リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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はい、今回も無駄に長くなりました。軽く1万字は超えています。

そして現在、アマゾンズ完結編の脚本があの高橋さんである事、監修があの靖子にゃんである事が判明した事で内心、良い意味で嫌な予感しかしてません←

取り敢えず、13話目をどうぞ。



第13話 ホテル・アグスタ

地球への出張任務を終えた、数日後の朝……

 

 

 

 

「……」

 

男性寮で休みを取っていた手塚は、ベッドから起き上がった後、洗面台で顔を洗いながら出張任務の最中に行った占いで浮かび上がった光景の事を思い出していた。

 

(あの時見えた2人の顔……間違いない)

 

占いの中で見えた、2人の少女の未来。それぞれ青髪の少女とオレンジ髪の少女、その2人の顔に手塚は見覚えがあった。

 

(俺の占いは当たる。だとすれば……今日この日、任務で何かが起こる……!)

 

最悪な結末だけは絶対に避けなければならない。そう考えると同時に、手塚は同じ占いの中で見えた謎のライダーについても思考を張り巡らせる。

 

(彼女達と違い、姿はハッキリ見えなかった。だが、そう遠くない内に出会う事になるのは間違いない……)

 

見えた光景の中で、そのライダーはライアとファムを攻撃していた。あのインペラーと同じ、少なくとも味方とは言い難いだろう。しかしそれでも、手塚のやる事は変わらない。

 

(これからどうなるかは……今日の任務次第だな)

 

水が流れ出ている洗面台の蛇口を戻し、手塚はタオルを手に取り洗い終えた顔を拭いていく。その後、六課の方で用意して貰った新しい服に着替えた彼はカードデッキをポケットに収め、部屋を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、今日の任務を説明するよ」

 

移動用ヘリ。はやて達隊長陣の3人、フォワードメンバー、シャマル、そして手塚と美穂といった面子が乗り込んでおり、隊長陣は今回の任務内容についてフォワードメンバー達に説明を行っていた。

 

今回の主な任務は、骨董美術品のオークション会場であるホテル『ホテル・アグスタ』の会場警備、そして人員警護の2つ。このホテル・アグスタでは取引の許可が出ているロストロギアが流れているのだが、そのロストロギアをレリックと勘違いしたガジェットが会場を襲撃する恐れがあった為、今回の任務が管理局上層部から言い渡されたのだ。その為、会場にはシグナムとヴィータが昨夜から既に警備に回っている。

 

「それから、皆にも一応伝えておくね。広域指名手配者のジェイル・スカリエッティ……それから、手塚さんと美穂さんが遭遇したという、例の仮面ライダーについて」

 

そしてガジェットを裏で操っている首謀者―――ジェイル・スカリエッティの事と、ライアとファムが遭遇したインペラーについてもフォワードメンバー達に伝えられた。会議の結果、スカリエッティについては執務官であるフェイトが、インペラーについては同じ仮面ライダーであるライアとファムが対応する事が決まっているが、万が一の事態に備えて皆にも一応知っておいて貰いたいという事から、今回こうして全員に伝えられる事になった。

 

「……」

 

「海之? どうしたの、さっきから黙ってるけど」

 

「……向こうに着いたら話す」

 

「?」

 

そんな中、手塚は席に座ったまま腕を組み、目を閉じて黙り込んでいた。その事を疑問に思ったのか、隣に座っていた美穂が問いかけるが、手塚は一言だけ告げてから何も話さない。その一方、キャロはシャマルが手に持っている大きな箱に気付いた。

 

「シャマル先生、それは?」

 

「あぁ、これ? 隊長さん達、それから手塚さんと美穂ちゃんのお仕事着よ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どぉらっ!!」

 

「ぐぁ!?」

 

そのホテル・アグスタから少し離れた位置。迷彩柄ジャケットの男性はこの日もまた、路地裏で数人のガラの悪いチンピラ達を何人も叩きのめしており、彼の周囲には既に満身創痍なチンピラ達が転がっていた。迷彩柄ジャケットの男性は最後に殴り倒したチンピラの懐を漁り、その中から見つけた財布を抜き取る。

 

「ヒュ~♪ 結構な金額入ってんじゃねぇか。コイツは貰ってくぜ」

 

「テ、テメェ、何しやが……っ!?」

 

起き上がろうとしたチンピラの頭部に、迷彩柄ジャケットの男性は手に持っていた酒瓶を思いきり叩きつけた。酒瓶が割れると共にチンピラは意識を飛ばして再び地に伏せ、迷彩柄ジャケットの男性はそれに目も暮れずにその場から立ち去ろうとした。

 

カランッコロンッ

 

「あ?」

 

そんな彼の左方向から空き缶が飛び、彼の足元に落ちる。何かと思った彼が左方向を見ると、そこには壁に背を着けて立っている、白い眼帯の青年の姿があった。

 

「! へぇ、お前か。二宮」

 

「……酒癖の悪さは相変わらずなようだな、湯村」

 

「はん、飲まなきゃやってらんねぇってんだ」

 

迷彩柄ジャケットの男性―――“湯村敏幸(ゆむらとしゆき)”は愉快そうに缶ビールを取り出し、プルタブをカシュッと開けてから豪快に飲み始める。そんな彼に対し、白い眼帯の青年―――“二宮鋭介(にのみやえいすけ)”は呆れた様子で溜め息をついてから、伝えようと思っていた事を湯村に話す事にした。

 

「お前、最近2人ほどライダーに出くわしただろう」

 

「あん? あぁ、あのマンタ野郎に白鳥女か……アイツ等がどうかしたかよ?」

 

「仮面ライダーライア、仮面ライダーファム……奴等は今、管理局の機動六課という部隊と繋がっている。お前がその2人のライダーの前で人間を襲わせたせいで、奴等はお前を指名手配するようになったんだ。下手な行動は慎んでくれ」

 

「あぁ? 奴等に指名手配されたから何だってんだ? あの2人ならともかく、ろくにモンスターの対応もできてないような連中に、この俺が負けるとでも言いてぇのかよ?」

 

「お前の方が強いとしても、いちいち関係のない民間人まで襲わせるようなマネは控えておけ。どこから足がついてしまうかわからないからな」

 

「はぁ、何を言いに来たのかと思えば……んな説教なんざ聞きたくねぇんだよ。他に用がねぇんなら、とっとと俺の前から消えやがれ。せっかくの美味い酒が不味くなっちまうだろうが」

 

「……もう一つ用件がある」

 

「あ? 何だよ」

 

忠告したにも関わらず聞く耳を持とうとしない湯村に、二宮は彼に聞こえない程度に小さく舌打ちした後、今回ここに来たもう一つの理由を語る。

 

「“奴”からの依頼だ。一仕事ほど付き合って貰う」

 

「あぁ? 何だ仕事か、それならもっと早く言えってんだ……んで? 今回はどんな仕事だよ」

 

「“落とし物”の回収らしい。そして、俺達がこれから向かう場所は……ホテル・アグスタだ」

 

 

 

 

 

 

2人のライダーもまた、ホテル・アグスタに迫り来ようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まさかまた、こんな恰好で動く事になるとはな」

 

場所は戻り、ホテル・アグスタ会場。シャマルが用意したお仕事着とはスーツやドレスの事だったようで、手塚はスリ事件の時のように、お洒落な黒いスーツに身を包む事になった。現在、彼は少し窮屈そうな様子で通路を歩いているが……

 

(……注目されているな)

 

歩いている手塚の周囲では、何人かの女性が彼を見て何やら頬を赤らめている。手塚は周囲の女性達の頬が赤い理由に気付いていないが、そもそも彼はかなり容姿の整った、俗に言うイケメンの部類である。そんなイケメン男性がお洒落なカッコ良いスーツを着ていれば、女性達がそれに見惚れてしまうのも無理のない話と言えるだろう。

 

「あ、来たで」

 

「手塚さん、こっちこっち!」

 

そんな手塚に声をかける女性達がいた。シャマルが用意したお仕事着―――ドレスに着替えたはやて達だ。はやては白いドレス、なのはは桃色のドレス、フェイトは青いドレス、そして美穂は黒いドレスを身に纏っており、傍から見ればとても20歳以下の女性とは思えない美しさだった。

 

「おぉ、手塚さんもやっぱりカッコ良く決まってるやん」

 

「そうなのか? 普段はこんな恰好で歩かないからな。自分ではよくわからん」

 

「うんうん、手塚さんやっぱりスーツ似合ってると思うよ。フェイトちゃんもそう思うよね?」

 

なのはは隣に立っているフェイトに聞くが、フェイトは手塚の方を見たまま返事がない。

 

「フェイトちゃん?」

 

「……え? あ、う、うん、凄く似合ってると思う! うん!」

 

「フェイトちゃん? 今ちょっと間が空いた感じがしたけど気のせい?」

 

「へ!? な、何言ってるの、気のせいだよ気のせい!」

 

「? 変なフェイトちゃん」

 

なのははフェイトの反応が若干遅かった理由には気付いていないが、フェイトはと言うと……

 

(い、言えない……スーツ姿の手塚さんに思わず見惚れちゃったなんて言えない……!)

 

「「……ふぅん」」

 

内心こんな事を思っていたようだ。しかしそんなフェイトの考えている事は、それを近くで見ていたはやてと美穂にはバッチリ気付かれていたようで、はやてと美穂は手塚に聞いてみる事にした。

 

「ところで手塚さん、私達のドレス姿はどうや?」

 

「似合ってるでしょ~♪」

 

「あぁ、全員似合っていると思うぞ」

 

「ふぇっ!?」

 

手塚の言葉にフェイトが思わず頬を赤らめ、その反応にはやてと美穂がニヤニヤ笑みを浮かべる……が、次に手塚が告げた言葉で、それもすぐに冷める事になった。

 

「4人共、会場内の客として見ても全く違和感がない。万が一敵が内部に潜入していたとしても、八神達が警備している人間だとは気付かず油断するだろうな」

 

「え……あ、うん、ありがとうございます……」

 

((……あっちゃあ))

 

「?」

 

手塚のそんな言葉を聞いたフェイトはガッカリした様子で肩を落とし、はやてと美穂も「駄目だこりゃ」と言いたげな表情でフェイトに同情の目を向ける。それに対して手塚は何故フェイトが落ち込んでいるのかわかっていない様子だが、それを気にする事なく別の話に切り替える。

 

「そういえば八神。今回の任務、俺達は内部の警備で良いのか?」

 

「ん、せやな。緊急出動にならない限り、私達はホテル内で待機する形になる。最も、手塚さんと美穂ちゃんの場合はモンスターが出たらそっちの対応に向かっても大丈夫や」

 

「そうか。ナカジマ達は外部の警備に?」

 

「せや。シグナム達も有事のサポート役として待機しとるし、現場の指揮はシャマルに一任しとる」

 

「フォワードの皆も、普段行ってる訓練で実力はキッチリ付けていってますから。余程の事がない限りは大丈夫なはずです」

 

「……ならば八神、一つ良いだろうか」

 

「ん、何や?」

 

「念話、と言ったか? それでシャマルに伝えて欲しい事がある」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナカジマとランスターから、決して目を離すな……とな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「……え?」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ」

 

一方、ホテル・アグスタ外部ではフォワードメンバーの4人が警備を担当していた。そんな中、ティアナはクロスミラージュを指でクルクル回しながら、ある事を考えていた。

 

(機動六課……この部隊は何かおかしい)

 

一言で言ってしまえば、この機動六課は保有している戦力が異常だ。空戦ランクS+のなのはとフェイトに、SもしくはニアSランクの実力を持つ副隊長陣。才能に溢れ、家族のバックアップもあるスバル。若くしてBランクに達しているエリオ。レアスキルを持つキャロ。異世界からやって来た仮面ライダーで、鏡の世界のモンスターとまともに戦える手段を持つ手塚と美穂。誰もが普通とは言えないレベルの人材だ。

 

それに対し、自分はどうだろうか。レアスキルもなければ、仮面ライダーに変身する力もない。この圧倒的に強力な部隊の中で、自分だけ特筆できるような長所がない。

 

(結局、凡人は私1人だけ……)

 

いつからか、彼女はそんなネガティブな考えを持つようになった。普段の訓練だって、なのは達の指導の下で何度も受け続けているが、どうも自分が強くなっているかどうかの実感がない。

 

(……いや、そんなのは関係ない。私はただ証明するだけ。私の力を……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういう事? 手塚さん」

 

そんなティアナ本人が知らないところで、彼女は手塚達が行っている話の中心となっていた。なのは達は困惑の表情を示し、手塚はコインを弾きながら語り出す。

 

「占いに出ていた。今回の任務、あの2人は何か大きなアクシデントに襲われるだろう」

 

「そ、そこまでハッキリわかるもんなの?」

 

「でも、普段から真面目に訓練をしてるスバルとティアナが、どうしてそんな―――」

 

「焦り」

 

「「「……!?」」」

 

手塚の一言で、はやて達は言葉を失った。

 

「理由はわからないが、ランスターの中からは何か焦りのような物を感じ取れた……高町なら、それについて何かわかるんじゃないか?」

 

「それは……」

 

なのはも、決して心当たりがない訳ではなかった。ここ数日、スバルとティアナを指導する中で、ティアナはどこか心に余裕がなさそうな様子だったのをなのは今でも記憶している。

 

「で、でもさ海之。それ、スバルとティアナには言わなくて良いの?」

 

「今は任務中だ。下手なタイミングでそれを本人達に伝えてしまうと、かえって彼女達の士気を低下させてしまいかねない。だからこそシャマルか、もしくはシグナム達にその事を伝えて貰いたいんだ」

 

「せ、せやけど、本当にそんな事になるとは……」

 

「俺の占いは外れた事が滅多にない」

 

「「「「……」」」」

 

「……だが、運命は変える物だ。現時点で、あの2人の運命がそうだとハッキリわかっているからこそ、その最悪の運命は絶対に変えなければならない……こんな占いは外れた方が良いという事なら、俺も充分わかっているつもりだ」

 

手塚が告げる言葉に、はやて達は何も言えなくなる。そんな時だった。

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

 

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

そんな空気を全く読んではくれない存在がいた。

 

「モンスターか」

 

「あぁもう、こんな時に……!」

 

モンスターが現れたからには、そちらに対応しなければならない。手塚と美穂はすぐにその場から移動し、鏡に成り得る物が存在する場所まで向かって行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホテル・アグスタ外部、とある森林地帯。

 

「……」

 

そこにはホテル・アグスタを遠くから眺めている、ローブを羽織った長身の男性が立っていた。その男性の隣に、背の低い紫髪の少女が転移してきた。

 

「ゼスト……」

 

「……ルーテシアか。残念だが、ここにはレリックはないようだぞ」

 

「……そう」

 

長身の男性―――“ゼスト”がそう言っても、紫髪の少女―――“ルーテシア”は無表情のままだ。ゼストは気になった事を彼女に問いかける。

 

「“彼”はどうした?」

 

「お兄ちゃんは今、ドクターの下で検査中……」

 

「……不憫な物だな。スカリエッティのような男に目を付けられるとは。それから“あの男”にも……」

 

ゼストがそう言っている中、ルーテシアの周囲を紫色の小さな物体が飛来し、そしてルーテシアの手に止まる。

 

「……お兄ちゃんなら大丈夫。それより、ドクターの玩具がこっちに近付いて来てるみたい……」

 

「そうか……目的の物がない以上、どの道ここには用はないな。それに……」

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

 

 

「……この近くに、モンスターもいるようだ」

 

「うん……」

 

その時、2人の前に映像通信が繋がった。画面に映っているのはスカリエッティで、彼の顔を見たゼストはギロリと睨み付ける。

 

「……何の用だ? スカリエッティ」

 

『やぁ、騎士ゼスト、ルーテシア嬢。君達2人に、ちょっと頼みたい事があってね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

 

その金切り音は現在、ホテル内のエレベーターから響き渡っていた。当然、エレベーターに乗ろうとしている警備員の男性にはその音は聞こえておらず、上の階に向かうべくエレベーターに乗り込んだ。

 

そして……

 

≪上へ参ります≫

 

『フフフフフ……!!』

 

「へっ!? な、うわ―――」

 

アナウンスと共に、警備員の男性はエレベーターの天井にある鏡へ吸い込まれてしまった。

 

一方、その事を知らない手塚と美穂はそれぞれ男子トイレと女子トイレに入り、周囲に誰もいないのを確認してから鏡にカードデッキを向ける。

 

「「変身!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

 

「お、来た来た!」

 

ホテル・アグスタから少し離れた位置にある建物の屋上。モンスターの出現を待っていた湯村は上機嫌な様子でインペラーのカードデッキを取り出し、下の階へ降りる為の扉のガラスへと向ける。

 

「変身!」

 

カードデッキをベルトに装填し、湯村はインペラーの姿に変身。彼が扉のガラスを通じてミラーワールドに向かった後、その扉のガラスを二宮が見据える。

 

「あの馬鹿にはもはや、俺が忠告したところで無駄か……せめて、俺達の役には立って貰うぞ」

 

二宮は水色のカードデッキを取り出し、扉のガラスに対して体を横に向けた状態で構えてから、カードデッキを扉のガラスに突き出す。出現したベルトが彼の腰に装着されると、二宮はカードデッキを持った左手を素早く自身の胸元に持っていき、素早くベルトの左横まで移動させる。

 

「変身」

 

カードデッキがベルトに挿し込まれ、二宮は鮫の特徴を持った水色の戦士―――“仮面ライダーアビス”に変身。アビスは左腕に装備されたコバンザメの形状をした召喚機―――“鮫召砲(こうしょうほう)アビスバイザー”を右手で撫でた後、インペラーと同じようにミラーワールドへと突入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『フフフフフフ……!!』

 

ミラーワールド、ホテル・アグスタ外部の森林地帯。モンスターの気配を辿ってやって来たライアとファムは、キツネザルのような特徴を持った赤い三つ目の怪物―――“デッドリマー”と既に交戦を開始していた。ライアとファムはそれぞれの武器でデッドリマーに攻撃を仕掛けるも、デッドリマーは素早い動きで2人の攻撃をかわし、周囲の木々も上手く利用して2人から素早く逃げ回る。

 

『フフ、フフフフフフ!!』

 

「あ、こら、逃げるなっての!?」

 

「すばしっこい奴め……!!」

 

ライアがエビルウィップで捕らえようとしても、デッドリマーにはそれより早い動きで回避される。デッドリマーある程度の距離を取ってから、自身の臀部に付いている尻尾型の拳銃を手に取り、離れた距離からライアとファムを狙撃し始めた。

 

『フフ、フフフフフ!!』

 

「ッ……あぁもう腹立つ!! だったらこれで!!」

 

≪GUARD VENT≫

 

『フフ……?』

 

デッドリマーのトリッキーな動きに苛立ったファムは、召喚したウイングシールドを左手に装備。周囲に白い羽根が一斉に広がり、デッドリマーは構わず拳銃でファムを狙い撃つも、弾丸が命中しそうな瞬間にファムの姿が一瞬で消える。

 

「はぁ!!」

 

『フフッ!?』

 

無数の白い羽根を利用し、デッドリマーの背後に回り込んだファムはブランバイザーで背中を斬りつけ、デッドリマーが地面を転がった。そこへライアのエビルウィップが伸び、デッドリマーの胴体に巻きつけて拘束する事に成功した。

 

「やっと捕まえたぞ」

 

「観念しなさい……!」

 

『フ、フフフフ……!?』

 

拘束されたデッドリマーは必死に抜け出そうともがくが、そこにファムがブランバイザーを構えてジリジリと接近していく。

 

しかし……

 

 

 

 

≪ADVENT≫

 

 

 

 

『『グルァ!!』』

 

「え、うわっ!?」

 

「!? 何……ぐっ!?」

 

そこへ突如ギガゼールとメガゼールが現れ、ライアとファムを攻撃。その拍子に2人は武器を落としてしまい、ウイングシールドが手元から落ちた事で周囲の白い羽根が全て消え、エビルウィップから脱け出したデッドリマーはすぐにその場から跳躍して逃走する。

 

『フフ? フフフフフッ!!』

 

「ッ……待て!!」

 

「待つのはテメェ等だゴラァッ!!」

 

「ぐぁっ!?」

 

逃走するデッドリマーを追いかけようとしたライアを、背後から現れたインペラーが容赦なく蹴りつけ、ライアを薙ぎ倒す。

 

「!? お前は!?」

 

「よぉ、マンタ野郎に白鳥女……俺の邪魔すんなって、前にも言ったよなぁ!?」

 

「ッ……お前は今、機動六課によって指名手配されている。一緒に来て貰うぞ……!!」

 

「はん、やなこったぁ!!」

 

≪SPIN VENT≫

 

インペラーはガゼルスタッブを召喚し、ライアに向かって勢い良く振り下ろす。ライアはエビルバイザーでそれを防いだ後、インペラーを蹴りつけて後退させ、1枚のカードをエビルバイザーに装填する。

 

≪COPY VENT≫

 

「あん? 何だ……ッ!?」

 

電子音が鳴った瞬間、インペラーの装備しているガゼルスタッブが光り出し、そこから1つの鏡像が出現。その鏡像はライアの手元に向かった瞬間、ライアの手元にも全く同じ形状のガゼルスタッブが出現した。

 

「テメェ、俺の武器を……!!」

 

「悪く思うな……今回は俺も遠慮はしない……!!」

 

「チッ……やってみなぁ!!」

 

インペラーとライアの振るうガゼルスタッブがぶつかり、激しく火花を散らし合う。2人は何度かに渡ってガゼルスタッブで接近戦を繰り広げるも、ガゼルスタッブ同士が接触して2人が押し合いになった隙を突き、ファムが後ろからブランバイザーでインペラーの背中を斬りつける。

 

「!? 不意打ちとはやってくれたな、白鳥女ぁ……!!」

 

「1対1だなんて、誰も言ってないでしょ?」

 

「ッ……くそが!!」

 

「ぐっ!?」

 

ファムの言動に苛立つインペラーだったが、自分が不利であるという自覚はあるようで、ライアを蹴りつけて距離を取った彼は木の枝の上に跳躍し、ライアとファムを見下ろした。

 

「本当なら今ここでぶっ潰してぇところだが、今はテメェ等を構ってる場合じゃねぇって事を思い出したぜ……じゃあな!!」

 

「!? おい、待て!!」

 

インペラーは木から木へとジャンプして去って行き、その後をライアとファムが追いかけようとした……その時。

 

 

 

 

ズドドドドォンッ!!

 

 

 

 

「「ッ!?」」

 

そんな2人の足元の地面に、複数の水のエネルギー弾が着弾。2人は足を止め、水のエネルギー弾が飛んできた方向に視線を向けると……

 

「少しだけ待って貰おうか」

 

木の上からジャンプしたアビスが、ライアとファムの前に着地。アビスの姿を見たライアとファムは驚愕した。

 

「4人目の、仮面ライダー……!?」

 

「ッ……アンタは……!!」

 

「……片方は初めまして。もう片方は久しぶりだな」

 

アビスはそう言って、カードデッキから引き抜いた1枚のカードを、左腕のアビスバイザーの口元に食べさせるように装填する。

 

≪SWORD VENT≫

 

アビスの手元には、鮫の歯が複数並んだような形状の長剣―――“アビスセイバー”が飛来。アビスはそれを右手で受け止めた後、ライアとファムの行く手を阻むように立ちはだかった。

 

「せっかくこうして会えたんだ。少しばかり、俺と話をしようじゃないか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、現実世界では……

 

 

 

 

 

「シュートッ!!」

 

フォワードメンバー達もまた、出現したガジェット達を相手に戦闘を開始していた。なお、本来ならフォワードメンバー達がいる所まで攻め込まれる前にシグナム達が全機殲滅するつもりだったのだが、ガジェット達に謎の小さな虫達が取り付いた瞬間、ガジェット達の動きが急に良くなり、何機かが一斉にフォワードメンバー達の所まで攻め込んで来たのだ。

 

(やる事は今までと同じ……私の勇気と力を、証明するだけ……!!)

 

「ッ……ティアさん!!」

 

「!?」

 

キャロの叫ぶ声に気付いたティアナが振り返ると、1機のガジェットが真横から迫って来ていた。反応が遅れたティアナは思わず身構える。

 

「しまっ―――」

 

ガジェットの伸ばすコードがティアナを襲おうとした瞬間……

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

『フフフフフ!!』

 

「ッ……!?」

 

ホテルの窓ガラスから弾丸が飛び、ティアナに襲い掛かろうとしたガジェットを破壊。ティアナが振り返った先にある窓ガラスからデッドリマーが飛び出し、ティアナ達の前に降り立った。

 

「モンスター……!?」

 

『フフフフフ……フッ!!』

 

「ッ……スバル!!」

 

「任せて!!」

 

デッドリマーはスバルとティアナに対しても拳銃を向け、容赦なく弾丸を発砲。2人は左右に回避し、スバルがリボルバーナックルでデッドリマーを殴りかかるも、デッドリマーは素早い動きで彼女達の攻撃をヒラリヒラリとかわしつつ、相手に狙いを定められないよう激しく動き回りながら、フォワードメンバー達を狙い撃つ。

 

そこへ……

 

『グルルルルルッ!!』

 

『フフッ!?』

 

「なっ!?」

 

「嘘、もう1体……!?」

 

デッドリマーの後を追いかけてきたギガゼールが窓ガラスから飛び出し、高く跳躍していたデッドリマーを体当たりで撃墜。デッドリマーが地面に落下した後、窓ガラスからはインペラーも飛び出して来た。

 

「んあ? 何だこの状況?」

 

「!? アンタは……!!」

 

ティアナはインペラーの姿に見覚えがあった。それは任務開始前にはやて達から伝えられていた、指名手配犯の仮面ライダーと特徴が一致していたからだ。

 

「まぁ良いや。取り敢えずはモンスターを……お?」

 

ガジェットには興味がないのか、デッドリマーにだけ狙いを定めたインペラーはそちらに向かおうとするも、そんな彼の右腕がバインドで拘束される。インペラーはそれがティアナの仕業である事に気付いた。

 

「……おい、こりゃ何のマネだ? 嬢ちゃん」

 

「あなたの事は、八神部隊長達から話を聞いています……あなたは今、この場で拘束させて貰います!!」

 

「俺を捕まえる気か? はっはっはっはっは……舐めた事抜かしてんじゃねぇぞ」

 

『グルァッ!!』

 

「くっ……!!」

 

体当たりを仕掛けて来たギガゼールにティアナが気を取られた隙に、インペラーは右腕を拘束しているバインドを左手で引き千切り、カードデッキから1枚のカードを引き抜いて右膝のガゼルバイザーに装填する。

 

「ゴチャゴチャこんがらがっててめんどくせぇ……まとめて蹴散らしてやるよ」

 

≪FINAL VENT≫

 

『『『『『グルルルルルァッ!!』』』』』

 

「!? スバル、エリオ、キャロ、気を付けて!!」

 

「え、うわわわわ!?」

 

「なっ……くぅ!?」

 

「きゃあ!?」

 

窓ガラスからガゼル軍団が一斉に飛び出し、フォワードメンバー達やデッドリマー、更にはガジェットの大群に向かって一斉に襲い掛かって来た。フォワードメンバー達は何とか上手く回避しているが、デッドリマーはガゼル軍団の体当たりを受け続けて上手く身動きが取れておらず、ガジェット達もガゼル軍団の体当たりで次々と破壊されていく。

 

「どぉらぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

『!? フフフフフ……フゥッ!?』

 

そんな中、跳躍したインペラーがデッドリマーに向かって左足でローリングソバットを放ち、デッドリマーを大きく蹴り飛ばした。しかしデッドリマーの拳銃から放たれた弾丸がインペラーの蹴りをいくらか反らしたのか、命中こそしたものの決定打には至らず、デッドリマーはフラフラながらもホテルの窓ガラスまで移動し、そこからミラーワールドへ退散してしまった。

 

「あ!? くそ、逃げやがった……!!」

 

「逃がしません!!」

 

「ぬぉ!? チィ……ガキ共が、俺の邪魔をするんじゃねぇっ!!!」

 

『『『『『グルァァァァァァァッ!!』』』』』

 

ティアナの放った魔力弾が右肩を掠り、怒ったインペラーはガゼル軍団をフォワードメンバー達にけしかける。まだ破壊されていないガジェットも交えた乱戦状態に陥る中、フォワードメンバー達にシャマルの念話が届く。

 

『皆、例の仮面ライダーまで現れて大変な状況だけど、もうすぐ副隊長達が駆けつけるわ!! それまで、もう少しだけ持ち堪えて!!』

 

『『『はい!!』』』

 

スバル、エリオ、キャロの3人は了承する……が、ティアナだけは違った。

 

『守ってばかりでは行き詰まります!! 私達だけで、コイツ等を倒してみせます!!』

 

『ティアナ!? 相手は仮面ライダーとモンスターよ、いくら何でもそれは危険過ぎるわ!!』

 

「私とスバルのクロスシフトAなら行けます!! そうでしょ、スバル!!」

 

「へ? う、うん、任せて!!」

 

『ちょ、ちょっと2人共!? 駄目よ、止まりなさい!!』

 

シャマルの命令も無視し、ティアナはスバルと連携してガゼル軍団とガジェットを攻撃していく。スバルが空中にウイングロードを展開してガジェットを殴り壊していく一方、インペラーは近くにいたネガゼールを後ろから蹴りつけ、前方から飛んできた魔力弾を防いでみせた。

 

『グルッ!?』

 

「チッ……やってくれんじゃねぇかガキ共、覚悟はできてんだろうなぁ?」

 

「お前なんかに……私達は負けない!!」

 

「口だけは達者だなぁ、クソガキがぁっ!!」

 

インペラーが突き立てて来るガゼルスタッブを後退して回避し、ティアナはクロスミラージュに魔力を収束させていく。

 

(やれるはずだ……特別な才能や魔力がなくたって、ランスターの弾丸は敵を仕留められる……!!)

 

「証明してみせる……私の力を……!!」

 

「!? 何かヤバそうだ……!!」

 

何かを察知したインペラーが後退する中、ティアナはクロスミラージュから複数の弾丸を一気に撃ち放った。

 

「クロスファイア……シューーーーーーート!!!」

 

「ぬぉおっ!?」

 

『グル!?』

 

『グルァッ!?』

 

『グガゥ!?』

 

放たれた複数の弾丸は、1発がインペラーの胸部に命中し、他の弾丸はガゼル軍団やガジェット達を次々と狙い撃ちしていく。ガジェットは次々と破壊されていくが、それでもガゼル軍団の撃破には至っていない。その事実が余計にティアナを焦らせた。

 

(証明、証明しなきゃいけないんだ……私と、兄さんの力を!!!)

 

しかし、そのせいで彼女は気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の放った弾丸が1発、スバルに向かって飛んで行っていた事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え……きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「―――え」

 

そのまま弾丸はスバルの背中に命中し、スバルはウイングロードから地面へと落下していく。その光景が視界に入り込んだ事で、ティアナはようやく自分のしでかした事に気付いた。

 

「あ……あぁ……ッ……」

 

 

 

 

 

 

やってしまった。

 

 

 

 

 

 

自分の過ちに気付いた頃には、もう遅かった。

 

 

 

 

 

 

「スバルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

ティアナはただ、落ちていくパートナーの名前を叫ぶ事しかできなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎StrikerS!


ヴィータ「もう良い、テメェ等まとめて引っ込んでろ!!」

ティアナ「私……私は……ッ……!!」

手塚「お前達は一体、何をしようとしている!?」

二宮「邪魔をするのなら、容赦はしない」

≪STRIKE VENT≫

二宮「まとめて沈め……!!」


戦わなければ生き残れない!
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