リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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色々謎だらけなアナザージオウ、それに変身する加古川飛流、そして次回遂に登場するゲイツリバイブ……早くも来週の日曜日が待ち遠しいですね。

そんな作者の感想はさておき、今回は第9話を更新。

戦闘はないので少々退屈かもしれませんが、よろしければどうぞ。



第9話 少女イヴ

ヴィヴィオとアインハルトの手合わせが行われたその日の夜。

 

「……はぁ~」

 

帰宅したヴィヴィオはその後、部屋のベッドに突っ伏した状態落ち込んでいた。何故ここまで落ち込んでいるのかと言うと、それは手合わせを終えた後にアインハルトから告げられた一言が原因だった。

 

趣味と遊びの範囲内(・・・・・・・・・)でしたら、充分過ぎるほどに』

 

趣味と遊びの範囲内。

 

アインハルトからそう告げられた時のショックは、思っていた以上に大きかった。

 

(あの人からしたら、私はレベルが低いのに不真面目で……がっかりさせちゃったんだ。私が弱過ぎたから……)

 

ヴィヴィオにとっても、別に遊びだけでストライクアーツをやっているつもりはなかった。しかしヴィヴィオがストライクアーツを楽しみながらやっている事も、まだまだレベルが低い事も事実。アインハルトから見て、恐らくはそんな自分が「楽しんでいるだけで真面目にやっている訳じゃない」と捉えられてしまったのだろう。

 

(私だって、別に『趣味と遊び』だけではないけど……)

 

今の自分は実際、そのアインハルトが言っていた通りなのかもしれない。楽しむ事の方を重視し過ぎて、自分の中に真面目さという物が足りなかったのかもしれない。そういった「自分の方が悪いかもしれない」というネガティブな思想に陥りかけていたヴィヴィオだったが、そこに部屋のドアをノックする音が聞こえて来た。

 

「ヴィヴィオ、御飯だぞ」

 

「! は~い、パパ」

 

手塚から夕飯の時間を告げられ、ヴィヴィオは首を振って自分のネガティブな考えを一旦振り切り、まずは夕飯を食べる為に1階のダイニングルームまで降りて行く事にした。

 

「それじゃ、頂きます!」

 

「頂きます」

 

「……頂きます」

 

この日はフェイトだけが仕事で帰りが遅くなる為か、なのはは手塚とヴィヴィオが揃っている事を確認し、3人は一緒に夕飯を食べ始める。しかしなのはがいつも通り明るい声で、手塚が落ち着いた声で合掌する中、ヴィヴィオはどこか元気のない声で合掌している。それに気付かないなのはと手塚ではなかった。

 

「ヴィヴィオ、何か元気なさそうだね」

 

「何か悩み事か?」

 

「え? あ、ううん! そそ、そんな事はないよ! 元気元気! だよねクリス!」

 

「そお? ほんとに?」

 

「うん、平気!」

 

ヴィヴィオが慌てて明るい表情でそう言って、クリスもそれに続くようにコクコク頷いているが、なのはと手塚は既に見抜いていた。

 

(……何かあったな)

 

(何かありましたね……)

 

手塚となのはが小さく目配せするが、元気である事を証明する為にご飯を口の中に掻き込み始めたヴィヴィオはその事に気付かない。掻き込んだ御飯を飲み込んだ後、ヴィヴィオは今日出会ったアインハルトの事について明るい表情で話す事にした。父と母に、余計な心配をさせてしまわないように。

 

「ゴクン……えっと、実はね? 今日ノーヴェからの紹介で新しく知り合った人がいるんだ」

 

「ノーヴェからの……じゃあ、その子もヴィヴィオと同じストライクアーツを?」

 

「うん。それでね、来週その子と練習試合をする事になってさ。その事で色々考えてたの」

 

手塚となのはにアインハルトの事を話しながら、ヴィヴィオは自分の中で少しずつ、先程までのネガティブな考えを切り替えていく。

 

(そうだ、落ち込んでちゃ駄目。あの人の、アインハルトさんの求めている物はわからないけど……)

 

自分が今やらなければならない事。思い返してみれば、それは簡単な事だった。

 

(精一杯伝えてみよう。私の……高町ヴィヴィオの本当の気持ちを!)

 

自分の気持ちが相手に伝わっていなかったのなら、改めて自分の気持ちをぶつければ良い。ストライクアーツで勝負する中で。自分の気持ちを、自分の拳に込めて打ち放つ事で。

 

ヴィヴィオの中で、既に答えはわかりきっていた。

 

「まぁ、そういう事だから……ご馳走様!」

 

「ん、おかわりは良いのか?」

 

「うん! 来週に備えて、またトレーニングしなくちゃだから! 行こうクリス!」

 

夕飯をさっさと食べ終え、合掌したヴィヴィオはクリスを連れて中庭に向かって行く。その後ろ姿を見て、手塚は小さく溜め息をついた。

 

「……さっきのあの表情からして。その知り合った子と何かあったようだな」

 

「あ、やっぱり手塚さんもわかりました?」

 

「あぁ。少なくとも、ほんの小さな悩みでない事は確かだろう」

 

手塚達が声をかける前、合掌する時に見せていたヴィヴィオの落ち込んだ表情。それはどう見ても、ほんの小さな悩みの時に見せるような表情ではなかった。本当に落ち込んでいる時の表情をこれまで何度も見て来た2人も、その事はよくわかっていた。

 

「大丈夫かなヴィヴィオ? 無理してなければ良いけど……」

 

「だが、何かあったという事は素直に話してくれた。それに気付いたか? さっきまでに比べて、今のヴィヴィオはいくらか表情が変わった」

 

自分達に話した事で、気持ちの切り替えができたヴィヴィオは表情が明らかに変わっていた。もし何があったのかすらも話さないでいたら、それが小さなストレスとなってヴィヴィオの中に溜まっていっていたかもしれない。

 

「ストレスを抱えているんだとしたら、それは無理して溜め込む物じゃないと言うつもりだったが……どうやらその心配はいらなそうだ」

 

「ヴィヴィオ、ストライクアーツをずっと頑張って来ましたしね」

 

「しばらくは見守ってやるべきだろう。もし、本当に何かストレスを抱えているとわかった時は……俺達で、できる限りアドバイスでもしてあげようじゃないか」

 

「……うん、そうですね!」

 

自分達はその子(アインハルト)の事を詳しく知っている訳じゃないから、あまり的確なアドバイスはしてやれないかもしれない。それでもヴィヴィオの親として、いざという時はあの子の為に力になってやりたい。その必要がない時は、こうして頑張っているヴィヴィオの姿を暖かく見守っていきたい。この場にはいないが、フェイトもきっと同じような想いを抱いている事だろう。

 

そういったスタンスで見守って行く事を決めた手塚となのはの2人は、その後もゆっくり食事を楽しみ続ける。そんな時、2人の元に誰かから映像通信の連絡が来た。

 

「あれ、映像通信?」

 

「誰だ……?」

 

なのはが映像通信を繋げると、そこから聞こえて来たのはノーヴェの声だった。

 

『あ、なのはさん、手塚さん。夜遅くにすみません』

 

「あれ、どうしたのノーヴェ?」

 

『あぁ、いやその……実はヴィヴィオの事がちょっと気になったもので』

 

「ヴィヴィオが知り合った子の事だな?」

 

『うぇ!? な、何でわかったんですか!?』

 

「そんな事だろうと思っていた」

 

ヴィヴィオは「ノーヴェの紹介で新しく知り合った子」と言っていた。彼女がそう言ったタイミングでノーヴェから連絡が来たという事は、きっとそれに関する事なのだろうと、手塚はある程度の推測ができていた。そして実際に確認してみたら、ノーヴェの反応からしてまさにその通りだったようだ。

 

『え、えっと……ヴィヴィオの奴、様子はどうですか? 落ち込んだりしてませんでしたか?』

 

「さっきまではな。今はもういつもの調子に戻って、また中庭でトレーニング中だ」

 

『ホッ……そうですか。それなら良いんですけど』

 

「ノーヴェ、今ホッとしてたでしょ」

 

『そ、そんなは事ねぇ!! ……ですよ』

 

なのはに指摘されて慌てて否定するノーヴェだったが、顔を赤くしながら必死に否定している時点で説得力はまるで皆無である。そんなノーヴェの反応を見て、なのははニコニコ笑っていた。

 

「ありがとうノーヴェ。ヴィヴィオの事が心配で連絡して来てくれたんだよね?」

 

「君こそ、普段は救助隊の訓練もあって忙しいんだろう? そんな状態でもヴィヴィオの練習に付き合ってくれている事、感謝している」

 

『そ、それは、その……い、一応、ヴィヴィオには格闘技を教えてる身なんで、ヴィヴィオのコンディションが下がるような事がないようにするのは、教える側の責任でもありますし……こうして様子を確認するのだって、むしろ当然であるというか何というか……』

 

「要するに心配なんだな。よくわかった」

 

『ぐっ……手塚さんもからかわないで下さいよ!!』

 

「そうか、それは悪かったな」

 

「にゃはははは~」

 

『うぅ……!』

 

自分の気持ちをストレートに指摘され、顔を赤くしながらどんどん小さくなっていくノーヴェ。そんな様子のノーヴェを、手塚となのはは映像越しに微笑ましい目で見ており、それが余計にノーヴェを恥ずかしい気分にさせていくのだった。

 

(……さて)

 

そんな中……手塚はヴィヴィオの事はひとまず大丈夫だと判断し、彼の脳裏では既に違う事を考え始めていた。

 

(ヴィヴィオは今は大丈夫だろう……問題は)

 

それはこの日、ミラーワールドで手塚達が出会った2人のライダーについてだった。

 

(仮面ライダーアイズ、そして仮面ライダーイーラか……一体何者なんだ……?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ストラトス家の自宅前では……

 

 

 

 

 

「―――ティアナさん、夏希さん、送って貰ってありがとうございます」

 

「良いの良いの、これくらいどうって事ないわ」

 

「へぇ~、凄く大きいねぇアインハルトの家」

 

ヴィヴィオとの手合わせが終わった後、その日の夕飯をノーヴェ達と共に外食で済ませたアインハルトは、ティアナと夏希によって車で自宅の前まで送って貰っているところだった。アインハルトが送って貰った事をティアナ達にお礼する中、夏希はアインハルトの家の大きさに興味津々な様子だ。

 

「それじゃあ、今日はこれで私達も帰るけど……もし何かあったら、すぐ私達に連絡してね?」

 

「格闘技とかは詳しい訳じゃないけどさ。アタシ等でも何か、アインハルトの力になりたいからさ」

 

「はい。ありがとうございました」

 

そしてティアナと夏希が車に乗って帰って行くのを見届けた後、アインハルトは自宅の鍵を取り出し、家の玄関を開けて入って行こうとする……そんな時だった。

 

 

 

 

 

 

「あ、話終わった?」

 

 

 

 

 

 

「……ッ!?」

 

突然声をかけられ、アインハルトは素早く戦闘態勢に入って後ろに振り返る。そこには家の物陰に隠れて待っていたウェイブの姿があった。

 

「おっと、ごめんなお嬢さん。別におどかすつもりはないんだ」

 

「……誰ですか?」

 

「俺? 俺はウェイブ・リバーだ、よろしくな。君の事は既に調べは付いてるよ、アインハルトちゃん」

 

既に調べは付いている。そんなウェイブの言葉に、アインハルトは彼が、これまで自分が路上の喧嘩で倒して来た人達と関わりがある人物なのではないかと思っていた。負けた彼等の報復に来たのか。そう思うアインハルトだったが、そんな彼女の考えに気付いたのか、ウェイブは慌てて否定する。

 

「あぁ、違う違う。別に君が勝負で負かした被害者達とは何の関係もないよ」

 

「では、あなたは一体……」

 

「いやぁ、勘違いさせちゃって悪いね。君が少し前に助けたばかりの子と、ちょっとした知り合いでさ。まぁ知り合ったのは君と同じくらいの時期なんだけど」

 

「! イヴさんの……?」

 

倒れていたところを自分が数日前に助け、そして昨夜に謎の怪物から自分を助けてくれた少女。その少女と関わりがある人物と知り、アインハルトはウェイブに対する警戒が少しだけ薄れた。

 

「そんな人が、私に何の用ですか……?」

 

「あぁいや、そんな大した用じゃないんだよね。聞いたよ? 君、何かおかしな怪物に襲われかけたんだってね」

 

「おかしな怪物……」

 

アインハルトの脳裏に思い浮かぶのは、鏡の中から飛び出して来たポイゾニックモスの姿。その怪物から自分を助けてくれた仮面ライダーイーラと、自分の体の痺れを回復してくれたデモンホワイターの姿。それらを思い浮かべたところで、アインハルトは目の前にいる青年の正体を察した。

 

「もしかして、あなたも……?」

 

「その通り。簡潔に言うなら、俺もあの子と同業者って訳」

 

取り出したアイズのカードデッキをアインハルトに見せ、自分も仮面ライダーだと証明するウェイブ。それを見たアインハルトは少しだけ、この青年に対する興味が湧いて来ていた。

 

「あのモンスターの事を知った以上、君もモンスターへの対処法くらいは知っておいた方が良いと思ってね。でも君が助けたあの子はともかく、君との関わりを持たない俺が勝手に家に上がる訳にもいかないじゃん? だからこうして家の外で待ってたって訳。お分かり?」

 

「はぁ……」

 

「ちなみに、あの子は今も君が帰って来るのを部屋で待ってるよ。どうする? 話だけでも聞いておくかい?」

 

ウェイブにそう聞かれ、アインハルトは少しだけ考えるポーズを取る。自身が襲われたあのモンスターを、イヴは仮面ライダーに変身して難なく追い返してみせていた。その圧倒的な強さに、アインハルトは少なからず興味が湧いていた。そしてそれは、イヴと同じ仮面ライダーであるというウェイブに対しても同じだった。

 

「……わかりました。お願いします」

 

「ん、決まりだね」

 

ならば、話を聞いてみる価値はあるだろう。そう考えたアインハルトはウェイブが家に上がる事を許可し、彼を連れて部屋に上がって行く。

 

(……まぁ、どうせ強さについて聞きたいんだろうなぁ)

 

そんな彼女が向けて来た視線に、ウェイブも何となくだが気付いていた。アインハルトに対する視線の向け方が少しだけ変わっているウェイブだったが、ウェイブの前を歩いているアインハルトがそれに気付く事はない。

 

そして……

 

「あ……お帰り、なさい……!」

 

部屋に入っていくアインハルト達を待っていたのは、花柄模様の可愛らしいエプロンを巻いて、部屋中に掃除機をかけているイヴの姿だった。その光景を見たアインハルトは慌ててイヴを止めに入る。

 

「あ、すみません! そこまでして貰わなくても……!」

 

「ううん……助けて貰った、お礼もある、から……!」

 

(うわぉ、なんて律儀な子)

 

アインハルトに止められるイヴだったが、アインハルトに倒れているところを拾って貰った身として、これくらいのお礼はしたいというイヴは掃除機をかける手を止めなかった。ウェイブはそんなイヴの律儀な性格に感心しながらも、アインハルトと同じようにイヴから掃除機を強引に奪い取る。

 

「あ……!」

 

「お礼したいのはわかるけど、先に話だけでもしとこうじゃないの。アインハルトちゃんも良いよね?」

 

「……はい」

 

掃除機を取り上げられて残念そうにしているイヴを座布団に座らせ、アインハルトはその向かい側に座布団を置き、小さなテーブルを挟むように座り込む。その一方で、ウェイブはそんな2人から少しだけ離れた位置で座布団もなしに胡坐をかいて座り込んだ。

 

「んじゃ、さっきもう名乗ったけど、改めて自己紹介しとこうかね。俺はウェイブ・リバー。今はフリーでカメラマンをやってる身だ。よろしくな」

 

「……アインハルト・ストラトスです。よろしくお願いします」

 

「私は、イヴ……今は、そう名乗ってる……よろしく」

 

今の時点で既にお互いの名前は知っている状況だったが、ここで3人は改めて自己紹介を行い、お互いの名前を確認し合う。この時、ウェイブはイヴの自己紹介の仕方が気になっていた。

 

「ねぇイヴちゃん。ずっと気になってたんだけど、そう名乗ってる(・・・・・・・)ってのはどういう事?」

 

「……イヴさんは、自分の過去を何も覚えていないそうなんです」

 

「へ、そうなのイヴちゃん?」

 

「……うん」

 

ウェイブが抱いていた疑問について、アインハルトが代わりに理由を明かし、イヴもそれに肯定する。イヴが記憶喪失である事を今初めて知ったウェイブは驚きの表情を浮かべた。

 

(なんてこった。じゃあこの子、ずっと記憶がないままライダーとして戦ってたのか……!)

 

そんな彼女がどうしてライダーになって戦っているのか。元から存在していた疑問は更にその謎が深まる事となってしまい、ウェイブは思わず頭を抱えてしまいそうになったが、そこにイヴが声をかける。

 

「ウェイブ、さん……アインハルトちゃん、に、説明しなきゃ……」

 

「ん? あ、あぁ、そうだったね。ごめんごめん」

 

取り敢えず、イヴの素性については一旦後回しにしておくとしよう。そう考えたウェイブは話が逸れていった事を2人に謝罪した後、改めてアインハルトに説明を開始する事にした。

 

鏡の中の世界―――ミラーワールドの事。

 

ミラーワールドに巣食う怪物―――モンスターの事。

 

そのモンスターと戦う仮面の戦士―――仮面ライダーの事。

 

それらの説明が一通り終わった後、アインハルトは信じられないといった表情で驚愕していた。

 

「鏡の世界……にわかには信じ難いですが……本当に存在していたんですね。あくまで噂程度にしか思っていませんでしたので」

 

「あらら。やっぱ噂にはなってたんだな、ライダーも」

 

とある大きな事件(・・・・・)が起きた4年前から、このミッドチルダでは噂が流れ始めていたという。鏡の中から現れた怪物が人を襲い、その怪物から人を守り続けている戦士がいると。これまでアインハルトはその話をあくまで噂程度にしか信じていなかったが、今この場でそれが真実だとハッキリ認識したようだ。

 

「んまぁ、そういう事でさ。俺達はこのカードデッキを使って仮面ライダーに変身し、そのモンスターと戦う事ができる……けど、ライダーじゃないアインハルトちゃんはそういう訳にはいかない。だから君には、例の音が聞こえて来た時の為の対処法だけでも教えとこうと思ってね」

 

ライダーではないアインハルトが、モンスターから身を守る方法。それはいくつかの方法がある。

 

1つ目は、例の音が聞こえ始めたらすぐに鏡やガラスなどから離れる事。

 

2つ目は、何か布などを使って鏡を遮り、モンスターが出て来れないようにする事。

 

そして3つ目は、鏡その物を壊す事。しかしこれは下手すれば器物損壊に繋がる恐れもある為、ウェイブ自身はこの方法はあまりオススメしていないようだ。

 

「わかったかい? 個人的に3つ目の方法はあんまりオススメできないから、やるとすれば1つ目や2つ目の方法が最適だと俺は思ってる。それから、自分でモンスターを撃退するというのもやめといた方が良いだろうね。聞いた話じゃアインハルトちゃん、疲れていたとはいえ、モンスターに一方的にやられかけたんでしょう?」

 

「ッ……それは、勝負をして疲れていたからで……普段ならあんな事には……」

 

「そういう考えが油断となって、いずれは命取りになっちゃうって事だよ。そもそも、本来ならモンスターと出会わないのが一番良いんだからさ」

 

「アインハルト、ちゃんに……危ない目に、遭って欲しくない、から……」

 

「……わかりました」

 

ウェイブとイヴからそう言われてしまっては、アインハルトも渋々だが従うしかなかった。しかしアインハルトには、どうしても確認してみたい事があった。

 

「……じゃあ、1つだけ聞いても良いでしょうか?」

 

「ん、何?」

 

「実は……イヴさんに、頼みたい事があるんです」

 

「私に、頼みたい事……?」

 

(……もしかして)

 

イヴに頼みたい事とは何だろうか。イヴはよく分かっていない様子だが、ウェイブはアインハルトの頼み事が何なのか察しはついていた。

 

「イヴさん、一度だけで良いんです……私と、勝負をしてくれませんか?」

 

「え……?」

 

(あぁ、言うと思った……)

 

アインハルトがイヴに頼みたい事……それは仮面ライダーイーラと勝負をする事だった。自分がそんな事を頼まれるとは思っていなかったイヴが驚く表情を浮かべ、予想が的中したウェイブは小さく溜め息をつく。

 

「私は自分の強さを、覇王流(カイザーアーツ)の強さを確かめる為に格闘技をやっています。覇王の悲願を達成する事……それが私の果たしたい目的」

 

「でも、どうして、私に……?」

 

「イヴさん。あなたはあの時、モンスターをいとも簡単に追い払ってみせました。あなたの強さはきっと、ただの仮面ライダーとしての強さだけじゃない……あなたの強さを、私は知りたいんです……!」

 

イヴが自身をモンスターから助けてくれた時。

 

ほんの短い時間の中で、アインハルトは彼女が持つ力から、ライダーとしての力だけじゃなく、それとは違う強さも感じたような気がしていた。

 

その強さが何なのか。

 

それを確かめたくて、アインハルトはイヴにそんな提案をした。

 

「でも……ライダーの力は、モンスターと、戦う為に、あって……スポーツの為、の、力じゃない……」

 

「あなたの強さを確かめる事ができれば、それで良いんです。あなたとの勝負はきっと、私の持つ強さに何らかの意味をもたらしてくれる……だから!」

 

「悪いけど、俺もそれはオススメできないかな」

 

そんな時だった。今まで黙って話を聞いていたウェイブが、アインハルトの提案に待ったをかけたのは。

 

「イヴちゃんも言ってるように、俺達ライダーはあくまでモンスターと戦う為だけに使っている。遊びやスポーツなんかの為に使って良い力じゃない」

 

「ッ……私が戦うのは、遊びやスポーツの為じゃない……私はただ、この悲願を果たしたくて、だから!!」

 

「なら君は、人の命を奪う事ができるのかい?」

 

「え……」

 

ウェイブが投げかけた一言に、アインハルトの言葉が遮られる。

 

「聞こえなかったかい? 君は人の命を奪う事ができるのかいって聞いたんだけど」

 

「そんな……私は別に、命を奪うつもりは―――」

 

「戦いを舐めてんじゃねぇぞ」

 

「……ッ!?」

 

アインハルトはゾクリと背筋が震えた。ウェイブがアインハルトにそう告げた時……ウェイブの表情が、今までで一番冷たい表情をしていたのだから。

 

「君は確かに実力もあるかもしれない……けどな、命を奪う気がないとかどうとか、君のそんな意志は関係ない。ライダーの戦いはいつだって命懸けなんだ、手加減なんて到底できるはずもない」

 

「それ、は……」

 

「ライダーの力は慎重に使わなくちゃならない。使い方を誤れば……たとえ自分にそんな気はなくても、いつか他人まで不幸にしてしまう」

 

「……どういう、意味ですか……?」

 

「……悪いけど、そこは自分で考えて欲しいところだね」

 

いつか他人まで不幸にしてしまう(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

そう語った時にウェイブが見せた、どこか後ろめたい物があるような表情。それが気になったアインハルトだが、ウェイブは肝心なところで話をボカした為、それ以上答えてはくれなかった。

 

「それにだ。一応言っておくが、この子と練習試合なんかしたって何の役にも立たないぞ? 何せこの子、ほんの数分モンスターと戦うだけであっという間にバテちゃうからな。見てて悲しくなるくらい体力がない」

 

「うぐっ」

 

「え……そ、そうなんですか……?」

 

「……うん、その、通り」

 

ウェイブの容赦ない一言がグサリと刺さったのか、思わぬダメージを受けたイヴがその場に崩れ落ちる。そんなイヴに哀愁を感じたアインハルトは、そんなイヴとウェイブに対して新たな疑問を抱いた。

 

「それなら……2人はどうして、ライダーになったんですか?」

 

「どうしてか、ね……俺はそうだなぁ」

 

これは言うべきか、言わないべきか。少しだけ悩むウェイブだったが、ここは誤魔化しても仕方ないと考えたのか、敢えて抽象的な言葉で伝える事にした。

 

「……純粋な願いの為、かな」

 

「純粋な、願い……?」

 

「そう、願い……と言ってもこれ以上は教えないよ。君がライダーの戦いに関わるべきじゃない事に変わりはないからね」

 

「なら、イヴさんは? どうして彼女はライダーに……」

 

「そうなんだよねぇ。俺もそこは知りたかったところだ」

 

「……私……?」

 

アインハルトとウェイブの視線がイヴに向けられる。特にアインハルトがイヴに対して抱いた疑問は、ウェイブにとっても答えを知っておきたい疑問だった。

 

「ずっと疑問に思ってたんだ……イヴちゃん。君はどうしてライダーになったんだ? ライダーとして戦っている今なら、自分がライダーである事の意味もわかっているはずだ」

 

ウェイブは少なくとも、この世界の住人(・・・・・・・)だと思われるイヴが何故ライダーになったのか、それがずっと気になっていて仕方なかった。だからこそ、この場でその真意を確かめておきたかったのだが……イヴはそれに答えられなかった。

 

「……わからない」

 

「わからない?」

 

「私……昔の事、何も、覚えてなくて……ごめんなさい」

 

「……そっか」

 

残念ながら、イヴは自分がライダーになった理由すらも全く覚えていないようだった。情報を得られなかった事にウェイブが残念に思う中……「でも」とイヴは続けた。

 

「夢を……見る事なら、ある」

 

「「夢……?」」

 

「うん……その、夢の中に……いつも、あの人(・・・)が、出て来てる」

 

イヴが見ているという夢。その内容を知った時……ウェイブは驚かされる事となる。

 

「どこか、わからない、暗い道……倒れてる、私の前に……その人(・・・)が、現れて……私に、このカードデッキを、くれる……」

 

「君のそのデッキを?」

 

「うん……その人(・・・)は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私達と、同じ……仮面ライダーの、姿をしていた……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎ViVid!


ヴィヴィオ「伝え合うのって難しいから。だから思いっきり、ぶつかってみるだけ」

ウェイブ「突き止めなくちゃねぇ。あの子(・・・)の正体も……」

イヴ「私は知りたい……私が何者なのかを……!」

???「行って来ます、お嬢様……」


戦わなければ生き残れない!
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