つい最近、ジオウの劇場版ライダーが公開されましたね。まさかあのパターンで来るとは想定してませんでした。
もしかして、劇場版ではあの人達が来るんでしょうか……まぁ、今はとにかく続報を待ちましょうかね。
それはさておき、今回は山岡爺ちゃんこと仮面ライダーホロのお話です。ウェイブ達が学院の事件を解決している間、こちらではこんな出来事がありました。
それではどうぞ。
あ、活動報告では質問受付タイムとオリジナルライダー募集を同時進行中です。興味が湧いた方はぜひ活動報告まで。
戦闘挿入歌:果てなき希望
ヴィヴィオ達が異世界旅行に向かってから3日目。
ウェイブやギンガ達が、学院の事件を解決しに動いていたその日の夜、時を同じくして、八神家の方ではとある厄介事が舞い込もうとしているところだった……
「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!?」
『グガァァァァァ……!!』
ミラーワールドから姿を現した1体のオメガゼール。ビルのガラスから飛び出したその個体は、近くを通りかかった女性に襲い掛かり、ミラーワールドまで引き摺り込もうとしていた。
「ぬん!!」
『グギャウッ!?』
そこに悲鳴を聞いて駆けつけた老齢の男が1人。オメガゼールの顔面目掛けて重い拳を打ち込んだその男―――山岡吉兵により、オメガゼールが女性を手離してミラーワールドへと押し戻される。
「早く逃げるんじゃ」
「は、はい!!」
女性が逃げていくのを確認した山岡はカードデッキを取り出し、それに呼応してベルトが出現。それを装着した山岡はポーズを決め、カードデッキをベルトに装填する。
「変身……!!」
山岡は仮面ライダーホロの姿となり、オメガゼールを退治するべくミラーワールドに突入していく。そして突入した先でオメガゼールとの戦闘が開始される中……その様子を、
「すげぇ……!」
『ふ、とぁっ!!』
『グガァ!?』
ガラスの鏡面の中で繰り広げられている、ホロとオメガゼールの戦い。ホロの振るうディノバイザーがオメガゼールを斬りつけ、続けて撃ち込まれるディノバイザーの銃撃……その一連の攻撃の流れを、現実世界とミラーワールドの境界線越しに眺めていた少年の目は、ワクワクした様子で輝きに満ちていた。
「俺も、あんな風に戦えるんだ……
そんな少年が右手に握っていた物。それは山岡がホロに変身する際に使用している物と、
それから後日……
「それじゃ皆、休憩を兼ねたおやつタイムにしよっか♪」
「「「「「は~い!」」」」」
クラナガン、とある海岸の砂浜。八神道場の生徒達はザフィーラとヴィータの師道によるトレーニングを終え、休憩時間を迎えようとしていた。はやては切り終えたばかりのスイカを、シャマルはクーラーボックスでキンキンに冷えているペットボトルのお茶を生徒達に配って回っており、山岡は離れた位置の木の陰で座りながらその様子を静かに眺めている。
「ふふふ♪ いつ見ても、子供達が元気にやってるのは良い物じゃのう。孫の事を思い出すわい」
「おいおい爺さん、こんな所で孫自慢は勘弁してくれよ。アタシはもう聞き飽きたからな?」
「何を言うか、儂の話はまだまだこれからじゃと言うのに」
「まだ語る気かよ!? 本当にもう勘弁してくれ、アタシ等が寝不足になる!!」
「というか、自慢話をしながら酒も飲んでいたというのに、酔っ払うどころか翌日もピンピンしている山岡殿は一体どういう胃袋をしているのか……」
「シグナム、それは突っ込んだら負けだ」
「ほっほっほ、老いぼれとて甘く見るでないわい♪」
ちなみに山岡による孫自慢話は未だ続いているようであり、話をする時間ができた途端に彼は止まらず自慢話をシグナムやヴィータ達に聞かせているらしい。しかも酒をたくさん飲んだにも関わらず、その翌日も二日酔いになるどころかピンピンした様子でまたいつも通りトレーニングをしていたとか。老人が持つ孫への愛情とは末恐ろしい物だと、シグナムとザフィーラは山岡を見ながらそう感じていた。
「それじゃシグナム、ザフィーラ。後の事はまたよろしく頼むなぁ~」
「はい。行ってらっしゃいませ、主はやて」
その時、生徒達にスイカと缶ジュースを配り終えたはやてはシグナム達にこの場を任せ、カバンを持って家に帰宅しようとしていた。それに気付いた山岡が声をかける。
「む? 今日はもう家に戻るのかの?」
「はい。私の知り合いの子から、友達の子が使うデバイスの制作を依頼されまして」
「依頼……おぉ、そうかそうか。そういえばお嬢さん、昨日の昼間に誰かと話をしておったな」
「で、その子のデバイス制作の為に、また今からリインやアギトと一緒に続きをやる予定なんです。そういう訳で山岡さん、私は先に戻ります~」
「おぉ、気を付けてな」
そのデバイス制作を再開する為、はやては一足先に家まで帰宅する事となった。残った山岡は「せっかくの休日でも大変なんじゃのぉ」と思いながら、ペットボトルのお茶を口にする。
「ふぅ、生き返るぅ~!」
そんな山岡のすぐ隣に、トレーニングで疲れたミウラが座り込んで来た。激しい運動をした事で汗だくになっている彼女もまた、ペットボトルのお茶をゴクゴクと飲んで水分補給を行い、更には更に乗っているスイカをムシャムシャと食べていく。
「これこれ、そんなにがっつくと咽る事になるぞ?」
「んぐ!? ゲホ、ゴホッ!!」
「ほれ、言わんこっちゃない」
山岡の予想通り、スイカを凄い勢いで食べていたミウラが途中で咽て咳き込み出し、山岡はやれやれと言った感じで彼女の背中を軽めに叩く。ある程度すると落ち着いてきたのか、まだ少し咳をしながらも山岡に礼を述べた。
「ケホ、ケホ……す、すみません、ありがとうございます」
「全く……よほど疲れているようじゃな。心なしか、他の子達よりもトレーニングが長かったように見えるが」
「あぁ、はい。実は私、インターミドルに初めて出場する事になったんです!」
「インターミドル?」
「インターミドルチャンピオンシップ。若い魔導師達が魔法戦技で戦って競い合う、競技大会の事です」
「ほほぉ、競技大会とな」
八神道場の生徒達の中で、ミウラだけトレーニング量が他の子より多かったのはそれが理由だった。大会の日が迫って来ている関係上、それに備えて今の内に積めるだけ積んでおきたいという事なのだろう。シグナムから大会の説明を聞いた山岡は納得した様子で頷く。
「なるほど、道理でお嬢さんが張り切っておる訳じゃ。お嬢さん、格闘技は好きかの?」
「はい、それはもちろん!」
「うむ、良い返事じゃ。その調子で無理はせず、かつ努力を積んで高みまで登って行くと良い。それをやれるだけの才が、お嬢さんにはある」
「い、いえそんな!? 私なんかまだまだで……!」
「いやいや。好きな事を好きであり続ける、それだけでもかなりの才能じゃと儂は思っておる。その点、お嬢さんはそれを確かに持っておるわい」
「そ、そうですか? えへへ……」
「あ、爺さん。あんまり褒めてばっかだと調子に乗りかねないからその辺にしといてくれよな」
「ヴィータさん!?」
山岡に褒められたのが嬉しく思ったのか、照れ臭そうな様子で笑い、直後にヴィータの辛辣な発言でショックを受けるミウラ。表情の変化が激しいミウラを見て笑う山岡だったが、少し笑った後、その表情から少しずつ明るさが消えていく。
「仲間と共に、楽しく競い合える。そんなお前さん達が、儂は羨ましく思う」
「……山岡さん?」
「お嬢さんだけじゃない。これは他の子達全員にも言える事じゃ……お前さん達は、儂のようになってはいかんよ」
「?」
どこか自嘲気味な笑みを浮かべた山岡。そんな彼が告げた言葉の意味をまだ知らないミウラは首を傾げるが、山岡の事情を知っているシグナム、ヴィータ、ザフィーラの3人はその言葉の意味を理解し、真剣な表情で互いに顔を見合わせる。
「……なに、今のは老いぼれジジイのたわ言じゃ。忘れてくれい。それより、そろそろ休憩の時間も終わる頃ではないかの?」
「は、そうでした!?」
「おっといけねぇ、もうそんな時間になったのか。そろそろ他のガキンチョ達も集合させねぇと」
「そうだな。山岡殿も、このままゆっくり見物していて下さい」
「うむ、そうさせて貰おうかの」
そろそろ休憩時間も終わりである。シグナムとザフィーラがミウラを連れて他の生徒達の元へ向かい、山岡はその後も木を背に座って見物しようと思っていた……が、その際にある事に気付く。
「む? あれは……」
それは少し離れた場所で、砂浜で座り込んでいる1人の少年。その少年はスイカにもお茶にも手を付けず、手に持っている何かをジッと見つめていた。
「あの子も生徒かの?」
「ん? あぁ、ラルゴの事か。ラルゴ・クエイス。八神道場につい最近入ったばかりの新人だよ」
その少年について山岡に話した後、ヴィータはその少年―――ラルゴ・クエイスの元まで歩み寄って行く。何かを見つめているその少年は、ヴィータの接近に気付いていないようだった。
「お~いラルゴ、そろそろ午後のトレーニングが始まんぞ~」
「へ!? あ、は、はい! すぐ行きます!」
ヴィータに呼びかけられて初めて気付いたのか、ラルゴはそう言ってから慌てて手に持っていた物を背に隠す。ヴィータはそんな彼の行動を不審に思った。
「……おいラルゴ、今何か隠さなかったか?」
「な、何でもないよヴィータ先生! あはははは……!」
ラルゴは必死に何かを誤魔化しながら、一歩一歩後ずさりながらヴィータから離れようとする。その時だった。
「「あいたっ!?」」
後ろを見ずに後ずさっていたせいで、ラルゴは後ろに立っていた八神道場生徒の女子に気付かず、そのままぶつかって一緒に倒れてしまった。その拍子に、ラルゴは背に隠していた物が砂浜に落ちる。
「痛たたた……!」
「ご、ごめん、大丈夫!?」
「たく、何をやってるんだお前、は……」
ヴィータは呆れた様子で溜め息をつき、倒れたラルゴと女子生徒を起こすべく駆け寄ろうとした……が、ラルゴが落とした物を見て、その動きがピタリと止まった。その様子を眺めていた山岡もまた、ラルゴが落とした物を遠目で見た瞬間、その目が大きく見開いた。
「むぅ……!?」
「これは……ッ!!」
ヴィータと山岡は驚きを隠せなかった。何故ならラルゴが落としたそれは……山岡が持っている物と、特徴がほとんど同じだったのだから。
「ヴィータ? 一体どうし……って、それは!?」
「……ッ!!」
そこにクーラーボックスを片付けて来たシャマルも歩み寄り、そしてラルゴが落とした物を見て驚愕する。するとラルゴは砂浜に落とした
「なっ……おい待て、どこ行く気だ!?」
「こ、こら、待ちなさい!!」
「ぬぅ、なんと速い足か……!!」
ヴィータとシャマル、山岡はすぐに後を追いかけようとしたが、ラルゴは八神道場に通う生徒の中でも特に足が速いらしく、すぐには追いつけそうになかった。ラルゴが逃げた先では、他の生徒達がシグナムとザフィーラの元で集合しようとしていた。
「ん、何だ……?」
「ラルゴと……何故3人は走っている?」
「シグナム、ザフィーラ!! ちょっとそいつ捕まえてくれ!!」
ヴィータが走りながらもシグナムとザフィーラに呼びかけた時、ラルゴはすぐさま動き出した。クーラーボックスのすぐ近くに置かれていた、まだ切っていない真ん丸のスイカを素早く拾い上げ、それをシグナム達の方に向かって勢い良く投げ飛ばした。その瞬間……
「ッ……はぁ!!」
シュパパパパァンッ!!
投げ飛ばされたスイカを見た瞬間、シグナムは即座にレヴァンテインを抜刀。飛んで来たスイカを一瞬にして複数に切り分け、落ちて来るスイカをザフィーラが両手の皿で全て受け止める。その光景を見ていた生徒達から拍手が起こった。
「すげぇ~!」
「師匠と先生かっこいい~!」
「ふっ……この程度の事は造作もない」
レヴァンテインを鞘に納め、均等に切れたスイカを見て満足そうに頷く……が、彼女は肝心な事を忘れていた。
「……って、んな事してる場合じゃねぇだろ!! 何を律儀にスイカ切ってんだ!!」
「はっ!? しまった、剣士の性でつい……!」
「食べ物を粗末にしてはいけないと思ってつい……!」
「シグナムもザフィーラもこんな時にボケを炸裂させないでよ!? あぁもう、待ちなさいラルゴ君……はわぅ!?」
「へ!? ちょ、そんなところで転ばれたら……あだぁ!?」
シグナムとザフィーラに突っ込みを炸裂させながらもラルゴを追いかけるシャマルとヴィータだったが、砂浜という走りにくい場所だったが為にシャマルが途中で転倒。倒れたシャマルの体に足を引っ掛けたヴィータも同じように転倒する羽目になり、その間にラルゴはどんどん距離を離して行ってしまった。
「ぜぇ、ぜぇ……これはもう、儂の体力じゃ追いつけんのぉ」
同じく走って追いかけていた山岡も、老いた身では体力のある子供に追い付けないと悟ったのか、道路まで出たところで走りを止めて呼吸を整える。しかし酸素を吸収しながらも、逃げていくラルゴを追いかける手段は既に用意してあった。
「すまぬが、あの子の後を追いかけてくれんかの?」
『ギャギャギャ……!!』
山岡のすぐ近くに停車してあった1台の車。そのガラスに映り込んだディノスナイパーが鳴き声で返事を返し、ラルゴが逃げて行った方角へと走り出した。ディノスナイパーが走って行くのを山岡が見ていた時、後ろからシャマルとヴィータが追い付いて来た。
「ぜぇ、ぜぇ……爺さん、ラルゴの奴は……?」
「すまん、逃げられてしもうた。じゃが、ディノスナイパーに後を追わせておる。いずれ見つかるじゃろう」
「はぁ、はぁ……それにしても……どうして、あの子が
「それは儂にもわからん……何にせよ、早くあの子を見つけた方が良いのは間違いなかろう。
ラルゴが持ち去って行った物。その詳細をこの場にいる中で一番よく知っている山岡は、これから起こりうる悪い展開を想像し、深刻な表情で再びラルゴが逃げ去った方角を見据えるのだった。
「はぁ、はぁ……に、逃げ切った……!」
その後。山岡やヴォルケンリッター達を振り切るという、何気に凄い事をしてみせたラルゴ。しかし体力に自信がある彼でも、流石に長い距離を走って疲れたのか、とある駐車場まで逃げ込んでから駐車されている車の陰に隠れていた。
(ど、どうしよう……皆にバレちゃった……)
車に背を付けたまま座り込み、ラルゴは手に持っていた物を見つめる。彼が持っていたのは……中央にエンブレムが刻まれていない、未契約状態の黒いカードデッキだった。
(やっぱり、マズいかな……俺がこれを持ってるのって……)
ラルゴは、山岡が仮面ライダーホロとなって戦っている事を知っていた。ホロとなってモンスターと戦う彼の姿に憧れを抱いた彼はある日、山岡が所持している物とは別のカードデッキを偶然拾い上げた。その日を境に、彼はミラーワールドが見えるようになったのだ。
(いや! 決めたんだ……これを使えば、俺だって……!)
最初は迷いもあった。自分は果たして、山岡と同じように戦えるのかと。それでも彼はデッキを手離さなかった。危険だとわかっていても、彼にはこの力を手離したくない理由があった。
「師匠、先生、皆……ごめん……俺、強くなりたいんだ……この力で、俺は……!」
だからこそ、自分も山岡と同じようにこの力を使いたい。そう決意を固めようとしていたラルゴだったが……そう上手くはいかないのが現実という物である。
キィィィィィン……キィィィィィン……
「……ッ!?」
頭に響くように聞こえて来た金切り音。ラルゴはその音の正体を知っていた。何故なら自分が山岡の戦う様子を見ていた時も、同じ音が鳴っていたのだから。
「この音は……」
音はかなり大きく響き渡っている。それはつまり、モンスターがすぐ近くにいるという事だ。そして自分が今いる駐車場には、自分以外の一般人は他に見当たらない。
(ま、まさか……!)
ラルゴの嫌な予感は的中した。彼が隠れているすぐ近くの車。そのフロントガラスがグニャリと歪み、そこから1体の怪物が映し出された。
『ブブブブブブ……!』
「!? う、うわあぁっ!!」
車のフロントガラスから、銅色のボディを持つアシナガバチのような怪物―――“バズスティンガー・ブロンズ”が飛び出して来た。突然のモンスターに驚いたラルゴが尻餅をつき、バズスティンガー・ブロンズはラルゴに狙いを定めて襲い掛かろうとする。
(え、えっと、確かこれを鏡やガラスに……!!)
ラルゴはこの状況を何とかするべく、構えたカードデッキを車のガラスに突き出そうと考えた。しかし実際にモンスターに襲われる事は今回が初めてだった彼は、頭ではそう考える事はできても、恐怖で体を思うように動かす事ができなかった。そのせいで……
『ブブッ!!』
「あっ!?」
バズスティンガー・ブロンズが腕を振るい、ラルゴを乱暴に突き飛ばしてしまった。ラルゴが倒れた際にカードデッキが遠くに落ちてしまい、バズスティンガー・ブロンズはミラーワールドに引き摺り込むべく、倒れているラルゴに迫り来ようとする。
(い、痛い……誰か……助、け……)
その時……
『―――ギャギャギャアッ!!』
『ブァッ!?』
別の車のフロントガラスから飛び出して来たディノスナイパーが、ラルゴを捕まえようとしたバズスティンガー・ブロンズを強引に突き飛ばしてみせた。思わぬ邪魔が入った事で、バズスティンガー・ブロンズはすぐにフロントガラスを通じてミラーワールドに撤退していく。
「ッ……助、かっ……た……?」
自分を襲ったバズスティンガー・ブロンズがいなくなった事を理解して安心したのか。ラルゴは自分を助けてくれたディノスナイパーを一目見た後、その場に倒れたまま意識を失ってしまった。ディノスナイパーは「カロロロ」と低く唸りながら顔を近付け、山岡から探し出すように命じられたラルゴをジーッと見下ろす。
その時……
「やめろ!!」
『クカ?』
そこに走って駆け付けて来たのは、左手にタイガのカードデッキを構えた椎名修治だった。ディノスナイパーはこちらに走って来ている椎名に気付き、椎名は大急ぎで走りながらも近くの車にチラリと視線を向ける。
「デストワイルダー!!」
『グルゥ!!』
『グギャウッ!?』
椎名の指示で飛び出して来たデストワイルダーが、ディノスナイパーに飛びかかりながら両手の爪で斬りつけるように攻撃して来た。突然の攻撃に驚いたディノスナイパーがフロントガラスを通じてミラーワールドに退散し、デストワイルダーもその後を追いかけるようにミラーワールドに戻って行く。
「君、大丈夫!?」
椎名が倒れているラルゴの傍まで駆け寄り、ラルゴが気絶しているだけだとわかりホッと安心する。その後、ディノスナイパーが逃げ込んで行った車のフロントガラスを睨みつける。
「モンスターめ……!!」
椎名は駐車されている車から少し離れたところまでラルゴを運んだ後、近くの車のガラスにタイガのカードデッキを突き出す。出現したベルトは椎名の腰に装着され、椎名はポーズを取ってカードデッキをベルトに装填する。
「変身!!」
椎名はタイガへの変身を完了し、車のガラスを通じてミラーワールドに突入。飛び込んだ先でデストワイルダーと戦っていたディノスナイパーにデストバイザーを向ける。
「来い……お前は僕が倒してやる……!!」
倒れている少年に顔を近付けていくディノスナイパー。その光景が「モンスターが少年を襲おうとしている」と誤解してしまったタイガは、構えたデストバイザーを両手で握り締め、デストワイルダーと戦っているディノスナイパーに向かって飛びかかって行くのだった。
一方、現実世界側では……
キィィィィィン……キィィィィィン……
「!? こんな時に……!!」
老いた身でなお街中を必死に駆け回っていた山岡もまた、モンスターの気配を察知していた。彼が見据えた付近の建物のガラスには、どこからか逃げて来たバズスティンガー・ブロンズの姿が映り込んでいる。
『ブブブブブ……!!』
「ッ……あの少年の事も気がかりじゃが、致し方なし……!!」
現在はシャマル達もラルゴの事を探し回っている。上手くいけば、彼女達がラルゴを見つけてくれるだろう。そう考えた山岡はカードデッキを建物のガラスに突き出した。
「変身……!!」
一定のポーズを取り、カードデッキをベルトに装填した山岡はホロの姿に変身。ミラーワールドに突入し、どこかに走り去ろうとしているバズスティンガー・ブロンズをライドシューターの目の前で停車する。
「逃がすまい……!!」
『ブブァ!?』
ホロはライドシューターに乗り込んだまま、ライドシューターの屋根が開くと同時にディノバイザーを構え、起き上がったバズスティンガー・ブロンズに銃撃を炸裂させる。銃撃を受けたバズスティンガー・ブロンズが怯んでいる隙に、ライドシューターから降りたホロはディノバイザーの装填口を開き、1枚のカードを装填しようとした。
『ブブ……ブブブッ!!』
「!? ぬっ……!!」
しかしディノバイザーの銃撃程度では怯まなかったのか、バズスティンガー・ブロンズはどこからか取り出したレイピア状の剣を構えて跳躍、ホロに向かって斬りかかって来た。それを回避したホロは今度こそカードを装填しようとするも、そうはさせまいとバズスティンガー・ブロンズがホロを蹴りつけ、続けて剣を振るい連続で攻撃を仕掛けて来た。
「やりにくい奴め……ッ!!」
バズスティンガー・ブロンズが一定の距離を保ちながら斬りかかって来るせいで、ホロはディノバイザーにカードを装填する事ができず、思うように距離も取れなかった。ホロはディノバイザーで何とか攻撃を捌いていくも、このままでは得意の射撃に持ち込む事ができない。
(ならば、助っ人を呼ぶしかあるまいか……!!)
『ブブブブッ!!』
「ぐぅ!?」
バズスティンガー・ブロンズの繰り出した斬撃が命中し、攻撃を捌き切れなかったホロが仰向けに倒れ込む。そこにバズスティンガー・ブロンズが剣を突きつけ、ホロの頭を貫こうとしたが……直前でホロが首を左に傾けた事で、突き出された剣は地面を突き刺すだけに終わった。
「ふんっ!!」
『ブッ!?』
がら空きとなった胴体をディノバイザーで斬りつけられ、バズスティンガー・ブロンズが後退して膝を突く。その間にホロは仰向けに倒れたまま、ディノバイザーの装填口にカードを装填する。
≪ADVENT≫
「手を貸して貰うぞ、ディノスナイパーよ……!!」
『! グギャ……?』
ホロが戦っている地点からそう遠くない場所。ディノスナイパーは自分がホロに呼ばれている事を察知し、戦闘中だったタイガに背を向けてその場から走り去ろうとする。
「待て、逃がすか!!」
『ギャギャ!!』
「!? くっ……ぐあぁ!?」
それを逃がすまいとするタイガだったが、ディノスナイパーの尻尾から放った弾丸がタイガの足元を狙い、動きが止まったタイガをディノスナイパーの尻尾が大きく薙ぎ払う。建物の壁に叩きつけられたタイガが地面に落ちている間に、ディノスナイパーは猛スピードで走り出し、あっという間に遠くまで走り去ってしまった。
「ま、待て……!!」
もちろん、それだけで諦めるタイガではない。彼は地面に落ちているデストバイザーを拾い上げ、ディノスナイパーが走り去って行った方角へ自身も走り出す。
『ブブブッ!!』
「ぬぅ……!!」
場所は戻り、ホロとバズスティンガー・ブロンズが戦っている地点。剣を交えていたホロは互角の勝負を繰り広げていたが、その動きは先程までに比べるとキレがなく、現在はバズスティンガー・ブロンズに押され気味だった。
(やはり、接近戦は無謀だったか……!!)
ディノバイザーの銃撃程度ではほとんど怯まず、ディノライフルやディノクローを召喚したくてもバズスティンガー・ブロンズがそれを邪魔して来る。それらの要因から、ホロは敢えて最初からディノバイザーを使用した剣術で戦っていたのだが、やはり老いた身では限界があり、そのせいでホロはいつもより体力の消費が早かった。
『ブブ!!』
「く、しまった!?」
バズスティンガー・ブロンズの剣が、ディノバイザーを上に大きく弾き飛ばしてしまった。武器を手離してしまったホロに向かって、バズスティンガー・ブロンズが斬りかかろうとしたその時……
ズガガガガァン!!
『ブアァッ!?』
『ギャギャギャギャギャ!!』
駆けつけたディノスナイパーが尻尾から銃撃を放ち、それによりバズスティンガー・ブロンズが怯まされた事で危機は回避された。銃撃を受けたバズスティンガー・ブロンズの動きが止まっている間に、ホロは上から落ちて来たディノバイザーを右手でキャッチする。
「やれやれ、ようやく来おったか……」
≪SHOOT VENT≫
『!? ブブァアッ!?』
ディノバイザーにカードを装填し、ホロは召喚したディノライフルを両手で構えて装備。起き上がろうとしているバズスティンガー・ブロンズに正確な射撃を命中させ、避けられなかったバズスティンガー・ブロンズを大きく吹き飛ばした。バズスティンガー・ブロンズは倒れて地面を転がった後、立ち上がりながらもホロを強く睨みつける。
『ブブブ……ブブゥ!!』
「むっ……待て!!」
このままでは分が悪いと判断したのか、バズスティンガー・ブロンズは途中で戦闘を中断し、建物の屋根まで一気に跳躍。逃げられる前にディノライフルで狙撃しようとするホロだったが、バズスティンガー・ブロンズは飛んで来る弾丸を上手く回避し、そのまま建物から建物へ跳び移りながらどこかに去って行ってしまった。
「ッ……逃がしてしもうたか」
『カロロロロロ……』
「……あの少年はもう見つけたかの? 案内しとくれ」
『ギャギャ!』
逃げられてしまった以上、深追いは禁物だ。今はラルゴを見つけ出す事を優先すべきと、ホロはディノスナイパーの背中に乗り込み、ディノスナイパーはホロを乗せたまま建物から建物に壁を蹴ってジャンプして行き、一気にその場から移動を開始する。
「ッ……アレは……!!」
その道中、ディノスナイパーの後を追いかけて来ていたタイガは上を見上げ、壁から壁を跳んで移動しているディノスナイパーを発見。それを逃がすまいと後を追いかけて行く。
「む、あそこにおったか……!」
その後、ホロはディノスナイパーの案内で駐車場まで到着してから現実世界に戻り、車から少し離れた位置で気絶しているラルゴを発見した。何とか見つける事ができたホロは安堵するも、何かがカツンと足に当たり、それに気付いたホロは足元を見下ろす。
「! これは……」
それはラルゴがバズスティンガー・ブロンズに襲われた際、彼が手離してしまった未契約状態のカードデッキ。ホロはそれを左手で拾い上げてから、気絶しているラルゴの方を見据える。
(まさか、あのような子供がのぉ……)
ホロは周囲をキョロキョロ見渡し、周囲に人がいない事を確認する。誰にもこの状況を見られていないと判断し、それでも警戒を解かないホロは右手にディノバイザーを構えたままラルゴの方へと歩み寄って行く。
しかし……
「!? アイツは……!!」
ホロがラルゴに歩み寄ろうとする中、後方に駐車されている車のガラスからタイガが帰還して来た。タイガは周囲を見渡した際、ホロがラルゴに近付いて行っている事に気付く。
(確か、さっきのモンスターも……)
壁から壁を蹴って移動するディノスナイパー。その背中にホロが乗り込んでいるのをタイガは見ていた。
そこから導き出された彼の答えは……
「……はっ!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ズバァンッ!!
「!? ぬぐぅ!?」
跳躍したタイガは一気に距離を詰め、ラルゴに歩み寄ろうとしていたホロに向かってデストバイザーで斬りかかる。タイガの接近に直前で気付いたホロだったが、それでもデストバイザーによる攻撃を胸部に受けてしまい、すぐにディノバイザーでデストバイザーを受け止める。
「ッ……お前さん、どこかで見た顔じゃの……!!」
「その子に何をするつもりだ……卑劣な悪党め!!」
「ッ!? 何の話じゃ……!!」
「惚けるな!! あの恐竜のモンスターも、あの子を喰わせる為に差し向けたんだろう!!」
「なっ……違う!! 儂はただその子を助けようと―――」
「嘘をつけぇ!!」
「ぐっ!?」
デストバイザーでディノバイザーを弾き上げた後、タイガの右足がホロの腹部を蹴りつけ、その痛みでホロが後退させられる。相手が老齢であろうとも、タイガは一切容赦しなかった。
「あの子は僕が守る……その為にも、お前は僕が断罪する!!」
「ッ……止むを得んか……!!」
タイガが跳躍し、再びデストバイザーで斬りかかる。説得は通じないと判断したホロもまた、ディノバイザーから放つ銃撃でタイガを迎え撃つ。
今再び、ライダー同士の戦いは勃発したのだった。
To be continued……
リリカル龍騎ViVid!
椎名「あの子の命は奪わせないぞ、この人殺しめ!!」
ヴィータ「そんな物を持ってたって、お前の思い通りにはならねぇぞ!?」
ラルゴ「俺だって、皆をこの手で守りたいんだ!!」
山岡「これが、お前さんがなりたがってる仮面ライダーじゃよ……!」
戦わなければ生き残れない!