リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

129 / 160
第17話の更新です。

さて、前回から登場した仮面ライダータイガがいよいよ本格的な戦闘に入ります。
そしてそのタイガに変身する人物について。まぁ皆さんも既にお気付きかと思いますが、その正体はもちろん東條ではありません。変身者の名前は今回判明します。

続々とライダーが参戦する中、未だ確執の残っているファムとゾルダの関係や如何に?

あ、ちなみに今回は後書きの次回予告もちょこっとだけ演出を変えてみました。今回の挿入BGMを見たら、わかる人はすぐにわかると思います。

それではどうぞ。











序盤の戦闘挿入歌:果てなき希望

後半の戦闘挿入歌:Revolution




























次回予告BGM(※):Go! Now! ~Alive A life neo~

※ラストシーンから次回予告にかけて脳内再生してみて下さい。












第17話 タイガ参戦

「ふん、はぁっ!!」

 

『グギィッ!?』

 

下から振り上げられたデストバイザーで斬りつけられ、地面を転がされるトルパネラ・ソード。そこにタイガがデストバイザーを振り下ろし、トルパネラ・ソードの胴体に何度も叩きつける。

 

『ッ……ギギァ!!』

 

「くっ……!?」

 

しかしトルパネラ・ソードもやられてばかりではなく、振り下ろされて来たデストバイザーを片手剣で受け止めてからタイガの腹部を蹴りつけ、起き上がってタイガのデストバイザーと片手剣を交える。

 

『ギギギギギ……!!』

 

「ッ……!!」

 

互いに一歩譲らぬ戦い。片手剣を押しつけながら鋭い牙を近付けようとして来るトルパネラ・ソードに対し、タイガはデストバイザーで片手剣を受け止めた状態のまま、デストバイザーの柄部分を上方向へとスライド。デストバイザーの上部にある虎の口がカパッと開き、そこに現れた装填口に1枚のカードを装填した。

 

≪ADVENT≫

 

『グオォォォォォン!!』

 

『シャッ!?』

 

電子音と共に、トルパネラ・ソードの真横から突っ込んで来たのは1体のモンスター。長く鋭い爪を生やした二足歩行の白虎のような怪物―――“デストワイルダー”は唸り声を上げながら、倒れているトルパネラ・ソードの首元を爪で押さえ込み、そのまま猛スピードで引き摺り始めた。

 

『グギ、ガガガガガガガガ!?』

 

「お、おぉ、なかなかエグい事やるなぁ……」

 

「あの、モンスター……強い」

 

デストワイルダーに猛スピードで引き摺られているトルパネラ・ソードが、火花を散らしながらどんどんダメージを蓄積させられていく。デストワイルダーのえげつない攻撃方法を見たアイズは仮面の下で引き攣った笑みを浮かべ、イーラはモンスターを軽々と引き摺ってみせているデストワイルダーのパワーに驚愕していた。

 

「ねぇ、そこの君達」

 

「「!」」

 

デストワイルダーがトルパネラ・ソードを引き摺り回している中、イーラとアイズの方にはタイガが歩み寄って来た。タイガは2人に対してデストバイザーの刃を向けており、それを見た2人は思わず身構える。

 

「おっとっと。いきなり何さ?」

 

「少し、聞きたい事があるんだ……君達はどうしてライダーになったのかな」

 

(! この声……?)

 

何故ライダーになったのか。そんなシンプルな質問を投げかけて来たタイガの声に、イーラは聞き覚えがあった。

 

「教えて欲しい。君達が戦っている理由を」

 

「お、おう? この状況でその質問かぁ……ま、一応答えは1つさね」

 

「モンスター、から……人を、守る為……その為に、私達は、戦っている」

 

「……そうか」

 

アイズとイーラがそう答えると、タイガは2人に向けていたデストバイザーを降ろし、2人に対して向けられていた敵意が消失する。

 

「その言葉、信じるよ。なら僕と一緒に、モンスターを倒すのに協力して欲しい」

 

「断る、理由は、ない……!」

 

「という訳だ。いっちょ3人でやりましょっかねぇ?」

 

『ギシャアァァァッ!?』

 

イーラ、アイズ、タイガの3人が並び立つ中、3人の前にトルパネラ・ソードが投げ飛ばされて来た。デストワイルダーに引き摺り回されている内に片手剣も落としたのか、トルパネラ・ソードは丸腰の状態でフラフラ立ち上がろうとする。

 

「あらら、辛そうだねぇ。いっそ寝て休むと良いんじゃない?」

 

≪BIND VENT≫

 

『!? ギシャ、ギィ……!?』

 

「はぁっ!!」

 

『シャガァ!?』

 

そこに遠慮なく追撃を仕掛けるのがアイズという戦士だ。アイズが両腕に装備したディスシューターから放出された糸がトルパネラ・ソードの全身に巻き付き、そこにイーラがデモンセイバーで力強く斬りつけ、体勢の崩れたトルパネラ・ソードが地面に倒れている間に、タイガはデストバイザーに次のカードを装填した。

 

≪FINAL VENT≫

 

『グオォォォォォォォッ!!』

 

『!? ギシャ、ガ、グギ、グギァ……ッ!?』

 

直後、猛スピードで迫って来たデストワイルダーが右腕の爪を振るい、トルパネラ・ソードを空中に打ち上げてから連続でその身を斬りつけ続ける。一方、離れた位置で待機しているタイガはその両腕に、デストワイルダーと同じ爪型の武器―――“デストクロー”を装備する。

 

「終わりだ……」

 

『ギギャッ!?』

 

タイガは腰を低くした姿勢から、両腕を広げるようにデストクローを構える。そこにデストワイルダーに投げ飛ばされたトルパネラ・ソードが勢い良く飛んで行き……タイガが突き出した右腕のデストクローによる一撃―――“クリスタルブレイク”が炸裂し、トルパネラ・ソードののボディを鋭い爪が貫通した。

 

「ハァッ!!!」

 

『ギシャアァァァァァァァァァッ!!?』

 

デストクローで貫かれたトルパネラ・ソードが爆散し、タイガの目の前から跡形もなく消滅。そこに出現した白いエネルギー体をデストワイルダーが大きく跳躍して咀嚼した後、どこかに走り去って行くデストワイルダーを見届けたタイガはイーラとアイズの方へと振り向いた。

 

「協力ありがとう。君達のおかげでスムーズに退治できた」

 

「いやぁ、礼を言いたいのはこっちさね。アンタのおかげで助かった。サンキューな」

 

「……あの」

 

タイガは穏やかな口調で右手をスッと差し伸べ、アイズもそれに応じる形で握手を交わす。その際、イーラはアイズと固い握手を交わしているタイガの傍まで歩み寄り、自分が気になっていた事を問いかけた。

 

「もしかして……さっき、助けてくれた、お兄さん……?」

 

「? 僕、君と会った事って……あ、もしかしてさっきの……!?」

 

「あぁ~……まぁ、初見じゃ気付かないよねぇ」

 

イヴはイーラに変身している間は大人モードになっている為、タイガは最初、イーラの正体がイヴである事には気付いていなかったようだ。あの背の低い女の子がどうしてこんな大人の身長になっているのかと、タイガが仮面の下で驚きの表情を浮かべている事はアイズでもわかった。

 

「お兄さんや。混乱するのもわかるけど、それはまた詳しく話すとして……ひとまず、アンタの名前を教えて貰いたいところかな。俺はウェイブ・リバーで仮面ライダーアイズ。この子はイヴ、仮面ライダーイーラさ」

 

「よろ、しく……」

 

「あ、う、うん……僕は椎名修治。仮面ライダータイガだよ。よろしくね、2人共」

 

タイガはイーラが差し伸べて来た右手を見て、彼女ともガッチリ握手を交わす。早速お互いの事情を詳しく話し合おうと考える3人だったが……残念ながら、そこまでやっていられるほどの時間はなかった。

 

「そんじゃあ椎名さんや。ちょっとばかし、俺等と詳しく語り合おうじゃないの。モンスターから人を守る為に戦うライダーの同志としてさ」

 

「そうしたいのは山々だけど……ごめんね。僕、これから外せない用事があるんだ。詳しく話すのは、また今度でも良いかな? それに……」

 

タイガは2人に自分の右手を見せる。彼の右手はシュワシュワ音を立てながら粒子化を始めていた。

 

「これ以上、長く話している余裕もないしね」

 

「ありゃ、残念。今日は取り敢えず帰るしかなさそうか」

 

「そういう事だから……それじゃあ、また会えた時にでも。じゃあね、イヴちゃん」

 

「うん、ばいばい……!」

 

イーラが軽く右手を振っているのを見て、タイガも軽く右手を振ってから背を向け、その場から大きく跳躍。スタジアムの屋根まで一気に登って行き、その姿は見えなくなっていった。

 

「ふむ、椎名修治ねぇ……」

 

「? どうしたの……?」

 

タイガが去っていくのを見届けた後、アイズは「う~ん」と頭を捻りながら考え事をしていた。その様子にイーラ首を傾げる中、アイズはタイガが名乗った『椎名修治』という名前から、ハッと何かを思い出したのか手をポンと叩いた。

 

「そうだ、アイツって確か―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の深夜。月に照らされた、人気のない街路……

 

「無事、仕事は完了しました」

 

仮面ライダータイガの変身者である眼鏡の青年―――“椎名修治(しいなしゅうじ)”は1人、通信端末を手に持ちながら出歩いていた。通信端末は起動中であり、彼は現在とある人物と連絡を取り合っているところだった。

 

「これでまた、お役に立てたでしょうか?」

 

『えぇ、とても素晴らしい働きぶりだわ修治ちゃん。あなたのおかげで、この街はまた一歩、本来あるべき平和へと近付けた』

 

「ッ……ありがとうございます……!」

 

通信端末から聞こえて来るのは、女言葉を使っている男性の声。その人物からお褒めの言葉を頂き、椎名は嬉しそうな表情を浮かべて感謝の言葉を述べる。その際、椎名は今日出会ったイーラとアイズの件についても報告しておく事にした。

 

「あ、そういえば。実は今日、2人ほど新しいライダーに出会いました」

 

『あら、とっても大事なお知らせね! それで、修治ちゃんから見てどうだったかしら? そのライダー達は』

 

「僕と同じで、モンスターから人を守る為に戦っていました。もしかしたら、その2人とも協力していく事ができるかもしれません」

 

『あら、良かったわね修治ちゃん! ……でも、喜ぶのはまだ早いわね。このミッドにはまだ、今あるミッドの平和を乱そうとする不埒な輩がゴロゴロいるのだから』

 

「……はい、わかっています」

 

それを聞いて、椎名は嬉しそうな表情からすぐに真剣な表情に変わる。その切り替えを見た連絡先の人物は「よろしい」と言ってから話を続けていく。

 

『新しい情報が回り次第、またすぐに連絡するわ。あなたも休めるタイミングでしっかり体を休めてから、そのライダーさん達と一緒に街の平和を守っていきなさい。良いわね?』

 

「もちろんです……では、失礼します」

 

通信が終わり、椎名は静かに周囲を見渡す。彼が今いる街路は人の通りが少なく、地面には空き缶やタバコといったポイ捨てされたゴミがあちこちに落ちている。その光景を見た椎名は大きく溜め息をついてから、落ちている空き缶やタバコを近くのゴミ箱に分別しながら捨てていく。

 

(こんなにたくさんポイ捨てが……近くにゴミ箱があるのに、何で皆、ちゃんと捨てないんだろうなぁ……)

 

地球と同じように、このミッドチルダでもポイ捨てをする人間は多いというのか。椎名はどこか落胆した様子で、また1つ足元の空き缶を拾ってゴミ箱に捨てようとした……その時だ。

 

「いや、離して下さい!!」

 

「……!」

 

すぐ近くで、女性の嫌がる声がするのを椎名は聞き取った。彼が声のした方向に向かってみると、その先では2人組のチンピラが1人の女性にしつこくナンパしている姿があった。女性が嫌がっているのもお構いなしに、チンピラ達は女性の手を掴んで逃がすまいとしている。

 

「えぇ~良いじゃんか姉ちゃんよぉ~? ちょっとくらい遊んでくれたって」

 

「断らない方が良いぜぇ~? うちの兄貴、怒ると何するかわかんないよぉ~?」

 

「お、お願いです、やめて下さい……!」

 

「……どうかしたんですか?」

 

そこに椎名が声をかけると、女性はチンピラ達の掴む手を無理やり払いのけ、急いで椎名の後ろに隠れる。せっかくのナンパを邪魔されたチンピラ達は不機嫌そうな表情を隠さず、怖い目付きで椎名を睨みつける。

 

「すみません、助けて下さい!」

 

「あぁ? おいおいお坊ちゃんよぉ、お兄さん達の邪魔しないで貰えるかなぁ~?」

 

「大人を怒らせると怖いよぉ? さっさとお家帰ってねんねしてなぁ?」

 

「……あなたは逃げて下さい。ここは僕が」

 

椎名は女性を逃がし、チンピラ達は「あっ」と間抜けな声を出してからすぐに女性を追いかけようとしたが、その前に椎名が立ち塞がる。

 

「これ以上、さっきの人に迷惑をかけるのはやめて貰おうか」

 

「……おい、お坊ちゃんよぉ。お兄さん達の邪魔するなって言ったよなぁ?」

 

「今ならまだ許してあげちゃうよ? さっさとそこ退きな」

 

「断る」

 

チンピラ達からいくら凄まれようとも、椎名は怯む様子を見せない。よほどお人好しなのか、それとも身の程知らずの馬鹿なのか。チンピラ達は拳をパキポキ鳴らしながら椎名に迫り来る。

 

「OK。坊ちゃん、死刑確定な」

 

「残念でしたぁ、もう泣いて謝っても許さないよぉ~?」

 

「そう……じゃ、僕もそうするよ」

 

「「あ?」」

 

椎名の言っている事が、チンピラ達は理解できなかった。何言ってんだコイツとチンピラ達は思ったその時、椎名は少し俯いた後、その視線をチンピラ達の方へと向ける。

 

 

 

 

 

 

「悪は……僕が断罪する」

 

 

 

 

 

 

その目付きは、獲物を捕捉した虎のように鋭かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後……

 

 

 

 

 

「3人共、試験お疲れ様!」

 

「皆、どうだった?」

 

あれから全科目の試験が終了し、その試験結果が判明したヴィヴィオ達。なのはとフェイトはヴィヴィオ達の試験結果の発表をドキドキしながら待っており、手塚も無言ながらヴィヴィオ達の発表を待っている。そんな保護者3人に対し、ヴィヴィオ、リオ、コロナの3人はニヤニヤ笑みを浮かべながら、背中に隠していた試験結果を3人同時に見せつけた。

 

「もちろん……全員高得点!!」

 

「花丸評価も頂いちゃいましたー!!」

 

「3人揃って、優等生です!!」

 

ヴィヴィオ、リオ、コロナ、3人揃って高得点を獲得しており、コロナに至っては全科目100点満点だった。その結果を見たなのはとフェイトは嬉しそうに拍手し、手塚もにこやかに笑いながら拍手する。

 

「わぁ~、3人共すご~い!」

 

「これならもう堂々とお出かけできるね!」

 

「「「えへへ~♪」」」

 

「良かったなヴィヴィオ。クリスの没収やストライクアーツ禁止に加え、毎日徹夜勉強地獄にならなくて」

 

「うわぉ、さらっと怖い事言わないでよパパ……!」

 

もし成績が悪かったら実際にやるつもりだったのだろうか。手塚が告げた言葉に戦慄したヴィヴィオが冷や汗を掻いている一方、なのはとフェイトは早速準備を旅行に出かける準備をし始める。

 

「それじゃ、リオちゃんとコロナちゃんは一旦家に帰って、お出かけの準備しないとね!」

 

「お家の方達にもご挨拶したいから、車出しておくね」

 

「あ、じゃあ私も一緒に行くよ!」

 

「ちょっと待て、ヴィヴィオ」

 

4日間の異世界旅行にリオとコロナも同行する以上、2人の家族にも挨拶は済ませておかなければならない。なのはが荷物を準備し、フェイトが車の準備をし始めるのを見てヴィヴィオも同行しようとしたが、そこで手塚がヴィヴィオを何故か呼び止めた。

 

「ヴィヴィオはここで少し待っていてくれ。もうすぐ、お前にお客さんが来る」

 

「お客さん? 私に?」

 

一体誰だろうか。手塚の言った「お客さん」の正体をヴィヴィオが考察する中、ちょうどそこにインターホンが鳴り、それを聞いたレイジングハートが一同に知らせる。

 

『ちょうどいらっしゃったようです』

 

「? 誰かな……あ!」

 

ヴィヴィオが玄関の扉を開けた先に、そのお客さんは立っていた。その正体を知ったヴィヴィオは歓喜の表情を浮かべた。

 

「よっヴィヴィオ。連れて来たぜ」

 

「こんにちは、ヴィヴィオさん」

 

「アインハルトさん! と、ついでにノーヴェも!」

 

「うぉい、アタシゃついでかよ!?」

 

やって来たお客さん、それはアインハルトとノーヴェの事だった。アインハルトが来る事はノーヴェの提案でなのは達もヴィヴィオに内緒にしていた為、アインハルトがここに来ると想定していなかったヴィヴィオは嬉しそうに飛び跳ねながらアインハルトに駆け寄っていく。

 

「異世界での訓練合宿という事で、ノーヴェさんにお誘い頂いました。私も同行させて頂いてもよろしいでしょうか?」

 

「はい、もちろんッ!!!」

 

嬉しさのあまり、ヴィヴィオはアインハルトの両手を掴んでブンブン振り返す。ヴィヴィオのテンションの上がりように驚くアインハルトだったが、ヴィヴィオが嬉しそうな笑顔を浮かべているのを見て、特に気にする様子は見せなかった。

 

「ほら、ヴィヴィオ。上がって貰って」

 

「あ、すみませんアインハルトさん! どうぞどうぞ、こちらへ!」

 

「いえ。では、お邪魔します」

 

その後、アインハルトとノーヴェが家に上がらせて貰ってから、改めて挨拶をする事になった。ヴィヴィオは興奮した様子でソファを叩きながら「さ、どうぞこちらに!」とアインハルトを招き、アインハルトも素直にそれに応じてソファに座る事にした。

 

「こんにちは、アインハルトちゃん。ヴィヴィオの母です。娘がいつもお世話になってます」

 

「いえ、こちらこそ」

 

「ねぇねぇ、アインハルトちゃん。ヴィヴィオから聞いたんだけど、格闘技強いんだよね? 凄いねぇ!」

 

「は、はい……!」

 

「もぉ~ママ! アインハルトさん物静かな方だから!」

 

「あはは、ごめんごめん」

 

明るい笑顔で接して来るなのはに若干押されるアインハルト。こんなにも押しの強い一面は確かに親子そっくりだなと実感したアインハルトは、次に近くでにこやかな笑顔を浮かべているフェイト、そして自分と向かい合っているソファに座っている手塚の姿を見据える。

 

「こんにちは。フェイト・T・ハラオウンです。この4日間よろしくね、アインハルトちゃん」

 

「は、はい。よろしくお願いします」

 

「ヴィヴィオの父をやらせて貰っている。こんなに元気な子で苦労をかけるかもしれないが、この4日間、どうか娘と仲良くしてあげて欲しい」

 

「は、はぁ……」

 

ヴィヴィオやなのはと違い、フェイトと手塚はいくらか落ち着いた口調で挨拶している。ある意味、人との距離感についてはこの2人の方が接しやすい雰囲気のようにも思えていた。

 

「それじゃ、出発するメンバーも揃った事だし、途中でリオちゃんとコロナちゃんの家に寄ってから、そのままお出かけしちゃおっか!」

 

「「「「おーっ!!」」」」

 

「元気な返事で何よりだ。4日間、存分に楽しんで来ると良い」

 

「? ヴィヴィオさんのお父様は来られないのですか?」

 

「あぁ~……実はパパ、ちょっと仕事の方が忙しいみたいで……」

 

手塚が旅行に同行しない事をアインハルトに説明する際、ヴィヴィオは凄く残念そうな表情を浮かべていた。その表情だけで、アインハルトは父の事も大好きなのだなと思い、何となくだが手塚の人柄を窺う事ができた。なお、アインハルトは手塚がライダーである事は知らず、ヴィヴィオ達もアインハルトが既にライダーの存在を知っている事を知らない為、ここでその手の話題に触れる事はなかった。

 

「そういえばノーヴェさん。スバルさんとはと別行動なんですか?」

 

「ん? あぁ。スバルとは次元港で待ち合わせ予定だ。たぶん今頃、仕事を終えて向かってる頃だと思うぜ。ティアナも一仕事終えたらすぐに向かうらしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そういう訳で、今から4日間ほど家を空けますから。食事代はそこのテーブルに置いてますけど、無駄遣いしないで下さいよ?』

 

「は~い」

 

一方。ランスター家の自宅では、リビングのソファに寝転がっていた夏希がティアナと連絡を取り合っていた。現在、ティアナは本局の方で仕事中であり、その仕事が終わったらすぐに次元港まで向かい、スバルやヴィヴィオ達と合流する予定である。その為、家には夏希だけが残る形となる。

 

『一応言っておきますけど、この4日間遊んでばっかじゃ駄目ですからね? ちゃんと新しいバイト見つけて下さいよ?』

 

「もぉ、わかってるって。本当に心配性だよねぇ~ティアナは」

 

『3回もクビにされた挙句、そのクビにされた原因が客をぶっ飛ばしたからとなれば、こっちが不安に思うのも当たり前の事でしょうがぁ!! 何回ラグナちゃんからその件の話を聞いたと思ってるんですか!! クビにされるたびにラグナちゃんに泣きつくのもいい加減やめて下さい!!』

 

「はいその節は本当にすみませんでした」

 

ティアナの言い分はご尤もである。3回もバイトをクビにされた上に、そのクビにされた原因はどれも客に対する暴力沙汰。おまけにラグナにまで何度も泣きついては愚痴に付き合って貰っているのだから、今の夏希に言い返せる事は何もない。夏希は素直に土下座して謝罪する事しかできなかった。

 

「ほ、本当にごめんティアナ……なるべく早く新しいバイト見つけるからさ……!」

 

『はぁ、全く……本当にしっかりして下さいよ? ただでさえ、今の夏希さんは見ていて不安なんですから』

 

「だ、大丈夫だって! 面接なんてもう慣れっこだし、やろうと思えば簡単に見つかるはずだから!」

 

『そっちじゃありません……夏希さんが前に会ったっていうライダーの事です』

 

前に会ったライダー……他でもないゾルダの事だ。しかしその話題に切り替わった途端、先程まで申し訳なさそうにしていた夏希の表情が一変。急激に彼女の表情が冷めていき、ティアナに対しても鋭い目付きで睨みつける。

 

「……ごめんティアナ。今その話はしないで貰える?」

 

『ッ……本当に良いんですか? ラグナちゃんから聞いた話じゃ、そのライダーに助けて貰ったんですよね? だったら―――』

 

「それとこれとは話が違う。言える事はそれだけだよ……じゃ、もう切るね」

 

『ちょ、夏希さ―――』

 

ティアナが言い切る前に通信を切り、夏希は再びソファに寝転がる。いくらティアナの言葉でも、そればかりは夏希も簡単に聞き入れるほど素直ではなかった。

 

「ティアナまであんな奴の事……放っといて欲しいなぁ」

 

思い浮かぶのは、元いた世界でゾルダと対面した時の事……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大丈夫か……!?』

 

自身が浅倉に、王蛇に追い詰められていた時。ゾルダは得意の砲撃で王蛇を吹き飛ばし、窮地に陥っていたファムを助け出した。しかし……

 

『ッ……余計な手出しはするな!!』

 

『待て、俺は……ッ!!』

 

自分にとっては、北岡も浅倉同様に憎き敵でしかない。ファムはゾルダが差し伸べようとした手を拒み、ブランバイザーを手に取り彼を追い払おうとした。

 

『おい、やめろ―――』

 

『はぁっ!!』

 

『ぐ、うあぁっ!?』

 

ゾルダの喉元に向かって繰り出されたブランバイザーの一撃。ゾルダはギリギリ手で防いだ事で致命傷は免れたのだが、その時のゾルダにとって、その一撃は退けるのに充分過ぎるほどの威力があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あぁ~もう!!」

 

ソファに置かれていたクッションが乱暴に投げ飛ばされ、壁にぶつかって床に落ちる。夏希は今もなお心の奥底に苛立ちの感情を溜め込んでいたのだが……それ以外の感情も、彼女の心の中には存在していた。

 

 

 

 

『この人は、私を、助けてくれた……恩人だから……!!』

 

 

 

 

『ラグナちゃんから聞いた話じゃ、そのライダーに助けて貰ったんですよね? だったら―――』

 

 

 

 

「……わかってる……わかってるんだよ」

 

恨み以外の感情がある事は、夏希も自分でわかっていた。しかしその感情を表に出せるほど、今の夏希は気持ちの整理が追いついてはいなかった。

 

「何で……何で今頃になって……!」

 

それはただのつまらない意地でしかないのだろう。それをわかっていても、その意地を投げ捨てる為の一歩を踏み出し方がわからなかった。

 

恨む気持ちと、助けて貰った感謝の気持ち。

 

その2つの感情が複雑に混ざり合っていて、夏希の頭の中はもうグチャグチャになっていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして同時刻。

 

「……」

 

頭の中がグチャグチャになっていたのは、この男―――吾郎も同じだった。この日もダールグリュン家の屋敷で執事としての業務を担っていたのだが、今の彼はどこか浮かない顔をしていた。

 

『もう、アタシの前に姿を見せないでくれ……頼むから……!』

 

彼の頭の中で繰り返し響き渡る、夏希による拒絶の言葉。それが今も彼の脳裏から消えずにいた。吾郎は気分を変えようと必死に目の前の仕事に集中しようとする……が、この日の昼食を作る手が所々で止まってしまい、どうにも作業がスムーズにいかなかった。

 

(俺は……)

 

彼女の憎しみには一種の正当性がある。

 

だから自分が代わりに、その憎しみを甘んじて受け止めるつもりだった。

 

そんな彼女から明確に拒絶されてしまった今、吾郎はわからなかった。

 

一体、どのようにして償えば良かったのか。

 

むしろ、何もしてやらない方が良かったのだろうか。

 

その方が彼女も幸せだったのだろうか。

 

そんな後ろ向きな思考にばかり行き着いてしまい、吾郎はどんどん沈んだ表情になっていく。そんな状態の彼を見かねたのか、そこに声をかける人物がいた。

 

「どうかしましたの? 吾郎さん」

 

「……!」

 

それは吾郎が現在尽くしている相手であるヴィクターだった。いつの間にか彼女がすぐそこで見ていた事に気付いた吾郎はすぐに目の前の作業に集中しようとしたが、その前にヴィクターが彼の傍に歩み寄り、フライパンを手に取ろうとした吾郎の手を掴み取る。

 

「何度も手が止まるような状態で仕事されても困りますわ。作業が滞るくらいならエドガーに任せます」

 

「ッ……すみません」

 

「……本当にどうしたんですの? 吾郎さん、少し前からずっと浮かない顔をしていますわ」

 

「それは……」

 

ヴィクターに余計な心配をさせてしまっていた事を知り、吾郎は申し訳なさそうな表情を浮かべる。しかしそれだけだった。元々口数がそれほど多くない吾郎は、他人に尽くす事は一流でも、自分の事に関してはあまりに雑な部分が大きい。だからこそ吾郎は、自分が抱えている悩みに関しても、素直に他人に打ち明けようという気持ちになる事ができずにいた。

 

「……はぁ」

 

何も言おうとしない吾郎に対し、ヴィクターは大きく溜め息をつく。すると彼女は凛とした表情を見せ、吾郎に向かってビシッと指を差した。

 

「ダールグリュン家執事、由良吾郎さん!! ダールグリュン家の主として命じます!!」

 

「ッ!?」

 

突然強めの口調で命令された吾郎は驚いた顔で振り向いたが、ヴィクターは構わず彼に命じた。

 

「あなたが今抱えている物、それを今ここで打ち明けなさい!! それまで執事としての業務をこなす事を一切禁じます!! よろしくて!!」

 

「え……え……?」

 

いきなりの命令に吾郎が困惑の表情を隠せない中、ヴィクターはそこまで言い切ってから「ふぅ」と一息つき、またいつも通りの穏やかな表情に戻った。

 

「内側にもやもやを溜め込んでいては、あなたにとっても良くありませんわ。私も見ていられませんもの」

 

「ッ……ですが、俺は……」

 

「ここには私やエドガーだっています。当てにしたい時はいつでも当てにしてくれて構いませんのよ? 少なくとも、今は私があなたの主ですもの」

 

「お嬢様……」

 

「それとも、私達ではお役に立てませんか……?」

 

ヴィクターの心配そうな表情を見て、吾郎は静かに目を閉じた。

 

自分はなんて馬鹿なのだろうか。

 

仕えている主にそんな顔をさせてしまうなんて、下で尽くす者としてあってはならない事だ。

 

吾郎はそう自分に言い聞かせると同時に、ヴィクターが自分の事を思ってそう命令してくれたのが嬉しかった。

 

「……お嬢様」

 

だから、吾郎はお言葉に甘えようと思った。

 

「数日前……俺は、1人のライダーに会いました」

 

自分が内側に抱えている物を、彼女に打ち明かす事にした。

 

「俺……その人に償いたいんです。自分の罪と向き合う為に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、時刻は昼の12時。

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

 

 

「!? モンスターか……!!」

 

新しいバイト先を見つけるべく、コンビニなどで入手した求人情報を手に街中を出歩いていた夏希。彼女はすぐ近くのファーストフード店で昼食を取ろうとしたタイミングでモンスターの接近を察知し、人目のない場所で変身する為にその場から移動を開始する……が、その際に走り去ろうとしている夏希と擦れ違った人物がいた。

 

「! 今のは……」

 

椎名修治だ。彼は偶然擦れ違った夏希の姿を見て驚愕の表情を示し、すぐに彼女の後を追いかけるべく同じように走り出す。その事に気付かないまま、夏希は一番近い路地裏から建物の裏に回り、建物のガラスに向けてカードデッキを突き出した。

 

「変身!」

 

変身ポーズを取り、カードデッキをベルトに装填した夏希はファムの姿に変身。ブランバイザーを構えてガラスに飛び込んでいく彼女の姿を、後ろから追いかけて来ていた椎名はしっかり目撃していた。

 

(間違いない……あの女は……!)

 

椎名もまた、夏希と同じように建物のガラスの前に立ち、左手に持ったカードデッキを正面に突き出す。それにより出現したベルトが腰に装着され、椎名は素早い動きで左手と右手を左腰に持って行った後、右腕を正面に伸ばしてから素早く曲げ、右手を開いた状態のままカードデッキをベルトに装填した。

 

「変身!」

 

カードデッキがベルトに装填され、椎名は全身にいくつかの鏡像が重なった後、仮面ライダータイガの物へとその姿を変化させた。彼は開いていた右手をゆっくり握り締めた後、先に突入して行ったファムを追いかけるかのようにガラスの中へ飛び込んでいく。

 

「―――あらあら、随分とやる気満々みたいね」

 

その光景を、物陰に潜んで眺めていた黒いローブの女性。被っているローブで素顔が見えないその女性は、ファムとタイガが突入して行った建物のガラスを見据えながらクスクスと笑みを零す。

 

「でも、今はまだ困るのよ……余計な事をして貰っちゃ」

 

黒いローブの女性はそう告げて、ローブの内側からカードデッキを取り出す。そのカードデッキは灰色で、その中央部にはカメレオンを彷彿とさせるエンブレムが存在していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『『ギギギギギギ……!!』』』』』

 

「!? またコイツ等か……!!」

 

ミラーワールド、ファーストフード店付近。現実世界から突入して来たファムを待ち構えていたのは、4体のトルパネラを従えている武装個体のトルパネラだった。右手に小型のガトリング銃を構えたその武装個体―――“トルパネラ・ガン”はファムの存在に気付き、そちらに向かってガトリング銃を乱射して来た。

 

『ギシャアッ!!』

 

「うわ、ちょ、危なっ!?」

 

トルパネラ・ガンが乱射して来る弾丸を横に転がって回避し、ファムはカードデッキから即座にサバイブ・烈火のカードを引き抜いた。彼女の周囲を炎が囲い、ブランバイザーツバイにカードを装填したファムは一瞬でファムサバイブの姿へと変化する。

 

「来いよ……お前等は、アタシが倒す!!」

 

彼女はサバイブの力で、さっさとモンスター達を倒してしまおうと思っていた。またアイツ(・・・)がこの場に現れる前に。つまらない意地だとわかっていながらも、ファムサバイブはブランバイザーツバイから引き抜いたブランセイバーをトルパネラ達に向ける。

 

『グギギ……グギッ!!』

 

「はぁ!!」

 

それを見たトルパネラ・ガンは即座にガトリング銃を連射したが、ファムサバイブは左腕に装備したブランシールドで弾丸を難なく防ぎ切り、接近して来るトルパネラ達をブランセイバーで順番に斬りつけていく。そのままトルパネラ・ガンの目の前まで接近したが、ブランセイバーの斬撃を回避したトルパネラ・ガンも横に転がり、ファムサバイブの足元を狙って弾丸を連射して来た。

 

『ギシャッ!!』

 

「ッ……こいつ……!!」

 

接近された時の事も考慮しているのか、トルパネラ・ガンはファムサバイブの足元を上手く狙い撃ち、彼女が自分に近付けないようにしている。それがうざったらしいと思ったファムサバイブはブランセイバーを一度ブランシールドに収納し、ブランシューターに変形させてトルパネラ・ガンが撃って来る弾丸を相殺していく。

 

その時……

 

『ギギギッ!!』

 

「うぁっ!? く、まだいるのか……!!」

 

突如、別方向から羽根を生やした武装個体―――“トルパネラ・ウイング”が現れ、ファムサバイブに向かって体当たりを繰り出して来た。トルパネラ・ウイングは空中を飛び回りながらファムサバイブの注意を引き寄せ、その隙に配下のトルパネラ達が攻撃を仕掛け、トルパネラ・ガンが離れた位置からガトリング銃で狙い撃って来る。非常に厄介な布陣を敷かれ、ファムサバイブは嫌そうに舌打ちした。

 

「くそ、嫌な連携して来るな……!!」

 

その時。

 

 

 

 

ズバァンッ!!

 

 

 

 

『グギィ!?』

 

「……!?」

 

どこからか飛んで来たデストバイザーが、空中を飛び回っていたトルパネラ・ウイングを撃墜した。そのままデストバイザーは回転しながらトルパネラ・ガンをも斬りつけ、そして離れた位置に立っていたタイガの右手にパシッと収まった。

 

「!? ライダー……!?」

 

「……フッ!!」

 

『ギギャアッ!?』

 

ファムサバイブがタイガの姿に驚いている中、タイガはトルパネラ・ガンが向けようとして来たガトリング銃をデストバイザーで無理やり叩き落とす。そのままトルパネラ・ガンを蹴り倒してからファムサバイブと背中合わせになり、2人の周囲をトルパネラ達が取り囲む。

 

「アンタ、誰だよ……?」

 

「仮面ライダータイガ……君は、仮面ライダーファムだよね?」

 

「! どうしてアタシの名前を……」

 

「話は後だよ。まずはコイツ等を倒す」

 

「……OK、それが良いかも!!」

 

≪ADVENT≫

 

『ピイィィィィィィィィッ!!』

 

『『『『ギシャアァッ!?』』』』

 

モンスターに囲まれている以上、まずはモンスターをどうにかするのが先決だ。タイガの提案に乗ったファムサバイブはブランフェザーを召喚し、炎を纏ったブランフェザーの突撃を受けた配下のトルパネラ達が一気に焼き尽くされ爆散していく。

 

『ギギギ!!』

 

「フッ……ハァ!!」

 

『ッ……グギアァ!?』

 

タイガの方にはトルパネラ・ウイングが空中から飛び掛かって来たが、タイガは繰り出されて来た体当たりお屈んで回避した後、高く跳躍してトルパネラ・ウイングの両足に掴みかかる。そのままトルパネラ・ウイングの羽根を片方デストバイザーで切り裂き、バランスを崩したトルパネラ・ウイングが頭から地面に落下した。

 

「一気に終わらせる!!」

 

≪FINAL VENT≫

 

『ピィィィィィィィィィィッ!!』

 

「なら、僕も……」

 

≪FINAL VENT≫

 

『グルルルルル!!』

 

ファムサバイブはフィアナルベントのカードを装填し、トルパネラ・ウイングが落下する際に上手く着地したタイガもファイナルベントのカードを装填。ファムサバイブは後ろから飛んで来たブランフェザーに飛び乗り、デストクローを装備したタイガの後方から跳躍して来たデストワイルダーがトルパネラ・ウイングを建物の壁に押しつける。

 

『ガ、グギギギギギ!?』

 

「ハァァァァァァ……」

 

デストワイルダーに連続で斬りつけられたトルパネラ・ウイングが薙ぎ払われ、タイガの立っている方向へと吹き飛んで行く。タイガは姿勢を低くしながらデストクローを構えた後、右腕のデストクローを正面に突き出した。

 

「ハァッ!!!」

 

『グギアァァァァァァァァァッ!!?』

 

タイガの発動したクリスタルブレイクにより、トルパネラ・ウイングの胴体が貫かれ、タイガの目の前で爆散。跡形もなく消滅し、残ったエネルギー体をデストワイルダーが素早く摂取していく。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

『グ、ギギギギ……ッ!!』

 

一方で、ファムサバイブもバイクモードとなったブランフェザーに跨り、トルパネラ・ガンに向かって突っ込もうとしていた。トルパネラ・ガンは最後の抵抗としてガトリング銃を連射したが、ファムサバイブのマントに包み込まれたブランフェザーは全体に炎を纏っており、弾丸など物ともしない。

 

『ギシャアァァァァァァァァッ!!?』

 

結果、弾丸が通じないと判断したトルパネラ・ガンが逃げ出そうとして背中を向けた瞬間、その背中にファムサバイブが発動したボルケーノクラッシュが炸裂。粉々に粉砕されたトルパネラ・ガンが大爆発を引き起こし、ブランフェザーから飛び降りたファムサバイブが地面に着地する。

 

「ふぅ、何とかなった」

 

爆炎から出現したエネルギー体をブランフェザーが摂取し、どこかに飛び去って行く。その光景を見てひと段落ついたファムサバイブはサバイブ形態を解除して通常のファムの姿に戻ったが、その後ろからタイガが静かに歩み寄って来ていた。

 

「ねぇ」

 

「! アンタ、一体―――」

 

後ろからタイガに呼びかけられる。それに応じてファムが振り返った……その直後。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバアァァァァンッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

ファムの胸部装甲から、火花が激しく飛び散った。ファムの悲鳴が上がる中、デストバイザーを振り下ろした(・・・・・・・・・・・・・・)タイガは彼女が倒れていく姿を見下ろしていた。

 

「くっ……お前、いきなり何すんだよ……ッ!?」

 

「霧島美穂、仮面ライダーファム……君の事は知っているよ。あの男(・・・)から聞いているからね」

 

倒れているファムを見下ろし、タイガは右手に構えたデストバイザーの刃を撫でながら告げる。

 

「あちこちで結婚詐欺やスリを繰り返し、多くの人間から金を騙し取った最悪の女」

 

「!? 何を……ッ!?」

 

「つまり君は……裁かれるべき犯罪者だ!!」

 

「ぐあぁっ!?」

 

フラフラながらも立ち上がろうとしたファムを、タイガのデストバイザーが容赦なく斬りつける。斬られたファムは建物に背を付けながらも、再び振るわれて来たデストバイザーをブランバイザーで防御する。

 

「ミッドの平和を乱す犯罪者……お前は、僕の手で断罪する……!!」

 

「なっ……ち、ちょっと待てって!! こっちの話を―――」

 

「でやぁ!!」

 

「ぐ、きゃあぁっ!?」

 

ブランバイザーも強引に叩き落とされ、ファムの装甲がデストバイザーで何度も斬りつけられる。タイガの猛攻でダメージを受け過ぎてしまい、ファムは壁に背を付けた状態のままズルズルと下に崩れ落ちて行き、うつ伏せに倒れ込んでしまった。

 

「がは、こほ……ッ……!!」

 

「犯罪者、君は許されない……」

 

タイガがデストバイザーを両手で力強く握り締める。ファムはその場から何とかして逃げようとするも、腕に上手く力が入らず、ブランバイザーも離れた位置に落ちていて手が届かない。万事休すだった。

 

「今……この場で消えろォッ!!!」

 

「……ッ!!」

 

タイガがデストバイザーを高く振り上げる。死を覚悟したファムが両手で頭を守ろうとする中、タイガはファム目掛けてデストバイザーを勢い良く振り下ろし―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪STRIKE VENT≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキィィィィィンッ!!!

 

―――甲高い金属音が、大きく響き渡った。

 

(―――え?)

 

痛みを感じない。確かにタイガは、自分に向かってデストバイザーを振り下ろそうとしていたはず。それなのにどうして斬られた痛みがやって来ないのか、ファムはわからなかった。

 

「!? お前は……ッ!!」

 

タイガの驚く声が聞こえて来た。何故彼の驚く声が聞こえて来たのか。その理由を知りたくて、ファムは恐る恐る上を見上げた。

 

彼女の視界に移り込んだのは……

 

「ぐ、ぬぅ……!!」

 

牛の頭部を模した大型の武器―――“ギガホーン”を右腕に構え、タイガのデストバイザーを受け止めているゾルダの姿だった。

 

「北、岡……!?」

 

「ッ……!!」

 

どうして、彼がまたここに。

 

拒絶したはずなのに、一体どうして。

 

そんな疑問を抱くファムに対し、ゾルダはギガホーンでデストバイザーを受け止めながら振り返る。表情は仮面越しなのでわからない。しかし赤く点滅している仮面のモノアイには、確かに存在していた。

 

 

 

 

 

 

彼女を守りたい。

 

 

 

 

 

 

そんな強い意志が、そこには込められていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




次回、リリカル龍騎ViVid……!


椎名「お前も、僕の邪魔をする気か……!!」

夏希「何でだ……!? 何でアタシを助けようとする!?」

吾郎「君が恨むべきは先生じゃない……俺の方です」


戦わなければ、生き残れない……!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。