今回は先に謝っておきたい事があります。
現在更新中であるこのEXTRAストーリー、本当ならもう1、2話ほど更新する予定だったのですが……ごめんなさい、今回でEXTRAストーリーは終了します。
何故かと言うと、元々EXTRAストーリーはこの年内で終了する予定であり、来年の1月から第2部ストーリーに突入していく事を考慮しますと……どうしても執筆する為の日にちが足りませんでした。
その為、本当だったらこれより前に更新するはずだった浅倉関連の短編を省き、今回の話をちゃっちゃと書かせて貰う事にしました。浅倉関連の短編は今後、第2部ストーリーを書いている途中でさりげなく投入する事になると思います。
取り敢えず、今の内に言っておきたかった事はそれだけです。
それではどうぞ。
今年最後の『リリカル龍騎StrikerS 運命を変えた戦士』、最後の後書きまでじっくりお楽しみ下さいませ。
p.s.ところで話は変わりますが、仮面ライダー斬月の舞台演劇化に狂喜乱舞しちゃったのは私だけで良い←
かつて管理局に反旗を翻し、管理局に甚大な被害を及ぼしたスカリエッティ一味。
機動六課との戦いに敗れ、それぞれ別々の世界の軌道拘置所に分かれて収容される事となったウーノ、トーレ、セッテ、そしてジェイル・スカリエッティの4人は今、どのように過ごしているのか?
今回は、そんな彼等の生活の一部をお見せしよう。
「―――退屈だねぇ」
第9無人世界「グリューエン」軌道拘置所。その数ある独房の内の1つに、その男―――ジェイル・スカリエッティは収容されていた。今まで着ていたスーツに白衣ではなく、囚人服に身を包んでいる彼は今、独房内のベッドに座り込んだ体勢で暇潰しの読書に興じていた。しかし最近は読書も飽きて来たのか、読んでいた本を栞を挟む事もなく閉じてはベッドに倒れ込む。
「やれやれ……ここ最近、あまり面白いニュースは流れて来ないものだねぇ」
拘置所に収容されてからというもの、捜査に非協力な姿勢を見せた事から厳重な監視下に置かれているスカリエッティ……なのだが、これまで悪のマッドサイエンティストとして悪事を働いていた頃の彼はどこへやら、現在は独房の中でだらけた生活を送るようになっていた。天才的な頭脳を持つ彼ならば、密かに脱獄を企んでいてもおかしくはないと管理局からも警戒されているのだが……
『今更、外へ出る事に興が沸かないね』
……という理由から、スカリエッティは既にこの独房で残りの人生をのんびり過ごしていく事を決めており、だからこそ捜査にも非協力的だった。尤も、彼が厳重な監視下に置かれているのには、彼が管理局に対して終始不遜な態度を取り続けていた事も一因ではあるのだが。
(しかし、何か刺激が欲しいのも事実……どうしたものか)
スカリエッティも元々は、今は亡き最高評議会によって生み出されたクローン人間。開発コードネーム「
(……まぁ、これが私への報いという奴か)
面白いと思った物への探求を禁じられ、生活における必要最低限の物しか置かれてない環境下で残りの時間を過ごす事。それが己の欲望のままに生きて来た、自分自身への罰なのだろうと。スカリエッティはそう言い聞かせ、納得した様子で今という時間を過ごし続けている。
なお、そんな退屈な時間を過ごしているのは彼だけではない。
No.1のウーノ。
No.3のトーレ。
No.7のセッテ。
この3人もまた、捜査に対して非協力的な姿勢を貫いた為、スカリエッティと同じように軌道拘置所へと収容されていた。密かに手を組んで脱獄する可能性も考慮されているからか、スカリエッティを含めた4人全員がそれぞれ別々の拘置所に収容されており、非更生組同士で対談をする機会もあまり訪れない。最後にこの4人のメンバーで話をしたのは、つい最近の出来事だった。
『ジェイル・スカリエッティ』
「ん」
映像通信が繋がった。そこには数週間前、ある事件についての情報を得る為に面会をしたばかりの人物の素顔が映り込んでいた。その素顔を見たスカリエッティは小さく笑みを浮かべてみせた。
「ごきげんよう、No.13……いや、
『……何度も言いますが、ギンガ・ナカジマです』
「No.13」「ゼロファースト」と呼ばれた映像のに女性―――ギンガ・ナカジマは呆れた様子で訂正するも、スカリエッティは聞こえていないのか、それとも聞こえていないフリをしているのか、久々に誰かと話ができるという理由から楽しそうな表情で通信に応じる。既に何度もそんな呼ばれ方をしているギンガはと言うと、いちいち名前を訂正するのも面倒になってきたのか、諦めた様子で小さく溜め息をついていた。
「君がまたここに来たという事は……私があげた情報は、お役に立てたという事で良いのかな?」
『……おかげ様で。事件は無事、解決に導かれました。今回は局員としてではなく、あくまで私個人としての面会になります』
「ふむ、それは何よりだ」
数週間ほど前。ミッドチルダではある事件が発生した。
マリアージュ。
古代ベルカのガレア王国で作られた、人間の屍を利用した自己増殖兵器であるそれが、ミッドチルダで起こした連続火災殺傷事件の犯人だった。古代ベルカのガレア王国を治めていた冥府の炎王―――“イクスヴェリア”と大きな関係を持つその兵器について詳しい情報を得る為、ギンガはチンクと共にスカリエッティとの面会に訪れ、任意での事情聴取を依頼した。
そこでスカリエッティやウーノ達から得られた情報、そして別に捜査を進めていたティアナやスバル達の活躍もあり、事件を引き起こした真犯人は逮捕。
その事情聴取の際……スカリエッティやウーノ達はギンガに対し、ある交渉を持ちかけていた。
「どうだい? あれから、ドゥーエとクアットロの居場所は掴めたかね」
『……残念ながら何も。今もまだ、2人の目撃情報はありません』
「ふむ……そうか。それは残念だね」
スカリエッティ達が要求した物は2つ……1つ目は、ドゥーエとクアットロの行方に関する情報だった。聖王のゆりかごが堕ちて以来、スカリエッティ達が逮捕された後もこの2人だけは未だに行方が判明しておらず、この2人が関与していると思われる事件もこれといった物が発生していないが故に、管理局側も2人の確保にどうしても行き着かず、お手上げと言って良い状況に陥っていた。
『あの事件から3年経った今、既に2人は死亡していると判断している者達もいて、連続失踪事件の被害者として扱われつつあります。こうなってくると、捜索は更に難しくなるかと……』
「生存は絶望的、か……できる事なら、もう少しだけ捜索を続けて欲しいところではあるが、そういった事情ならば致し方ない」
『こればかりはどうしようも……今現在もまだ、ある人達が捜索に協力してくれていますが……』
「……手塚海之に、白鳥夏希か」
自分達と戦い、自分達を打ち破り計画を破綻させた2人の仮面ライダー。かつては敵同士だったにも関わらず、今も行方がわからない娘達の為に、その2人も一緒になって捜索に協力してくれている。その事がスカリエッティ側からすれば一種の驚くべき事でもあり、同時に嬉しく思える事でもあった。
「不思議な物だね。昔は敵同士だったはずなのに、その2人も娘達の捜索に協力してくれているとは……世の中、何があるかわからないものだ」
『できる限り、2人の捜索は限界まで続けていくつもりです。万が一の可能性もありますので』
「あぁ、お願いするよ。私としても、娘達の事は心配だからね……さて、もう1つの方なんだが」
『……本当によろしいんですか? 例の条件で』
2つ目の条件。それはスカリエッティ達が……というより、スカリエッティ個人がギンガに要求した物。それはこの拘置所を出る事でも、自分の探求欲を満たすような事ではなかった。
それは……
「たまにで構わない。雄一君の手料理を、また食べたくなってしまってね」
斎藤雄一。
かつて自分に協力していたルーテシアが拾い、自身の計画に利用できると判断して傍に置いていた青年。過去のトラウマと向き合う形で仮面ライダーとなり、己の心身を犠牲にしてでもルーテシアの母親を救おうとしていたその彼は、自分達の為に手料理を振る舞ってくれていた。その時に体験した味を、スカリエッティは今でも忘れられないでいた。
「可能なら、ウーノ達にも差し入れてあげて欲しい。豪華な物じゃなくても構わない……できるかね?」
『雄一さんから了承さえ得られれば、手続きの方も問題はないとは思いますが……本当に良いんですか? それだけの条件で』
「私の普段の娯楽は精々読書くらいで、退屈な日々だと思っているのは事実だ。それでも快適に住まわせて貰っている身だからね。あまり大きな要求をするつもりはないさ」
『……わかりました。私の方から、雄一さんに連絡します』
「頼んだよ。ここの食事も悪くはないが、どうも味気ないと感じる事があってね」
今はただ、彼の手料理を久しぶりに食べる事ができればそれで良い。少なくとも、その想いだけは本物と言っても良いとスカリエッティは考えていた。その気持ちは映像越しでもギンガに通じたのか、彼女は不思議そうな表情でスカリエッティを見据えていたが、それに気付いているのか否か、スカリエッティは話題を切り替えた。
「ところで、
『……皆、元気に過ごしていますよ。例の事件でも、彼女達のおかげで被害は最小限に抑えられました』
「それは良かった。雄一君やルーテシア嬢はどうかね?」
『2人はカリキュラムを終えて、現在は別の無人世界に移住しています。どの世界に移住したのかまでは、個人情報なのでそれ以上は明かせませんが……』
「それだけわかっていれば私は充分だよ。彼等を散々利用した私が、それを言ったところで何だと思われるかもしれないがね」
『……その雄一さんなのですが』
ここで初めて、ギンガは少しだけ笑顔を浮かべながらスカリエッティに伝えた。
『彼から伝言を預かって来ています』
「む……雄一君が私に?」
『はい。一字一句、そのままお伝えしますね』
一体何を伝えようというのか。自分やルーテシア嬢を散々利用してくれた件に対する恨み節だろうか。そんなスカリエッティの予想は……ギンガが次に告げた一部始終で覆される事となった。
『「スカリエッティさん……俺はあなたに感謝しています」』
「……ふむ?」
感謝?
何故この私に?
『「ルーテシアちゃんに拾われたあの日、あなたは俺を使い捨ての実験材料にする事だってできたはず……それなのにあなたは、俺をあの場に滞在させてくれた。そうして貰わなかったら、今の自分はここにはいなかったでしょう」』
「……!」
『「計画に加担した身として、俺にあなたを責める資格はない。だけど、これだけはあなたに伝えたい……」』
『「本当に、ありがとうございます」……だそうですよ』
「……ぷ、くははははは!」
何を伝えたかったのかと思えば。わざわざそんな事を私に伝えようと思ったのかと。ギンガを介して伝えられた雄一の感謝のメッセージに、スカリエッティは思わず吹き出してしまっていた。
「いや、なるほど。雄一君も相変わらずのようだね」
自分は彼の事を、あくまで手駒のように利用していたというのに。
そんな自分に、彼は感謝の意を述べたというのか。
何ともまぁ律儀な人間だと、スカリエッティは思わず吹き出してしまうと同時に……雄一の誠実な一面を改めて確認する事ができて、不思議と悪い気分ではなかった。
「確かに聞き入れた。伝えてくれて感謝するよ、ゼロファースト……いや、ギンガ・ナカジマ殿」
その日の夜。
今日1日、スカリエッティは終始楽しそうな表情を浮かべ続けていた。面会の終わり際、不意打ち気味にちゃんと名前で呼ばれたギンガの驚く顔もまた、見ていて愉快な気分にさせられた。
(楽しみだねぇ。雄一君の作る手料理が……!)
普段食べている味気ない食事が、いつ最高に美味しい料理に変わるのか。その日を楽しみにしながら、スカリエッティは就寝に入ろうとしていた。
「さて、今日はそろそろ寝るとするかな……」
途中で飽き始めていたはずの本も、気付いたらまた楽しく読み返している自分がいた。スカリエッティは今度こそ栞を挟んだ状態で本を閉じ、ベッドに倒れ込んで布団に身を包む。
こんなにも最高の気分になったのは久しぶりだ。
今日はどんな楽しい夢を見られるだろうか。
そんな子供みたいな考え事をしながら、スカリエッティの今日という1日が終わろうとしていた……その時。
「夜分遅くに失礼」
「……!」
突如、彼のいる独房の扉が開いた。何事かと起き上がったスカリエッティの前には、1人の帽子を被った看守の男性が入り込んで来ていた。
「……妙だね」
スカリエッティは目を細めた。今この時点で、既にある事の確信を得ていたからだ。
「ここに入ってからもう3年は経つ。私はここで世話になっている看守さん達の顔は一通り覚えていてね……君みたいな看守は今まで一度も見た事がない」
「……」
「わざわざ看守さんに化けてやって来るとは……何者かな? 君は」
「……ま、どうせ気付かれるだろうとは思っていたよ」
深く被っていた帽子を脱ぎ捨て、素顔を露わにした看守の男性。彼は取り出した
「初めましてだな、ジェイル・スカリエッティ。お前に用があってここに来た」
それから数時間後だった。
独房から、ジェイル・スカリエッティが姿を消したのは。
それから、およそ1年後。
キィィィィィン……キィィィィィン……
ミラーワールド、夜のミッドチルダにて……真っ暗な街を見下ろす戦士がそこには1人。
「……それじゃあ、行こうか」
『ブルルルルル……!!』
その戦士を背に乗せた怪物は、低く唸り、その頭に生やした鋭利な角を天に掲げてみせる。
物語の新たな幕は、開かれようとしていた。
To be continued……
という訳でEXTRAストーリー、これにて終了です。ここまで続けて読んで下さっている読者の皆様、本当にありがとうございます。
本来、サウンドステージXでスカさんが要求していたのはドゥーエの弔い用の赤ワインなのですが、今作ではドゥーエとクアットロが(表向きは)行方不明扱いとなっている為、このような変更になりました。
そんなスカさんも、雄一の手料理を味わう前に姿を消してしまう事に。果たして、彼は一体どこに消えたのか……?
さて、次回からいよいよ第2部ストーリーに突入していく訳なのですが……一応言っておきますと、第2部の1話目を更新する日にちは既に決めています。
現時点で言えるのは、来年の1月中には投稿できそうという事くらいですね。今言えるのは本当にそれだけです。
それから、第2部ストーリーに登場予定である読者考案のオリジナルライダーについても話しておきましょう。
現在登場が判明しているのは2名。残る最後の1人についても、その第2部の1話目を更新するまでには明かそうと思っています。
正直に言いましょう……戦う動機や性格面が似通っているライダーが思っていた以上に多くて、最後の1人を選ぶのが本当に大変でした。しかしそれだけ、ライダーの設定を真面目に考案して下さった方々の熱意も伝わって来ましたので、書いている身としては本当に嬉しい限りです。募集に応じて下さった皆様、本当にありがとうございます。
最後の1人は誰が選ばれたのか?
発表を楽しみにしていて貰えると幸いです。
それでは皆様、次の第2部ストーリーでお会いしましょう。
それでは。
「あら、あれは何かしら……?」
ミッドチルダのとある森。大きなお屋敷まで続いているこの道で、1人の少女が何かを発見していた。
「!? 人が倒れて……あの、大丈夫ですの!?」
少女は急いで駆け寄り、倒れていた人物が生きているかどうかを確かめようとする。その道端に倒れていた謎の人物は、少女の耳に聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で、このような事をボソボソと呟いていたという……
「先、生……また……美味いもん……買って、帰り、ま……す……」
第2部 リリカル龍騎ViVid 運命を変えた出会い
戦わなければ生き残れない!