まさかあの未来ライダーが来るなんて誰が予想できただろうか……?
さて、お待たせしました。第31話の更新です。
今回は久々にアイツが戦います。色々やりたい放題やっちゃいます。
それではどうぞ。
夜21時、川沿いの道。
「……」
手塚達がライダーに変身して飛び込んで行った川の水面を、紫色のボディスーツを纏った女性が橋の上から見下ろしていた。彼女が見ている先では、リッパーと戦闘中のタイガとグリジアの姿が映り込んでいる。
「監視中か? ネヴィア・ルーチェ」
「!」
そんな彼女の隣に、缶コーヒーを手に並び立つ男が1人。名前を呼ばれた女性―――“ネヴィア・ルーチェ”は横に並び立って来たその男を見て小さく舌打ちした。
「……貴様か、二宮」
「こんな夜中でもお仕事とはな。お勤めご苦労さん……とでも言っておくか?」
「貴様の為ではない。私はフローレンス様の命令だからだ」
「知ってるよ。お前は奴の飼い犬だもんな」
素っ気ない態度のネヴィアだが、それを気にも留めていない二宮は缶コーヒーのプルタブを開け、涼しい顔でコーヒーを飲み始める。その様子をネヴィアは忌々しげに睨みつけながらも、すぐに視線を川の水面に戻す。
「様子はどうだ?」
「……ドゥーエと椎名修治の2人が今、ジャック・ベイルと交戦中だ。そこに手塚海之、それから例の蜘蛛のライダーも現れた」
「ほぉ、あの2人もか……余計な手出しをされると面倒だな。ジャック・ベイルも今はまだ使える」
二宮は面倒臭そうにそう言ってから、飲みかけの缶コーヒーを橋の柵の上に置き、懐から自身のカードデッキを取り出す。
「どうするつもりだ?」
「ドゥーエが動いているとはいえ、椎名修治に加えて手塚と蜘蛛のライダーまでいるんだ。万が一の事態に備えておくに越した事はない……あぁそれから」
「何……ッ!?」
二宮は右手の親指である方向を指差す。それが何を示しているのかわからないネヴィアだったが、彼が示した方向に
「ガジェットドローン……ッ!?」
転がっている物体……それは既に破壊された後のギガゼールガジェットの残骸だった。既に機能を停止してバチバチと火花が散っているそれを見たネヴィアは驚愕し、二宮は呆れた様子で鼻を鳴らす。
「もっと警戒を強めるこったな。監視役が監視されてるなんて、傍から見れば笑い者だぞ」
そう言って、二宮はカードデッキを持って川の方へと向かって行く。残されたネヴィアはと言うと、ギガゼールガジェットの残骸を見つめながら、その拳をギリギリと握り締めるのだった。
≪STRIKE VENT≫
「ハァッ!!」
「クソ、邪魔しやがって……!!」
ミラーワールドでの戦い。リッパーを発見したタイガとグリジアは、ライアとアイズがスラッシュクレイフィを撃破している間に、2人がかりでリッパーに攻撃を仕掛けていた。今も早速、デストクローを召喚したタイガがリッパーに襲い掛かっているのだが、リッパーはリッパーバイザーを使ってタイガの攻撃を的確に防ぎ、逆にタイガにダメージを与えていく。
「テメェに用はねぇっつってんだろうが……よっ!!」
「ぐあぁっ!?」
リッパーバイザーを突き立てられたタイガが地面に倒れ、その間にグリジアの方へ向かおうとするリッパー。しかし彼の周囲にグリジアの姿はなく、リッパーは周囲をキョロキョロ見渡す。
「あり? どこに行って……ぬぉっ!?」
その時、リッパーの背中から衝撃と共に火花が飛び散った。突然の痛みに驚いたリッパーが振り向くも、彼の後ろには誰もいない。
「何だ……ぐぉあ!?」
すると今度は胸部からも火花が飛び散る。周囲には誰もいないはず。謎の攻撃を受けているリッパーは、困惑した様子で周囲を何度も見渡す。
(そうそう、そのまま良い子にしてなさいよ……)
リッパーが受け続けている謎の攻撃……それを行っているのは、クリアーベントで透明化したグリジアだった。彼女は自身の姿が相手に見えていないのを利用し、あらゆる方向からリッパーに攻撃しているのだ。このまま攻撃を受け続けたリッパーが、大人しく退散してくれる事を願う彼女だったが……
「ぐっ……く、くくく」
(……?)
何度もグリジアの攻撃を受けたリッパー。彼は突然その場に膝を突いたかと思いきや、突然不気味な笑い声を上げ始め、1枚のカードを引き抜いた。
「なるほど、わかったぞォ……この状況、
≪SEARCH VENT≫
『ギュルルルルル……!!』
カードがリッパーバイザーに装填され、どこからか飛来したエビルリッパーが長い吻を稼働。それによりエビルリッパーの周囲に謎の波動エネルギーが広まっていく。
「どこにいるんだい、お嬢さぁん……隠れてないで、姿を見せてくれよぉ!!♡」
(!? まさか……!!)
リッパーバイザーから発された電子音。エビルリッパーが発した波動エネルギー。そしてリッパーが告げた台詞。それらの要素からリッパーがやろうとしている事に気付いたグリジアは、すぐにリッパーの背後から攻撃を仕掛けようとしたが……
「―――そこにいたかぁっ!!!」
「ッ……がはぁ!?」
即座にリッパーが後ろに振り返り、振るわれたリッパーバイザーの一撃がグリジアの胸部に炸裂した。攻撃を受けてしまったグリジアが地面を転がる中、リッパーバイザーの刀身を撫でながらリッパーが近付いて行く。
「な~んだ、そんな所に隠れてたのかぁ~……恥ずかしがらなくて良いんだよぉ? おじさんがたっぷり愛してあげるからねぇ~♡」
「!? 待て、やめろ!!」
うつ伏せに倒れているグリジアに対し、リッパーはご機嫌な様子でリッパーバイザーの先端を突きつける。そこに起き上がって来たタイガが向かおうとするが……
『ギュルルル!!』
「な……うわっ!?」
そこにエビルリッパーが突進し、長い吻でタイガに向かって斬りかかって来た。タイガは両腕のデストクローで何とか防御するも、エビルリッパーのせいでグリジアの元まで向かう事ができない。
「さぁて、邪魔者は足止めしている事だし……俺と存分に愛し合おうかぁ♡」
「ッ……たく、本当に気色悪い男ね……!!」
リッパーバイザーを高く振り上げ、グリジア目掛けて振り下ろそうとするリッパー。手持ちの武器であるバイオワインダーを既に手離してしまっている今のグリジアには、それを防ぐ術はない。
「ヒヒヒ……ヒヒャハハハハハハ!!」
そして振り下ろされたリッパーバイザーが、グリジアを斬りつけようとしたその時……
「させん!!」
バシィンッ!!
「ぐぉうっ!?」
リッパーの真横から突然、ライアが振るったエビルウィップの一撃が飛んで来た。ライアの攻撃を想定していなかったリッパーは横方向に倒れ、その間にグリジアの元にライアが駆け寄って来た。
「大丈夫か?」
「ッ……あなた、どうして……」
「奴に襲われているのを、放って置く訳にはいかない」
倒れているグリジアに対し、彼女を助け起こすべく右手を差し伸べるライア。まさかライアに助けられる事になるとは思っていなかったグリジアだったが、今回は素直にその右手を掴み、助け起こして貰う事にした。
『ギシャアッ!!』
『ギュル!?』
そしてエビルリッパーに攻撃されていたタイガの方では、タイガに再度突進しようとしていたエビルリッパーをディスパイダー・クリムゾンが突き飛ばしていた。その光景を見て驚くタイガの隣には、ディスパイダー・クリムゾンを呼び出したアイズが並び立つ。
「! 君は、確かウェイブ君……?」
「ども、椎名さんや。苦戦してるようだね……っと!」
アイズはそう言いながらも飛んで来たエビルリッパーの突進をしゃがんでかわし、ディスパイダー・クリムゾンが口から放つ糸でエビルリッパーを牽制する。その間にアイズとタイガ、ライアとグリジアの4人が並び立つ。
「君達、どうしてここに……?」
「俺達も奴には用がある。すまないが、手を貸して貰うぞ」
「アイツは放っとくとヤバそうだからねぇ。ここは共闘と行こうじゃないの」
「……ありがとう。一緒に戦おう、2人共……!!」
共闘を持ちかけて来たライアとアイズの言葉に、タイガは素直に礼を述べてからデストバイザーを構え直す。それに続くようにライアがエビルウィップを、アイズがディスサーベルを構えてリッパーと対峙する中……グリジアだけはこの状況に乗り気ではなかった。
(ちょっとちょっと、何勝手に盛り上がっちゃってんのよアンタ達は……!!)
そもそもグリジアからすれば、リッパーことジャック・ベイルをこの場で倒すつもりは毛頭ない。ある程度戦った後、適当なタイミングでリッパーを退散させればそれで良いのだ。だからこそ、そこにライアとアイズにまで加勢されてしまうと、その目的が果たし辛くなってしまう。
彼女がそんな事を考えている中、ライアとアイズはと言うと……
(椎名修治……こうして見ると、夏希を襲った男とは思えないが……)
(けど、あの秘書さんが嘘をつくとは思えないしなぁ……)
この2人もまた、自分達と並び立っているタイガに対し、密かに警戒を強めていた。手塚は夏希を、ウェイブは吾郎を通じて既にタイガの話を聞いており、彼が夏希と吾郎を襲ったという事情を知ってからは素直にタイガを信用する事ができないでいた。
(……だが、今はジャック・ベイルの捕縛が先)
(下手に刺激すると面倒な事になりそうだし、今は何も言わないでおくかね……)
それでも、今は「ジャック・ベイルをどうにかしなければならない」という目的が一致している。だからこそライアとアイズは敢えて何も言わず、まずはリッパーの捕縛を優先する事にしていた。彼等が密かにそんな思考を抱いていた事に、彼等と並び立っているタイガが気付いている様子はない。
「チィ……どいつもこいつも、俺の邪魔しやがって……!!」
タイガ以外の3人がそれぞれの考えで動いている中、体勢を立て直したリッパーは右手で頭を押さえ、苛立った様子で3人の男性ライダー達を睨みつける。
「カス共が……気色悪いんだよ男の分際でよぉッ!!!」
≪FINAL VENT≫
『ギュルルルルル!!』
まずは邪魔な男共から排除しようと思ったのか、リッパーバイザーにカードを装填したリッパーはその場から大きく跳躍。その後方に回り込んで来たエビルリッパーの背中に飛び乗り、飛来したエビルソーを右腕に装備したリッパーはそのまま高速回転を開始。ライア達に向かって突撃しようとした……しかし。
≪FREEZE VENT≫
「ッ!?」
タイガのデストバイザーにカードが装填された瞬間、エビルリッパーの勢いが一気に低下していき、空中に停止したまま動かなくなってしまった。そのせいでバランスを崩したリッパーは地面に落下し、停止したエビルリッパーを見て困惑する。
「何……おい、どうした!? 何故動かない……ぐごぁっ!?」
「悪いが、アンタの悪事もここまでだよ」
「大人しく掴まれ、ジャック・ベイル……!!」
そこにエビルウィップの一撃が再び炸裂し、更にアイズのディスシューターから放たれた糸でリッパーの両腕と胴体が拘束される。そこにデストバイザーを構えたタイガが接近していく。
「脱獄した連続殺人犯、ジャック・ベイル……お前はこの場で断罪する」
「へ? ちょ、おいおい、まさかここで殺す気かい!?」
「当然だ。こんな奴、生かしておく意味はない……!!」
「待て!! いくら犯罪者が相手でもそんな事は―――」
リッパーを殺そうとするタイガに対し、流石にアイズとライアも異議を唱えた。彼等の目的はあくまでジャック・ベイルの捕縛であり、この場で殺害する事ではない。リッパーを殺そうとするタイガを慌てて止めようとする2人だったが……
≪STRIKE VENT≫
ドパアァンッ!!!
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「「!?」」
直後、どこからか飛んで来た水のエネルギー弾。その攻撃を連続で受けてしまったタイガが吹き飛び、地面を転がった彼の体が道端の柵に叩きつけられる。
「何……ぐっ!?」
「おぁ!?」
「! これは……」
続けてライアとアイズの体には、回転しながらブーメランのように飛んで来た2本の長剣が連続で命中。攻撃を受けた2人が倒れ、その光景を後ろから見ていたグリジアは2本の長剣が戻って行く方角を見据え、仮面の下で小さく歓喜の表情を浮かべた。
「悪いが、そいつはまだ倒されちゃ困るんでな」
攻撃して来た張本人―――アビスは倒れている3人のライダー達に向かってそう言い放ちながら、戻って来た2本のアビスセイバーを両手でキャッチする。
「ッ……二宮、どういうつもりだ……!!」
「そいつはまだ利用価値がある。それだけの事だ」
アビスはそう告げると共にリッパーの隣に立ち、彼の体を縛っていた糸をアビスセイバーで斬り裂く。それによってリッパーの体が自由になる。
「この場は引け。女なら他にもたくさんいるだろ」
「んん~? 誰だか知らねぇが……まぁ良いや。アイツ等が邪魔なのは確かにその通りだわな」
ライア・アイズ・タイガと邪魔者が3人もいる以上、これでは女を
「じゃあね、カメレオンのお姉さん。次会った時は、存分に愛してあげるよ♡」
「うっ……キモッ」
投げキッスのような動作をするリッパーに対し、生理的な嫌悪を抱いたグリジアが一歩後ろに下がる。そんな彼女の反応をスルーし、リッパーは柵を飛び越えて川の水面に飛び込み、現実世界へと戻って行ってしまった。
「ッ……待て、逃がすか!!」
「おっと」
後を追いかけようとするタイガだったが、その前にアビスが素早く立ち塞がる。タイガは即座にデストバイザーを振るい、アビスも2本のアビスセイバーで攻撃を受け止める。
「その声……お前、二宮鋭介だな!?」
「ほぉ、俺を知っているのか?」
「倒す……お前も、ジャック・ベイルも、僕がこの手で!!」
「やってみろ。できるものならな」
「くっ……!!」
タイガから明確な殺意を向けられてもなお、アビスは余裕そうな態度で彼を難なく押し退ける。そのままアビスが跳躍して場所を移動し、タイガもその後から跳躍してアビスを追いかけていく。
「ッ……マズい、ジャック・ベイルに逃げられた……!!」
「おいおい、マジで迷惑な事してくれたなあの鮫野郎。ねぇ、そこのお姉さんは大丈……あれ?」
アイズが声をかけようとしたグリジアも、既にその場から姿を消していた。今、その場にはライアとアイズの2人しかおらず、アイズはいなくなった彼女の行方を探すべく周囲を見渡す。
「……あのお姉さん、どこ行ったんだ?」
場所は変わり、川沿いの道から離れた先にある大きな橋の上の道路……
「でやぁっ!!」
「フン……!」
場所を移動したアビスとタイガは、その道路のド真ん中で相対していた。ひたすらデストバイザーを振るって斬りかかろうとするタイガに対し、アビスは両手のアビスセイバーを使う事もなく、ただ体を反らすだけで攻撃を難なく回避している。
「どうした、こんな物か?」
「うるさい!! お前だけは絶対に倒す!!」
アビスの挑発を受け、激昂したタイガの動きが更に激しくなる。しかし怒りの感情に身を任せている分、タイガの1つ1つの攻撃が大振りになってしまっており、アビスは右手のアビスセイバーでデストバイザーを受け流し、左手のアビスセイバーでタイガを斬りつける。
「がっ……!?」
「攻撃も単調。それでよくこれまで生きてこれたな」
「ぐっ……黙れぇ!!!」
悪党に侮辱された怒りから、更に憎悪の感情が高ぶったタイガ大きく跳躍。アビス目掛けてデストバイザーを振り下ろした……が、それも×字にクロスしたアビスセイバーで難なく防がれる。
「なっ……」
「馬鹿が。この程度の挑発に乗ってどうする?」
「ぐはぁっ!?」
アビスに腹部を蹴りつけられ、地面を転がされるタイガ。それでも彼は攻撃の手を緩めようとせず、開いたデストバイザーの装填口にカードを差し込んだ。
≪FINAL VENT≫
『グルルルル!!』
ファイナルベントの電子音と共に、アビスの背後からデストワイルダーが飛び掛かろうとする。アビスはまだタイガの方を向いており、デストワイルダーの存在に気付いていない。タイガはアビスの不意を突いたつもりだった……が。
≪UNITE VENT≫
『ギャオォォォォォォンッ!!』
『グルァッ!?』
アビスは後ろに振り返る事なく、アビスバイザーにカードを装填。その直後、真横から飛んで来たアビソドンがデストワイルダーを突き飛ばし、橋の上から川へと容赦なく突き落としてしまった。
「!? そんな……!!」
「1人で敵わないからモンスター頼りか? まぁそれも別に悪い戦法ではない……が」
「ぐっ!?」
起き上がろうとしたタイガの腹部を、アビスが右足で押さえつける。
「残念だったな。俺はお前の素性までは知らないが、お前の戦い方は一通り知っている」
「な、にぃ……ぐぁっ!?」
アビスはタイガを無理やり起き上がらせ、右手のアビスセイバーでタイガの胸部を斬りつける。続けて左手のアビスセイバーでデストバイザーをタイガの手元から弾き飛ばし、丸腰になったタイガを連続で斬り裂き、追い詰められたタイガが橋の柵に背をつける。
「ぐっ……貴、様ァッ……!!」
「相手にするだけ時間の無駄だな……とっとと失せろ!!」
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
アビスが同時に振り上げた2本のアビスセイバーが、タイガの胸部に力強く突き立てられた。強烈な攻撃を受けたタイガはそのまま端から落ちて行き、川に落下して水飛沫が舞い上がった。
「……呆気ない奴め」
水中に落ちたまま、タイガが浮かび上がって来る様子はない。アビスは飽きた様子で右肩をアビスセイバーで軽く叩いた後、その場を後にして現実世界へと帰還していく。
「ふぅ……」
「お疲れ様、鋭介」
川沿いの道ではなく、別の場所から現実世界に帰還した二宮。そんな彼を待っていたのは、一足先に帰還していたドゥーエの熱い抱擁だった。彼女に横から抱き着かれても、二宮の不愛想な表情が変わる様子はない。
「ジャック・ベイルはどうしてる?」
「もうとっくに逃げて行ったって。監視中のネヴィアがそう連絡してきたわ」
「そうか。流石のお前でも、1人であの状況は無理があったようだな。様子を見に来て正解だった」
「うっ……ごめんなさい。あまり役に立てなくて」
今回の戦い、ドゥーエは戦力面としてはあまり活躍できていなかった。しょんぼりした様子で落ち込むドゥーエに対し、二宮は右手で彼女の頭を優しく撫でる。
「今回の件は、与える役目を見誤った俺にも落ち度はある。気にするな」
「鋭介……」
グリジアは元々武装もこれと言って強力な物がなく、その能力はどちらかと言うと不意打ちに特化した物。その不意打ちを見破る手段をリッパーが有していたのは二宮にとっても想定外の事柄であり、今回の仕事が彼女にとって荷が重い物であった事は彼も承知の上だった。
「それより、少し気になる事があってな。ガジェットドローンが1体、お前達の事を監視していた」
「! ガジェットドローンが……?」
「今はもう破壊しているが、どうも向こうは俺達の動きを知りたがっているらしい。いつどこに監視の目があるかわからん以上、ここから先はこれまでよりもっと警戒を強めていく必要がある。お前も用心しておけ」
一方、二宮に敗れた椎名は……
「はぁ、はぁ……クソッ……!!」
何とかミラーワールドから戻って来れた彼は、壁伝いに歩きながら暗い夜道を移動していた。川に突き落とされたせいか、彼が着ているスーツは全身がびしょ濡れであり、普段綺麗に整えている髪型も今は水に濡れて崩れてしまっている。
「二宮鋭介……絶対に許さない……!! お前も……ジャック・ベイルも……いつか、この僕が……ッ!!」
ジャックを取り逃がし、二宮に一方的にやられてしまった椎名。その屈辱から、彼の中ではその2人を含めた悪人に対する憎悪の感情が、これまで以上に更に大きく膨れ上がっていた。握り拳を壁に叩きつけた彼は、いずれ必ずリベンジを果たす事を誓いながら、1人空しくどこかに立ち去って行く。
「ふぅん。なんか知らない内に、面白い事になってるじゃない」
その椎名の様子を、背後から密かに窺っている人物がいた。
「あの男、結構使えそうかも。もう少しだけ様子を見ておこうかしらね……?」
暗い夜道のせいで、その人物は顔が見えない。しかしその人物はウフフと怪しげに笑いながら、その手に持っていた物に軽くキスをする。
それは、蜂のようなエンブレムが刻まれた黄色いカードデッキだった。
To be continued……
リリカル龍騎viVid!
手塚「奴は、ジャック・ベイルを利用して何をするつもりなんだ……?」
夏希「あの子の事、何か知ってるんじゃないの?」
アインハルト「私は、一体どうするべきなんでしょうか……」
ジャック「おぉ、可愛い子がいるじゃないかぁ……♡」
戦わなければ生き残れない!