リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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第14話、更新しました。





いやぁ~昨日は色々な意味でライダー祭りでしたね。

・ジオウ

ゲイツ君、追いかけるならまず茶碗としゃもじを置いて行きなさいww

・シノビ

紅芭ちゃんカワユス、異論は認めない←

・龍騎

て、手塚……手塚お前ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!





……はい、衝撃的な展開があったせいで作者は現在、乾いた笑いしか出ておりません。

取り敢えずこのリリカル龍騎については、今の路線のままでまっすぐ突っ走って行く事を心から誓わせて貰う結果となりました←





さて、第2回オリジナルライダー募集で選ばせて頂いた読者考案ライダー……まずはその1人目が今回から参戦します。

それではどうぞ。



第14話 老兵ライダー

「う、ぅ~ん……!」

 

ヴィクター達と別れてから翌日。この日もイヴは早起きして朝食を作る為に、眠気を我慢してベッドから起き上がろうとしていた。ベッドから立ち上がりグッと背伸びをした後、いつも通り台所に向かおうとする彼女だったが、今回はその前にやらなければならない事があった。

 

それは……

 

「あっ……いけない、いけない……!」

 

ベッドの枕元のすぐ近くにある小さな棚。イヴはその上に置かれている目覚まし時計……ではなく、その隣に置かれている黒いハーフフレームの眼鏡を手に取り、それを目元にかけてから指先でクイッと位置を固定する。

 

「……うん、バッチリ」

 

この眼鏡こそ、先日ヴィクター達に連れられた眼鏡屋で購入したイヴ専用の眼鏡だった。左目の視力が極端に弱いイヴの為に、左目のレンズだけが彼女の視力に合わせた専用のレンズを付けられており、逆に視力が正常である右目の方は伊達レンズになっている。この新たに購入した眼鏡の便利さに、初めて購入した時のイヴは自分の左目が正常に視える事に感動するほどだった。

 

「イヴさん、おはようございます」

 

「! おはよう、アインハルトちゃん……」

 

そんなこんなで、眼鏡を手に入れた事で調子が良くなったイヴは今、家事も今まで以上にスムーズにこなせるようになっていた。朝食を作っている現在も特に手間取る様子もなくご機嫌なイヴの元に、パジャマ姿のアインハルトが挨拶する。

 

「あ、今日もかけてるんですね。イヴさん」

 

「うん……買って貰った、眼鏡……ちゃんと、視える……!」

 

「そうですか。素敵な眼鏡ですね」

 

ちなみに昨日、イヴが眼鏡をかけてアインアルトの家に帰って来た時、事情を知らないアインハルトは眼鏡をかけたイヴを見て何事かと両目をパチクリさせていた。そこにウェイブが事情を明かし、イヴの左目がちゃんと視えていなかった事を初めて知ったアインハルトは、これまでイヴが時折見せていたぎこちない動作の原因がわかって納得し、そしてその事に気付いてあげられなかった事をイヴに謝罪したという。

 

「アインハルトちゃん、は、今日も、学校……?」

 

「はい。イヴさんは……確か、1人での外出を禁じられたんでしたっけ」

 

「うっ……その、通り、です」

 

アインハルトは眼鏡の件と一緒に、イヴが危うく誘拐されそうになった件についてもウェイブから一通り聞かされていた。自分の知らないところでイヴが危ない目に遭っていたと知り、流石のアインハルトも今回ばかりは本気でイヴの事が心配になったという。

 

「では、ウェイブさんが来るまで家で待っていて下さい。1人で出歩くと危ないですから」

 

「うん……そう、します……」

 

夜中に路上喧嘩をやっていた君がそれを言っちゃうのか。ウェイブがこの場にいたらほぼ間違いなくそんな突っ込みが飛んでいたかも知れないが、残念ながらそんな突っ込みをしてくれるウェイブは不在である為、アインハルトの言葉に突っ込んでくれる者はいない。

 

(この子は、純粋過ぎる……)

 

今、アインハルトの目の前で完成した朝食を美味しそうに食べているイヴ。しかし純粋故に、他人に対する警戒心もいくらか薄いようにも見える。モンスターとの戦いではライダーとして存分に力を振るっているイヴも、長時間戦えるほどの体力はなく、生身の状態に至っては大の大人によって簡単に誘拐されかけているほど。ウェイブが不安に思うのもアインハルトは納得できていた。

 

(確かに、1人にするのは危険かもしれない……この子の事も、守れるようにならなければ……!)

 

そんな不安要素を抱えているイヴの事も、この手で守れるくらい強くなりたい。イヴの知らないところで、アインハルトが強さを求める理由の1つに、いつの間にかイヴの存在も少なからず関係するようになっていた。改めて決意したような表情を浮かべながらソーセージを頬張るアインハルトに、イヴは頭にクエスチョンマークを浮かべつつ味噌汁を口にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、無限書庫管理室では……

 

 

 

 

 

「北岡秀一?」

 

この日も無重力空間の中でフワフワ浮遊しながら、手塚はユーノと共に職務に励んでいるところだった。空間に投影された画面をパソコンのように操作していた手塚は、夏希が先日出会った戦士―――仮面ライダーゾルダについてユーノにも詳しく説明する。

 

「夏希さんの言ってた、元いた世界で有名だった弁護士さんだっけ」

 

「あぁ……と言っても、有名だったのは悪名の方だったがな」

 

北岡秀一(きたおかしゅういち)。手塚と夏希が元々存在していた地球で、有罪(クロ)無罪(シロ)にしてしまうスーパー弁護士として有名だった男。しかしその素性は、弁護相手に法外な報酬を平気で請求して来る悪徳弁護士であり、金の支払いさえ良ければ重罪人であっても弁護して無罪にしてしまう為、他の弁護士や被害者側からの評判はすこぶる悪い。おまけの北岡自身の性格も、かなりの高飛車かつ自己中心的なナルシストで、いくら仕事面では非常に優秀だったとしても、その最悪な態度のせいで彼を快く思っていない人間も多いのだ。

 

「犯人側が奴に弁護を依頼するという事は、自分が罪を犯していると認めるようなものだからな。被害者側から見れば一種の開き直りでもある」

 

「うわぁ、嫌なタイプの人だねぇ……そんな奴でも、浅倉を懲役10年に留めてしまうのは凄い手腕だよね」

 

「確かに、奴はあくまで仕事で弁護をしているだけだ……しかし、それで『はいそうですか』と被害者側が納得できるかと言えばそうでもない。理解と納得は違うからな」

 

死刑になってもおかしくないほどの罪を犯しても、反省の色を全く見せない犯人。その犯人が北岡に弁護して貰うだけで簡単に死刑を免れ、何食わぬ顔で被害者側の前に再びその素顔を見せるのだ。夏希でなくても、被害者側からすれば溜まったものではないだろう。

 

「じゃあ夏希さんは、今もその北岡って人を恨んでるって事か……でも、浅倉との因縁に決着が付いて、夏希さんもいくらか落ち着いたんだよね。今の彼女なら別に、わざわざ復讐に走ったりはしないんじゃ?」

 

「俺もそうであって欲しいとは願っている。だが結局のところ、夏希の心は夏希にしかわからない。アイツも、今頃荒れていなければ良いんだが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その2人に噂されている夏希は今……

 

 

 

 

 

「……」

 

ランスター家の自宅にて、自室のベッドに寝転がりながら求人情報の雑誌を眺めている真っ最中だった。しかしその表情は今もなお不機嫌そうであり、雑誌のページを1枚捲るたびに夏希の心の中では、昨日の出来事に対する苛立ちの感情が増しつつあった。

 

「……あぁ~もう駄目だ、何かムカつく!!」

 

とうとう雑誌を乱暴に放り投げてしまい、夏希はベッドの枕に勢い良く顔を突っ伏す。つい最近までやっていたバイトをクビにされた以上、本当なら少しでも早く新しいバイトを見つけなければならないのだが、今の夏希はとてもではないが仕事を探す気分にはなれなかった。

 

「くっそ……これも全部アイツのせいだ」

 

モンスターとの戦いの中、自身を助けるように現れた北岡秀一こと仮面ライダーゾルダ。夏希がゾルダに助けられるのは実はこれで三度目となるのだが、それは夏希の中で北岡への恨みが消える要因にはならなかった。

 

(どいつもこいつも……何で嫌な奴ばかりアタシの前に現れるんだ……!)

 

JS事件で浅倉と、アスターの事件でリュウガと、そして今回はモンスターとの戦闘で遭遇したゾルダ。自分にとって因縁のある者達が次々とミッドに現れているこの状況に、更に苛立った夏希は突っ伏していた枕から目線だけを覗かせる。

 

 

 

 

『やめて……この人は、私を、助けてくれた……恩人だから……!!』

 

 

 

 

「……ッ」

 

あの時、ゾルダを「恩人」と称して庇ったイーラ。もし彼女があの場にいなかったら、殺しはせずとも、きっと本気で殴りにかかるくらいの事はしていたかも知れない。

 

「……だからって……簡単に許せるかよ……浅倉の奴が、どれだけ被害を出したと思ってるんだ……!」

 

夏希が北岡を恨んでいる理由は、姉の仇である浅倉を弁護した事だけではない。夏希の姉以外にも、浅倉が起こした傷害事件によって命を奪われたり、死なずとも何かしらの障害が体に残ってしまい、それが原因で夢を失う羽目になってしまった者だっている。そういった人生を台無しにされた者達の無念を、今の夏希は知っている。知っているからこそ、そんな被害者達を増やしていった浅倉を弁護した北岡の事が、夏希は許せなかった。

 

ピリリリリ!

 

「……!」

 

その時、ベッドの枕元に置いてあった通信端末が鳴り出し、夏希はそれを手に取り画面を映し出す。画面には受信したメールの文章が映し出される。

 

『夏希ちゃんへ また一緒にスイーツ食べに行かへん? 今回はシグナムも一緒やで』

 

(! はやて……)

 

メールの送り主は、かつて機動六課の部隊長として共に戦った八神はやて。あの熾烈な戦いを経て友人関係となった彼女とは、休日に美味しいスイーツを求めて様々な洋菓子店を巡ったりなど、現在も楽しい時間を過ごしているようだが、今回もそのお誘いのようだった。

 

(……今は、良いかな)

 

しかし今の夏希は、とてもじゃないがスイーツ巡りをする気分にはなれない。彼女は「ごめん、今日はやめとく」とだけ文字を打ち込んで返信した後、通信端末を掛け布団の上に放り、夏希は仰向けの状態になって天井を見上げた。

 

「はぁ……ほんと、最悪な気分」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありゃま、断られてしもうたで」

 

「珍しいですね。あの白鳥が美味いスイーツと聞いて断るなんて」

 

同時刻。せっかくの休日という事で外出をしていたはやてとシグナムは、必要な日用品を買い終えた後、たまたま通りかかったファミレスで昼食を済ませようとしていた。そこではちょうど新メニューの美味しいスイーツが食べられると知り、はやてはスイーツ巡り仲間である夏希も昼食に誘おうとしたのだが、その夏希からは断りの返信を返されてしまい、現在に至る。

 

「バイトで忙しいのかもしれません。私達だけで食べましょう、主はやて」

 

「う~ん、残念やけど仕方あらへんな。せっかく新メニューとして登場した和風スイーツ、私達でじっくり味わおうやないか」

 

「和風スイーツ……抹茶風味とは、少し興味がありますね」

 

「お? 意外や、シグナムもスイーツの興味があったなんて」

 

「甘さが控えめであれば、私だって食べる事はありますよ」

 

そんな他愛のない会話をしながら、はやてとシグナムは昼食ついでにその和風スイーツを食べてみようと、ファミレスに入って行こうとした……が、その歩みは途中で止まる事となる。

 

「誰かぁー!!」

 

「「……!?」」

 

はやてとシグナムの耳に聞こえて来た、甲高い女性の叫び声。それを聞いて振り返った2人の視界には、豪華そうなカバンを抱えながら走っている覆面の男と、その後ろで覆面の男を指差しながら叫んでいる女性の姿があった。

 

「ひったくりよ、誰か捕まえてぇー!!」

 

「! 主はやて……」

 

「ん、これは見逃す訳にはいかへんなぁ……!」

 

街の平和を守る局員の身として、目の前で起こっている犯罪を見逃す訳にはいかない。すぐにはやてとシグナムはひったくり犯を捕まえるべく動き出したが、彼女達とひったくり犯の間にはかなりの距離があり、今から追いつくのは決して容易ではない。

 

「こらぁー、そこの人ー!! 止まりなさーい!!」

 

「チッ……どけ、邪魔だ!!」

 

「うわっと!?」

 

はやてとシグナムが追いかけて来ている事に気付いたひったくり犯は舌打ちし、通行人達を無理やり押し退けながら必死に逃げ続ける。そんな彼の前方では、大きな黒い登山リュックを背負った白髪の老人が歩いていた。

 

「む、何じゃ……?」

 

「くそ……邪魔だジジイ、そこをどけぇ!!」

 

「!? 危ない!!」

 

「……ふむ」

 

ひったくり犯が走って来ている事に白髪の老人が気付く中、ひったくり犯は逃走の邪魔になっているその老人を脅して退けようとしたのか、取り出したナイフを構えて老人に向かって迫って行き、それを見たはやてが老人に向かって叫ぶ。しかし老人は逃げるどころか、背負っていた登山リュックを足元に降ろした後……

 

「ぬぅん!!」

 

「え……げふぁあ!?」

 

突き出して来た右腕に老人の拳が叩きつけられ、ナイフが地面に落ちる。それを見たひったくり犯の動きが一瞬だけ止まったのを老人は見逃さず、すぐさま両手でひったくり犯の腕を掴み取り、背負い投げを繰り出して勢い良く投げ飛ばしてしまった。

 

「「……え?」」

 

「ふん、物騒な輩じゃのぉ。老人に向かってナイフを突きつけるとは」

 

「ぐ、がは……ッ……!?」

 

その光景を見たはやてとシグナムが唖然とする中、白髪の老人は顎鬚を指先で撫でながら、自身が投げ飛ばしたひったくり犯を見下ろす。ひったくり犯もまさかこんな老人に背負い投げされるとは思っていなかったのか、信じられないと言った様子の表情を浮かべながら、背中から地面に叩きつけられた激痛に苦しんでいた。

 

「おぉ、そこのお嬢さん。こやつを取り押さえるのを少し手伝ってくれんかの?」

 

「へ? は、はい!!」

 

「す、すぐに!!」

 

白髪の老人に呼びかけられ、ハッと我に返ったはやてとシグナムはすぐにひったくり犯の確保に動く。それから数分後には通報を受けた局員が大急ぎで到着した為、ひったくり犯は無事に捕まり、盗まれそうになっていたカバンは持ち主の元に返される事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、とある釣り堀では……

 

 

 

 

 

「なぁ、そっちは何か釣れたか? こっちはもう4匹目だけど」

 

「いやぁ、全然駄目だな。今日は調子が悪いみてぇだ」

 

水面に釣り竿を垂らしながら、2人の男性が談笑しているところだった。1人は4匹目を釣り上げた事でご機嫌な様子だったが、もう1人の方はほとんど釣れておらず、退屈そうな様子で魚がかかるのを待っている。

 

「あ、いけね。新しい餌を用意しとくの忘れてた。ちょっと取って来るわ」

 

「おう」

 

その後、既に4匹釣り上げた男性がなくなった餌を補充する為にその場を離れる。残ったもう1人の男性は早く魚がかからないものかと、静かに水面を眺め続けていた……その時だった。

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

「……ん?」

 

そんな男性の耳に聞こえて来た金切り音。男性は何の音かと周囲を見渡すが、その音の正体は……彼が釣り竿を垂らしている水面に映り込んでいた。

 

ザバァッ!!

 

『ハァッ!!』

 

「へ? うわぁ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よ~う、お待たせ~……って、あれ?」

 

それから数十秒後。新しい餌の入った入れ物を持って来た男性だったが、そこにはもう1人の男性の姿がなく、水面に垂らされたままの釣り竿が放置されていたという。

 

「どこ行ったんだアイツ、トイレか……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、すまんの。わざわざ手伝わせてしもうて」

 

「い、いえいえ!! こちらこそ、ひったくりの確保にご協力頂き感謝します!!」

 

ひったくり犯が連行された後。はやてとシグナムはひったくり犯の確保に貢献した白髪の老人と一緒に、先程入ろうとしていたファミレスにやって来ていた。老人はひったくり犯を投げ飛ばした時とは打って変わり、現在ははやて達と一緒に食べている和風スイーツの味に明るい笑顔を浮かべている。

 

「失礼。先程の投げ技、無駄のない洗練された動きでした。あなたは一体……?」

 

「なに、そんな大した事でもない。軍人として鍛え上げたこの肉体も、今はもうだいぶ衰えてきとるしの」

 

「軍人? 過去に従軍の経験がおありで?」

 

「それも昔の話じゃ。今はもう隠居して他にやる事のない、ただの老いぼれジジイじゃよ」

 

(ただの老いぼれジジイって……とてもそんな風には見えないんやけどなぁ……)

 

ひったくり犯を確保する際に見せた背負い投げの動きは、どう見ても素人の物ではない。ホッホッホと笑いながら抹茶ソースのかかったスイーツを口にする老人に、はやては苦笑いを浮かべながらも同じくスイーツを口にする。

 

「そ、それにしても随分重たそうな荷物ですね。どこかに出かけてる最中でしょうか?」

 

「ん? あぁ、普段はミッドのあちこちを旅していてな。夜は山の中に籠って野宿しながら、日課であるトレーニングをこなすくらいの事しかしとらんよ」

 

「おぉ、なんて逞しい……そういえば、あなたの名前は? 私は八神はやてと言います」

 

「私はシグナムと申します」

 

「む? おぉいかんいかん、そういえばまだ名前を名乗っとらんかったな……儂は山岡吉兵。呑気に旅をしておるだけの老いぼれジジイじゃ。よろしくのぉ、お嬢さん方」

 

((……ん?))

 

白髪の老人―――“山岡吉兵(やまおかきっぺい)”はそう名乗った。彼の名前を聞いた時、はやてとシグナムの脳裏にはある疑問が生じた。

 

(日本人名かぁ……)

 

(主はやて、もしかすると彼は……)

 

手塚や夏希と同じ、日本人名を名乗った事。はやてとシグナムは何か関係があるのではないかと踏んでいるのだが、それについて2人が問いかける前に、山岡は「おぉそうじゃ」と手をポンと叩きながら話を切り替えた。

 

「そちらのお嬢さん、八神はやてと言ったかの?」

 

「へ? あ、はい」

 

「いきなりですまないんじゃが、実は少し聞きたい事があるんじゃ。構わんかの?」

 

「はい。どうかしましたか?」

 

山岡が聞きたい事とは何なのか。はやてが首を傾げながら山岡の質問を待っていると、山岡は和風スイーツを食べていたフォークを置き、懐から何かを取り出そうとする。

 

「もしやお嬢さん、儂と同じ地球の出身かの?」

 

「! は、はい、そうですけど……」

 

「そう聞くという事は……もしや、山岡殿も?」

 

「うむ。同じ地球出身の人間として、どうしても知りたい事があるんじゃ。お前さんなら、これを見ればわかるじゃろう」

 

山岡が懐から取り出し、テーブルの上に置いた物。それを見たはやてとシグナムは同時に目を見開いた。

 

「!? それは……!!」

 

「カードデッキ……どうしてあなたが……!?」

 

それは、恐竜の顔を象ったエンブレムが存在するカードデッキだった。山岡の正体が仮面ライダーではないかという2人の予想は見事的中する事となり、山岡は話を続ける。

 

「やはり、お前さん達も知っておったか……同じライダーの身(・・・・・・・・)として、そちらのお嬢さんにはこの世界の事でいくつか聞きたい事があるんじゃ。お前さんはこの世界についてどれだけ知っておる?」

 

(? ……あぁ、そういう事やな)

 

同じライダーの身(・・・・・・・・)として。山岡のその言い方に違和感を感じるはやてだったが、はやてはその理由がすぐにわかった。

 

山岡は、はやても自分と同じ仮面ライダーだと勘違いしている。

 

同じ日本人名を名乗った事で、山岡は同じ日本人名である八神はやても仮面ライダーだと勘違いし、それでこんな質問をして来たのだろう。恐らく自分と同じライダーに対して、このミッドチルダがどんな世界なのかを聞いてみたかったのかもしれない。

 

「えっと、山岡さん。私は確かに地球の出身ですが、私自身は別にライダーではないんです」

 

「む、そうなのかね?」

 

「はい。ですが私達でも、山岡殿の質問にある程度なら答えられると思います」

 

「詳しく話すとなると、長くなってしまいますが……」

 

はやてとシグナムが丁寧に説明しようとした……が、そんな時だった。

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

「「「―――ッ!?」」」

 

3人の耳に、モンスターの接近を知らせる金切り音が聞こえて来た。3人は表情が一変し、山岡はテーブルに置いたカードデッキを手に取りすぐに立ち上がる。

 

「すまぬがお嬢さん方、話はまた後じゃ。儂は行かねばならん」

 

「しかし山岡殿! ご老体が無理をされては……」

 

「心配はいらぬよ。確かに今はもう戦場から退いた身じゃが……モンスター1匹に後れを取るほど、儂も落ちぶれたつもりはない」

 

そう言って、山岡はその場から移動して男性用トイレまで直行。男性用トイレの扉を閉めた後、手洗い場の前に設置されている鏡に向かってカードデッキを持った左手を上に、掌の開いた右手を下にした状態で動物の口のように正面に突き出し、出現したベルトを腰に装着する。

 

「変身……!!」

 

山岡は突き出した左手と右手を素早く上下逆に回転させた後、カードデッキを握った左手を左腰に、開いたままの右手は右腰に素早く移動させ、左手のカードデッキをベルトに装填。山岡は正面でクロスさせた両腕をゆっくり腰に下げて行きながら、その全身に複数の鏡像が重なり、恐竜の意匠を持った戦士―――“仮面ライダーホロ”への変身を完了させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『フゥゥゥゥゥゥ……!』

 

そしてミラーワールド、とある川岸。水面に映り込んでいる通行人の女性を見て、青色の機械的なボディを持ったトビウオ型の怪物―――“ボランスナイパー”は狙いを定め、照準器のような赤い1つ目をギラリと光らせながら女性を捕縛しに向かおうとする。

 

『!? ヌッ……!!』

 

そんなボランスナイパーの前に、1台のライドシューターが停車する。素早く後ろに下がったボランスナイパーがその手に持っていたスナイパーライフルを構える中、ライドシューターの屋根を開いたホロはゆっくり降りた後、左腰のホルスターに納めている銃刀型の召喚機―――“恐召銃刀(きょうしょうじゅうとう)ディノバイザー”を引き抜く。

 

「ほぉ、同じ狙撃手型かの……?」

 

≪SCOPE VENT≫

 

ホロはディノバイザーのグリップ部分の装填口を開き、デッキから引き抜いたカードを差し込み装填。どこからか飛来したゴーグル型のパーツ―――“ディノゴーグル”が頭部に装着され、ホロはそれを目元まで降ろしてから照準越しにボランスナイパーを睨みつける。

 

『ヌゥゥゥゥ……フンッ!!』

 

「さて、狩らせて貰うとしようかのぉ……!!」

 

ボランスナイパーは構えていたスナイパーライフルの引き鉄を引き、ホロもディノバイザーの引き鉄を引いて弾丸を発射。両者同時に発射した弾丸が相殺され、それにより飛び散る火花を合図に戦闘を開始するのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎ViVid!


はやて「大丈夫ですか!?」

山岡「やはり、歳は取りたくないものじゃなぁ……ッ!!」

手塚「共に戦いましょう。守るべき物の為に」

???「お前は倒す……僕がこの手で……!!」


戦わなければ生き残れない!
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