リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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・ジオウ感想

謎のマンホール推しにハイパー大草原。あと、祐子さんがソウゴに対してとんでもない発言をしたもんだからガチでコーラ噴いちゃいました。
井上ェ!!
これニチアサだぞォ!!?

そして次回はカ・ガーミン&地獄兄弟も参戦じゃあーッ!!














さて、今回は第23話を更新。
今回でウェイブ・リバー/仮面ライダーアイズの本名が明かされます。

それではどうぞ。

あと、活動報告で質問受付タイムとオリジナルライダー募集を同時進行しておりますので、興味がある方は活動報告まで。










戦闘挿入歌:果てなき希望










第23話 ウェイブ・リバーという男

「させっかよ……っと!!」

 

『キュキュッ!?』

 

アイズとライアの追撃を振り切り、逃げたフリをして再び女子生徒とギンガに襲い掛かろうとしたタイムラビット。それに気付いたアイズが屋上から飛び降りながらディスシューターの糸を放出し、2人に襲い掛かろうとしたタイムラビットのボディに巻きつける事でそれを阻止した。

 

「!? あなたはさっきの……」

 

「その子を連れて下がれ!!」

 

『キュキュッ……キュウ!!』

 

地面に着地したアイズが女子生徒を連れて下がるようギンガに促すが、その間にタイムラビットは巻きついた糸を自力で難なく引き千切り、アイズに向かって駆け出して来た。それに気付いたアイズが応戦しようとするも、立ち上がったタイムラビットは首の懐中時計の針が高速で回り始める。

 

『キュキュッキュウ!!!』

 

「!? 速い!?」

 

「何……ッ!?」

 

するとタイムラビットが高速で動き出し、一瞬でアイズの目の前まで接近。アイズが正面に構えようとしていた右腕のディスシューターに強烈な蹴りを命中させ、それによりディスシューターの放出口がひしゃげて使用不可能になってしまった。

 

「!? しまっ―――」

 

『キュキュアッ!!』

 

「ぐあぁっ!?」

 

「なっ……大丈夫ですか!?」

 

すかさずタイムラビットが追撃の回し蹴りを放ち、吹き飛ばされたアイズは壁に当たって跳ね返り、ギンガ達の前まで地面を転がる。そこに高速移動を終えたタイムラビットが、更なる追撃を仕掛ける為に大きく跳躍。アイズを踏み潰そうと一気に降下して来た。

 

「ッ……舐めるな!!」

 

『キュキュッ!?』

 

しかしやられてばかりのアイズではない。彼は倒れた状態からも右足を大きく突き出し、落ちて来たタイムラビットの腹部に蹴りを命中させた。思わぬ反撃を受けたタイムラビットは地面を転がった後もすぐに立ち上がり、再びアイズに向かおうとしたが……

 

≪SWING VENT≫

 

「はぁっ!!」

 

『キュ!?』

 

「! 手塚さん……!!」

 

別方向から駆け付けたライアがエビルウィップを振るい、アイズへの追撃が失敗したタイムラビットが後退させられる。これ以上は分が悪いと判断したのか、タイムラビットは今度こそ諦めた様子で窓ガラスに飛び込み、ミラーワールドに逃げて行ってしまう。

 

「おい待て……ッ……!!」

 

後を追いかけようとするアイズだったが、先程受けたタイムラビットの回し蹴りが腹部に命中したらしく、腹部の痛みから仮面の下で表情を歪める。それでも後を追いかけようとするアイズを、後ろからギンガが呼び止める。

 

「あ、あの、大丈夫ですか!? そんな傷じゃ……」

 

「……俺なら心配ない。その子を守れ」

 

「え、ちょ、ちょっと!?」

 

腹部を押さえながらフラフラ歩き去ろうとするアイズの姿は、ギンガから見ても大丈夫とは思えなかった。しかし彼女が駆け寄って制止させようとする前に、アイズはタイムラビットが逃げ込んだ窓ガラスを通じて再度ミラーワールドに飛び込もうとする。

 

「ま、待って!! あなたに伝えたい事が!!」

 

しかしそんな彼女の言葉は、ミラーワールド内へと突入して行ったアイズには届かなかった。制止しようとしたギンガの手はアイズに触れる事なく終わり、ライアはアイズが向かって行った窓ガラスを見ながら変身を解除する。

 

「……手塚さん、あの人は……」

 

「あぁ、夏希から聞いていた特徴と一致する。3年前、お前を助けたという蜘蛛のライダーだ」

 

3年前に手塚達が遭遇した連続盗難事件。アイズこそが、その事件の最中にギンガが何度も助けて貰ったという謎のライダーの正体だった。ギンガはアイズが飛び込んで行った窓ガラスに触れながら、悲しげな表情を浮かべる。

 

「どうして……あんな無茶をしてまで……」

 

「……まずはその子を連れて行こう。奴の事はそれからだ」

 

ひとまず、タイムラビットに襲われて怪我をした女子生徒を保健室まで連れて行くのが先決だ。手塚にそう言われたギンガは女子生徒の方まで歩み寄って行く一方、手塚はアイズが飛び込んで行った窓ガラスを再度見つめた後、学院の周囲を見渡していく。

 

(ここからだと……大体あの辺りか)

 

コインを指で弾き、落ちて来たコインをキャッチする手塚。彼が占いで見据えた先にあったのは、学院から近過ぎず遠過ぎない位置にある大きなマンションだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛みはもう大丈夫?」

 

「は、はい、ありがとうございます……」

 

その後、学院の保健室まで女子生徒を連れて来たギンガは、保健室にいた養護教諭に怪我の事情を説明し、しばらく女子生徒を保健室に休ませる事になった。養護教諭が用事で保健室を出て行く中、ギンガは保健室のベッドで休んでいる女子生徒の隣に座り込む。

 

「アルマちゃん、で良かったかしら? しばらくはここで待っていましょう。さっきの怪物がまた襲って来ないように」

 

「はい……」

 

モンスターは一度狙った獲物は執念深く狙い続ける。その習性上、タイムラビットは女子生徒―――アルマを再び襲おうとするだろうと考えたギンガは、保健室の窓のカーテンを完全に締め切り、出入り口の扉のガラスも紙をセロテープで張り付けて目張りする事でタイムラビットが出て来れないように対策を練っている。それでも不安を拭えないのか、アルマはビクビクした様子でギンガに話しかけた。

 

「あ、あの……何なんですか、あの怪物……? どうして私を……」

 

「……あの怪物は、鏡やガラスから飛び出して来る危険な存在なの。それに執念深いから、きっとまたあなたを狙おうとするわ。だからしばらくの間はここにいましょう。さっきのお兄さん達が、あの怪物をやっつけてくれるまでの間はね?」

 

「で、でも、もしかしたら、他の皆も襲われるんじゃ……!」

 

「大丈夫。あのお兄さん達が皆を守ってくれるわ。あの人達は強いから」

 

彼女の言う通り、ミラーワールド内の学院内部をエビルダイバーが飛び回り、ディスパイダー・クリムゾンが徘徊している。この2体がタイムラビットの襲撃に備えてくれているおかげで、今のところ学院内ではタイムラビットの襲撃は起こっていない。

 

「もし怖いなら、私が傍にいてあげる。私はあのお兄さん達ほど強くはないけれど……あなたを守る事くらいならできるから」

 

「……はい」

 

ギンガの優しさをアルマも感じ取ったのか、まだタイムラビットに襲われた時の恐怖心を完全に拭えてはいないものの、先程までよりかはいくらか落ち着いた気分になっていた。アルマが安心できるよう、ギンガが彼女を抱き寄せて頭を優しく撫でてあげる中、アルマは自分達を助けてくれたアイズとライアの事についてギンガに問いかけて来た。

 

「あの、ギンガさん……さっきの人達って、一体誰なんですか……?」

 

「あのお兄さん達の事? う~ん、そうねぇ……」

 

仮面ライダーの存在はそれらしい噂が広まっているくらいで、世間全体にその存在が広まっている訳ではない。本当ならあまり言いふらすような事ではないのだが、アルマを安心させる為にも、ギンガは素直に話してあげる事にした。

 

「この事は、他の皆には内緒よ……?」

 

仮面ライダーがモンスターから人を守る為に戦っている事。先程アルマが見た2人のライダーの内、ライアは自身とも知り合いである事。アイズには過去に何度か自分も助けて貰っている事。悪いライダーも存在する事については敢えて何も言わず、簡潔ながらもギンガが説明を終えると、いつの間にかアルマはギンガに対して目を輝かせていた。

 

「じゃあ、あのお兄さん達は正義の味方なんだ……!」

 

「う~ん……まぁ、そういう事になるかしらね?」

 

手塚達が果たしてその呼び方に納得するかどうかはさておき。アルマが先程までに比べて表情に元気が戻り始めているのを見たギンガは、敢えて話したのは正解だったと認識する。するとアルマが、今度はギンガにこんな事を聞いてきた。

 

「じゃあ、あの赤い蜘蛛さんはギンガさんの恩人?」

 

「えぇ。本当なら今すぐにでも、助けて貰ったお礼を言いたいんだけれど……今はどこにいるのかサッパリなの。私達を守る為に怪我もしちゃったみたいだし、凄く心配だわ……」

 

「ふぅ~ん……ギンガさんは、あの蜘蛛さんの事が好きなの?」

 

「へっ!?」

 

アルマから突然ぶつけられてきた疑問。その内容に不意打ちを喰らったギンガが動揺する。

 

「な、何でそう思ったの……?」

 

「だってギンガさん、赤い蜘蛛さんの話をしてる時、凄く笑ってるから」

 

「え、えぇっと……別に好きだとか、そういう訳じゃないかなぁ~? 私はただ、助けて貰ったお礼を言いたいだけだし……」

 

「えぇ~本当に~?」

 

「ほ、本当にそれだけだから!」

 

困惑しつつもそう答えるギンガだったが、彼女は自身の頬が無意識の内に赤くなっていた。その事に気付いたアルマが面白そうに何度も聞き続け、ギンガは動揺しつつも必死に否定し続ける。

 

(でも……)

 

それでも、アイズに対して気になっている事があるのも確かだった。アイズがタイムラビットから自分達を守ろうとしてくれた時。彼が発した声に、ギンガは引っかかりを感じていた。

 

(あの声……やっぱり彼は……)

 

「ギンガさん、どうかしたの?」

 

「あ、ううん。何でもないわ」

 

とにかく今は、アルマを守り抜く事が最優先だ。ギンガはそう自分に言い聞かせようとしたのだが、それでもアイズに対する疑問は尽きないでいた。何故なら彼が自分達に対してかけて来た声は、ギンガがつい最近聞いたような気がする声だったのだから。

 

()がいた場所からこの学院は遠いだろうし……やっぱり人違い? いや、でも……う~ん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、そのアイズの正体であるウェイブはと言うと……

 

 

 

 

 

「あぁ~畜生、まだ痛むなぁ……」

 

学院からそう遠くない位置にあるマンションの屋上。ウェイブは戦いの中で負傷した腹部を手で押さえながら、学院の様子を双眼鏡で眺めているところだった。万が一タイムラビットの接近があった時はいつでも出れるよう、彼のすぐ近くには手鏡が置かれている。

 

「くっそ~あんのウサギめ、次会ったら絶対倒してやる……まぁ、ディスパイダーに見張りはさせてるし、今のところは大丈夫かね―――」

 

「やっぱりここにいたか」

 

「ッ!?」

 

後ろから呼びかけられたウェイブが振り返る。そこには2本の缶コーヒーを手に持っている手塚の姿があった。

 

「どこかで学院の様子を見てるんじゃないかと思っていたが、どうやら当たりのようだな」

 

「……えっと、何の事でしょうか? というかお兄さん誰?」

 

「誤魔化さなくて良い」

 

何も知らないフリをして誤魔化そうとするウェイブだったが、手塚は1本の缶コーヒーを座っているウェイブの隣に置いてから自身も座り込む。

 

「占いで、赤い蜘蛛のライダーの行き先が見えた。そして向かった先にはお前がいた。つまりはそういう事だ」

 

「えぇ~、何だよそのピンポイント過ぎる占い……?」

 

「その反応を見て確信した。やはりお前がアイズだったか」

 

「……あっ」

 

どうやら手塚は鎌をかけて来たようだ。珍しくそれに乗せられてしまったウェイブは「しまった」といった表情を浮かべるが、手塚の表情を見てこれ以上はもう誤魔化せないだろうと判断し、観念した様子で溜め息をついた。

 

「ま、流石にこれ以上は無理か……あぁそうさ、俺が仮面ライダーアイズだよ。普段はウェイブ・リバーって名前で名乗らせて貰ってる」

 

「やっと素顔を見せてくれたな。普段は……という事は、その名前も偽名か?」

 

「まぁね。ウェイブ・リバーってのはカメラマンとしてのペンネームで、本当の名前は波川賢人。よろしく……で、そういうお宅は?」

 

「手塚海之、仮面ライダーライアだ」

 

「ふぅん、良い名前じゃん……あ、俺の事はまだ内緒にしといてね? 特にギンガちゃんには。そしたら話くらいはしてあげても良いから」

 

「……わかった」

 

2人はお互いに自己紹介をしてから、缶コーヒーのプルタブを開けてコーヒーを口にする。コーヒーのほろ苦い味が口の中に広がっていくのを感じ取りながら、手塚はウェイブこと波川賢人(なみかわけんと)に問いかける。

 

「お前はいつからミッドに?」

 

「今から大体3年くらい前かなぁ。こっちの世界に来てからも、フリーのカメラマンとしてミッドのいろんな事件を調べて回っていたよ……で、そん中でたまたまお宅等を見かけた」

 

「なら、ギンガを助けたライダーも……」

 

「そ、もちろん俺。彼女は良いよねぇ、ガッツがあって。写真に撮ったら良い絵になりそうだ……あ、写真と言えば」

 

「?」

 

「俺が渡した写真とカード、ちゃんとお役に立てたかな?」

 

「!? それは……」

 

ウェイブが懐から取り出した物。それはエンブレムが刻まれていない未契約状態のカードデッキだった。それを見た手塚は、ウェイブが告げた言葉も合わせて、1つの答えに到達する。

 

「……そうか。あの封印のカードも、お前が渡してくれたんだな」

 

「あれ、今は持ってないのかい?」

 

「今は娘に持たせている。お守りとしてな」

 

「へぇ、そっか。お役に立てているようで何よりだよ」

 

かつて仮面ライダーベルグが起こした盗難事件。ウェイブはその事件の中で二宮を通じて、事件解決の手掛かりとなる写真、そしてモンスターから身を守る為の封印(シール)のカードを手塚に譲渡していた。事件解決後、封印(シール)のカードは手塚からヴィヴィオの手に渡っており、現在はそれがモンスターから彼女の身を守ってくれている。

 

「感謝する。お前のおかげで、娘は今も平和に過ごせている」

 

「いやぁ、良いって良いって。こっちが勝手にやった事だからさ。礼を言われるような事じゃないさ」

 

「……妙に謙遜するな。俺達を助けた事も、ギンガを助けた事も、人として誇っても良い事じゃないのか?」

 

「そんなカッコ良いもんじゃない。俺がやってるのは所詮、ただの自己満足でしかないよ。それに、俺1人じゃ助けられる人数にも限界はあるしね」

 

「ならば、他の誰かとも積極的に協力すれば良いだろう。何故そんなに距離を置こうとする」

 

「さっきも言ったでしょ? 慎重に動きたいって」

 

ウェイブはコーヒーを喉に流し込んでから、両手で構えたカメラで街の風景を写真に収める。パシャリとカメラがフラッシュした後、ウェイブは写真に撮れている事を確認しながら言葉を続けた。

 

「どっから情報が洩れるかわからない以上、今はまだ管理局との接触は避けたいのよ。管理局も管理局で、信用できない部分があるからさ。知ってるよ? 4年前、どデカい事件がここで起こったそうじゃない。その事件の首謀者と、管理局の人間が繋がりを持っていた事もね」

 

「ッ……!」

 

「他にも色々調べたよ。麻薬密売組織と繋がっていた局員に、自宅に奴隷を連れ込んでいた局員とかも。そんな真っ黒な奴等がいる組織を、俺がそう簡単に信用すると思うかい?」

 

「それは……」

 

ウェイブの言う事も尤もだ。これまで、管理局にも不祥事を起こした局員は何人も存在している。それで管理局を簡単に信用するのは無理があるであろう事は手塚にも理解はできた。

 

「ま、全員が全員悪い奴じゃないのは俺もわかってるさ。ギンガちゃんなんか見てるだけで良い子だってわかっちゃうくらいだし」

 

「なら、ギンガにだけでも話はできないのか? いずれは彼女も気付くぞ」

 

「……無理だろうねぇ」

 

構えていたカメラを降ろし、ウェイブの表情から笑みが消える。

 

「何度も言うけど、俺はなるべく慎重に動きたいんだよ……後で後悔したくないからさ」

 

「後悔……? どういう意味だ」

 

「悪いけど、それ以上話す気はないよ」

 

手塚の方に振り向く事なく言い放たれたウェイブの言葉。そこには僅かながらに棘が含まれており、それを告げた時のウェイブの表情には、いつものノリの軽い雰囲気は微塵も存在していなかった。

 

「アンタが悪い人間じゃないのは俺でもわかるさ……けど今は、それ以上踏み込まないで貰えるとありがたいね。俺の気分的な意味でさ」

 

「……それは、俺が力になれない内容か?」

 

「なれないね」

 

ウェイブは強く断言した。それ以上踏み込む事は許さないと言わんばかりの、手塚に対する明確な拒絶だった。

 

「少なくとも、占いで先の未来が見える奴(・・・・・・・・・)なんかには絶対にな」

 

「……そうか」

 

それ以上、手塚が無理に聞こうとする事はなかった。ウェイブにとってもそれはありがたかったのか、2人の会話がそれ以上続く事はなく、2人が口にしている缶コーヒーだけが、時間の経過と共に少しずつその量を減らして行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学院の内部ではギンガが、学院の外部では手塚とウェイブが、ミラーワールド内部ではエビルダイバーとディスパイダー・クリムゾンが警戒を続けているこの状況。

 

少しずつ時間が経過していき、この日の学院の授業が終わりそうなその時……ようやく事態は動き出した。

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

「「―――ッ!!」」

 

再び聞こえて来た金切り音。タイムラビットが再びアルマを狙い始めた事を悟り、手塚とウェイブはすぐ傍に置いていた鏡にカードデッキを突き出し、ベルトの出現と共にそれぞれがポーズを取って変身する。

 

「「変身!!」」

 

カードデッキを装填し、手塚はライアに、ウェイブはアイズに変身。鏡を通じて突入した2人は、ライドシューターに乗り込んで学院の敷地内まで到着した後、どこかに潜んでいるであろうタイムラビットを捜索し始める。

 

「さて、奴はどこにいるかな……?」

 

「……ッ!? 来るぞ!!」

 

『キュキュウゥゥゥゥゥッ!?』

 

学院の校舎裏を探し回っていた2人の前に、糸に巻きつかれた状態のタイムラビットが飛ばされて来た。突然の事態にライアが驚くのに対し、アイズは「してやったり」といった様子でタイムラビットが飛ばされて来た方角に振り向いた。

 

「良いねぇ、ナイスだディスパイダー」

 

『キシシシシ……!!』

 

どうやらタイムラビットが学院内の子供達を襲おうとした時、それを発見したディスパイダー・クリムゾンが吐いた糸を巻きつけて捕縛、2人のいる方へと投げ飛ばして来たらしい。探す手間が省けた2人は即座にそれぞれの武器を召喚する。

 

≪BIND VENT≫

 

≪SWING VENT≫

 

「さっきやられた分は返させて貰うよ、ウサギちゃん」

 

「確実に仕留める……!!」

 

『キュキュ……キュキュキュキュキュッ!!』

 

アイズがディスシューター、ライアがエビルウィップを装備したのを見て、タイムラビットは巻きついていた糸を再び引き千切り、その場で小刻みにジャンプし始めた。するとタイムラビットの首に吊り下げられている懐中時計の針が再び高速で動き出し……

 

『キュキュウ!!!』

 

「!? またか……うごぁっ!?」

 

「ぬぐっ!?」

 

高速で動き回るタイムラビットは、アイズとライアの2人でも動きを捉える事ができない。2人が攻撃を受けて地面を転がり、ディスパイダー・クリムゾンも糸を放出して捕らえようとするが、タイムラビットの動きが速いせいで上手く捕まえる事ができない。

 

『キュキュキュキュキュキュ……!!』

 

「ッ……マズい、さっきの女の子を襲いに行く気だ……!!」

 

「くそ……待て!!」

 

2人の相手をする気はないとでも言っているのか、高速移動を終えたタイムラビットはすぐさま跳躍、アルマとギンガがいる保健室まで移動を開始。起き上がった2人はすぐに後を追いかけようとしたが、その途中でアイズの体がフラつきかける。

 

「ッ……!!」

 

「! おい、大丈夫か?」

 

「心配ないさね……ほら、さっさと追うよ……!!」

 

ライアが差し伸べる手も受け取らず、アイズはすぐに体勢を立て直して走り出す。その様子を見て不安に思うライアだったが、今はタイムラビットの後を追うのが先と判断し、アイズに続くように走り出して行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

 

「ひっ……ギンガさん……!」

 

「ッ……大丈夫、大丈夫よ」

 

そして保健室に籠っていた2人もまた、タイムラビットの接近を察知していた。先程まで元気を取り戻していたアルマが再び怯え始め、ギンガは彼女を強く抱き締めながら周囲を警戒する。

 

(大丈夫、向こうからは出て来れない筈……!)

 

窓のカーテンは閉め切り、出入り口の扉などにも紙で目張りをしている。少なくとも、向こうから飛び出して来る事はない筈だ。ギンガはそう考えていた。

 

しかし……事態は急変する。

 

「あ、ちょっと! 何ですかこの紙!」

 

「「!?」」

 

用事を終えて戻って来た養護教諭が、保健室の扉を開けて入って来た。出入口の扉のガラスに目張りがされているのを見た養護教諭はプンスカ怒った様子で、扉のガラスから紙をビリビリと剥がし始めた。

 

「もう、駄目ですよ! こんな悪戯しちゃ―――」

 

「ッ……駄目!!」

 

ギンガが叫んだが、もう遅かった。紙を剥がされた瞬間、扉のガラスがグニャリと歪み出し……

 

『キュキュウッ!!!』

 

「え……きゃあっ!?」

 

「先生!?」

 

「ッ……ブリッツキャリバー!!」

 

≪Set up≫

 

飛び出して来たタイムラビットが、養護教諭を無理やり薙ぎ倒してしまった。倒れた養護教諭はそのまま気絶し、ギンガはバリアジャケットを纏ってアルマの前に立ちタイムラビットと掴み合いになる。

 

「ッ……ぐ、くぅぅぅぅぅぅ……!!」

 

戦闘機人故にギンガも相当な力持ちなのだが、タイムラビットもそれに匹敵するパワーの持ち主だった。ギンガを押し退けようとするパワーが徐々に強まって行き、ギンガはブリッツキャリバーのローラースケートを高速回転させる事で耐え続ける。

 

(なんてパワーなの……このままじゃ……ッ!?)

 

苦悶の表情を浮かべていたギンガは、ある物を見てその表情が変わる。それはタイムラビットが首元に吊り下げている、金色の懐中時計。

 

(これ、確かさっき……)

 

ギンガは思い出す。アイズがタイムラビットに蹴り飛ばされた時、タイムラビットは高速移動を行う前に何かをしていた筈。そう、つまりは……

 

(……そうか、この時計が!!)

 

ギンガは賭けに出た。タイムラビットと掴み合いになっているこの状況を利用し、彼女は天井を大きく見上げるように頭を上げてから……

 

「―――ぬぉりゃあっ!!!」

 

『キュウッ!!?』

 

ゴチィンという強烈な音と共に、ギンガの頭突きがタイムラビットの顔面に直撃。それに怯んだタイムラビットが両手を離した隙に、ギンガは素早く右足で回し蹴りを放った。

 

「でりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

バキャアッ!!!

 

『キュ、キュッ……!?』

 

ギンガの放った回し蹴りが、タイムラビットの首元の懐中時計に命中。それにより引き千切れた懐中時計が大きく吹き飛びながら破損し、壁に当たってから床に落ちていった。

 

「よし……っとと……!」

 

『キュウ……キュキュキュッ!!!』

 

「!? ギンガさん!!」

 

頭突きした衝撃でギンガがフラつく中、タイムラビットは攻撃された怒りから再びギンガに襲い掛かろうとする。アルマがそれを見てギンガの名前を叫んだ……その時。

 

「「はぁっ!!」」

 

『キュキュ!?』

 

扉のガラスから飛び出して来たアイズとライアが、タイムラビットの横から強く蹴りつけた。タイムラビットが壁に激突する中、アイズとライアが並び立つと同時にギンガがその場に座り込む。

 

「手塚さん……ッ!」

 

「ギンガ、1人で無茶はするな」

 

「けど、1人でよく頑張ったじゃん。良いガッツしてるねぇ」

 

『キュキュウゥゥゥ……キュキュキュ!!』

 

起き上がったタイムラビットが怒った様子で小刻みにジャンプし、再びあの高速移動を繰り出そうとする。それを見たアイズとライアがすかさず身構えた……が、何も起きる様子がない。

 

『キュ、キュキュ……ッ……?』

 

「? 何だ、何もしないのか……?」

 

「ッ……アイツが首にかけていた時計を壊しました……たぶん、もうさっきみたいな動きはできない筈……!」

 

それを聞いたライアが見てみると、先程ギンガに壊された懐中時計が床に落ちていた。懐中時計はシュワシュワ音を立てて粒子化していき、跡形もなく消滅していく。

 

「へぇ、という事は超ファインプレーじゃないの……っと!!」

 

『キュッ!?』

 

「おら、こっちだ!!」

 

高速移動ができないとわかった以上、2人にとってはもう脅威ではない。アイズはディスシューターから放った糸をタイムラビットの右足に巻きつけ、強く引っ張ってタイムラビットを転倒させる。その隙にアイズが強く引っ張り、扉のガラスを通じてタイムラビットをミラーワールドまで引っ張り込んだ。

 

「ギンガ、後は任せろ」

 

「はい、お願いします……!」

 

ライアもアイズに続いてミラーワールドに突入した後、ギンガは大きく息を吐いてからベッドに寄り掛かる。モンスター相手に頭突きをしたのが原因か、彼女の額からは僅かに赤い血が流れている。

 

「ギ、ギンガさん、血が……!!」

 

「大丈夫よ、アルマちゃん……これくらいなら、まだ……!」

 

ギンガは今にも泣きそうなアルマの頭を撫でながら、アイズとライアがミラーワールドに向かって行った扉のガラスを見つめる。自分にできる事はやった。後はライダーに全てを託すだけだ。

 

(手塚さんなら大丈夫……それから……)

 

ライア、そしてアイズ。2人に後を託したギンガは、アイズからかけて貰った言葉を思い返す。

 

 

 

 

 

 

『けど、1人でよく頑張ったじゃん。良いガッツしてるねぇ』

 

 

 

 

 

 

『へぇ、という事は超ファインプレーじゃないの』

 

 

 

 

 

 

(……やっぱり、あの人は……)

 

どこかで聞いた事のある口調。ギンガの中で、それは少しずつ確信に近付いて行っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『キュキュウッ!?』

 

「おら、もう逃がさねぇぞ……!!」

 

場面は変わり、ミラーワールド。学院の校舎裏までタイムラビットを引っ張り寄せたアイズは、もう片方のディスシューターでタイムラビットのボディを厳重に拘束していた。もちろん、今まで通り力ずくで引き千切ろうとするタイムラビットだったが……

 

「ディスパイダー、よろしく!!」

 

『キシャアッ!!』

 

『キュッ!?』

 

校舎と校舎の間に巨大な蜘蛛の巣を張っていたディスパイダー・クリムゾンが糸を吐き、捕縛したタイムラビットを蜘蛛の巣に張り付けた。いくらパワーの強いタイムラビットでも、ここまで厳重に拘束されてしまってはどうしようもなかった。

 

「んじゃ、後はよろしく!」

 

「あぁ」

 

≪FINAL VENT≫

 

『キュルルルル……!!』

 

タイムラビットが拘束されている隙に、ファイナルベントを発動したライアは大きく跳躍。後方から飛来したエビルダイバーの背中に乗り込み、蜘蛛の巣に捕まっているタイムラビット目掛けて一直線に突っ込んでいく。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

『キュキュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!?』

 

蜘蛛の巣ごと突き破る勢いで、ハイドベノンがタイムラビットのボディに炸裂。タイムラビットが爆散し、蜘蛛の巣が爆炎に焼かれる中、エビルダイバーから飛び降りたライアが地面に着地する。

 

「あ、餌はこっちが貰うねぇ~」

 

『キシシシシシ……!!』

 

「……お前もちゃっかりしているな」

 

爆炎の中から出て来た白いエネルギー体は、ディスパイダー・クリムゾンが糸で引きつけてから摂取。満足した様子のディスパイダー・クリムゾンが校舎の壁を登って去って行く中、アイズもスッキリした様子で両手をパンパン叩いてから立ち去ろうとした。

 

「あぁ~スッキリした。今日は良い気分で帰れそうだ―――」

 

「ウェイブ」

 

立ち去ろうとするアイズを、ライアが後ろから呼び止める。それも本名の波川賢人ではなく、敢えて偽名のウェイブ・リバーの名前で。

 

「お前がやっている事は、ただの自己満足なのかもしれない……だが、その一言だけで片付けられる事じゃない」

 

「……何が言いたい訳?」

 

こんな良い気分の時に何を言うつもりなのか。アイズが仮面の下で少しだけ鬱陶しそうな表情を浮かべるも……その表情はすぐに変わる事となる。

 

「お前が思っている以上に、俺はお前に感謝している」

 

「……!」

 

「あの時、お前が封印のカードを渡してくれなければ、俺は今頃死んでいたかもしれない。娘の事も、守ってやれなかったかもしれない」

 

ウェイブが二宮を介して封印(シール)のカードを渡した時、手塚はある理由からエビルダイバーとの契約が切れている状態だった。もし封印(シール)のカードが手塚に手に渡っていなかったら、エビルダイバーに契約破棄と見なされ喰い殺されていたかもしれない。

 

「たとえ自己満足のつもりでも。お前のおかげで救われた人間がいる事を、どうか忘れないで欲しい」

 

だからこそ、ライアはそう伝えたかった。その言葉を聞いたアイズは少しだけ驚く反応を見せた後、フッと小さく笑みを浮かべてから今度こそ立ち去って行く。

 

「そうかい……ま、一応受け取っておくとするよ」

 

そう言って、アイズはディスシューターから放った糸で一気に跳躍し、どこかに飛び去って行く。彼が立ち去って行った後も、ライアは少しの間、彼が立ち去って行った方角を見つめていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから翌日(ヴィヴィオ達が旅行に行って4日目)……

 

 

 

 

 

 

「あぁくっそ、まだ微妙に痛むなぁ」

 

とある公園のベンチにて、ウェイブは未だに痛む腹部を押さえながら疲れ切った様子で寝転がっていた。ちなみに何故彼がこんな所で休んでいるのかと言うと……

 

(ジークちゃんめ、俺がいない間にまたフラっといなくなりやがって。一体どこをほっつき歩いてるのやら……)

 

ウェイブが学生失踪事件の解決に動いている間に、ジークはどこかに姿を眩ませてしまっていた。彼女が突然いなくなるのは今に始まった事ではなく、既に彼女の風来坊っぷりに慣れていたウェイブは大きく溜め息をついた。

 

「あぁ全く、どうするべきかねぇ……ん?」

 

誰かの気配がする。ウェイブが目を開けた先では、見覚えのある人物が寝転がっている彼を見下ろしていた。

 

「あり、ギンガちゃん……?」

 

「はい。先日はどうも」

 

ギンガの覗き込んで来る顔を見たウェイブは起き上がり、ギンガはウェイブの隣に座り込む。現在の彼女は私服姿なのか、白いワンピースに青いサンダルという清楚な恰好をしており、彼女の額もよく見ると小さな白いガーゼが貼られている。

 

「あなたがくれた情報のおかげで、事態は何とか解決しました。捜査のご協力、感謝します」

 

「いやぁ、そんな大した事はしてないよ。ところで、そのおでこはどうしたの? 怪我?」

 

「え、えぇ。ちょっと色々ありまして……あ、そうだ」

 

「ん? 何……っと」

 

ギンガはウェイブにある物を手渡した。それは少し前に、ウェイブがギンガに奢った事がある缶コーヒーだった。

 

「お礼と言うには足りないでしょうけど、せめてもの気持ちです」

 

「ありゃま、わざわざ俺なんかの為に律儀だねぇ。しかも前に奢った奴とメーカーまで一緒とは」

 

別に違うメーカーでも良かっただろうに。そう思ったウェイブは苦笑しながらもプルタブを開け、ギンガもそれに続くようにプルタブを開けてコーヒーを口にする。

 

「ふぅ……で、何かあったのかいギンガちゃん?」

 

「え?」

 

「無事に事件が解決したって割には、妙に暗いようにも感じるからさ」

 

「……やっぱり、わかっちゃいますか?」

 

ウェイブにそう聞かれた途端、無理やりにでも笑顔を保とうとしていたギンガの表情から明るさが消えていく。俯いた彼女は両手で持っている缶コーヒーの中身を見ながら、ウェイブに話す事にした。

 

「事件その物は確かに解決しました……けど、失踪した子供達は結局、戻って来る事はありませんでした」

 

「……そう」

 

モンスターに襲われた人間は二度と助けられない。故に、タイムラビットに襲われたと思われる子供達もまた、二度とその姿を見せる事はないだろう。ギンガが落ち込んでいる理由を察したウェイブは、上手く相槌を打ちながら彼女の話を聞き続けた。

 

「でも、いつまでも挫けてる訳にはいきません。これ以上こんな事が起こらないように、私達が頑張らなくちゃいけないって……今はそうやって、自分に言い聞かせる事にしています」

 

「そっか……強いねぇギンガちゃんは」

 

「いえ、そんな事はありませんよ。私なんかまだまだです……それからもう1つ」

 

「ん?」

 

ギンガの元気がない理由は、失踪した子供達が戻って来ない事以外にもう1つあった。それは……

 

「前に会った時、何度か私を助けてくれた人がいるって話しましたよね」

 

「ん? あぁ、そういえば言ってたね」

 

ギンガがその話を切り出した瞬間から、ウェイブの表情がまたピクリと反応する。それでも決してギンガの前でボロを出す事はなく、表面上は何も知らないフリをしながら話を聞き続ける。

 

「今回も、その人に危ないところを助けて貰ったんです」

 

「へぇ、良かったじゃない」

 

「でも、その人はまたすぐにどこかにいなくなってしまったみたいで……その人には伝えたい事があったのに」

 

「ん、伝えたい事?」

 

何を伝えたいというのか。気になったウェイブが問いかけ、ギンガもそれに答えた。

 

「彼に助けて貰った事……まだ、お礼を言えてないんです」

 

「……!」

 

「あの人が助けてくれていなかったら、私は今頃生きていなかったかもしれない……私、その人に感謝の気持ちを伝えたいんです。あの人が何度も助けてくれたおかげで、今の私がいるから」

 

「……そっか。伝えられると良いね、その気持ち」

 

「はい、いつか必ず……!」

 

(……本当、律儀な子だなぁ)

 

彼女にここまで感謝されているとは思ってもみなかったウェイブ。彼の脳裏には、先日手塚から告げられた言葉が思い浮かんでいた。

 

 

 

 

『たとえ自己満足のつもりでも。お前のおかげで救われた人間がいる事を、どうか忘れないで欲しい』

 

 

 

 

(……確かにその通りみたいだな)

 

いちいち素直に受け止めるつもりはなかった。それでも、こうして誰かに強く感謝されていると思うと、ウェイブは心の中で何かが熱くなっていくような、そんな感じがしていた。彼の口元からも自然と笑みが零れ落ちる。

 

「……うし、辛気臭い話は一旦終わり! ギンガちゃんが明るい笑顔の方が、その人もきっと喜ぶよ」

 

「ウェイブさん……はい、そうですね」

 

「という訳でギンガちゃん。私服姿って事は、今日は仕事はお休みかな?」

 

「へ? は、はい、そうですけど……」

 

「んじゃ、写真撮らせてよ。これでやっと約束を果たせるからさ」

 

昨日はギンガが職務中だった為、写真を撮る事はできなかった。彼女が休みの時ならチャンスだと考えたウェイブはカメラを手に取り、それを見たギンガもそれに応じる事にした。

 

「わかりました。それじゃあ、綺麗に撮って下さいね?」

 

「いよっしゃ!」

 

ウェイブはガッツポーズを取り、ベンチから立ち上がってカメラで撮る準備を開始。そんな彼の子供っぽい一面が微笑ましく感じたギンガも思わずクスリと笑い、同じく立ち上がろうとした……その時だった。

 

「……ッ」

 

「! ウェイブさん……?」

 

カメラをギンガに向けようとしたウェイブだったが、まだ僅かに残っていた腹部の痛みで表情が歪み、痛む腹部を手で押さえる。ギンガもその事に気付いたが、彼女が駆け寄ろうとする前にウェイブが手で制する。

 

「ごめんごめん、何でもない。昼間にご飯食べ過ぎちゃってさ」

 

「は、はぁ……」

 

「気にしないでね。それじゃ、撮るよ~?」

 

ウェイブはそう言って、カメラをギンガの方に向けていつでも撮れるよう準備を完了させる。一方で、ギンガは彼が見せた動きを見て、1つの確信に至っていた。

 

(今の表情……明らかに食べ過ぎによる痛みじゃなかった……)

 

ギンガの脳裏に、昨日の出来事が鮮明に思い浮かぶ。タイムラビットに襲われかけていた自分達を助けようとしたアイズもまた、タイムラビットからの攻撃で腹部を負傷していた(・・・・・・・・・)。その時の彼と、目の前でウェイブが見せた動きは一致していた。

 

しかし……

 

「ギンガちゃ~ん? どうかした~?」

 

「……あ、いえ。何でもありません」

 

ギンガは敢えて、ウェイブに何も聞かない事にした。彼女は明るい笑顔を見せ、それを見たウェイブもご機嫌な様子でカメラを構える。

 

(もし、彼が本当にそうなら……今は止そう)

 

彼がそこまでして素性を隠そうとしているのにも、何か理由があるのかもしれない。ならば、自分が今ここで無理に問い詰めようとするのもよくない。そう考えたギンガは、素直に写真を撮って貰う事にしたのだった。

 

「それじゃいくよ~! はい、チーズ!」

 

 

 

 

 

 

パシャッ!

 

 

 

 

 

 

ギンガは綺麗な笑顔を浮かべてみせた。

 

いつの日か、彼にちゃんとお礼を言える日が来ると……そう信じながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜……

 

 

 

 

 

 

「ヒ、ヒヒ……ヒヒヒヒヒ……!」

 

ミラーワールド、とある建物の屋上。1人のライダーが、左右に反転した夜の街を見下ろしていた。

 

「どこだぁ……どこにいるぅ……? 今夜も俺と、存分に愛し合おうぜぇ……!」

 

『キュルルルル……!』

 

左腕に構えた短い鋸型の召喚機を撫でながら、そのライダーは不気味な笑い声を挙げ続ける。そんな彼の頭上では、エビルダイバーによく似た怪物(・・・・・・・・・・・・・・)が、まるでチェーンソーの稼働音のような音をブンブン鳴らしながら飛び回っていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎ViVid!


はやて「それじゃ皆、休憩を兼ねたおやつタイムにしよっか♪」

子供達「「「「「は~い!」」」」」

シャマル「どうして、あの子があんな物を……!?」

???「俺、強くなりたいんだ……!」

山岡「お前さん達は、儂のようになってはいかんよ」


戦わなければ生き残れない!
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