リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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どうも、第8話の更新です。

今回の話は書きたい事がとにかく多く、どこで話を一旦区切るべきか悩みに悩み続けた結果、中途半端に区切るくらいなら最後まで書き切ろうと思い、気付いたら軽く1万字を超えていました。
おかげで今回は久々に長いです。許してね☆←

そんじゃどうぞ。
















戦闘挿入歌:Revolution









第8話 覇王の悲願

古代ベルカ、諸王時代。

 

それは天下統一を目指した、諸国の王による戦いの歴史。

 

聖王オリヴィエ、そして覇王イングヴァルトもまた、そんな時代を生きた王族の人間である。

 

優れた王とされる両者の関係は、現代の歴史研究においても、明らかになっていない。

 

そんな王族の血を色濃く受け継いだ者達は、今……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――3人共、せっかくの休みなんだろ? 別にこっちに付き合わなくても良いのに」

 

「あはは、良いの良いの」

 

時間帯は3時過ぎ頃。学校の授業が終わる頃であろうこの時間帯に合わせ、ノーヴェ達はアインハルトとの待ち合わせ場所である某カフェテラスにて、間食としてサンドイッチなどを食べながら待ち続けていた。なお、本来ならスバル・ティアナ・夏希の3人と一緒に来る予定ではなかったノーヴェだが、他の3人も純粋にアインハルトに対して興味を抱いたらしく、せっかくの休みにも関わらずノーヴェに同行している。

 

「私達もアインハルトの事は気になるしね」

 

「そうそう。別に見学するくらいだったら文句はないでしょ?」

 

「まぁ、それはそれでありがたくもあるんだけどさぁ……問題はだ」

 

ノーヴェは飲んでいたジュースのカップをテーブルに置き、椅子から立ち上がって後ろに振り向いた。

 

「……何でお前等(・・・)までこの場に揃ってんのかって話だよ!?」

 

「「「「えぇ~?」」」」

 

ノーヴェが振り返った先の席に座っていたのは、チンク、ディエチ、ウェンディ、オットー、ディードの5人。彼女達もノーヴェ達と同じように間食を取りながら楽しそうに談話していたが、そもそもチンク以外を呼んだ覚えのないノーヴェからすれば突っ込みどころは満載だった。

 

「チンク姉だけだぞ、アタシが呼んだのは!!」

 

「別に良いじゃないッスかぁ♪ アタシ達がいたって」

 

「時代を超えた聖王と覇王の出会い。とてもロマンチックじゃない」

 

「おまけに、陛下の身に何か危険が及ぶ事があっても困りますし」

 

「護衛として、僕達が同行するのは当然の話」

 

ウェンディとディエチの場合は、時代を超えた聖王と覇王の出会いに対する純粋な興味から。現在は聖王教会に属しているオットーとディードの場合は、ヴィヴィオの身に危険が及ばないようにする為の護衛という理由から勝手に付いて来たらしい。ちなみにノーヴェが直接声をかけたのは、ギンガと同じくアインハルトの通り魔事件について調査していたというチンクだけである。

 

「す、すまないノーヴェ。姉からも一応止めたのだが……」

 

「うぅ……はぁ、もう良いや。見学するだけなら別に構わねぇけどよ、余計な茶々は入れんなよ? ヴィヴィオもアインハルトも、お前等と違って色々繊細なんだからよ」

 

「「は~い♪」」

 

「「了解」」

 

「あと、夏希さんもな」

 

「ちょ、まだ言う!?」

 

これは追い返そうとしても無駄だと悟ったのか、ノーヴェは諦めた様子でウェンディ達(ついでに巻き添えの形で夏希にも)忠告だけしておく事にした。尤も、彼女達がちゃんと真面目に聞き入れているかどうか疑問であり、ノーヴェは深く溜め息をつく。

 

「ノーヴェ~、皆~!」

 

そこへ、今回ノーヴェがある目的の為に呼び出した人物達がやって来た。アインハルト同様、この日の授業を終えて学校帰りだったヴィヴィオ・リオ・コロナの3人だ。

 

「あれ? スバルさんにティアナさん、それに夏希さんまで!」

 

「こんにちは~!」

 

「「やっほーヴィヴィオ♪」」

 

「あぁ~、悪いな。やかましい事になってて」

 

「ううん、全然! それで、紹介してる子って?」

 

「まぁまぁヴィヴィオ。気になるのはわかるけど、取り敢えず座ったら?」

 

「あ、そっか。えへへ……♪」

 

自分と同じ格闘技が得意な女の子。その素性が気になって仕方ないヴィヴィオだったが、ティアナに促された事で取り敢えずは彼女達と同じ席に座る事にした。その際、すかさず立ち上がっていたオットーとディードが他の席から椅子を持って来て、ヴィヴィオ達3人を座らせる。

 

「で、何歳くらいの子? 流派は?」

 

「お前んとこの学校の中等科の学生。流派は……旧ベルカ式の古流武術だな。あと、お前と同じ虹彩異色」

 

「本当!?」

 

「へぇ~。ヴィヴィオと同じ虹彩異色って珍しいね」

 

「どんな人なんだろう~?」

 

ノーヴェから話を聞いたヴィヴィオ達はワクワクしながら、その人物の到着を待ち続ける。それから少しの間、一同が談話をしながら間食を取っていた時……その人物はやって来た。

 

「失礼します。ノーヴェさん、皆さん」

 

声のした方に、一同が一斉に振り返る。そこにその少女は立っていた。

 

「アインハルト・ストラトス。ただいま参りました」

 

アインハルト・ストラトス。

 

長い碧銀の髪をツインテール状に結んだ、紺色と青色の瞳を持った少女。

 

落ち着いた物腰をしたその少女が醸し出している雰囲気を前に、ヴィヴィオは一瞬だけ、無意識の内に魅了されていた。

 

なんて綺麗な人だろうと。

 

ヴィヴィオは思わずそんな事を思ってしまっていた。

 

「すみません、遅れました」

 

「いやいや、遅かねぇよ。ちょうど良いタイミングだ。そんでだアインハルト、こいつが例の……」

 

「……はっ! あぁえっと、初めまして!」

 

ノーヴェがアインハルトにヴィヴィオの事を紹介しようとした時、ヴィヴィオはハッとすぐに我に返り、慌てて自己紹介に入る事にした。

 

「ミッド式のストライクアーツをやってます、高町ヴィヴィオです!」

 

(! この子が……)

 

緊張しているのか、やや早口で自己紹介しながら右手を出すヴィヴィオ。ヴィヴィオの名前を聞いたアインハルトも、ヴィヴィオの容姿をジッと見ながら、自身も同じようにゆっくり右手を差し伸べた。

 

「……初めまして。ベルカ古流武術(・・・・・・・)のアインハルト・ストラトスです」

 

ヴィヴィオと握手を交わすアインハルト。握手して貰えた事が嬉しく思ったヴィヴィオはニコニコな笑顔を浮かべているのに対し、アインハルトは自身が握っているヴィヴィオの右手、そしてヴィヴィオの容姿を改めて見つめ直した。

 

(小さな手……脆そうな体……)

 

とてもじゃないが、戦いに向いているようには見えない体つき。

 

しかし、この(ロート)(グリューン)の鮮やかな瞳と、金色に煌く彼女の髪色。

 

それは確かに、自身の記憶に深く焼き付いていた。

 

間違うはずもない……彼女の、聖王女(オリヴィエ)の血が受け継がれている証。

 

無意識の内に、アインハルトは彼女の手を握る力が少し強まっていた。その事に気付いたヴィヴィオは、不安げな表情でアインハルトの顔を覗き込む。

 

「アインハルトさん……?」

 

「! あぁいえ、失礼しました」

 

ハッと気付いたアインハルトはすぐに手を離すが、ヴィヴィオは彼女が先程まで浮かべていた儚げな表情が気になるのか、どこか妙な感じの空気になりかける。しかしそこはノーヴェが助け舟を出してくれた。

 

「まぁ2人共、格闘者同士なんだ。ここでゴチャゴチャ話すより、実際に手合わせでもした方が早いだろ。場所はもう押さえてあるから、早速行こうぜ」

 

そういう事で、ヴィヴィオ達はノーヴェに連れられ、いつもヴィヴィオ達がストライクアーツの練習の為に使っているトレーニングスペースのあるミッドチルダ中央第4区公民館まで移動する事にした。食べ終えた食事代をティアナ達が支払った後、一同はカフェテラスを立ち去り移動を開始する……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジィィィィィ……」

 

そんな様子を、隠れて窺っている人物がいた。

 

(……あの子)

 

カフェから少し離れた位置のビルの物陰。そこから瑠璃色の髪をしたフードの少女―――“イヴ”が顔だけ出し、公民館まで移動しようとしている彼女達をジッと見据えている。彼女の視線の先にあるのは、ノーヴェ達に連れられて行くアインハルトの後ろ姿だった。

 

「あの子が気になるのかい?」

 

「!?」

 

突然後ろから声をかけられ、被っていたフードを脱がされる。驚いたイヴが振り返った後ろには、仮面ライダーアイズの変身者であるあのカメラの青年が立っていた。

 

「あ、昨日の……」

 

「よっ。あの子とはちゃんと話はできた?」

 

「……うん。今は、あの子の用事、終わるのを待ってる……」

 

「そうかい。いやしかし、律儀なもんだよねぇ君も。君と同年代の女の子とはいえ、あの子は最近噂になってる通り魔事件の犯人なんだよ? よく彼女の事を気にかけようと思えたね」

 

事情がどうあれ、アインハルトが自身の願いの為に他人を傷つける行為を働いていたのは事実。そういった人種の人間を気にかけているイヴの心情が、彼にはまだよくわかってはいなかった。そんな彼の問いかけに、イヴは途切れ途切れながらも言葉を返す。

 

「……悲しそう、だったから」

 

「うん?」

 

「あの子の目……凄く、悲しそうな目、してたから……放って、置けないって……そんな気がした……」

 

「……ふぅん、なるほどね」

 

アインハルトの目から感じ取れた、彼女が持っている悲しみの感情。それを感じ取っていたイヴは、アインハルトの事が放って置けない様子のようだった。たったそれだけの事かと思われる事かもしれないが、少なくともイヴが本気である事はカメラの青年も何となく察していた。

 

(ま、俺もこの子の事は見ていて不安になるしねぇ……あんまし人の事は言えないか)

 

カメラの青年は少し考える仕草を見せながらも、取り敢えずは納得した様子でイヴの頭に左手を置く。

 

「そういう事なら、君のやりたいようにやれば良いさ。取り敢えず、あの子達の向かう場所は俺も何となくわかってるからさ。俺等もこっそり後を追いかけてみようじゃない」

 

「ん……!」

 

髪型を乱すようにイヴの頭をガシガシ撫でた後、青年は彼女を連れてヴィヴィオ達の向かおうとしている公民館まで彼女を案内する事にした。その際、イヴは乱れた髪型を両手で整えながらも、気になっていた事を彼に聞いてみる事にした。

 

「あの……アイズ、さん……?」

 

「ん、何?」

 

「えっと……まだ、聞いてなかったから……あなたの、名前」

 

「あぁ、俺の名前ね。俺の事はアイズで良いよ……なんて冗談。今はウェイブ・リバーって名乗らせて貰ってる。よろしくな、お嬢ちゃん」

 

「そう……私はイヴ。そう名乗ってる……よろ、しく」

 

カメラの青年―――“ウェイブ・リバー”がそう名乗り、イヴも自身の名前を名乗る。そうして互いに自己紹介を済ませた2人は、ヴィヴィオ達を追って公民館まで向かって行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2人共、着替え終えたか~?」

 

「うん、こっちはOK!」

 

「私も問題ありません」

 

そして第4区公民館、トレーニングスペース。練習着に着替え終えたヴィヴィオとアインハルトはその後、練習場に来てから念入りに準備運動を行っていた。その2人から離れた位置ではリオやコロナ、スバルやティアナ、夏希やチンク達がギャラリーの立場として見守っている。

 

「ねぇねぇ、前から気になってたんだけどさ。ヴィヴィオって今どれくらい強いの?」

 

そんな中、夏希はリオとコロナにそんな質問をしていた。ヴィヴィオが格闘技の練習をしている事はスバル達から話を聞いて知っていたが、ヴィヴィオが実際に格闘技を披露している場面はまだ見た事がない。その為、こうしてヴィヴィオの友達であるリオとコロナに聞いてみる事にしたようだ。

 

「フフン、ヴィヴィオは結構強いですよ~?」

 

「夏希さんも見てたらわかりますから!」

 

「へぇ~? そんなに言うんなら、お姉さんちょっと期待しちゃおっかなぁ~」

 

リオとコロナは両者共に、まるで自分の事のようにヴィヴィオの強さを自慢している。それを聞いた夏希も期待の眼差しでヴィヴィオとアインハルトの方に視線を移す。その2人は今、準備運動を終えて静かに相対しようとしていた。

 

「よろしくお願いします、アインハルトさん!」

 

「……はい」

 

準部運動を終え、軽くステップを踏みながら体を動かしているヴィヴィオ。そんな彼女を見ながら、アインハルトは1人、午前中の出来事を思い出していた。

 

(本当に……この子が……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

諸王戦乱の時代。

 

武技において最強を誇った1人の王女がいた。

 

名をオリヴィエ・ゼーゲブレヒト、後の“最後のゆりかごの聖王”。

 

かつて覇王イングヴァルトは、彼女に一度も勝利する事ができなかった。

 

『―――それで、時代を超えて再戦……って事か?』

 

警防署で事情聴取を受けた後の事。ノーヴェにジュースを奢って貰ったアインハルトは、彼女から聖王オリヴィエと覇王イングヴァルトの関係について話していた。その2人に関する戦乱時代の過去と……その過去を知っているという、自分自身の記憶を。

 

『覇王の血その物は、この長い歴史で薄れつつありますが……時折、その血が色濃く蘇る事があります』

 

碧銀の髪色。

 

青色と紺色による虹彩異色。

 

覇王の身体資質。

 

覇王流(カイザーアーツ)

 

そして、覇王の戦乱時代に関する一部の記憶。

 

それら全てが、このアインハルト・ストラトスという少女の幼い体には受け継がれていた。

 

『私の記憶にいる“彼”の悲願なんです。天地に覇をもって和を成せる、そんな王である事が……』

 

『……けどそれは、お前の記憶の中にいる覇王の悲願なんだろう? それがどうして、お前がそれを代わりに果たそうとする理由に繋がるんだ?』

 

どんな悲願だとしても、それはかつて覇王が抱いていた願いだ。アインハルト自身が、彼の願いを抱く願いには成り得ないはず。そう思っていたノーヴェが見たのは……アインハルトの目に浮かびつつある、一粒の涙だった。

 

『……無力だったから』

 

『無力?』

 

『自分が弱かったせいで、強くなかったせいで、彼は彼女を救えなかった(・・・・・・・・・)。守れなかったから……そんな数百年分の後悔が、私の中にあるんです……だけど……!』

 

アインハルトの目から涙が零れ落ちていく。それを見たノーヴェは言葉を失った。

 

『この世界にはもう、それをぶつけられる相手がいない……!! 救うべき相手も、守るべき国も、世界も!! もう二度と、この悲願は果たせない……ずっと、私の中で残り続ける……ッ!!』

 

『アインハルト……』

 

覇王の果たせなかった願い……それはアインハルトにとって()であり、呪い(・・)でもあった。二度と叶う事のない願いが、ずっと彼女の記憶の中に残り続ける。それが彼女の心を苦しめている最大の要因だった。

 

そんな彼女の夢を……呪い(・・)ではなく、希望(・・)に変えてあげられるとしたら。

 

『……いるよ』

 

そんな人物に、ノーヴェは心当たりがあった。

 

この数年間ずっと、自身が関わりを持っている人物が。

 

『お前の拳を……想いを受け止めてくれる奴が、ちゃんといる』

 

だからこそ、ノーヴェは彼女に示してあげようと思った。

 

呪い(・・)希望(・・)に変えてくれそうな……彼女と同じ、王の血を受け継いだ少女の存在を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……本当に……?)

 

そして今。アインハルトはグローブの嵌めた右手を握り締めながら、その少女―――高町ヴィヴィオと正面から対峙していた。

 

(本当にこの子が、覇王の拳を……覇王の悲願を受け止めてくれる……?)

 

聖王(オリヴィエ)の血を受け継いだ少女。

 

彼女なら本当に、この拳を受け止めてくれるのか。

 

彼女なら本当に、この願いに僅かでも希望をもたらしてくれるのか。

 

少しだけ、アインハルトは期待の想いを抱いてみる事にした。静かに構えた彼女の足元には、三角形の形状をした碧銀の魔法陣が展開されていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ……始まる……!」

 

「お、そろそろか?」

 

そんなアインハルト達の様子を、後を追いかけて来たイヴとウェイブは2階の観覧席から眺めていた。この2人だけではない。これから始まろうとしているヴィヴィオとアインハルトのスパーリングに興味が湧いたのか、周囲で練習していた人達なども、2人と同じように見物し始めていた。

 

「どうよ、イヴちゃん。同じ魔力持ちの君から見て、あの子達の強さはどんな感じだ?」

 

「……私は、格闘家じゃない、から……詳しい事は、わからない。けど……」

 

イヴはヴィヴィオとアインハルトをそれぞれ見据える。ヴィヴィオは相変わらず笑顔を浮かべているが、アインハルトは変わらず無表情のまま。それらを見て、イヴも何かを感じ取っていた。

 

「あっちの子は……何、だろう……優しい力を、感じる……」

 

「優しい力?」

 

「うん」

 

それが、イヴから見たヴィヴィオの評価。

 

「それから、あっちの子は……強い力、だけど……どこか、悲しそう」

 

「悲しそう、ねぇ……」

 

それが、イヴから見たアインハルトの評価だった。

 

「君は感じるのかい? そういうのが」

 

「ん……何となく、だけど……あの子達、からは……そう、感じる」

 

「優しい力と、悲しい強さか……これまた深そうな評価だねぇ」

 

イヴの話を聞いたウェイブがそんな事を呟く中、アインハルトは魔法陣から浮かび上がる魔力を纏い、魔法陣が消失する。それを目の前で見てたヴィヴィオは、一瞬だけだがゾクリと体を震わせていた。

 

(この感覚、あの高そうな魔力……この人、強い……!!)

 

魔法陣から感じる魔力の高さから、ヴィヴィオはアインハルトの実力を肌で感じ、見抜いていた。そんな彼女がアインハルトに対して抱いた想いは……恐怖ではなく、尊敬だった。

 

(凄く……戦ってみたい……!!)

 

それは格上であろう相手に対する興奮と喜び。だからこそ、ヴィヴィオは真面目に戦おうとする気持ちがより強まっていた。早く戦ってみたいと、体がウズウズし始めていた。

 

「んじゃ、ルールはスパーリング4分で1ラウンド。射砲撃と拘束(バインド)はなしの格闘オンリーな」

 

「OK!」

 

「はい」

 

「それじゃ、始めるぞ」

 

審判はノーヴェが担当し、ヴィヴィオとアインハルトはいつでも動けるよう静かに構えを取る。ヴィヴィオが片足で軽くステップを踏みながら、アインハルトが姿勢を低くしながら構える中、ノーヴェは開戦の合図を出す。

 

「レディ……ゴーッ!!」

 

ゴォンッ!!!

 

その直後だった。ノーヴェが右手を勢い良く降ろすのと同時に、ヴィヴィオが素早く駆け出し、アインハルトの顔面に向かって右ストレートを撃ち放った。もちろん、アインハルトはそれを的確にガードし、その衝撃が周囲で見ていたギャラリーにも届く。

 

「うわぉ……!!」

 

「ちょ、衝撃が凄っ……!?」

 

ティアナと夏希がその衝撃に驚く中、ヴィヴィオは素早くラッシュを打ち込みながら接近し、アインハルトはそれらを上手く捌きながら少しずつ後退していく。一見すると、ヴィヴィオがアインハルトを押しているようにも見える状況だった。

 

「ヴィ、ヴィヴィオって、変身前でも結構強い……?」

 

「そりゃもう、毎日練習頑張ってるからねぇ~」

 

「うっひゃあ……リオちゃんとコロナちゃんの言ってた事、わかる気がするわぁ」

 

練習しているとは聞いていたが、まさかこれほど凄いとは。ヴィヴィオが戦う姿を初めて見たティアナと夏希が感心している中、ヴィヴィオは素早い動きで回し蹴りを繰り出し、アインハルトは体を逸らす事でその一撃を華麗に回避してみせた。

 

(攻撃が当たらない……凄い、こんな相手は初めて……!!)

 

これほどまでに有効打を与えられない相手は初めてだった。それ故にヴィヴィオの中では、アインハルトの強さに対する興奮と、その強さに至るまで鍛えてきたアインハルト自身に対する尊敬がより高まろうといていた。そんな想いを抱きながら攻撃を繰り出すヴィヴィオに対し……アインハルトが抱いていた想いは違っていた。

 

(まっすぐな技。きっと、まっすぐな心。彼女の拳から、それが伝わって来る……)

 

ヴィヴィオが自身に向けて来ている憧れの目。それはアインハルトも気付いてはいた。ヴィヴィオが持つ優しさについても……だからこそ。

 

(だからこそ、この子は……私が戦うべき“王”ではない)

 

ズドォンッ!!

 

「う……ッ!?」

 

アインハルトがカウンターで放った一撃が、ヴィヴィオの胸部に炸裂する。ヴィヴィオの中で魔力防御を張ってくれているクリスのおかげで致命的なダメージにはならなかったが、その強烈な一撃はヴィヴィオを壁まで大きく吹き飛ばし、その前にオットーとディードが素早く動いて彼女を受け止めた。

 

「お嬢様、大丈夫ですか?」

 

「……うん、大丈夫……」

 

胸元に受けた強烈な一撃。体をプルプル震わせながらヴィヴィオが上げた顔は……笑っていた。

 

(凄い……やっぱり、この人は凄い……!!)

 

これほどまでに実力差を思い知らされてもなお、ヴィヴィオは明るい表情を崩さない。それほどまでにポジティブな彼女の明るさと優しさを前に……アインハルトの中で、1つの結論が下された。

 

 

 

 

 

 

(この子は……私とは違う)

 

 

 

 

 

 

それは、落胆だった。

 

「……お手合わせ、ありがとうございました」

 

「え……?」

 

アインハルトはそれだけ告げた後、クルリと背を向けてその場から立ち去ろうとする。それを見たヴィヴィオは慌てて彼女を呼び止める。

 

「あ、あの! すみません、私何か失礼な事を……?」

 

「いいえ」

 

「じゃ、じゃあその……私、弱過ぎましたか……?」

 

「いえ。趣味と遊びの範囲内(・・・・・・・・・)でしたら、充分過ぎるほどに」

 

振り返る事なく、アインハルトが告げた言葉。

 

その冷たい一言が、ヴィヴィオの心に深く突き刺さった。

 

これまで真面目にストライクアーツをやって来たヴィヴィオだからこそ、そのショックはとても大きかった。

 

「……申し訳ありません、私の身勝手です」

 

「あ、いえ……あの!!」

 

それでもなお、ヴィヴィオはアインハルトを呼び止め続けた。

 

「すみません! 今のスパーが不真面目に感じたなら謝ります! 今度はもっと真剣にやります! だから、もう一度やらせて貰えませんか?」

 

「それは……」

 

「今日じゃなくても良いんです! 明日でも、来週でも……アインハルトさんの都合が付く日なら、いつでも!」

 

冷たい言葉を投げかけられたはずなのに。ヴィヴィオはそのショックを決して表情には出さず、それでいて明るい表情を保ち続けていた。そんな彼女にここまで懇願されたアインハルトは、ノーヴェの方をチラリと見る。それに気付いたノーヴェは髪を掻きながらも口を開いた。

 

「あぁ~……そうだな、来週またやっか? 今度はスパーじゃなくて、ちゃんとした練習試合をさ」

 

「おぉ、そりゃ良いッスねぇ!」

 

「2人の練習試合、今から楽しみだね」

 

「「ですね!」」

 

ノーヴェの提案に、ウェンディ達は賛成の様子だった。彼女達の反応を見たアインハルトは、再び背を向けながらも返事を返す事にした。

 

「……わかりました。時間と場所はお任せします」

 

「おう、後で連絡するよ」

 

「アインハルトさん!」

 

再びヴィヴィオが呼び止める。今度は何かとアインハルトが立ち止まった時、ヴィヴィオは大きくハッキリした声で彼女に告げた。

 

「……ありがとうございました!」

 

それは、スパーに付き合ってくれた事に対するお礼だった。ペコリと頭を下げながらヴィヴィオがそう告げ、それを聞いたアインハルトは数秒間だけ立ち止まった後、すぐにまた歩き出し、更衣室まで向かって行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――あれ、もう終わり?」

 

もちろん、その様子はイヴとウェイブも2階の観覧席から見届けていた。ヴィヴィオとアインハルトのスパーが終わって周囲のギャラリーが去って行く中、2人は更衣室に向かって行くアインハルトの後ろ姿を眺める。

 

「もうちょっと見てみたかったけど、まぁ仕方ないか。イヴちゃんはどうする?」

 

「私は……この後、あの子と合流する……もう一度、話をするって、約束したから……」

 

「ん、そうかい」

 

アインハルトが学校に向かう道中で会った際、イヴは再び彼女と会う約束をして来たらしい。彼女がそうしたいのであれば、ウェイブも特に彼女を引き留めるような理由はなかった。

 

(それにしても、アレだけの実力を持っていながら、まだ強さを求めているとは……地球と違って、この世界では子供ですらこんなにも貪欲なんだねぇ)

 

アインハルトの後ろ姿を見たウェイブはそんな事を思いながら、イヴに続いてその場を立ち去ろうとする……そんな時だった。

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

 

 

「「「―――ッ!?」」」

 

モンスターの接近を知らせる金切り音。それは観覧席から立ち去ろうとしていたイヴとウェイブ、そしてノーヴェ達と一緒にいた夏希の3人がハッキリと感知していた。

 

「モンスター……ごめん皆、ちょっと用事思い出した!!」

 

「え、夏希さん……!?」

 

「一体どこに……!?」

 

夏希はすぐさま駆け出して行き、モンスターの存在を知らないリオとコロナは突然どこかに走り去って行く夏希に驚く様子を見せる。一方、観覧席でもイヴとウェイブはすぐさま行動を起こそうとしていた。

 

「ッ……モンスター……!!」

 

「あ、ちょ、おい!?」

 

イヴはカードデッキを取り出し、すぐさま鏡面のある場所まで移動を開始。彼女の行動力の早さに、ウェイブは少しだけ苦笑いを浮かべた。

 

「ほんと、若い子って行動力も凄いよねぇ……どれ、お兄さんも向かうとしようかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのモンスターが発生した場所……それは同じ公民館内の、とある女子トイレ。

 

「~♪」

 

その手洗い場にある鏡の前で、化粧をし直している女性が1人。そんな彼女に……脅威が迫りつつあった。

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

「? 何かしら……」

 

彼女の耳にも聞こえ始めた金切り音。その音の正体を知らない女性が周囲をキョロキョロ見渡す中……彼女が化粧の為に見ていた手洗い場の鏡に、1体の異形が映り込んだ。

 

『ブブブブブ……』

 

金色のボディを持ったクマバチ型の怪物―――“バズスティンガー・ブルーム”が、狙われている事に気付いていない女性に向かって両手を伸ばす。その両手は鏡の中から飛び出し、女性の両肩をガシッと掴み取った。

 

『ブブッ!』

 

「!? な、何……きゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

周囲を見渡していた際、たまたま鏡に背を向けてしまっていた女性はそのまま、碌に抵抗もできずに鏡の中へと引き摺り込まれてしまった。その直後、遅れて到着したイヴはトイレの床に落ちている化粧品に気付き、既に手遅れだった事を悟る。

 

「そんな……ッ……!!」

 

もう少し早く着いていれば。そんな後悔の念が残るイヴだったが、どれだけ後悔したところで、今の現実が変わる事はない。イヴは悔しげな表情を浮かべながらも鏡の前に立ち、自身の胸元で両手を重ねる。

 

戦闘形態(バトルモード)……!!」

 

その詠唱と共に、イヴの姿が変化していく。幼かったその肉体は魔力光に包まれ、出るところは出て引っ込むところは引っ込んだスタイル抜群の肉体へと瞬時に成長し、その上から水色のドレス状のバリアジャケットが纏われていく。更に胸部装甲、両腕の籠手など白い武具が装着され、最後に長い瑠璃色の髪が1つ結びになる事で、彼女の1段階目の変身が完了する。

 

(早く……早く倒さなきゃ……!!)

 

続けて彼女が行うのは、2段階目の変身。彼女が左手に持ったカードデッキを鏡に突き出し、それに反応して出現した銀色のベルトが彼女の腰に装着される。それを見たイヴはその場で1回転した後、開きかけている右手を胸元に持っていった状態から、少し低めの声であの言葉を宣言する。

 

「変身……!」

 

カードデッキがベルトに装填され、彼女の姿が変化していく。3つの鏡像が重なり、彼女の姿は一角獣の意匠を持つ聖騎士のような戦士―――仮面ライダーイーラとなり、これで2段階目の変身が完了した。

 

「ふぅぅぅぅぅ……はっ!」

 

その手にデモンバイザーを構えたイーラ。彼女は静かに息を整えた後、すぐに鏡の中からミラーワールドへと突入していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ブブブブブ……』

 

「いた、あそこ……!!」

 

そしてミラーワールド、公民館外部。どこかに移動しようとしていたバズスティンガー・ブルームを発見し、高台に立っていたイーラはすぐに構えたデモンバイザーの引き鉄を引き、離すと同時に1発の矢を放った。

 

『ブブッ!? ブブブブブ……!!』

 

その1発はバズスティンガー・ブルームの背中に命中し、振り向いたバズスティンガー・ブルームは怒った様子でその手に持っていた弓を構え、高台にいるイーラ目掛けて数発の矢を連射する。イーラは高台から飛び降りる事で飛んで来る矢を回避し、地面に着地した彼女はバズスティンガー・ブルームと対峙する。

 

「倒す……!!」

 

『ブブブ……ブッ!!』

 

バズスティンガー・ブルームが再び弓から数発の矢を連射し、イーラも同じようにデモンバイザーから数発の矢を連射。放たれた矢が次々と相殺される中、駆け出したイーラはデモンバイザーから矢を放ちながら接近し、力強く振るった右手で拳を放つ。

 

「はぁ!!」

 

『ブブァッ!?』

 

振るわれた拳はバズスティンガー・ブルームの顔面に命中し、その身を大きく転倒させる。そこへイーラが追撃を仕掛けるべく近付こうとしたが……

 

『ブブゥ!!』

 

「!? くっ……!!」

 

直後、別方向から跳びかかって来た銀色のツチバチ型の怪物―――“バズスティンガー・フロスト”が、両手の毒針を振るって襲い掛かって来た。直前で気付いたイーラは素早く後退し、イーラの立っていた場所にバズスティンガー・フロストが着地する。

 

「2体も……!?」

 

『『ブブブブブ……!!』』

 

どうやらこのモンスター達は元々、2体で組んで行動していたようだ。バズスティンガー・フロストがイーラに向かって駆け出して行く一方で、バズスティンガー・ブルームはその場から動かず、離れた位置からイーラ目掛けて再び矢を放つ。

 

「ッ……どっちも、倒す……!!」

 

飛んで来る矢をデモンバイザーの矢で撃ち落とした後、接近して来たバズスティンガー・フロストの振るう毒針をデモンバイザーで防御するイーラ。そのまま相手の腕を掴んで広場まで移動した彼女は、バズスティンガー・フロストを離す勢いで地面に転がせ、立ち上がって来たところに蹴りを喰らわせようとする。

 

『ブブブ!!』

 

「!? この……!!」

 

その時、別方向からバズスティンガー・ブルームの放った矢が複数飛んで来た。イーラはデモンバイザーでの狙撃は間に合わないと判断し、デモンバイザーを上手く使って飛んで来る矢を全て弾き落とした。しかし……

 

(あれ、いない……どこに……!?)

 

飛んで来る矢に気を取られた事で、イーラはバズスティンガー・フロストを見失ってしまった。すぐに周囲を見渡そうとしたイーラの左側から、バズスティンガー・フロストの毒針が素早く突き立てられ、彼女の胸部装甲から火花が飛び散った。

 

「うあぁっ!?」

 

『ブブブブブッ!!』

 

その一撃を受けたイーラが転倒し、そこにバズスティンガー・フロストが乗りかかって両腕の毒針を突き立てようとする。それをギリギリで掴み取ったイーラは毒針を押し退けようとするが、相手のパワーも強いせいか、力で押し退ける事ができない。転倒した際にデモンバイザーを手放してしまった為、デモンホワイターを呼び出す事もできない。

 

「駄目……もうこれ以上は、絶対……人は、襲わせない……ッ!!」

 

しかし、イーラが圧倒的不利な状況である事に変わりはない。そんな彼女に対し、離れた位置からバズスティンガー・ブルームが矢を放とうとする。

 

『ブブブッ!!』

 

「!? しまっ―――」

 

その時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪SWING VENT≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フンッ!!」

 

『!? ブブゥッ!?』

 

突然聞こえて来た電子音声と共に、どこからか振るわれて来た長い鞭が、矢を放とうとしていたバズスティンガー・ブルームを弾き飛ばした。更に……

 

「はぁっ!!」

 

『ブブァ!?』

 

イーラに毒針を突き立てようとしていたバズスティンガー・フロストが、横方向から何者かによって力強く蹴り倒される。それにより自由になったイーラは、自身を助けてくれた者達に視線を向けた。

 

「君、大丈夫か?」

 

「怪我はない?」

 

「! あなた、達は……」

 

長い鞭(エビルウィップ)を構えているのは、エイの意匠を持った赤紫色の戦士―――仮面ライダーライア。

 

そしてもう1人、昨夜に続けてイーラを助けてくれる形になった仮面ライダーファム。

 

2人の歴戦の戦士が今、イーラの窮地に駆けつけた。

 

「夏希達が言っていた、一角獣のライダー……君で間違いないな?」

 

「ここはアタシ達に任せなよ。海之」

 

「あぁ」

 

ライアとファムが並び立ち、体勢を立て直した2体のバズスティンガーが2人を睨みつける。そんな2体に対し、ライアとファムはそれぞれのカードデッキから一枚ずつカードを引き抜く。

 

そのカードは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

強く吹き荒れる青い風、そして激しく燃え盛る赤い炎が描かれた、サバイブカードだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『ブ、ブブ、ブ……ッ!?』』

 

それと共に、ライアとファムの周囲を風と炎が覆い、それによって出来上がった熱風にバズスティンガー達が怯まされる。その間にライアとファムはそれぞれエビルバイザーとブランバイザーを正面に突き出し、その形状を一瞬で変化させる。

 

≪≪SURVIVE≫≫

 

ライアはエビルバイザーツバイにサバイブ・疾風のカードを、ファムはブランバイザーツバイにサバイブ・烈火のカードを装填。2人は風と炎に包まれ、その姿をサバイブ形態へと変化させた。

 

「ッ……姿が、変わった……?」

 

『……ブブブッ!!』

 

ライアサバイブとファムサバイブ。2人のサバイブ形態を見たイーラが驚く中、バズスティンガー・フロストがその場から跳躍し、ライアサバイブに飛びかかろうとする。それに対し、ライアサバイブは冷静にエビルバイザーツバイを構え、1発の矢を発射する。

 

「はっ!!」

 

『ブァアッ!?』

 

『ッ……ブブブ!!』

 

たった1発の矢でバズスティンガー・フロストが大きく吹き飛ばされ、それを見たバズスティンガー・ブルームがすかさず矢を連射する。しかしそれはファムサバイブのブランシールドで難なく防がれ、ファムサバイブは飛んで来る矢を防ぎながら駆け出し、引き抜いたブランセイバーで炎の斬撃を繰り出した。

 

「うおりゃあっ!!」

 

『ブブアァァァァァァッ!?』

 

炎の斬撃で斬り裂かれたバズスティンガー・ブルームが大きく吹き飛び、倒れているバズスティンガー・フロストの横に落下する。その隙にライアサバイブとファムサバイブはファイナルベントのカードを引き抜いた。

 

「一気に決めるぞ」

 

「オッケー!」

 

≪≪FINAL VENT≫≫

 

『キュルルルル……!!』

 

『ピィィィィィィィィッ!!』

 

「「はっ!!」」

 

鳴り響く電子音と共に飛来する、エクソダイバーとブランフェザー。ライアサバイブとファムサバイブはそれぞれの背中に飛び乗り、それを合図に2体のモンスターはそのボディをバイクモードへと変形させ始める。

 

『『ブッブブ……ッ……!!』』

 

バイクモードとなった2体が迫り来る中、フラフラながらも立ち上がったバズスティンガー達はその場から逃げ出そうとする。しかしエクソダイバーから放たれた電撃はバズスティンガー・フロストの動きを封じ、ブランフェザーが放った炎のラインはバズスティンガー・ブルームを正確に捉えた。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」

 

『『ブアァァァァァァァァァァァァァッ!!?』』

 

エクソダイバーに乗り込んだライアサバイブが繰り出したエクスティンガーブレイク。

 

ブランフェザーに乗り込んだファムサバイブが繰り出したボルケーノクラッシュ。

 

それらの必殺技により、2ヵ所で発生した大爆発。2人のサバイブ形態の前では、もはやバズスティンガー程度の敵では脅威にすらならなかった。

 

「……凄い」

 

自身が苦戦したモンスター達を、サバイブの力で難なく倒してしまった2人の戦闘力。その内、ライアサバイブに先程告げられた言葉には、どこか心当たりのある優しさがあった。

 

(ッ……そっか……あれは、きっと……あの子……の……)

 

2人に助けて貰ったお礼を言おうと、フラフラしながらも歩いて行こうとするイーラ。しかし途中で眩暈がしたかと思えば、イーラは少しずつ意識が薄れていき、その場に膝を突いてしまう。

 

「!? あのライダー、様子がおかしいぞ……!?」

 

「なぁアンタ、大丈夫かよ!?」

 

イーラの異変に気付いたのか、ライアサバイブとファムサバイブはすぐに彼女の傍まで駆け寄ろうとする。しかしその前に、別の人物が割って入った。

 

「あらら、完全に出遅れちゃったか」

 

「「……!」」

 

2人が駆け寄る前に、遅れて到着したアイズがシュタッと着地する。彼は膝を突いたまま立ち上がれないイーラの左腕を掴み、立ち上がらせてから彼女の左腕を自身の肩に回す。

 

「お前……夏希が言っていた蜘蛛のライダーか」

 

「ご名答。ただ悪いねぇ、この子はどうも疲れやすいみたいでさ。帰って休ませたいのよ」

 

「ちょ、ちょっと待て!! せめて名前くらい名乗れよ!!」

 

「……まぁ、ライダーとしての名前なら良いかな」

 

ファムサバイブに呼び止められ、イーラを連れ帰ろうとしたアイズはピタリと足を止めた後、少しだけ考え事をする動きを見せてから2人の方に振り返った。

 

「俺は仮面ライダーアイズ。んで、この子は仮面ライダーイーラ。ちゃんと覚えた?」

 

「アイズに、イーラ……?」

 

「そう、話はまた今度ゆっくりできるだろうしね。んじゃそういう事で」

 

≪BIND VENT≫

 

アイズは左太股に装備している召喚機―――死召糸(ししょういと)ディスバイザーから伸ばしたカードキャッチャーに1枚のカードを差し込み、それを戻して本体に装填。アイズは左腕に装着されたディスシューターから蜘蛛の糸を射出し、イーラを右腕に抱きかかえたまま建物の屋上まで一気に登って行ってしまった。

 

「ま、また置いてけぼり……これでもう何回目だよ……?」

 

またしてもアイズ達に置いてけぼりにされ、苛立ちで若干だがワナワナ震えているファムサバイブ。一方、ライアサバイブはアイズが告げていた言葉が心の中で引っかかっていた。

 

(奴が言っていた言葉通りなら……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ただ悪いねぇ、この子(・・・)はどうも疲れやすいみたいでさ。帰って休ませたいのよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺は仮面ライダーアイズ。んで、この子(・・・)は仮面ライダーイーラ。ちゃんと覚えた?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの一角獣のライダー……まさか、中身は未成年の子供……?」

 

 

 

 

アイズが告げたさりげない言葉。

 

 

 

 

たったそれだけで、ライアサバイブは1つの真実に辿り着いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎ViVid!


ヴィヴィオ「がっかりさせちゃったんだ。私が弱過ぎたから……」

イヴ「私に、頼みたい事……?」

アインハルト「あなたの強さを、私は知りたいんです……!」

ウェイブ「悪いけど、俺もそれはオススメできないかな」


戦わなければ生き残れない!
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