まぁそれはさておき、11話目もどうぞ。
「ん……」
「! 手塚さん、目が覚めたんですね! 良かった……!」
医務室。ベッドで眠りについていた手塚は、意識が戻り静かに目を開いた。それに気付いたフェイトが安堵の表情を浮かべる中、手塚はフェイトの方に視線を向ける。
「ハラオウン……ここは……?」
「六課隊舎の医務室です。美穂さんから聞きましたよ。2人とは違うライダーに攻撃を受けたと」
「……あぁ、そうだ」
手塚は上半身を起こす。
「あれから、どれくらい時間が経った……?」
「今はもう夜の9時です。昼間に手塚さんがここまで運ばれて、夕方辺りにまたそのライダーと接触したと」
「!? 美穂は無事なのか!?」
「大丈夫です。むしろ今回は美穂さんの方から追い返したそうですし……ただ」
「?」
「……2人が戦ったそのライダーは、民間人を犠牲にしていたそうです」
「!! ……そうか」
インペラーが民間人に犠牲者を出した。その事を知った手塚は愕然とし、ベッドの枕に頭を落とす。
「……そうなってしまったのは、俺の責任だ」
「そ、そんな!? 悪いのはそのライダーであって、手塚さんのせいじゃ……」
「俺が奴の危険性をよく理解していなかった。それなのに俺は、奴と戦う事ではなく説得する事を選んだ。そして説得に失敗し、そのせいで民間人が犠牲になってしまった……他人の運命は占える癖にこのザマだ」
「手塚さん……」
「俺は人を殺す訳にはいかない。たとえ相手が悪人であったとしても……だが、そんな意志とは裏腹に、犠牲はどんどん増えていってしまう。矛盾を抱えてしまっている……俺は、情けない人間だな……」
どんな理想を抱いても、それが現実になるとは限らない。他人の運命を占う事はできるのに、その運命を変える事は容易ではない。かつて自分の手で運命を変える事ができたのも、己の命と引き換えにしてこそだ。結局は何らかの形で犠牲が出てしまっている。
(占わなきゃ動けないなんて情けない、か……城戸が言っていた通りなのかもしれないな)
手塚は自嘲気味に笑みを零す。そんな手塚に対して……
「殺さない覚悟……私は立派だと思います」
「!」
フェイトはそう言ってみせた。
「何故そう思う?」
「人を守りたい。人とは戦いたくない……手塚さんは、それが自分の信じる正義なんですよね? だったら、それで良いじゃないですか。今までそう思い続けてこられたのは、人として素敵だと私は思います。まぁ、私が言うのも何ですけど」
「……」
「ただ……手塚さん、少し無理をしていませんか?」
「!」
手塚の目が見開いた。どうやら図星のようだ。
「人に生きて欲しい……そう気持ちはとても立派です。ですが、あなたがそう思っているように、私達も手塚さんに生きて欲しいんです。だから、あまり無理はしないで下さいね」
「……」
そう言われたのは、手塚にとっては久々の事だった。手塚は少しの間だけ無言になるも、今度は先程の自嘲気味な物ではなく、嬉しさによる笑みを零す。
「……占いを続けている中、破滅の運命を辿った人間をたくさん見てきた。救えなかった命もたくさんある……俺は自分で気付かない内に、自分の命の事は考えないようになっていっていたのかもしれない」
「手塚さん……」
「……だが、誰かに心配して貰えるというのは悪い気持ちじゃない。感謝する、ハラオウン」
「あ……い、いえいえ! 私はただ、自分の正直な気持ちを伝えただけであって……」
「素直なんだな」
「あ、あうぅ……」
気付けば自分が恥ずかしがる羽目になり、フェイトは顔を赤らめて俯く。そんなフェイトの反応を面白がっている手塚だったが、そこに美穂が医務室の扉を開いて入ってきた。
「あ、海之! 目が覚めたの?」
「美穂か。どうした?」
「うん、ちょっとね……って、何でフェイトは顔を赤らめてんの?」
「ふぇ!? あ、な、何でもないよ! うん、何でもないから!!」
「……ふ~ん。ま、それなら別に良いけどさ」
フェイトの反応を見て、何となく察したのか美穂は意味深な笑みを浮かべる。しかしその笑みもすぐに消え、美穂は真剣な表情に切り替わる。
「海之、体の具合は大丈夫?」
「あぁ。動けないほどではない」
「そっか、それじゃ悪いんだけどさ。2人共、ちょっと部隊長室まで来てくれない? はやてが話をしたいんだってさ」
「「?」」
その後、部隊長室では……
「―――でや。民間人に被害を出した以上、もはや許容範囲を完全に超えた。よってこのライダーもまた、私達機動六課で第1級捜索指定の犯罪者として行方を追う事になったんや」
「……確かに、当然の措置だな」
はやての招集を受けて部屋にやってきた手塚とフェイトは、まず例の仮面ライダーインペラーについての話を進めていた。はやての手には、手塚が自身の記憶を頼りに描いたインペラーの顔、そしてインペラーのカードデッキに刻まれていたガゼルのエンブレムのイラストが、しっかり特徴を捉えて上手に描かれている。
(……海之、絵も上手いんだなぁ)
ちなみに美穂も、自分の記憶を頼りにインペラーの姿を絵に描いてみたのだが……本人曰く「さっさとゴミ箱に捨て去りたい」と言えるレベルの出来だったようで、そのイラストが現在丸まった状態でゴミ箱にぶち込まれているのは余談である。
「せやけど、そのライダーは自分の素性を一切明かしてないのが厄介なんよなぁ……」
「……俺と美穂は奴の事を知らないが、奴は俺達の事を知っているようだった。恐らく、奴は俺達よりも多くの情報を持っているはずだ」
「そういえばアイツ、確かこんな事言ってたよ」
『マジかよぉ、本当に“あの人”の言ってた通りじゃねぇか……』
「アイツが言ってた“あの人”って、一体誰の事なんだろうね……?」
「……恐らくやけど、そのライダーを従えている存在が他にいるって事やな。だとすれば、そのライダーの捕縛は決して容易ではないやろうね」
「いずれにせよ、モンスターと戦っている内に、いずれまた奴と遭遇する事になる。その時は俺と美穂で奴を戦闘不能状態に追い込み、何とかして捕縛しよう」
「ひとまず、そのライダーについてはその方針で行かせて貰うわ」
「……」
手塚とはやてがそんな話をしている一方、美穂は別の事を思い出していた。
(あの時、アイツが言ってた事……)
『お前、確かあの高見沢のおっさん達と同盟を組んでたライダーだよなぁ?』
『んで、あのマンタ野郎とはむしろ敵同士だったはずで……あれ? 何でお前がそいつと一緒にいるのさ?』
(……これは海之と2人きりの時に、一応話してみよう)
美穂がそう決めた時、はやて達の会話は別の話題に切り替わっていた。
「さて、話しておきたい事の2つ目なんやけど……今回、機動六課に聖王協会から依頼が来てな」
「ん、聖王協会? 何それ?」
はやてが告げた聖王協会。初めて聞いた美穂はクエスチョンマークを浮かべるが、六課に滞在している間に話を聞いていた手塚は、聖王協会についてもしっかり覚えていた。
「管理局と同じ、ロストロギアの調査と保守を使命とした、各方面への影響も大きい宗教団体の事だ。その聖王協会が保有している騎士団の中に、確か八神の知り合いがいるんだったか?」
「その通りやけど、よくそこまで覚えてくれとるんやな手塚さん……んで、その聖王協会の方から出張任務を言い渡されたんや。本当なら、これは本局から聖王協会に対しての依頼になるはずなんやけど、今はどこも人手不足らしくてな。そこで機動六課に話が飛んできたって訳や」
「出張任務?」
「そう。出張中、私達は一時的にこのミッドから離れなきゃならないんや。んで、その出張先の世界の事で話がしたくて、手塚さんと美穂ちゃんをここに呼んだんや」
「「?」」
「出張先は、第97管理外世界……現地惑星の名称は“地球”や」
「「「ッ!?」」」
手塚と美穂、更には隣で話を聞いていたフェイトも同時に目を見開かせた。
「前にも話した通り、私達の知る地球と、手塚さん達の知る地球には認識に食い違いが生じとる。そこで実際に地球に向かって、そこが本当に手塚さん達のいた地球なのかどうか。それを確認して欲しいんや」
「……そういう事か」
「え、でも良いのはやて? 私達がその地球に向かったら……」
「せやな。2人が地球におる間に、こっちのミッドでまたモンスターが現れるかもしれん……せやから、任務中は地球とミッドの間で通信は繋げた状態のままで行うし、万が一モンスターが現れた時は2人をすぐにミッドに戻せるように、転送ポートの手配も既に済ませてある」
「……確かに、それならすぐにミッドにも戻れるな」
「といっても、別にこれは強制するつもりはない。一緒に来るかどうかは2人の自由や。どうする?」
「……海之」
「……」
美穂が横目で見ると、手塚は手元のコインを指で軽く弾き、それを掴んでキャッチ。そして目を閉じた後、静かに目を開く。
「……わかった。俺達も同行しよう」
「ん、了解や。出発は明日の午後13時になるから、それまでに準備は完了してな」
こうして、手塚と美穂も地球への出張任務に同行する形となった。
そして翌日、午後13時……
「―――で、結局いつものメンバーなんだ」
「ロストロギア関連の任務やからな。警戒するに越した事はあらへん」
移動用ヘリに乗り、地球への出張任務の為に転送ポートまで向かう事になった機動六課の面々。その向かう人員はというと、はやてを始めとした隊長陣と副隊長陣、フォワードメンバーの4人、シャマルにリイン、そして手塚と美穂といった、いつも通りのメンバー達だ。
「六課の方の部隊はグリフィス君が指揮を執って、ザフィーラが留守をしっかり守ってくれるから」
(ん? グリフィスは顔合わせた事あるから知ってるけど、ザフィーラって誰……?)
美穂がそんな疑問を抱いているその横では、スバル達フォワードメンバーの4人が地球の文化について情報を眺めていた。
「第97管理外世界、地球。文化レベルB……」
「魔法文化なし、次元移動手段なし……え、魔法文化ないの!?」
「ないよ。私のお父さんも魔力はゼロだし」
「確かスバルさんって、お母さん似だったんですよね?」
「うん、そうだよ」
「いや、それなら何故そんな世界から、八神部隊長やなのはさん達のようなオーバーSランクのとてつもない実力の魔導師が……」
「まぁ、私達は突然変異というか、たまたまやからなぁ~」
「私もはやても、魔法に出会ったのは本当に偶然だったからね」
「そういえば、手塚さんと美穂さんも地球出身なんですよね? どうやったらそんなライダーの力なんて……」
「あ、えぇっと……あはははは」
「あまり深くは聞くな」
美穂は笑って誤魔化し、手塚は質問に敢えてスルーを決め込む。そんな中、シグナムとヴィータは気になった事を手塚と美穂に問いかける事にした。
「そういえば手塚に霧島、お前達の連れてるモンスターは今どうしているんだ?」
「エビルダイバーとブランウイングなら、すぐそこにいる」
「「ッ!?」」
手塚が指差したヘリの窓……そこには窓からヘリの中を覗いているエビルダイバーとブランウイングの姿があった。世界から世界に移動している間も、モンスターは契約したライダーに付いて来るようだ。
「安心しろ。コイツ等に人を襲わせるような真似は絶対にさせない」
「当たり前だ。それで死人が出るようではこちらが困る」
「しっかり見張ってろよな。一応お前等の同行は許してやったけど、このモンスターがいる以上、アタシ等もお前等から目を離す訳にいかないからな」
「あれ、ヴィータちゃん。もしかしてちょっとずつでも信用してくれてる? 嬉しいなぁ~」
「んな、急に馴れ馴れしくすんじゃねぇ!? あとちゃん付けもやめろ!!」
美穂がそんな風にヴィータを弄って楽しんでいる頃、別の席ではシャマルがリインに何かを渡していた。
「はいリイン、向こうで着るお洋服よ」
「あ、シャマルありがとうです~♪」
それを見ていたキャロは疑問を投げかけた。
「え? シャマル先生、そのお洋服って……」
「八神部隊長のお下がりよ」
「あぁいや、そういう意味じゃなくて」
「何か、普通のサイズの服だなぁって……」
「……あ、もしかしてこのサイズの事を言ってますか? そういえばまだフォワードの皆さんと、手塚さんや美穂さんにも見せた事ありませんでしたねぇ~」
「「「「?」」」」
「システムスイッチ……アウトフレーム、フルサイズ!」
「「「「!?」」」」
「「……!?」」
キャロとエリオの疑問を察したリインは詠唱を行い、一瞬にして通常の人間と同じサイズにまで巨大化した。それを見たフォワードメンバーは驚愕し、その光景を見ていた手塚と美穂も、フォワードメンバーほどではないがその目は驚愕の意志を示していた。
「ふぅ~……一応、これくらいのサイズにもなれますよ~。魔力の消費が早くて燃費が悪いので、普段は小さいサイズで活動していますが」
「……ねぇ海之。アタシ達、本当にとんでもない世界に来ちゃったんだね」
「……同感だ」
改めてそんな感想を口にする手塚と美穂だった。そうしている内に一同は転送ポートまで到着し、第97管理外世界・地球へと転移するのだった。
「地球よ、久々に帰って来たでぇ!!」
「うるさいぞ八神」
なお、転移の際にそんなやり取りがあったとか、なかったとか。
「ここは……」
「ここが今回の目的地、海鳴市という町だよ」
そんなこんなで、無事に地球の日本に存在する小さな町・海鳴市(うみなりし)に到着した一同。現在地は湖畔のコテージらしき場所で、はやて曰く「現地の協力者が私達の為に提供してくれた」らしい。ちなみに現在、はやてはシグナム達を連れて一旦別行動を取っており、後でまた合流するとの事。
「その協力者は今どこに?」
「もうすぐ到着すると思うけど……あ、来た来た」
「あ、車。こっちの世界にもあるんだ……」
ティアナがそんな事を口にする中、コテージの前に到着した一台の黒い車から、金髪ショートカットが特徴的な女性が降りて来た。その姿を見たなのはとフェイトは歓喜の表情で歩み寄る。
「「アリサ!」」
「なのは、フェイト、久しぶりね!」
その金髪の女性―――“アリサ・バニングス”はなのはとフェイトにそれぞれハイタッチした後、置いてけぼりな様子のフォワードメンバー達と手塚達に自己紹介する。
「あ、自己紹介しましょうか。今回の任務の協力者でなのは達の友達をやってる、アリサ・バニングスよ。よろしくね」
「「「「よ、よろしくお願いします!」」」」
フォワードメンバーが礼儀正しく挨拶する中、アリサは手塚と美穂の方にも目を向ける。
「あなた達が噂の仮面ライダーね? はやて達から話は聞いてるわ。よろしくね」
「手塚海之だ。よろしく頼む」
「アタシは霧島美穂。美穂で良いよ」
「手塚さんに美穂ちゃんか。よろしくね、2人共」
「それじゃあ今回の任務について説明するから、全員注目!」
なのはが両手を叩き、全員の視線を自分の方に向けさせる。
「今回の捜索地域は、この海鳴市の全域。ロストロギアの反応があったのは合計で3ヵ所」
「結構移動してますね」
「誰かが持って移動しているのか、ロストロギア自体が自力で移動しているのか、そこまではまだ判明していないけど、対象のロストロギアの危険性はまだ確認されていないね」
「この地球には魔力保有者は滅多にいないけど、ロストロギアである以上、警戒は必要だね。場所も市街地だし、油断せずしっかり捜索していこう」
「「「「はい!」」」」
フォワードメンバーが敬礼する中、アリサは手塚と美穂に問いかける。
「そうなると、あなた達はこれからどうするの?」
「俺達はこの街で調べ物をしたい。少し街中を歩かせて貰って良いだろうか?」
「アタシもなのは達と一緒に移動しようかな。直接町中を歩いて確認してみたいし」
「じゃあ美穂さんは私と、手塚さんはフェイトちゃんと一緒に行動して下さい……さて。これで全員、ひとまずの方針は決まったね。それじゃあ分かれて行動開始!」
ひとまず全員の方針が決まり、一同は分かれて行動する事になった。美穂はなのは達スターズ分隊と、手塚はフェイト達ライトニング分隊の面々と動く事になり、リインが広域探査を行いながら、それぞれの分隊がロストロギアの反応があった場所を中心に、探知用のサーチャーとセンサーをあちこちに設置していく。
そんな中、手塚はフェイト達に同行しながら、あちこちのコンビニの雑誌コーナーに立ち寄り、様々な雑誌を読んで何かしらの情報を集めようと考えていたのだが……
「―――ここにもないか」
手塚がまず最初に探したのは、かつて共に戦った仲間の記者見習いが所属していた、モバイルニュース配信会社―――“ORE(オレ)ジャーナル”に関連する情報だ。彼は雑誌のページを開いて色々と確認していくが、どの雑誌にもそれらしい情報は一切載っていない。
(ならば……)
手塚は手を止めず、自分の知っている情報を他にも探し続ける。黒を白に変える、悪徳スーパー弁護士の法律事務所。とある拘置所を脱獄し、世間を大いに騒がせた凶悪な脱獄犯。それらの情報も探してみたが、何一つ見つかる事はなかった。
(何も情報が見つからない……まさか本当に、俺達のいた地球とは別の地球なのか……?)
結局、手塚は何も情報を得られないままコンビニを出る事になった。そこに待機していたフェイト達が駆け寄る。
「手塚さん、何か情報は見つかりましたか?」
「……いや、駄目だな。何も手掛かりが掴めなかった」
「そうですか……それじゃあやっぱり、この地球と手塚さん達のいた地球は……」
「あぁ。八神が言っていた通り、俺達は本当にパラレルワールドから来てしまったのかもしれない。そうなると、これ以上調べたところで掴める物は何もないだろうな……」
一方、美穂の方もやはり同じ結果だったようで……
「はぁぁぁぁ……」
「げ、元気出して下さいって美穂さん……!」
「ほ、ほら美穂さん、あそこに美味しそうなアイス屋がありますよ!」
「にゃははは、凄い凹んじゃってるねぇ……」
何も情報が掴めずに終わった美穂は元気をなくした様子でトボトボ歩いており、スバルとティアナが必死に彼女を励まそうと奮闘していた。流石に哀れに思ったのか、なのはもそんな彼女の様子に同情せざるを得ない。
(少し期待しちゃったけど、やっぱり“真司”には会えないかぁ……)
「と、取り敢えず美穂さん! 何かケーキでも買ってコテージに戻りましょうか!」
「うん、そうするぅ……」
「え、でも今は任務中じゃ……」
「他の皆にも差し入れ持って行った方が良いだろうしさ。取り敢えず3人共、私に付いて来て」
なのはは3人を連れて移動し、とある喫茶店の前に到着した。喫茶店の看板には『翠屋』と書かれていた。
「なのはさん、ここは……?」
「ここは私の両親が経営してるお店なんだ。この時間帯なら皆いるだろうし、ちょっと待っててね」
4人がお店に入ってみると、ちょうどそのタイミングで茶髪のロングヘアの女性店員が出迎えてきた。その女性店員はなのはを更に成長させたような美貌の持ち主だった。
「いらっしゃいませ~……あら、なのはじゃない! 帰って来てたの?」
(((あ、お姉さんかな……?)))
「うん! ただいま、お母さん!」
「「「お母さん!?」」」
その女性店員は、なんとなのはの母親だった。なのはのお姉さんかと思っていたスバル・ティアナ・美穂の3人は思わず同じ驚き方をしてしまうのだった。
一方、ミッドチルダ首都クラナガン……
「~♪」
とあるオンボロな外見をした小さなアパート。管理局地上本部での制服を着た青髪の女性局員が、鼻歌を歌いながら自分の部屋に帰宅しようとしていた。彼女が部屋に入ってみると、部屋全体が綺麗に掃除されており、部屋の中央のテーブルには作り置きされていた料理が、ラップフィルムに包まれた状態で置かれていた。
「あら、今はいないのかしら……?」
キィィィィィン……キィィィィィン……
「……!」
その時、どこからか響き渡ってきた金切り音。その音を、女性局員はハッキリと認識していた。
「モンスターに餌を与え続けなきゃいけないなんて……“彼”も大変よねぇ」
女性局員はそんな事を呟きながら、金切り音が聞こえて来る部屋の窓ガラスに目を向ける。
キィィィィィン……キィィィィィン……
ミラーワールド、とある学園の校舎。
『ブルルルル……!』
シマウマの特徴を持った怪物―――“ゼブラスカル・ブロンズ”は校舎の窓ガラスを通じて、現実世界で学園にいる学生の中から獲物を見つけようとしていた。
ズガァンッ!!
『ブルゥ!?』
その時、ゼブラスカル・ブロンズの背中に謎のエネルギー弾が命中し、ゼブラスカル・ブロンズが転倒。すぐに起き上がったゼブラスカル・ブロンズが後ろに振り返ると、その先には1人のライダーが立っていた。
水色と青色のカラーリングが混ざったボディ。
鮫の顔を模した形状の仮面。
左腕に装備したコバンザメのような形状の召喚機。
カードデッキに刻まれた鮫のエンブレム。
『ブルルルルル……ブルァ!!』
「……!!」
ゼブラスカル・ブロンズは攻撃された事に怒り、そのライダーに向かって大きく跳躍。そのライダーもゼブラスカル・ブロンズを迎え撃ち、攻撃を左腕の召喚機で防御してから相手の胴体を思いきり殴りつけ、素早く後退してから左腕の召喚機をゼブラスカル・ブロンズに向ける。
ズドドドドドン!!
『ブルルァ!?』
コバンザメの形状をした召喚機。その口の部分から水のエネルギー弾が連射され、ゼブラスカル・ブロンズの胴体に何十発も命中する。
「……沈め、さっさと」
鮫の特徴を持ったライダーは、その後も召喚機から水のエネルギー弾を連射し続けるのだった……
To be continued……
リリカル龍騎StrikerS!
ティアナ「八神部隊長が自ら料理を!?」
なのは「じゃあ今の内に、ひとっ風呂済ませちゃおうか!」
エリオ「キャ、キャロ!? 何でこっちに!?」
手塚「今見えた光景は……まさか……!」
???「全く、本当に面倒な連中だな……」
戦わなければ生き残れない!