困惑の表情を隠せなかった。

 

『そうだ。その為にはお前の力を借りた方が成功率が高まる……俺はそう判断した』

 

『でも、何でアイツを……?』

 

『奴が変身するベルデ……その力が俺達にとって脅威に値するからだ。お前も知っているだろう? ベルグを始末しに向かった時、奴が使っていた力を』

 

『……それは』

 

そうだ。あの時、私も確かにこの目で見た。ベルグを襲撃する前に、あの男が使っていた能力を。

 

クリアーベント。

 

あのカードを使って、奴は透明になってベルグに不意打ちを仕掛けていた。そこからは私達も加わって、ベルグを集団で追い詰める形で終わったけど……もし、あの不意打ちが自分に向けて行われると思うとゾッとする。

 

『ルールのない戦いにおいて、不意打ちは何よりもの常套手段だ。奴の力は誰よりもその戦法に秀でた物……それだけ言えばわかるだろう? 俺が何故、奴を潰そうと思っているのか』

 

そこまで言われれば、流石の私でもすぐに理解できた。元は普通のしがない一企業でしかなかった高見沢グループを、今の大企業に育て上げたのは他でもない高見沢逸郎だ。あの男の持つ手腕とカリスマは、周囲の人間を惹きつけるだけの力がある。それだけでも、あの男を潰すには充分過ぎるほどの理由だった。

 

『……でも驚きね。あなたもあの男には世話になってるんでしょう? それなのにアッサリ裏切るのね』

 

『生きるって事は、他人を蹴落とす事……俺にそう教えたのは、他でもない高見沢さんだ。俺は奴の言葉がその通りだと思った、だからその教えに従う事に決めた……それだけの話だ』

 

『悪い人……』

 

『お前が言えた義理じゃあるまい。その悪い人と一緒に動いているお前が』

 

『……ふふ、そうだったわね』

 

『それで、お前はどうする? この提案を飲むか、飲まないか……答えはそのどちらかだ』

 

あなたはそう言っているけれど……あなたの目は私にこう言っているのがよくわかった。

 

役に立たなければそれまでだと。

 

あなたは人に選択肢を与えているように見えて、実際はそうする以外に道がないという状況を作り上げてからそう言っているだけ。相手の心理を読み取って、それを自分の計画に落とし込んで利用するのが上手い人……それがこの男、二宮鋭介だ。

 

『……私は何をすれば良い?』

 

だから、そんな提案をされた時点で、私の答えはもう既に決まっていた。

 

もちろん、いきなり実行に移す訳ではない。お互いに手を組んだばかりの今の時期では、高見沢さんからも強く警戒されているからだ。

 

おまけに彼と組んでいるもう1人のライダー……芝浦の持つカードが非常に厄介だと、二宮さんは私に教えてくれた。

 

コンファインベント。

 

相手が使ったカードの効果を打ち消してしまうそのカードを、芝浦は複数枚も持っているという。そんな厄介な奴を一度に敵に回すのはいくら何でも自殺行為だと、私も二宮さんも同じ考えだった。

 

だから動くのはしばらく先。高見沢さんの私達に対する警戒度がいくらか薄れている状態で、かつ芝浦がその場におらず、高見沢さんが単独で動いている時。

 

それが高見沢さんを潰す絶好のチャンス。だから私達は待ち続けた。

 

奴が私達に隙を見せるその時を。

 

そしてその時は、それからしばらくした後に訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――ぐはぁ!?』

 

時間帯は昼。場所は……街中のどこかだったのは覚えている。

 

『おいおいどうした、その程度か?』

 

この日もまた、ベルグのような戦いに消極的(・・・・・・)なライダーを1人発見し、そのライダーを私と高見沢さんの2人で追い詰めていた。この日、二宮さんは別の仕事で、芝浦は自分が所属しているゲームサークルでの活動があるという理由で、今回この2人は不在だった。

 

『ッ……こんな時まで攻撃して来るのか、高見沢……!!』

 

相手は仮面ライダー龍騎。ライダー同士が戦う事に反対の意思を示し、このミラーワールドを閉じる方法を探っているという。それは人としては優しい部類に入るのかもしれないけれど……叶えたい願いがある他のライダーからすれば、彼のやっている事は迷惑でしかない。

 

『残念だったなぁ榊原。誰とも戦わずに事を為そうなんざ、虫が良いにも程があるってもんだ……!!』

 

『あなたに恨みはないけど……死んで』

 

『く……ぐあぁぁぁぁぁぁっ!?』

 

モンスターとの戦いで疲弊しているところを襲ったから、龍騎は既に虫の息だった。高見沢さん……ベルデに何回も殴られては蹴りつけられ、私からは至近距離で押しつけた召喚機を連射され、致命傷を負った龍騎は私達の目の前で地面に倒れ伏そうとしている。あの時のベルデの笑い方は本当に楽しそうだったのはよく覚えている。

 

『前から忌々しい野郎だと思っていたよ……これでお前も終わりだ』

 

ベルデがカードデッキからファイナルベントのカードを引き抜いた。奴は龍騎にトドメを刺そうとしている。それはつまり……奴の意識が龍騎に向いている(・・・・・・・・・・・・・)という事。

 

 

 

 

 

 

やるなら今だ。

 

 

 

 

 

 

ズガァンッ!!

 

『ぐっ!? 何ぃ……ッ!!』

 

『はぁ!!』

 

ベルデの後頭部に銃弾を命中させた。まさか後ろから撃たれるとは思ってなかったのか、ベルデは本当に驚いた様子でこちらに振り向き、その直後に私は奴の首元目掛けて回し蹴りを放った……けど、私の蹴りは奴に両腕でしっかりガードされてしまった。

 

『このガキ……やってくれたなぁ!!』

 

『くぁ!?』

 

私は奴に右足を受け止められている以上、左足を引っ掛けられたらバランスを崩して倒れる事しかできない。倒れた私のお腹を踏みつけたベルデは、たぶん仮面の下では相当私の事を睨んでいる事だろう。

 

『人がせっかく同盟に加えてやったってのに付け上がりやがって……お前みたいなガキが俺を殺せるかよ……!!』

 

『それはどうかしら……はぁ!!』

 

『チッ……待て小娘が!!』

 

私が召喚機を向けて銃弾を放ち、ベルデが怯んだ隙に私はその場から離れる事にした。瀕死の龍騎を放置したベルデが後ろから追いかけて来ているけど、それはむしろ狙い通りだ。それなりに大きな広場まで来たところで、奴は私の姿を見失ったらしい。

 

『くそ、どこ行きやがった……?』

 

向こうは私の姿に気付いていない。ならばその隙を突かせて貰うだけ。そう思って、私は奴の死角から召喚機で狙撃しようとした……しかし。

 

『……ふん、馬鹿が』

 

≪CLEAR VENT≫

 

『!? しまった……!!』

 

私が狙い撃つ前に、ベルデは例のクリアーベントのカードを使って姿を消してしまった。おかげで私が撃った銃弾は奴が立っていた地面を撃ち抜くだけで終わり、逆にそこを狙われる事になった。

 

≪HOLD VENT≫

 

『そこだ!!』

 

『なっ……きゃあぁ!?』

 

私の腕に見えない何かが巻きついた瞬間、私の体はそれに強く引っ張られ、広場のド真ん中まで引っ張り出されてしまった。召喚機は手離してしまい、透明化を解除したベルデが私に狙いを定めていた。

 

『女子供だろうが容赦しねぇぞ……俺に逆らった事、後悔させてやる……!!』

 

≪FINAL VENT≫

 

『シュルルルル……シャッ!!』

 

『ッ……まずい……!!』

 

私がそれに気付いた時にはもう遅かった。ファイナルベントに応じて現れた奴のモンスターが上に向かって長い舌を伸ばす中、急いで立ち上がろうとした私の前には、両足に舌を巻きつかせてこちらに迫って来ているベルデの姿だった。

 

『逃がさん……はあぁぁぁぁぁぁぁっ!!』

 

『あぐぅっ!?』

 

結局、私は成す術なく奴に捕まり、そのまま空中に投げられてから地面に頭から叩きつけられた。その一撃をまともに喰らってしまった私が地面に倒れた後、ベルデはまるで嘲笑うかのように鼻を鳴らし、背を向けてどこかに立ち去ろうとした。

 

『ふん、ざまぁ見ろ。生意気な小娘が……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう……私が本当に待っていたのは、今まさにこの瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズガガガガァンッ!!

 

『ぐおぁあっ!?』

 

背を向けたベルデの背中を、物陰に潜んでいたもう1人の私(・・・・・・)が即座に狙い撃つ。慌ててこちらを見たベルデは、私がこの場に2人も存在している(・・・・・・・・・・・・・・・)事に驚きを隠せないでいた。ちなみにベルデの技を喰らった方の私は、鏡のように砕け散り一瞬で消滅する。

 

『かかったわね……!!』

 

『ば、馬鹿な!? 何故お前が2人いる……!?』

 

私が2人も存在しているのは、私が使ったトリックベントの効果による物だ。ベルデが一度私を見失った隙に、私は予めこのカードで1人の分身を生み出し、ベルデにファイナルベントのカードを使わせる為の囮役として利用させて貰ったのだ。おかげでベルデは訳がわからないといった様子で混乱しているが、無理のない事だろう。何せこのカードは、奴の前では一度も使っていないのだから。

 

『残念でした。あなたが倒したのは私の偽物よ』

 

『くっ……ガキが、生意気な真似を……!!』

 

『あなたの技は確かに脅威よ。でもその技は、一度使わせてしまえば後は攻略が楽になる……彼が私にそう教えてくれたわ』

 

『何……まさか、二宮の奴か!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ご名答だ、高見沢さん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪FINAL VENT≫

 

『!? なっ……ぐおわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?』

 

一瞬だった。その音声が聞こえた方向に振り向こうとしたベルデを、その方向から猛スピードで飛んできたアビスが両足で蹴り飛ばし、建物の壁に勢い良く叩きつけた。減り込んだ壁からベルデが力なく落ちて行き、着地したアビスが私の隣に並び立つ。

 

『感謝するよ。俺達の罠に引っかかってくれて』

 

『が、かはっ……に、二宮……お前の差し金、だったのか……ッ……!!』

 

『気付くのが遅過ぎたな。アンタの教えがなかったら、俺達だってこんな事はしなかっただろうさ……野崎』

 

『えぇ』

 

アビスが首を振って合図を出し、私もそれに応じてベルデに近付いていく。相手は文句なしの悪人だ。ベルグの時とは違い、その時の私に迷いはなかった。

 

『ッ……ふざけるな……この俺が、こんな所で死ぬだと……お前等なんかに、この俺がぁ……!!』

 

『生きるって事は他人を蹴落とす事……そう言ったのはあなたなんでしょう? 高見沢さん』

 

自分で言った事なのだから、自分もそれをきっちり貫き通して貰わなければ。

 

『さようなら、高見沢さん』

 

そう思って、私はベルデのカードデッキに召喚機を向けてから……その引き鉄を躊躇いなく引いてみせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――それからしばらくの間、私はあなたと共に行動していたわ」

 

「……なるほどな」

 

そこまで話したところで、溟の話が一旦終了する。小休憩を挟むかのように溟は手元に置いていたペットボトルのお茶を二宮に差し出し、二宮も少し間を置いてからそれを受け取り、蓋を開けて口にする。

 

「で、お前はその戦いでは生き延びたのか? ……いや、こうしてここにいるという事は……」

 

「えぇそうよ……あの戦いで私も死んだわ。あの男……浅倉威に敗れてね」

 

(……よりによってアイツか)

 

どうやら溟がいた時間軸でも、浅倉は変わらず通常運転だったらしい。あのライダー同士の戦いに投入された浅倉の影響はデカい物だなと二宮が考えていた時、少し離れて座っていたはずの溟が立ち上がり、二宮のすぐ隣まで移動して来た。

 

「ッ……おい、何で近付く?」

 

「良いじゃない別に、減るもんじゃあるまいし」

 

「……チッ」

 

二宮が不快そうな目を向けても、溟は落ち込むどころか逆に上機嫌な様子でくっついており、彼の服の袖を掴んだまま離れない。彼女を引き剥がすのは無理だろうと悟り、諦めた二宮は舌打ちした後、現時点でまだ彼女から聞けていない事を聞いてみる事にした。

 

「それで? この世界に来てからお前はずっと、管理局の局員を何人も殺して回っていたって事か。何だってそんな目立つような真似を?」

 

「……邪魔だったからよ」

 

溟が発する声のトーンが低くなり、それと共に二宮の袖を掴む力が少し強まった。それに気付いた二宮が目を向けると、何かに対する憎悪の目を向けた溟がそこには存在していた。

 

「数ヵ月前……私はここがどこなのかわからないまま、街を彷徨い続けてた。私が素性の知っている人間は誰もいなくて、誰もこの私に見向きもしてくれなくて……日にちが経つにつれて空腹も酷くなっていって……私はずっと1人で心細かった……そんな私を拾ってくれたのが1人の男だった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おや、どうしたんだいお嬢さん? そんな所で』

 

後から知った事なんだけど、私を拾ってくれたその人は、あの時空管理局という組織に所属する局員。その中でも

それなりに偉い立場にある人物だった。彼は私を拾ってくれた後、行く宛てのなかったこんな私の為に色々尽くしてくれた。

 

最初は私も警戒していたけど、彼は私にも周りの人達にも優しかった。彼になら、過度な信頼は置かずとも、多少の信頼はしても良いのではないか。いつからか私はそう思うようになっていた。

 

 

 

 

 

 

それが間違いだった事を、私は数日後に思い知らされる事となった。

 

 

 

 

 

 

『ッ……何、これ……!!』

 

ある日、私は見てしまった。その人の自宅に招かれた私は、その地下室で広がっている光景を見て絶句した。そこに広がっていたのは……部屋中のあちこちに飛び散った赤い返り血の跡、部屋の壁に並んだ数々の拷問器具、首輪と鎖で厳重に繋がれた何人もの裸の女性達だった。

 

『あ、あの……これは一体……』

 

『ん? あぁ、彼女達は私が個人で買い取った娘達さ。ここ最近、どの娘も弄り甲斐(・・・・)がなくてつまらなく思ってたところなんだ……そんな時、私の前に君が姿を見せてくれたんだ』

 

『ッ……ひぃ!?』

 

『私の所に来てくれると君が言ったんだ、もう逃がすつもりはないよ。あぁ、安心してくれ。君は今まで出会ってきた娘達の中でも段違いで可愛いからねぇ……特別に優しくしてあげるよ(・・・・・・・・・)

 

『い……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?』

 

あの男も、かつて私を穢した不良達と一緒だった。それに気付いた時にはもう遅く、私はあの男が楽しむ為の玩具(おもちゃ)として弄ばれ続けた。

 

『どうした? 私の言う事が聞けないのか、小娘……!』

 

『お、お願い……もう、許して……ッ……』

 

私がどれだけ泣き喚いても、あの男はやめようとしなかった。何日にも渡って、私はあの男に穢され続けた。何度も心が折れてしまいそうになった。

 

そしていつの日か……私の中で、憎悪の感情が膨らみ始めた。

 

『許さない……アイツは……あの男だけは、絶対に……ッ!!』

 

私は耐え続けた。

 

どれだけこの体が傷つこうとも。

 

どれだけこの体が穢されようとも。

 

私をこんな目に遭わせたあの男に復讐する為に、復讐のチャンスを待ち続けた。

 

あの男の玩具(おもちゃ)にされるようになってから1ヵ月後……私はカードデッキを取り戻す機会が訪れた。その瞬間、私は迷わず実行した。

 

『ひぃっ!?な、何だその姿は!?』

 

『答える義理はない……お前はここで死ね……ッ!!』

 

『ま、待て―――』

 

聞く耳を持つ気はなかった。モンスターの餌にするだけでは収まらない。あの男だけは、私がこの手で殺さなければ気が済まなかった。私はこの手であの男の体を徹底的に切り刻んでやった後、私は同じように捕まっていた他の娘達と共に、その場から脱出しようと思っていた。

 

でも、他の娘達は皆、生きる気力を失っていた。彼女達の目には、生きる希望が宿ってはいなかった。

 

せめて楽に逝けるよう、最初はモンスターの餌にして死なせる事も考えたけど……私にはできなかった。だから私は、1人であそこから脱出する事に決めた。

 

それからまた、私は1人の生活に戻った。あの男から必要な分だけ資金を盗んでいたおかげで、その後も私は何とか食べていく事ができた。

 

それからある日……たまたまやって来た飯屋のテレビで流れていたニュースを見て、私は愕然とさせられた。

 

『ッ……そんな、何で……!?』

 

そのニュースは、あの男が何者かに殺されたという事実しか述べておらず、あの地下室で奴隷にされていた娘達の事は、何1つ情報が掲示されていなかった。

 

あれだけの事をしておきながら、一体どうして?

 

その答えを示すかのように……あの仮面ライダーが、私の前に姿を現した。

 

『仮面ライダーシャドウ、野崎溟だな』

 

『ッ……あなたは……?』

 

仮面ライダーオーディン。

 

私の前に突然現れた彼の口から、ここが魔法文化の発達した世界だと知らされた。それと同時に、私はオーディンが明かした真相を知って言葉を失った。

 

あの地下室で私が見た出来事は、管理局のイメージダウンを防ぐ為に、管理局の上層部が隠蔽させていた。あそこで起きた惨状は、誰にも知られる事なく闇に葬られたのだと。

 

それを聞いて、私はいよいよ何を信じれば良いのかわからなくなっていた。

 

この世界に、私が信じられる人間はいないのか。

 

この世界でも、私はずっと独りぼっちで生きるしかないのか。

 

絶望に打ちしがれそうな私の心を繋いだのは……オーディンから知らされた、私以外にこの世界にやって来たという仮面ライダーの存在だった。

 

その仮面ライダーの中に、私が一番よく知っている人物もいるという。

 

それが二宮さん、他でもないあなただった。

 

あなたがこの世界に来ていると知った時、私は生きる希望を見出せた気がした。

 

この世界にいるあなたは、私が知る二宮さんではないかもしれない。それをオーディンから聞かされても、私は絶対にあなたに会うと心に決めていた。

 

だから私は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――そういう事か」

 

溟がこの世界に来てから味わった苦しみ。その一部始終を知った二宮は、自分の腕にしがみついて離れようとしない彼女を、何故か無理に引き剥がそうとは思わなかった。溟がそうまでして自分に会いに来ようとした理由が、まだ理解できていなかったからだ。

 

「だから今……あなたにこうして会う事ができて、私は凄く嬉しいと思ってる。たとえ、あなたが私の知る二宮さんじゃないとしても」

 

「おかしな奴だな。元いた世界じゃ、俺とお前はいずれ殺し合うはずだったんだろう? それなのに、何でわざわざ俺に会おうと思ったんだ?」

 

「共通の敵がいるから……って言えば、あなたは納得するかしら?」

 

「……管理局か」

 

オーディンの話を聞いた時から、溟は予測していた。二宮も自分と同じように、管理局の事も敵と見なしているであろう事を。そしてそれは、実際にこうして二宮に会ってみて確信できた。

 

「で、お前は何人もの局員を殺して回っている訳か? モンスターの餌にもせずに、わざわざ死体を残すような目立つ殺し方をしてまで」

 

「知らしめてやろうと思ったのよ……腐り切った管理局に、復讐の鉄槌を下そうとしている人間がいる事を」

 

自分にとって邪魔な存在を潰していく為に。

 

憎き管理局を内側からめちゃくちゃにしていく為に。

 

己の復讐を成し遂げる為に……彼女はここで、二宮に提案する事にした。

 

「ねぇ、二宮さん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私と一緒に、管理局を潰してみない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何?」

 

それは、かつて二宮が溟に提案した時とは逆の構図だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時空管理局本局、とある一室……

 

「これは一体、どういう事なのかしら? オーディンちゃん」

 

電気の点いていない真っ暗な部屋の中、オーディンはとある人物と対談していた。

 

「妙な話ね……どうして殺す必要のない人間(・・・・・・・・・)まで、あの娘に殺されてしまっている訳?」

 

『予測していた通りだ。あの娘を計画に利用するのは、些か危険過ぎる……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私からもそう警告したはずだろう? フローレンス(・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




元いた世界でも、ミッドチルダに来てからも、何かと悲惨な目にばかり遭っているような気がする溟ちゃんですが、別にわざとではありませんよ?
こうした方が後の展開に繋げられそうだと思ったから敢えてそうしただけで、決して限界ギリギリの所までこっちでも×××(※自主規制)な展開を書いてみようと思った訳じゃありませんよ?←

……それはさておき、元いた世界では二宮と共に高見沢を倒していた溟ちゃん。今回彼女が使用したトリックベントですが、分身をファイナルベントの囮役に使ったり、複数の分身に分かれて敵の攻撃を回避したりと、使い方次第では相当強いカードだと思います。

尤も、それを上回るレベルで反則級な性能なのが、ガイの所持しているコンファインベントな訳ですが。アレは本当にズルいと思う(しかも2枚も所持してるとかゲームバランス最悪やんけ!←)。
だからこそ、TV本編でそのガイを(様々な要因が重なったとはいえ)爆殺してみせた王蛇の凄まじさが際立っているんでしょうね。
ちなみにそんな王蛇ですが、またさりげないところでキルスコアを稼いでいた模様。こういう時に王蛇の設定が便利過ぎて困る←

話は変わり、今度は溟から二宮に提案する形となった今回のお話。二宮は果たしてそれを受けるのでしょうか?

……まぁ、これまでの本編を見て来た人達からすれば、既に答えは分かり切っているような物だとは思いますが。

取り敢えずまた次回。
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