リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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お待たせしました、ようやく更新です。

録画していたビルドをようやく見ましたが、青羽を殺ってしまった戦兎が廃人化してるのは見ていて辛い……そんな戦兎にまるで師匠のような言葉を投げかけるマスターですが、そもそもの元凶お前だからな!?←
あと、ビルドの事を「全年齢版アマゾンズ」と評するコメントを見つけました……割とその通りで否定の言葉も出ねぇorz

取り敢えず、今回のお話もどうぞ。



第15話 証明したいから

ホテル・アグスタでの警備任務が終わり、六課隊舎に帰還した後……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずっと気になってたんだよな。ティアナの事」

 

六課隊舎のロビー。そこでヴィータの発した言葉に、なのは・フェイト・手塚・美穂の4人が振り向いた。

 

「ここ最近、訓練するたびに思うんだ。強くなりたいなんてのは、若い奴なら誰だって思う事だろうし、多少は無茶もするもんだろうけどさ……アイツのそれは明らかに度を越してる。アイツ、ここに来る前に何かあったのか?」

 

「……それは俺も気になっていた」

 

コーヒーを飲んでいた手塚も、コーヒーの入ったカップをテーブルに置いてから口を開く。

 

「占いの中で見えたランスターの表情……焦りが見え隠れしているのが俺でもわかった。お前なら何か知っているんじゃないのか? 高町」

 

「……うん、実はね」

 

なのははレイジングハートを通じて画面を出現させる。画面には幼少期のティアナと、ティアナと同じオレンジ髪の青年の局員男性が写っている。

 

「この人、もしかして……!」

 

「ティーダ・ランスター。執務官志望の魔導師で、両親を亡くしてから1人でティアナの面倒を見てきた人だよ」

 

「ティアナ、お兄さんがいたんだ……」

 

「でも、ある任務で犯罪者を追いかけている中……犯罪者の攻撃を受けて、命を落としたの」

 

「……!!」

 

「その後、犯人はすぐに捕まったんだけど……彼の葬式が開かれた時に、彼の上官が彼を貶したらしいの。『首都航空魔導師のエリートでありながら犯人を取り逃がすなど、エリートにあるまじき失態だ。死んでも犯人を取り押さえるべきだったというのに』……って」

 

「な……何だよそれ、理不尽過ぎるだろそんなの!?」

 

思わず美穂が立ち上がり、テーブルをバンと強く叩く。それにより、手塚がテーブルに置いていたカップから僅かにコーヒーが零れ出てしまうが、今は誰もそれを気にする者はいない。

 

「当時、ティアナはまだ10歳だったんだけど……そのせいで凄く傷付いたみたいなの。自分のお兄ちゃんが上司に無能扱いされたから……」

 

「つまり、ランスターが無理をしているのも……殉職した兄の無念を晴らしたい、という事か……」

 

「おいおい、思った以上に酷ぇ話で言葉も出ねぇぞ……」

 

「ッ……」

 

「……美穂さん?」

 

「……」

 

なのはの話を聞いていて、美穂は無意識の内に拳を強く握り締めていく。その事に気付いたのはフェイトと手塚だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パシュンッ!!

 

 

 

 

「ぜぇ、ぜぇ、はぁ、はぁ……」

 

隊舎から離れた位置にある森の中。トレーニングウェアに着替えたティアナは現在、夜遅くまで自主練習を続けているところだった。木々の間を複数のマーカーが浮遊し、それをクロスミラージュで正確に狙い撃つ。しかし長時間の練習で心身共に疲労が溜まってきたティアナは少しずつ息が荒くなっていた。

 

(こんなんじゃ駄目だ……まだまだ練習しなきゃ……!!)

 

「ここにいたんだ、ティアナ」

 

「!」

 

そんな時、後ろから声をかけてくる者がいた。

 

「美穂、さん……」

 

「はいコレ」

 

美穂は手に持っていた2本のペットボトルの内、1本を放るようにティアナの方へ投げ渡し、ティアナは驚きつつもそれを右手でキャッチする。

 

「こんな夜遅くまで練習するのも良いけどさ。せめて水分補給くらいはしたら? 体力持たないよ」

 

「……私には、休んでる暇なんてありません。死ぬ気で練習しなきゃ、凡人の私は強くなれませんから」

 

「死ぬ気で、か……」

 

美穂は近くのちょうど良い大きさの岩に座り、ペットボトルの蓋を開けてスポーツドリンクを飲む。

 

「ぷは……なのはから聞いたよ。ティアナのお兄さんの事」

 

「! ……そうですか」

 

「ごめん、いきなりこんな事言って」

 

「いえ……」

 

「……ティアナはさ。そこまでしてでも強くなりたいの?」

 

「……当たり前じゃないですか……!!」

 

ティアナのクロスミラージュを握る力が強まっていく。

 

「たった1人で私を育ててくれた兄さんが、犯罪者に殺されて死んだんですよ……死んだ兄さんが、役立たずの無能としての烙印を押されたんですよ……!! 悔しくない訳がないじゃないですか!!」

 

「……」

 

「私は……強くならなきゃいけないんです!! 兄さんの射撃を引き継いで、兄さんの腕を証明する為に……その為にも私は、こんな所で立ち止まってる訳にはいかないんです……!!」

 

「……そっか」

 

ティアナの悔しげに言い放つ言葉を、美穂は表情1つ変えず、静かに聞き続けた。その事にティアナは振り返らずに問いかける。

 

「……止めないんですか? こんな私を」

 

「逆に聞くけどさ……ティアナは止めて欲しいの?」

 

「……ッ!!」

 

クロスミラージュの弾丸がまた、マーカーを撃ち抜く。それがティアナの返事だった。

 

「……アタシには、ティアナを止める資格はないかなぁ」

 

「……どういう意味ですか」

 

「アタシも、結構無茶してきたからさ」

 

美穂は立ち上がり、岩の上にペットボトルを置いてからティアナに歩み寄る。

 

「アタシのお姉ちゃんもね、犯罪者に殺されたんだ……」

 

「え……!?」

 

その言葉にはティアナも驚き、美穂の方に振り返る。

 

「犯人は凶悪な殺人犯でさ……理由なんてなかったんだ。何の理由もなく……面白半分に、アタシのお姉ちゃんを殺したんだよ」

 

脳裏に浮かび上がるのは、路上に倒れたまま動かない美穂の姉の遺体。その動かなくなった遺体を他所に、満足した様子でその場を立ち去っていく犯人の男。

 

「本当なら、そいつは死刑になってもおかしくなかったはずなんだ……それなのに、そいつが雇った弁護士のせいで、そいつの刑罰は懲役10年に留まったんだ……何もしてないお姉ちゃんを殺しておきながら……!!」

 

美穂が恨めしげな表情を浮かべるのを見て、ティアナは先程まで悔しげだった表情が悲しそうな表情に変わっていた。

 

「アタシはその犯人も、そいつを弁護した奴も許せなかった……けど、アタシ1人じゃどうしようもなかった。凄く悔しいって思ったよ……」

 

「そうだったんですか……」

 

「……まぁ、そんな訳でさ。ティアナが無理して練習を続けていたとしても、アタシにはそんなティアナを止める資格はないんだよね。でも……」

 

「あ、ティア! 美穂さん!」

 

美穂が振り返った先から、草木を掻き分けてやって来る人物がいた。ティアナは驚きを隠せなかった。

 

「スバル、何で……」

 

「へへ……私も付き合うよ、ティアの特訓!」

 

「付き合うってアンタ、あの時の怪我は……」

 

「ん? あぁ、もう平気! 私がタフなのはティアも知ってるでしょ?」

 

スバルは腕をブンブン回し、自分がもう平気である事を示す。それを見て美穂も軽く笑いながらティアナの肩に手を置く。

 

「無茶をするならさ、せめて1人でするんじゃなくて、他の誰かと一緒にやりなよ。その方が1人分の負担もいくらか減るでしょ?」

 

「頑張ろうティア、私達で一緒に!」

 

「……ありがとう。スバル、美穂さん」

 

2人の気遣いに思わず涙を流したティアナは、涙を拭ってからスバルと一緒に練習を再開。2人の特技を生かして互いの長所を伸ばし、短所を克服し、少しずつでも2人は力をつけていく。その様子を見ていた美穂は、ティアナの表情に少しずつ笑顔が戻っていくのに安堵していた。

 

(たぶん、これで良いんだ……ティアナは、私と同じになっちゃいけない……私なんかと、同じ道を歩かせちゃいけないんだ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やはりこういう事か」

 

なお、そんな彼女達の会話は、木の陰に隠れていた手塚にバッキリ聞かれていた。

 

(美穂の言っていた犯罪者……まさか……)

 

美穂の言った凶悪な殺人犯。手塚には心当たりがあった、というより1人しか思い浮かばなかった。そしてその犯罪者を弁護したという弁護士の事も。

 

(だとしたら、彼女がライダーになった理由は……亡くなった姉の為か)

 

美穂がライダーになった理由も、手塚は何となくだが察する事ができていた。戦う理由が何となく、自分が知っている“あの男”と似ているような気がした。違う点があるとすれば……

 

(恐らく……彼女はライダーを殺した事がある)

 

アビスがファムに語りかけた言葉。それが真実だとしたら、考えられる可能性はそれしかない。

 

(……それにしても、美穂はあのライダーの事を知っているようだった。それに対し、やはりあのライダーも俺達の事を完璧に把握している……やはり、“誰か”が裏で奴等を操っているという事か……)

 

そこまで考えていた時だった。

 

「ありゃ、手塚の旦那か」

 

「!」

 

手塚の前に、缶コーヒーを手に持ったヴァイスが駆け寄ってきた。

 

「ヴァイスか……」

 

「お、名前覚えてくれてるとは光栄だな。ほれ、飲むか?」

 

「ありがたく貰っておこう」

 

ヴァイスから缶コーヒーを受け取り、2人は揃って缶コーヒーのプルタブをカシュッと開ける。そして一口分だけ中身のコーヒーを飲んでから、ヴァイスが口を開く。

 

「そういや旦那。ティアナの奴見てませんかね?」

 

「あぁ。ナカジマと一緒に夜遅くまで特訓している」

 

「あ~あ、やっぱりかぁ。あんま無理するなって言ったんだけどなぁ……」

 

「心配か? ランスターの事が」

 

「そりゃまぁ、アイツがスバルを誤射しちまったって聞いたからさ。ここ最近は訓練でも無茶をする事が多いってシグナムの姐さん達から聞いてる。いつか本当に倒れちまうんじゃないかって正直不安だよこっちも」

 

「そうか……占いの事を言ったのは、かえって悪手だったのかもしれないな……」

 

「占い? おぉ、そういや旦那の占いは当たるんだっけか。凄ぇよな、何でも占いでわかっちまうんだろ?」

 

「あぁ。人が破滅に至る運命なんかもな」

 

「ッ……すまねぇ」

 

「良いさ。ヴァイスはどうなんだ?」

 

「ん、俺?」

 

「そう、お前だ……お前は何か、過去に後悔するような事はあったか?」

 

「……あったぜ」

 

ヴァイスの表情から笑みが消える。

 

「後悔してもしきれなくて……今でも立ち止まってるまんまだよ」

 

それ以上、ヴァイスが何かを話す事はなかった。手塚もそれ以上聞くのは野暮だと思ったのか、缶コーヒーに再び口を付けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後……

 

 

 

 

 

「じゃあまずはスターズから! 2人共、バリアジャケットの準備!」

 

「「はい!」」

 

いつもの訓練所で、なのはの下で模擬戦が開始されていた。最初はスターズ分隊であるスバルとティアナが模擬戦を行っており、ライトニング分隊のエリオとキャロ、スターズ分隊副隊長のヴィータは離れた位置のビルから模擬戦を見学する形となっている。ちなみに美穂もヴィータ達と同じように見学させて貰っている。

 

「あぁ、もう始まっちゃってる!?」

 

「思った以上に仕事が長引いてしまったな」

 

その後、少し遅れてフェイトと手塚も訓練所にやって来た。フェイトは執務官の仕事で、手塚はそれに同行しながらインペラーの捜索を行っていたのだが、成果は得られなかったようだ。

 

「おぉ、フェイト。もうなのはの奴が始めちゃってんぞ」

 

「えぇ!? 今日はスターズの分も私がやるはずだったのに……」

 

「今更文句を言っても仕方ないだろう。ここで彼女達の頑張りを見守るしかあるまい」

 

「なのはも訓練密度が濃いしなぁ~。少しは休ませるべきなんだけど、アイツ言い出すと頑固だからなぁ……」

 

「なのはったら、訓練が終わった後も部屋でモニターに向かいっぱなしなんだよね。モニターで訓練を見返しながら新しい訓練メニューを作ったり、フォワードの陣形をチェックしたり」

 

「なのはさん、いつも僕達の事を見てくれてるんですね……!」

 

「一体どこにそんな体力があるんだろうなぁ……私より1歳年上なだけなのに、全然そう思えないや」

 

「え!? 美穂さんって18歳なんですか!?」

 

「そうだよ。あれ、そういえばまだ言ってなかったっけ?」

 

「……お前等、少しは目の前の模擬戦に集中しろよ」

 

そんな会話が行われている一方で、模擬戦は激しくなっていっていた。展開された蜘蛛の巣のような形状のウイングロードをスバルが駆け、ティアナがクロスミラージュでなのはを狙い撃つ。一見、攻防が激しい普通の模擬戦のように見えたが……

 

「ん? 何かキレがねぇな」

 

ヴィータが感じた違和感の通り、ティアナの射撃はいつもに比べてキレがなかった。コントロールは良いが、なのはには簡単に打ち消されてしまっている。なのはもそれに気付いているのか、少し困惑した様子でティアナの射撃を防いでいく。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

なのはの視界に、ウイングロードの上を一気に駆け抜けるスバルの姿が映った。最初はティアナが魔法で見せている幻影かと考えたが……

 

「フェイクじゃない……本物!?」

 

そのスバルは幻影ではなく本物だった。なのははすぐに得意魔法のアクセルシューターでスバルを狙うが、スバルはスレスレで攻撃をかわし、なのはに向かって思いきりリボルバーナックルで殴りかかる。しかしなのはの張った防御魔法でそれは防がれ、足払いされたスバルはバランスを崩して下へ落ちていく。

 

「こら、スバル!! 駄目だよそんな軌道は!!」

 

「すみません! でも、ちゃんと防げますから!!」

 

なのはの注意も、スバルにちゃんと届いているかどうかは怪しかった。そんな時、なのははティアナの姿がいつの間にか消えている事に気付く。

 

(ティアナはどこに……?)

 

周囲を見渡す中で、なのはは目に見えた先のビルからクロスミラージュを構えているティアナを発見する。クロスミラージュには魔力が収束されていき、それを見たフェイトが驚いた。

 

「ティアナが砲撃!?」

 

「うわぁ、あそこまでやるなんて凄いじゃん2人共!」

 

「……」

 

美穂はスバルとティアナの見せつけるコンビネーションに感心していた……が、その隣で見ていた手塚は違う表情を示していた。

 

(何だ、この感覚は……嫌な予感がする……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後……そんな手塚の予感は、最悪の形で実現する事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『スバル、クロスシフトC行くわよ!!』

 

『うん!!』

 

ティアナからの念話で合図を受けたスバルは、リボルバーナックルとマッハキャリバーのカートリッジを消費して一気に加速、再びなのは目掛けて強烈なパンチを繰り出す。なのはの張った防御魔法で防がれ火花が激しく飛び散る中、なのははビルの上から狙ってきているティアナに視線を移したが……

 

「!? 消えた……!?」

 

ビルの上に立っていたティアナは幻影だった。本物のティアナは……

 

「バリアを切り裂いて、フィールドを突き抜ける……一撃必殺ッ!!」

 

既にスバルが張ったウイングロードの上を駆け抜けていた。一気になのは達のいる真上まで移動した彼女は、クロスミラージュをダガーモードに切り替えて魔力刃を生成、頭上からなのは目掛けて急降下していく。

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

スバルを囮にしたティアナの奇襲攻撃。それに対するなのはの答えは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レイジングハート、モードリリース」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドガァァァァァァァァァァァンッ!!!

 

 

 

 

「「「「うわぁ!?」」」」

 

「ッ……!!」

 

「なんつう爆発だよ……!!」

 

なのは達を覆い尽くすように爆発が起こり、その煙が見学していたフェイト達の所にも届いた。激しく襲い掛かる煙に手塚ですら両目を守るように腕で覆い隠している中、煙が少しずつ晴れていく。それから手塚達の目に映った物は……

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、2人共……どうしちゃったのかな……?」

 

 

 

 

 

 

スバルの拳を受け止め、ティアナのダガーモードを掴んで受け止めているなのはの姿だった。それを見たスバルとティアナは驚愕した。

 

「2人で頑張るのは良いんだけど……模擬戦は喧嘩じゃないんだよ? 練習の時だけ言う事を聞くフリして、本番でこんな無茶をするんじゃ……練習の意味、まるでないじゃない」

 

「「あ、ぁ……ッ……!?」」

 

ダガーモードの魔力刃を握るなのはの手からは、赤い血が滲み出る。それを見たスバルとティアナは少しずつ青ざめていく。

 

「ねぇ、2人共……私の指導、そんなに間違ってる?」

 

俯いていたなのはが見せた顔……その表情はいつものような明るい物ではなく、とてつもなく暗い物だった。

 

「ッ……私は!!」

 

ティアナはクロスミラージュのダガーモードを解除し、素早くなのはから離れてウイングロードの上に立つ。

 

「私はもう、誰も傷つけたり、失いたくないから!!」

 

涙を流しながらティアナは叫ぶ。自身の思いを知って貰いたかったから。自分達のコンビネーションで、自分達の力をなのはに認めて貰いたかったから。

 

「だから……強くなりたいんです!!!」

 

そんなティアナの思いは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少し、頭冷やそうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはには届かなかった。

 

「クロスファイアー……」

 

「ッ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

なのはが指先に魔力を収束させ始める。それを見たティアナもクロスミラージュの銃口に魔力を集中させ、砲撃魔法を繰り出そうとした……が。

 

「ファントムブレイ―――」

 

「シュート」

 

それより先に、なのはの砲撃魔法がティアナに命中した。爆風が舞う中、煙の中から今の一撃で瀕死寸前のティアナが姿を見せた。

 

「ティアッ!!」

 

それを見たスバルはすぐさまティアナを助けようとした。しかしその直後、スバルの体がバインドで厳重に縛り付けられる。

 

「バインド……ッ!?」

 

「スバル、よく見ておきなさい……」

 

「い、いや!! やめて下さい、なのはさん!!!」

 

スバルがどれだけ叫ぼうとも、なのはは再び魔力を収束させていく。既にティアナはフラフラな状態で、防御する力も回避する力も残されていなかった。

 

そして……

 

ドォォォォォォォォォォォン!!

 

「ティアァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

2発目の砲撃魔法が、ティアナを容赦なく撃墜した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な……!?」

 

「う、そ……!?」

 

その光景の一部始終を見ていた手塚と美穂、フェイト達も驚愕していた。まさかティアナに対して、2回も容赦のない攻撃を加えるとは思ってもみなかったからだ。

 

「ちょっと、いくら何でもこれは止めた方が―――」

 

「いや、行くな!」

 

「!? ヴィータ、どうして!!」

 

「これはアイツ等の問題だ……アタシ等は、何も口出ししちゃいけねぇんだ……!!」

 

「な、何言ってんだよ!! ティアナがやられたんだよ!? どうしてそんな……!!」

 

「……」

 

美穂がヴィータに抗議する中、手塚は撃墜されたティアナを遠目で見据えていた。それから彼は右手に握っていたコインに目を移す。

 

(失望、怒り……そして悲しみ)

 

こんな時でも、なのはの表情から彼女の感情を読み取っていた手塚。しかし感情は読み取れても、彼女の心の奥底までは手塚でも見据える事はできなかった。

 

「高町……お前は一体、何を感じ取ったんだ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方、撃墜されたティアナが地に落ちる。それを見届けた後、なのははバインドで縛られたままのスバルには目も暮れようとしなかった。

 

「スターズの模擬戦は終わり……スバルも、そこで頭を冷やしてなさい」

 

「ッ……!!」

 

それ以降、なのはは何も告げずにウイングロードから飛び去っていく。残されたスバルはバインドに縛られて動けない状態の中、飛び去るなのはの後ろ姿を睨み付ける。

 

 

 

 

 

こうして、なのはによるスターズ分隊の模擬戦は、後味の悪い形で終了する事となったのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、首都クラナガンのとあるオンボロなアパート……

 

 

 

 

 

「……」

 

あれから帰還した二宮は、ソファに座り込んだまま2枚のアドベントカードを手に持って眺めていた。結局、湯村に対しては一度も見せる事がなかった、鳥の翼が描かれた赤と青のカードだ。

 

「ただいま~」

 

「!」

 

その時、管理局での仕事を終えたマリアが帰って来た。それに気付いた二宮は2枚のカードを素早く懐に隠し、マリアに対して無愛想な表情で応対する。

 

「何だ、お前か」

 

「お前か、じゃないでしょ? いつも私への対応が冷た過ぎないかしら」

 

「……お前の普段の行いを振り返ればわかる話だと思うが?」

 

「あら、私が何かしたかしら? 記憶にないわねぇ~」

 

「そうかそうか、そんなに今日の夕食を抜きにして欲しいのか」

 

「ごめんなさい調子乗りました」

 

「ふん……」

 

マリアは迷わず土下座し、二宮はわかり切っていたその反応から軽く鼻を鳴らす。

 

「だって仕方ないじゃない! 私が管理局から情報を手に入れて渡しても、鋭介はちっとも私の事を褒めたりしてくれないんだもん。少しはあなたの為に頑張ってる私を労ってくれても良いじゃないの」

 

「ほぉ、たとえばどんな風に労って欲しいんだ?」

 

「そうねぇ。たとえば……」

 

マリアは髪の色を金髪に変化させ、本来のドゥーエとしての姿を見せる。それと共に着ていた局員の制服は青色のボディスーツへと変化し、彼女の抜群なスタイルがより強調された格好になる。

 

「あなたも見たところ、結構整った顔してるじゃない? 左目の眼帯が危険な男って感じの雰囲気で、私としては割と好みなタイプの男だわ」

 

「……だから何だって言うんだ?」

 

「もぉ、わからない人ね……こういう事よ」

 

二宮の隣に座り込んだドゥーエは、彼の頬を右手で優しく触れながら、彼の耳元で蠱惑的に呟く。

 

「ねぇ、私と“良い事”してみない……? これでもね、スタイルには自信がある方なの……あなたになら、私は好き勝手にされても構わないわよ……♡」

 

二宮の腕にドゥーエが密着し、それにより彼女の豊満な胸が形を歪める。彼の足には自信の太ももをいやらしい動きで擦りつけ、彼がその気になるよう積極的にアプローチを行う。ドゥーエはこの女の魅力を使って、これまで多くの男性を落としてきた……のだが。

 

「……俺が言っているのはそういうところだよアホ女」

 

「あたっ!?」

 

二宮はそれに歓喜するどころか、むしろ不快そうな表情を浮かべてドゥーエの額にデコピンをかました。ドゥーエがデコピンされた額を押さえて痛がる中、二宮はソファから立ち上がり台所の洗い場まで移動する。

 

「そうやって誘惑してくるから俺が今の態度を取っている事に、お前はいい加減に気付け。今になってそんな事をされたところで、もはや何の情欲も湧いてこんぞ」

 

「もぉ、可愛くない人!」

 

「可愛くなくて結構。ろくに家事もできない女子力ゼロな奴よりは到底マシだ」

 

「うっ……今それ言うのはなしでしょ」

 

「それより」

 

ドゥーエが軽く凹む中、二宮は洗い場で皿を洗いながらドゥーエに問いかける。

 

「あれから、お前んとこのドクターは何だと言ってた?」

 

「……今は2人のライダーを戦力として従えてるそうよ。今後、ドクターの計画にその2人も参加させるって」

 

「2人か……そいつ等の特徴は?」

 

「残念だけど、そこまではドクターも話してくれなかったわ。私のお楽しみの為に取っておくとか」

 

「チッ……まぁ良い、今はそれだけわかれば充分だ。管理局の方では何か情報は手に入ったのか?」

 

「目撃情報があったくらいよ。角を生やした茶色の人間が街に出没したとか何とかって……明らかにあなたも知ってるライダーよね、これ」

 

「……そろそろ本気で腹が立ってきたな。あの馬鹿、一体どうしてくれようか……」

 

「あら、怖い顔ね……“使えない道具をどうやって処分するか”って顔してるわよ」

 

「……放っておけ」

 

二宮は洗い終えた皿を拭きながら舌打ちする。

 

「本当に面倒な事しかしねぇな……“奴”も“奴”だ。あんな馬鹿を従えるなんてどういうつもりなんだか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミラーワールド、とある海辺の砂浜……

 

 

 

 

 

『……この辺りは既に調べ尽くしたか』

 

砂浜に立っていたある人物が、一瞬にしてその姿を消す。

 

そこには1枚の“金色の羽根”だけが残り、それも数秒の経過と共に粒子となって消滅するのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎StrikerS!


美穂「アタシがあんな事言ったから、そのせいで……!!」

手塚「恐れているのか? 自分の罪を」

ティアナ「言う事を聞かない奴は使えないって事ですか……!」

湯村「生き残った奴が勝つ……それが戦いってもんだろう!!」

手塚(彼女達は、俺達と同じになってはいけない……)

???『戦い続けろ、ライダー達よ……』


戦わなければ生き残れない!
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