リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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今日のジオウを見た感想:ツクヨミが戦犯じゃなくて良かった……とまぁ、そんな感想は置いといて、問題は別ですよ!!

『RIDER TIME 龍騎』……懐かしの面々が帰って来た!!

真司!!

浅倉!!

手塚!!

芝浦!!

吾郎ちゃん!!

そして蓮!!

というか一番驚いたのがオーディンおま、何でサバイブ3枚揃えてんねん!?

え、今になってその機能使うの!?

それからリュウガも戦ってる!?

更によく見たらアビスもおるやんけ!?

そしてアナザー龍騎も結局出て来るんかい!!

……という感じで、もうこの時点でお腹いっぱいです。配信された日には興奮のあまり魂が昇天するかもしれません←





さてさて。今回は龍騎本編にも登場していた、あの仮面ライダーが遂に本格参戦。その変身者は、龍騎ファンの皆様ならよく知っているであろう彼です。

その活躍、とくとご覧あれ!









追記:それから海東、お前ほんと面倒な事してくれたな!!(ネオディエンドライバーとエピソード・ディエンドの話の整合性的な意味で←)












戦闘挿入歌:果てなき希望












第11話 その秘書、ゾルダ

深夜、雨の降り注ぐミラーワールド……

 

 

 

 

『ク、カ……クカカカカカ……ッ!!』

 

雷に照らされる夜の街を、1体の怪物が疾走していた。青色の二枚貝に白い真珠のような意匠を持った人型の怪物―――“シェルクリッパー”は何かから逃げるように、狭い路地裏の中を全力で駆け抜けて行く。そんなシェルクリッパーの走って来た地面に……

 

「フッ……!!」

 

銃声と共に、何発もの弾丸が撃ち込まれる。逃げるシェルクリッパーの後方には、路地裏に置かれている大型ゴミ箱の上に立ちながら、拳銃型の武器を構えている戦士の姿があった。戦士は拳銃型武器の引き鉄を引き、シェルクリッパーの背中に数発の弾丸を命中させる。

 

『クカッ……クカカカカ!!』

 

「!? ぐっ……!!」

 

背中を撃たれたシェルクリッパーは即座に振り返り、頭部の白い真珠のような部分からエネルギー弾を発射。それが戦士の立っていた大型ゴミ箱に命中して爆発し、転がり落ちた戦士はすぐに立ち上がって拳銃型武器をシェルクリッパーに向けようとしたが……

 

「……!?」

 

戦士が立ち上がった頃には、既にシェルクリッパーの姿はなかった。戦士が攻撃を受けて怯んだ隙に、その場から逃げ出したようだ。

 

(……逃げられた)

 

逃げられてしまった事を悟ったその戦士は、構えていた拳銃型武器をベルトの右腰に付いているジペットスレッドに繋げた後、無言のままクルリと背を向けて立ち去って行く。それがこの深夜にて繰り広げられた、短い戦いの一部始終だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌朝……

 

 

 

 

 

「~♪」

 

雨が止み、雲の隙間から太陽が眩しく照らしているミッドチルダ。アインハルトの自宅にて、イヴは今日も早起きをしてから台所に入り、フライパンを片手にこの日の朝食を作っている真っ最中だった。そこに同じく目を覚ましたアインハルトが台所にやって来る。

 

「ふぁぁ……おはよぉ、ございまふ……」

 

「おはよう、アインハルト、ちゃん……朝ご飯、すぐできる、から」

 

「ふぁい……」

 

昨日の疲れが残っているのか、未だ寝惚けているアインハルトは欠伸をしながら冷蔵庫の方に向かって行く。そんなアインハルトが可愛らしく思ったのか、イヴはクスリと微笑んだ。

 

(昨日の、練習試合……何か、あったのかな……?)

 

昨日、ヴィヴィオとの練習試合を終えて自宅に帰って来た時、アインハルトはかなり疲れている様子だった。しかし体力の消費具合とは裏腹に、その時の彼女はどこか違う表情をしていたのをイヴは覚えている。

 

『何か、良い事、あったの……?』

 

『……はい。少し、ありました』

 

その時のアインハルトは、いつものように笑ってはいなかったものの、どこか表情は穏やかだった。ヴィヴィオとの交流を経て、彼女の中で何かが変わったのかも知れないと、イヴはそう思っていた。しかし、現時点でのアインハルトは昨日の練習試合の疲れもまだ完全には取れていない。

 

(美味しい、ご飯……作って、あげなきゃ……!)

 

そんなアインハルトに、疲れが吹っ飛ぶような美味しいご飯を食べさせてあげたい。そう思ったイヴはフライパンの方に意識を集中させようとした。その時……

 

 

 

 

パリィンッ!!

 

 

 

 

「はわぅ!?」

 

「……!?」

 

食器棚の方からコップの割れる音と、アインハルトの可愛らしい悲鳴が聞こえて来た。それを聞いたイヴはすぐにフライパンの火を止めてアインハルトの方に振り向く。

 

「どう、したの……!?」

 

「す、すみません、ついうっかり……!」

 

どうやら食器棚からコップを取ろうとした際、寝惚けていた事で注意力が散漫していたのか、取ろうとしたのとは別のコップがアインハルトの手に当たって床に落ちてしまったようだ。コップの割れる音で意識が完全に覚醒したアインハルトが慌てて謝る中、イヴは足元に落ちているコップの破片に注意しながら、アインハルトの方に駆け寄って行く。

 

「怪我は、ない……?」

 

「怪我は大丈夫です。すみません、私が拾いますので……!」

 

「ううん……私も、拾うの、手伝うから」

 

「で、ですが、落としたのは私ですし……」

 

「気に、しないで」

 

イヴは持って来たビニール袋を広げ、指を怪我しないよう気を付けながらコップの破片をせっせと拾っていき、アインハルトも申し訳なさそうな表情を浮かべながらも破片を拾い上げていく。

 

「これで、良し、と……」

 

イヴは回収した破片の入ったビニール袋を結んで閉じようとする。しかしまだ、イヴの左隣に落ちている破片を回収できておらず、その事に気付いたアインハルトが声をかける。

 

「あの、イヴさん。そちらにまだ破片が……」

 

「え? どこ……?」

 

アインハルトに指差された方向に振り向いたイヴは、すぐそこにある破片を見つけようと、ほんの数秒ほど(・・・・・・・)探し回ってから、足元に落ちている破片を発見した。

 

「あ、あった……!」

 

「……?」

 

破片を発見できたイヴはホッとした様子で破片を拾い、ビニール袋に回収していく。その一連の流れを見て、アインハルトはイヴに対し、1つの小さな違和感を抱いていたのだった。

 

(気のせい、でしょうか……今、破片に気付くのがワンテンポ遅れていた(・・・・・・・・・・)ような……?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっほ、えっほ……!」

 

その後。朝食を取り終えたイヴはアインハルトが学校に向かって行った後、自身は新しいコップを買いに行く為に外出していた。ちなみにイヴから「今日1日は学校でも自宅でも自主トレ禁止」と強く言い渡された時、それを聞いたアインハルトがガーンとショックを受けていたのはここだけの話である。

 

(お、重い……ちょっと、買い過ぎた、かな……?)

 

そして新しいコップを買い終えた後、イヴは他にも野菜や果物などもいくつか購入しており、それらの入った重い紙袋も一緒に抱えながら頑張って運ぼうとしている。しかし、野菜や果物の値段が安かった事で調子に乗った彼女はいっぱい買ってしまったようで、その帰り道は荷物を運ぶので少し大変な状況だった。

 

「ぜぇ、ぜぇ、はぁ、はぁ……!」

 

元々、イヴはモンスターとの戦いでも数分でバテてしまうほど体力がない。おかげで腕が疲れたイヴは、途中で休憩を挟みながら移動しなければならなくなり、今も早速近くの電柱に背中を付けながら腕を休めているところだった。

 

(近道、しようかな……いや、それは駄目……!)

 

その際、近くの建物のガラスをチラ見するイヴだったが、そんな考えはすぐに首を振ってなかった事にする。そんなちっぽけな事でライダーの力を使っていたらウェイブからも怒られてしまう上に、そもそも現実世界の物質はミラーワールドに持ち込むと数分も経たずに消滅してしまう為、荷物を持ち込む事はできない。

 

「……自分で歩こう」

 

結果、自分の足で歩くしかないという結論に至り、イヴは荷物を持って移動を再開。ちょっとずつでも歩き続ければいずれアインハルトの家に辿り着けるとポジティブな思考を保ちながら、進んだ先にある曲がり角を左に曲がろうとした。しかし……

 

ドンッ

 

「あぅ……!?」

 

「痛って!」

 

曲がり角を曲がろうとしたイヴだったが、その曲がった先にいた人物と正面からぶつかった衝撃で倒れ、買い物袋を地面に落としてしまう。倒れたイヴはすぐに体を起こそうとしたが、自分の目の前に立っている人物達を見て表情が固まった。

 

「あ~あ、クソッ! コーヒー零れちまったじゃねぇか!」

 

「うわ、酷っでぇなこりゃ! 洗濯してもシミが残るんじゃねぇの?」

 

イヴの前に立っていたのは、ガラの悪い風貌をした男が2人。その内、左に立っているサングラスの男はイヴとぶつかった拍子に持っていたカップのコーヒーが零れたのか、彼が着ているシャツがコーヒーまみれになってしまっており、もう片方の金髪の男はわざとらしくオーバーな反応をしていた。

 

「あっ……ご、ごめんなさい……すぐに、拭きます……!」

 

「ごめんで済むかよ! これ結構高かったんだぞ? どうしてくれんだよテメェ?」

 

「ごめん、なさい、本当に、ごめんなさい……!」

 

慌ててハンカチで拭こうとするイヴだったが、男達はそれで済ませてくれそうにもなかった。特にコーヒーを零す羽目になってしまったサングラスの男は、サングラス越しにイヴを睨みつける。

 

「んん? 何だ、よく見りゃまだ餓鬼じゃねぇか。駄目じゃねぇか~。曲がり角は気を付けて歩きなさいって、親に教わらなかったのかぁ~?」

 

「ごめんなさい、ごめんなさい……!」

 

「おいおい嬢ちゃん、謝れば済むと思ってんのかぁ?」

 

「ていうかよぉ、何で餓鬼がこんな時間帯に街中出歩いてんだ? 学校はどうしたよ学校は」

 

「学校は、その……」

 

2人のガラの悪い男に言い詰められ、イヴは返答に困った様子でどんどん縮こまっていく。その時、金髪の男はイヴの顔をジーっと見ながらニヤリと笑みを浮かべ始めた。

 

「もしかして、学校サボって遊んでるってか? 悪い子だねぇ~」

 

「うぅ……!」

 

「弁償できないんだったらしょうがないなぁ~。別の方法で払って貰うしかないなぁ~?」

 

「マジか、お前ロリコンだったのかよ」

 

「えぇ~だってコイツ意外と可愛いじゃ~ん? 遊ぶ(・・)にはちょうど良いでしょ」

 

「え、え……?」

 

金髪の男がイヴの手首を掴み、自分達の方に引っ張り寄せる。イヴは何が何だかわからず反応に困っていた。

 

「仕方ねぇ。学校サボって遊んでいるような悪い子は、俺達大人がしっかり躾けてやらなきゃなぁ」

 

「え、あ、あの……!?」

 

「おら、さっさと来い! お兄さん達がお仕置き(・・・・)してやる……!」

 

「痛っ……は、離して……!!」

 

「うるせぇ、大人しくしろ!!」

 

「いっ……!?」

 

2人の男に無理やり引っ張られたイヴは抵抗しようとするも、サングラスの男に頬を強くビンタされ、その痛みから言葉を出せなくなってしまう。そのまま2人の男がイヴを路地裏に連れて行こうとした……その時。

 

 

 

 

 

 

「お待ちなさい!」

 

 

 

 

 

 

「「……あ?」」

 

「ッ……?」

 

そこに、堂々と待ったをかける人物が現れた。

 

「女の子1人に2人がかりだなんて、大の大人が恥ずかしいと思いませんの?」

 

男達が振り向いた先に立っていたのは、長い金髪が特徴的な気品ある雰囲気の少女。薄い水色のフリルが付いたロングスカートを身に纏い、豊満な胸の下で腕を組んだその少女は、男達の事を鋭い目で睨みつけている。

 

「あぁ? 誰だお前」

 

「関係ない奴が首突っ込んで来んじゃねぇよ」

 

「あらあら。随分と低俗な連中ですこと。弱い者いじめはみっともないと、親から教わらなかったのかしら?」

 

「言うじゃねぇか小娘が……!!」

 

「あぅ……!」

 

金髪の少女にお嬢様口調で挑発され、それに乗っかった男達はイヴを離して金髪の少女に迫ろうとする。

 

「へぇ、よく見りゃお前もメチャクチャ可愛いじゃねぇか……!」

 

「そこまで言うって事は、どんな目に遭っても良いって事だよなぁ?」

 

「……口で言っても無駄なようですわね」

 

金髪の少女が呆れた様子で溜め息をつくが、男達はそんな彼女の反応をスルーし、イヴの代わりに彼女で遊んでやろう(・・・・・・)と手を伸ばそうとした……が、それは不可能だった。

 

「!? 何……うぉわ!?」

 

「ぐぇえっ!?」

 

サングラスの男が金髪の少女に触れる寸前で、横から伸びた別の手がサングラスの男の手を掴み、強く捻り上げてから思いきり投げ飛ばした。投げ飛ばされたサングラスの男にぶつかって金髪の男も倒れる中、男達を薙ぎ倒した張本人である1人の執事服の男が、金髪の少女を守るようにスッと立ち塞がった。

 

「お下がり下さい、お嬢様」

 

「……えぇ、お任せしますわ。ゴローさん(・・・・・)

 

“ゴロー”という執事服の男の姿を見た金髪の少女は、ガラの悪い男達を睨んでいた時とは打って変わり、にこやかな表情で微笑む。一方で、薙ぎ倒された男達は舌打ちしながら立ち上がり、目の前に立っているゴローを睨みつけていた。

 

「クソが……覚悟はできてんだろうな……!!」

 

「半殺しにしてやらぁ!!」

 

「ッ……駄目、危ない……!!」

 

サングラスの男は折り畳み式ナイフを、金髪の男はメリケンサックを取り出し、それを見たイヴがゴローに向かって叫ぶ。しかしそんな状況下においても、ゴローは一切怯む様子を見せない。

 

「フゥゥゥゥゥ……ハッ」

 

ゴローは大きく息を吐いた後、すぐさま右手を斜め上に伸ばし、左手を腰に置いた状態で構えを取り、男達と正面から相対する。寡黙で不気味な雰囲気を醸し出しているゴローを前に、逆に男達の方が僅かに怯まされたが、それでも彼等は引き下がらない。

 

「くっ……死ねやぁ!!」

 

「……!!」

 

ゴローに威圧されて耐え切れなくなった金髪の男が、右手に構えたメリケンサックで殴りかかろうとする。しかしそれを難なくかわしたゴローは金髪の男を捕まえ、その腹部に容赦なく膝蹴りを喰らわせた。

 

「ぐぶぇ!?」

 

「テメェ……ぐぁっ!?」

 

金髪の男が攻撃されたのを見たサングラスの男もナイフを突き立てようとしたが、金髪の男を地面に倒したゴローはサングラスの男の腕を右手で掴み、そこに左手の拳を振り下ろしてナイフを叩き落とす。そのまま続けてサングラスの男の顔面にゴローの左手拳が炸裂し、サングラスがピシリと皹割れる。

 

「くそ、俺達の邪魔をするな!!」

 

「ッ……フン!!」

 

「おげぁっ!?」

 

「こ、この……ぐっ!?」

 

不意打ち気味に背後から殴りかかろうとした金髪の男も、それに気付いたゴローが蹴りを喰らわせて容赦なく吹っ飛ばす。そして顔面を殴られてフラフラになっているサングラスの男の腕を掴んだまま、ゴローはサングラスの男の首元と脇の下を両足で挟み込みながら回転し、十字固めの要領であっという間にその動きを封じ込んでしまった。

 

「痛ででででででで!?」

 

「無駄ですわ。あなた達では到底、彼を倒す事なんてできませんわよ?」

 

「ッ……凄い……」

 

男達がゴローによって一方的にやられていく光景を見て、金髪の少女は自慢げな様子で言い放ち、イヴはゴローの圧倒的な戦闘力を呆然とした様子で見ていた。その後も男達は攻撃しようとしてはゴローに返り討ちにされ、結果として男達の方がボコボコにやられてしまっていた。

 

「ぐ、ぐぞぉ……ッ!!」

 

「覚えてやがれぇ……痛でで……!!」

 

実力で敵わないとようやく悟ったのか、男達は顔面が酷く腫れ上がった状態でフラフラと立ち去って行く。それを見届けた金髪の少女はフンと小さく鼻で笑った後、一部始終を呆然とした様子で見ていたイヴの方へと歩み寄って行き、彼女のスッと右手を差し伸べた。

 

「大丈夫? 立てるかしら」

 

「あっ……あり、がとう、ございます」

 

イヴは差し伸べられた手を掴んでゆっくり立ち上がり、彼女に怪我がないとわかった金髪の少女は穏やかな表情で微笑んだ。するとそんな2人の傍に、両手を払ってから執事服を整えたゴローと、ゴローと同じく執事服を着た青髪の青年が歩み寄って来た。

 

「エドガー。荷物は拾い終わったかしら?」

 

「はい。しかしお嬢様、こちらのコップが……」

 

青髪の青年―――“エドガー”が差し出して来たのは、イヴがアインハルトの為に買った新しいコップ。地面に落とした衝撃で壊れてしまったのか、そのコップは罅割れてしまっており、その罅割れを見たイヴは悲しそうな表情を浮かべた。

 

「あっ……割れてる……」

 

「あら、いけない! すぐに新しい物を買わなくちゃ」

 

「では、私が向かいましょう。この柄の商品は見覚えがありますので」

 

「えぇ、頼むわよエドガー」

 

エドガーがまた新しいコップを購入しに向かう中、金髪の少女はイヴの着ている服の汚れを手で軽く払ってあげてから、近くのベンチに彼女を座らせてあげた。その間、野菜や果物などの食べ物が入った紙袋はゴローが両手で抱えている。

 

「怪我がなくて良かったわ。(わたくし)はヴィクトーリア・ダールグリュン。あなたの名前は?」

 

「あ、えっと……イヴ、です」

 

「そう。素敵な名前ね」

 

「あ、ありがとう、ございます……ヴィクトーリア、さん」

 

「ヴィクターで構わないわ。知人からもそう呼ばれてるから」

 

金髪の少女―――“ヴィクトーリア・ダールグリュン”こと“ヴィクター”はそう名乗ってから、乱れているイヴの髪型を両手で優しく整え始める。髪の毛を整える手付きに優しさを感じ取ったのか、イヴは目を細めながら少しずつヴィクターの方に身を委ねそうになるが、すぐにハッと我に返ってからヴィクターに謝罪する。

 

「ごめん、なさい……迷惑、かけて、しまって……」

 

「良いのよ。イヴも、1人でこれだけの荷物を持ち運ぶのは大変だったでしょう? 家はどこかしら? 荷物を運ぶのを手伝ってあげる」

 

「……荷物なら、俺が運びます」

 

「あ、ありがとう、ございます……」

 

ヴィクターとゴローにそう言われ、イヴは申し訳なさそうな表情を浮かべながらも素直に礼を述べる。それにヴィクターが優しく微笑み、ゴローもほんの僅かに口元に笑みを浮かべていた。

 

「ところで、イヴはどうしてこんな所に? 学校には行っていないの?」

 

「ッ……それは……」

 

ヴィクターが思い浮かべた純粋な疑問。普通だったらイヴくらいの年齢の子供は、今はまだ学校で授業を受けている時間帯であるはず。その事について問いかけて来たヴィクターに対し、イヴがその質問にどう答えるべきか返答に困っていた……その時だった。

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

 

 

「「「―――ッ!?」」」

 

3人の耳に、あの音が響き渡って来たのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ、痛てて……くそ、こんなはずじゃなかったのに……!」

 

「絶対許さねぇぞ、あの野郎にあの小娘……ッ!」

 

少し離れた位置にある駐車場。先程ゴローにボコボコにやられた男達はと言うと、腫れ上がった顔や蹴られた腹部などの痛みに耐えながらも、駐車場に停めていた車に乗り込もうとしていた。

 

しかし……

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

「「……ん?」」

 

ほんの些細な事で因縁をつけ、小さな女の子を連れ去ろうとした彼等には……悲惨な結末が待っていた。

 

「な、何だこの音―――」

 

『クカカカカカ!!』

 

「「へ……う、うわぁぁぁぁぁぁっ!?」」

 

男達が乗り込もうとしていた車。そのフロントガラスから飛び出して来たシェルクリッパーが男達を捕まえ、男達は悲鳴を上げながらフロントガラスの中に吸い込まれて行ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ッ……こんな時に……!!)

 

そして場所は戻り。モンスターの接近を察知したイヴはすぐにベンチから立ち上がり、鏡やガラスのある場所まで走って向かおうとするが、それを見たヴィクターが慌てて彼女の手を掴む。

 

「な、ちょっとイヴ!? どこに行くつもり!?」

 

「ごめん、なさい……私、行かなくちゃ……!!」

 

「何を……ちょ、イヴ!! 待ちなさい!!」

 

イヴはヴィクターの手を振り払ってから駆け出し、ヴィクターとゴローも慌ててその後を追いかける。それからイヴは近くの路地裏に入り込み、建物のガラスを見つけてその前に立ってからカードデッキを取り出す。

 

戦闘形態(バトルモード)……!!」

 

イヴの姿が一瞬にして変化し、大人の姿になった彼女の全身を水色のドレス状のバリアジャケットが包み込む。そしてカードデッキを目の前のガラスに突き出した時、その姿を後ろから追いかけて来ていたヴィクターとゴローが目撃していた。

 

「!! お嬢様、あれは……」

 

「イヴ……!? まさか、あの子も……!?」

 

「変身……!!」

 

2人が驚愕する中、イヴはその場でクルリと回転し、ポーズを決めてからカードデッキをベルトに装填。その姿を仮面ライダーイーラに変えてから、彼女はガラスを通じてミラーワールドに突入していく。そこにヴィクターとゴローが駆けつけ、ヴィクターがイーラの突入して行ったガラスに触れる。

 

「ゴローさん……!!」

 

「……俺も行きます」

 

ゴローは執事服のポケットから、牛のエンブレムが刻まれた緑色のカードデッキを取り出し、それをガラスに向かって突き出した。それを見たヴィクターがガラスから離れる中、腰にもベルトを装着したゴローは右手の握り拳を左から右に力強く振ってから止め、ベルトにカードデッキを装填する。

 

「変身……!!」

 

カードデッキを装填したゴローは両腕を広げて構え、その全身に鏡像が重なり合っていく。その姿は機械的な意匠を持った緑色の戦士―――“仮面ライダーゾルダ”へと変化し、ゾルダはヴィクターの方を一目向いてからすぐにガラスの中へ飛び込んで行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪SWORD VENT≫

 

「はぁっ!!」

 

『クカカカカカ……!!』

 

ミラーワールド、とある駐車場。現実世界から男達を引き摺り込んで捕食し終えたばかりのシェルクリッパーに対し、イーラは召喚したデモンセイバーを構えて突撃していた。イーラの振り下ろしたデモンセイバーはシェルクリッパーのボディを斬りつけるが、シェルクリッパーはヘッチャラな様子だった。

 

『クカ?』

 

「!? この……!!」

 

その後もイーラはデモンセイバーで何度も斬りつけたが、シェルクリッパーのボディを守っている頑丈な貝殻は傷一つ付いておらず、一向にダメージを与えられないでいる。痺れを切らしたシェルクリッパーはイーラのデモンセイバーを弾き落とし、彼女の腹部に拳を叩き込んだ。

 

『クカカッ!!』

 

「うっ……うあぁ!?」

 

更に蹴りつけられたイーラが地面に倒れ、シェルクリッパーは頭部の白い真珠を光らせ、複数のエネルギー弾を彼女目掛けて連射。それを見たイーラは左に転がって回避しようとするも、連射して来たエネルギー弾を完全には回避し切れず、イーラの胸部に数発ほど命中してしまった。

 

「く、あぁぁぁぁぁっ!?」

 

『クカカカカカ……!!』

 

ダメージを受けてしまったイーラがその場に膝を突き、シェルクリッパーがそんな彼女にトドメを刺すべくジリジリと迫り来る。傷付いたイーラは立ち上がろうとするも、両膝に上手く力が入らず、地面に両手を付く事で倒れそうな体を支える事しかできない……その時。

 

 

 

 

 

 

ドガァッ!!

 

 

 

 

 

 

『!? クカァッ!?』

 

イーラに飛びかかろうとしたシェルクリッパーが、1台のライドシューターに刎ね飛ばされたのは。

 

「……え?」

 

刎ね飛ばされたシェルクリッパーが地面を転がる中、イーラのすぐ近くに停車したライドシューターはその屋根が開いて行き、中に乗っていた戦士の姿を露わにさせた。

 

「!? 仮面、ライダー……?」

 

「……」

 

ライドシューターから降りて来たのは、ゴローが変身した戦士―――仮面ライダーゾルダ。彼はイーラの方をチラリとだけ見た後、すぐにシェルクリッパーの方に視線を向け、立ち上がったシェルクリッパーは刎ね飛ばされた怒りからゾルダに向かって駆け出して来た。

 

『クカカカカッ!!』

 

「……!!」

 

ゾルダはベルトの右腰に取り付けていた拳銃型の召喚機―――“機召銃(きしょうじゅう)マグナバイザー”を右手で取り外し、すかさずシェルクリッパーに向かって銃撃を繰り出す。しかしシェルクリッパーは彼の銃撃を受けてもなお怯む様子はなく、すぐ目の前まで迫って来た事でゾルダは銃撃をやめ、振るわれて来た拳をかわしてからシェルクリッパーの顔面を殴りつける。

 

『ッ……クカカカ!!』

 

「!? くっ……!!」

 

顔面を殴られてもダメージがないのか、シェルクリッパーは逆にゾルダの顔面を殴りつけて来た。そこから連続で殴りつけて来たシェルクリッパーの攻撃を、ゾルダは一歩一歩下がりながら的確に防いでいく。

 

「ッ……フン!!」

 

『クカ!?』

 

そして蹴りかかって来たシェルクリッパーの右足を掴んだゾルダは、そのまま体を回転させてシェルクリッパーを地面に転倒させる。シェルクリッパーが倒れてすぐに起き上がれない中、その隙に距離を取ったゾルダはマグナバイザーの銃身のスロットルレバーを引いてマガジンスロット部の装填口を開いた後、カードデッキから引き抜いた1枚のカードを装填口に差し込み、スロット部を閉じる。

 

≪SHOOT VENT≫

 

「フッ……!!」

 

電子音と共に、マグナバイザーを右腰に戻したゾルダは両手を伸ばし、どこからか飛んで来た大型の大砲―――“ギガランチャー”をキャッチ。その重い砲身を支えながら、ゾルダはギガランチャーの砲口を倒れているシェルクリッパーにゆっくり向けていく。

 

「!? 大砲……!?」

 

『クカカカカ……クカァッ!!』

 

ゾルダの召喚したギガランチャーを見てイーラが驚く中、何とか立ち上がったシェルクリッパーはギガランチャーを見て本能的にヤバいと察したのか、クルリと背を向けてその場から逃げ去ろうとした……が。

 

「フンッ!!」

 

ズドォンッ!!

 

『グカアァッ!?』

 

ギガランチャーから放たれた砲弾は、跳躍して逃げようとしたシェルクリッパーの背中を正確に捉えた。背中に砲弾を受けたシェルクリッパーは地面に落下した後、その身を守っていたはずの貝殻がピシリと罅割れ、それを見たゾルダはすかさず2発目を発射する。

 

『クカァ!?』

 

「ハァ……!!」

 

『ク、クカ、グガ……ッ!!』

 

2発目が命中し、シェルクリッパーの殻が更に罅割れていく。そしてゾルダもまた、2発で駄目なら3発、3発で駄目なら4発と連続で砲弾を撃ち込み、シェルクリッパーの殻の罅割れを大きくしていく。そして……

 

『ク、カカ……グガァァァァァァァァァァァッ!!?』

 

ドガァァァァァァァァンッ!!!

 

ギガランチャーから放たれた5発目の砲弾で、罅割れた殻が完全に粉砕され、シェルクリッパーは断末魔と共にその場で呆気なく爆散。シェルクリッパーが跡形もなく消滅したのを見て、ゾルダは構えていたギガランチャーをゆっくり降ろし、今までの戦いを見ていたイーラの方に振り向いた。

 

「あなたは、誰……ッ……?」

 

突如イーラの前に現れた謎の戦士、仮面ライダーゾルダ。その正体を知らないイーラはその素性を問いかけようとしたが、その前に体力の限界を迎えたイーラは体がグラつき、ドサリと地面に倒れ伏してしまった。それを見たゾルダは慌ててギガランチャーを放り捨て、イーラの元まで駆け寄った。

 

「大丈夫……!?」

 

ゾルダが呼びかけても、イーラの返事はない。ゾルダはすぐに彼女の体を起こし、彼女に自身の肩を貸しながらミラーワールドを後にしていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その様子を、建物の屋根から見下ろしているモンスターがいた。

 

『クカカカカ……』

 

右腕に巻貝のような形状のドリルを装備した巻貝のような怪物―――“シェルツイスター”は、ゾルダがイーラを連れて立ち去って行く姿を見届けた後、すぐにその場から跳躍し、姿を消すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「! ゴローさん……!」

 

「お嬢様……ただいま、戻りました」

 

その後、ゾルダはイーラを連れてガラスから飛び出し、ヴィクターの待っている現実世界へと帰還。ヴィクターが心配そうな表情で駆け寄って来る中、ゾルダは変身を解除してゴローの姿に戻り、イーラもまた自動で変身が解けてイヴの姿に戻った後、全身が一瞬光ってから大人モードの変身も解け、子供の姿になった。

 

「ッ……まさか、この子もライダーだっただなんて……」

 

「……今は疲れて眠っているみたいです。命に別状はないかと」

 

「それなら良かった……ゴローさん、リムジンを回して貰えますか? エドガーと合流した後、一度屋敷までこの子を連れて行きましょう」

 

「わかりました。すぐに回して来ます」

 

ゴローはイヴの事をヴィクターに任せた後、リムジンを用意するべくその場から移動する。彼がリムジンを回して来るまでの間、先程まで座っていたベンチまでイヴを運んだヴィクターは、イヴに膝枕をしながら彼女の寝顔を見下ろす。

 

「イヴ……あなたまで、どうしてライダーに……?」

 

ヴィクターは心配そうな表情を浮かべながら、イヴの前髪を優しく掻き分ける。彼女の小さな呟きは、眠っているイヴの耳に届く事はなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎ViVid!


ウェイブ「あれ、イヴちゃんまだ戻って来てないの?」

ヴィクター「イヴ、あなたひょっとして……」

シェルツイスター『クカカカカッ!!』

ゴロー「俺も、君を手伝うから……!」

夏希「!? お前は……!!」


戦わなければ生き残れない!
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